ファイルと設定の転送ウィザードを使ってみる
SOFTWARE REPORT
ファイルと設定の転送ウィザード
Windows XP には "ファイルと設定の転送ウィザード" という、コンピュータを買い換えるときなどに重宝するツールが備わっています。
これを用いると Internet Explorer の設定やお気に入りや Outlook Express のデータなどのパソコンを買い換えた場合に多くの人が奮闘するデータのほかにも、ダイアルアップの設定や、壁紙までもが復元してもらえるのでした。そのほかにもアプリケーションによっては設定が復元されるし、その他のデータと思われるファイルを自動的にバックアップしてくれたりとで、なかなか便利です。
個人的に、バックアップをアプリケーションに任すのは忘れ物がありそうであまり好きではないのですけど、もともと自分でバックアップするつもりで必要なものをバックアップしたあと、併用してこれを利用してみたところ、相当便利だったのでした。
なので今回は、そのツールを少し紹介する感じで触れてみることにしました。
ウィザードの使い道
"ファイルと設定の転送ウィザード" は普通、コンピュータを買い換えた場合などに、古いコンピュータから新しいコンピュータへ、以前に使用していたデスクトップ環境などを復元するために使用します。
使用方法としては、パソコンをシリアルケーブルか LAN ケーブルで繋いで、新しいコンピュータからこのツールを実行して、古いコンピュータの設定を転送する感じになります。
このとき、古いコンピュータでの OS は、Windows 98, 98, Me, NT 4.0, 2000, XP のいずれかで大丈夫のようなことが、ウィザード内で示されていました。古いコンピュータでもこのウィザードを実行させる必要があるとのことですけど、これは Windows XP の CD-ROM メニューから行える 「追加のタスクの実行」 にて、XP 以前の OS からも情報を収集できるような感じです。
ただし、転送先の新しいコンピュータは Windows XP でないといけないそうなので気をつけましょう。
またネットワークなどで繋げられない場合でも、古いコンピュータであらかじめこのツールを実行し、復元に必要なデータをいったんハードディスクなどに保存して、それを新しいコンピュータへ持っていって復元ということも出来ます。
今回はこの、古いコンピュータでいったんハードディスクへ保存して、新しいコンピュータへ復元する方法をやってみることにします。
ウィザードで復元に必要な情報を取得する
まずは古いコンピュータで実行して、ハードディスクへ復元に必要な情報をバックアップしてみようと思います。
【プログラム】 メニューから 【アクセサリ】 → 【システムツール】 とたどって、"ファイルと設定の転送ウィザード" を起動します。ウィザードが起動したら、このコンピュータの設定を持って行きたいのですから、”転送元の古いコンピュータ” と選択して先へ進みます。
そして ”転送方法の選択” にて、一番下の ”その他 (例、リムーバブルドライブ、またはネットワークドライブ)” を選択します。
データを保存したいフォルダを指定して次へ進み、バックアップを取りたい情報を選択すれば、それらの情報が指定されたフォルダへまとめて保存されます。このとき、指定したフォルダの下にさらに "USMT2.UNC" というフォルダが出来ます。
なお、転送したいものの選択は、次の選択肢がありました。
- 設定のみ
- ファイルのみ
- ファイルと設定の両方
設定を転送するように指定した場合は、このウィザードが認識できるアプリケーションの設定を保存してくれます。このウィザードが想定していないアプリケーションはバックアップされませんので気をつけましょう。
RealPlayer 8 のバックアップはしてくれるのに、Microsoft Office 2003 は対象外だったりするので、Outlook 2003 をメールソフトとして使用していたりする場合は特に注意が必要です。その場合は自分でバックアップをとっておきましょう。他にも Microsoft Virtual PC 2003 や Microsoft Visual Studio .NET 2003 もインストールされていますけど、それらも特には候補に挙がってはいませんでした。
ファイルの転送は、デスクトップやマイドキュメントといった特殊フォルダに保存されているファイルをバックアップしてくれるという感じのもののようです。候補に挙がっていないフォルダのファイルは考慮しないようですので、特に重要なデータは、うっかりバックアップに入っていなかったりしないように、あらかじめ別でもバックアップしておくと良さそうです。
また、指定された拡張子のファイルも収集してくれるようです。
これらの細かい調整は、”[次へ] をクリックしてから、ファイルと設定のカスタム一覧を選択する (上級者用)” を選択することで行えますので、肝心要のバックアップですし、念のためチェックを入れて目を通しておくのが良いような気がします。
設定については基本的に削除しか出来ないようなので、あえて要らないもの以外は残しておくと良さそうです。
利用環境によって違うでしょうけど、今回のコンピュータでは次のものが候補に挙げられていました。
- Internet Explorer のセキュリティ設定
- Internet Explorer の設定
- Microsoft Messenger
- Microsoft Netmeeting
- Outlook Express
- RealPlayer 8 Basic
- Windows Media Player
- コマンドプロンプト設定
- サウンドとマルチメディア
- タスクバーのオプション
- ネットワークプリンタとドライブ
- マウスとキーボード
- ユーザー補助
- 地域の設定
- 表示のプロパティ
また、バックアップされる特定のフォルダには次のものが設定されていました。これらに指定されている以外にも、上記で挙げられているアプリケーションの設定で必要とされるファイルも対象となります。
- Quick Launch (クイックランチャー)
- Fonts
- My Pictures
- デスクトップ
- マイドキュメント
- 共有デスクトップ
- 共有ドキュメント
ファイルの種類については、なにやらいっぱいありましたので省略します。
これらを慎重に確認したら、あとは次へ進めば、関連するファイルをすべてバックアップしてくれます。
進行中の表示を眺めていると、Outlook Express のメールボックスファイルやら、忘れがちな Windows フォントなどもバックアップしてくれていて、なかなか良い感じです。環境にもよるのでしょうが、ほんの数分ほど眺めていたら、設定の収集は完了となりました。
ウィザードの最初の方に指定したフォルダに作成された "USMT2.UNC" というフォルダが収集された設定のデータですので、これを DVD-R なりなんなりで新しいコンピュータへ持っていって、復元作業ということになります。
収集した情報を元に復元する
古いコンピュータで収集した情報をつかって、設定を復元してみることにします。
まずは新しいコンピュータへログオンします。ログオンするときのユーザアカウントは、今後利用する予定のアカウントです。そして 【プログラム】 メニューから 【アクセサリ】 → 【システムツール】 とたどって、"ファイルと設定の転送ウィザード" を起動します。
そして今度は ”転送先の新しいコンピュータ” として、次へ進みます。
すると ”Windows XP CD はありますか?” という表示の元、古いコンピュータでもこのウィザードを起動する必要があると言われます。けれどこれは、ネットワークを介してなどで、古いコンピュータから情報を取得しつつ復元する場合のお話です。
今回はあらかじめ情報を取得してありますので、一番したの ”ウィザードディスクは必要ありません。既に、古いコンピュータからファイルと設定を収集しました” を選択して次へ進みます。すると ”直接ケーブル” で取得するか、ファイルの場所を指定するかの選択となりますので、ファイルの場所を指定することとしました。
先ほど取得したフォルダ "USMT2.UNC" を指定して次へ進むと、復元手続きが始まります。
しばらく待てば復元処理は完了です。
処理が終了した後にいったんログオンしなおすと、デスクトップの壁紙もそこに置いてあったファイルも元通りですし、カスタマイズした画面の配色も元通りとなりました。Outlook Express の設定も基本的には元通りで、パスワードこそ指定しなおす必要があるものの、受信トレイなどのデータもしっかりと残されていました。
ダイアルアップや VPN の設定もしっかりと復元されています。ただし、こちらもパスワードは再入力しないといけないですけど。
ただ、Web フォルダといったネットワークプレイスの復元がなされないのでした。
これはユーザごとの "Documents and Settings" フォルダの中にある "NetHood" フォルダのデータが復元されないためのようです。元のユーザが保持している "NetHood" フォルダの中身を、新しいユーザの "NetHood" へコピーしてあげることで、これもパスワードこそ必要ですけど、問題なく復元することが出来ました。
他に、送るメニューに表示されるショートカットが保存された "SendTo" や、スタートメニューやスタートアップといった、アプリケーション環境に関連するものももれていますので、場合によってはこれらも注意 しておく必要があるかもしれないです。