VMware GSX Server 2.5 を試してみる:その2 (失敗編)
SOFTWARE REPORT
VMware GSX Server 2.5
VMware は、日本では 株式会社ネットワールド が 販売しているソフトウェアです。これを利用すると 1 台の PC 上で複数の PC を仮想的に動かすことができるので何かと便利です。
今回試そうとしている VMware GSX Server 2.5 というのは、販売されているいくつかの種類の中で、サーバの一元管理といった感じの目的に利用するものです。複数の仮想 PC を遠隔で操作・管理するための機能が搭載されていたりして、何かと便利そうなのです。
前回、お気に入りのディストリビューションである Slackware 9 にて GSX Server 試用版の導入を試みたのですけど、辛くも玉砕。
なので今回は、システム要件に挙げられていた RedHat Linux 9 へインストールして、とりあえず使い勝手を見てみようと思います。
実験環境
今回の実験では、RedHat Linux 9 を利用することにします。
VMware の実験なのですけど、その Linux 自体も VMware 上…、VMware workstation 3.2 上にインストールした RedHat 9 を用いて実験してみることにします。
なお、仮想マシンの基本構成は次のとおりです。
メモリ | 384 MB |
---|---|
仮想ディスク (SCSI 0:0) | 通常 - 4.0 GB |
DVD/CD-ROM (IDE) | 使用ドライブ P: |
フロッピードライブ (A:) | 使用ドライブ A: |
ネットワークアダプタ | ブリッジモード |
2 ポート USB コントローラ | 存在します |
RedHat Linux 9
まずは RedHat Linux 環境の整備です。
公式サイトよりダウンロードしようとも思ったのですけど、CD-ROM イメージが見つからなかったので本屋さんで雑誌を探すことにしました。 そして見つけたのが 株式会社ローカス さまの Red Hat Linux 9 入門という雑誌でした。
インストール開始
VMware への RedHat Linux 9 インストールは X Window では進まないのですね。独自のビデオドライバが必要だからなのでしょう…。なにはともあれ、愛用している Slackware と比べると、極めてインストーラが完成していていいですね。
インストールに関しては、今回は細かいことは書きませんが、インストールの種類は一応 「サーバ」 を選択しておくことにしました。ブートローダは GRUB。
パーティションは自動パーティション設定です。設定されたパーティションは次のような感じになりました。
デバイス | 開始 | 終了 | 容量 | タイプ | マウント |
---|---|---|---|---|---|
/dev/sda1 | 1 | 13 | 101M | ext3 | /boot |
/dev/sda2 | 14 | 425 | 3231M | ext3 | / |
/dev/sda3 | 426 | 522 | 760M | swap |
念のためパッケージはすべてインストールしようと思ったのですけど、すべて選択してみるとなんと 4,850MB ものディスクスペースが必要とのこと。
なのでパッケージはてきとうに、どういう取り扱いになるのか良くわからないのですけど、一番下の Everything だけチェックをはずして、それ以外はすべてインストールすることにしました。こうすると、必要容量は 2,814MB です。
が、いざインストールを始めてみるとわずかにディスク容量が足りないとのことなので、ここは実験をかねて、インストールするパッケージを次ぎのものにしてみました。
- Administration Tools
- Development Tools
- Editors
- GNOME Desktop Environment
- GNOME Software Development
- Graphical Internet
- Kernel Development
- Network Servers
- Server Configuration Tools
- Sound and Video
- System Tools
- Text-based Internet
- X Software Development
- X Window System
このようにやたらと削って必要容量は 1,787MB。これで問題なくインストールを続行することが出来ました。
X Window システムの設定がちょこっと厄介ですね。とりあえずドライバがまだなので 「X の設定を行わない」 を選択しておきました。
これでとりあえずのインストールは完了です。
VMware Tools のインストール
とりあえず X Window を正常に利用できるようにするため、まずは VMware Tools をインストールすることにしました。
Red Hat 9 が起動したらログインして、VMware のステータスバーの部分に表示されている "VMware Tools は起動していません。このテキストをクリックしてインストールをしてください。" という部分をクリックします。
すると CD-ROM として、VMware Tools が入った CD-ROM イメージが認識されるので、それをマウントしてアーカイブを /usr/local/src/ ディレクトリへ取り出します。
mount /dev/cdrom
cp /mnt/cdrom/vmware-linux-tools.tar.gz /usr/local/src
そうしたらそれを展開してインストールします。
cd /usr/local/src
tar xvzf vmware-linux-tools.tar.gz
cd vmware-tools/
./install.pl
X Window の設定
いきなり startx と入力したら、さくっと動いてしまったのですが…。念のためあらためて X Window の設定をして見ます。
コンソールへログインしたら、次のコマンドを実行することで X Window の設定を行うことが出来ます。
redhat-config-xfree86
すると自動的に X Window システムが起動して、解像度やら色数やらの設定になりました。とりあえず今回は 800x600 の 256 色にしてみます。
高度レベルタグの方ものぞいてみたところ、モニタータイプは Unknown monitor 、ビデオカードは Unknown video card と、どちらも一見認識できてないようですけど、ビデオカードのドライバのところにはちゃんと "vmware" と記載されていました。
特にいじる必要もなさそうなので [OK] を押して設定終了です。
するとコンソールに戻るので、改めて startx を実行すると、、、、、エラーで停止です。どうやら先ほどの解像度設定が有効ではないようです。あらためて redhat-config-xfree86 を実行しなおしてみようとしたらこれまで起動せず。
とりあえず、次のようにして XF86Config ファイルを書き戻して再挑戦です。
cp /etc/X11/XF86Config.backup /etc/X11/XF86Config
改めて redhat-config-xfree86 を実行し、設定した解像度の X Window が起動しました。結局のところ 800x600 の数百万色という感じで落ち着きました。
GSX Server 2.5 体験版の入手
GSX Server 2.5 は現在 (2003/07/05) 、30 日限定の無償評価バージョンを入手することが出来るようになっています。
これについては VMware GSX Server 2.5 を試してみる (失敗編) を参考にしてください。
GSX Server 2.5.1 のインストール
インストールに関する公式情報は VMware GSX Server 2.5.1 -- Documentation にて公開されているので、詳しくはそちらをご覧ください。
今回のホストは RedHat Linux 9、VMware 社のサイトに紹介されている Linux を使います。
システム要件
RedHat Linux 9 の実際の構成はどうなっているのでしょうね。
RedHat 9 | Slackware 9 | |
---|---|---|
Kernel | 2.4.20 | |
glibc | 2.3.2 | 2.3.1 |
libXpm.so | /usr/X11R6/lib/libXpm.so | |
SCSI Driver | /lib/modules/2.4.20-8/kernel/drivers/scsi/sg.o | ? |
Perl | 5.8.0 | |
X Server | XFree86 4.3.0 |
Slackware 9 で見つからなかった SCSI Generic ドライバについても、ちゃんとカーネルの SCSI ドライバのところに納められていました。
何はともあれ決定的に違ったのはこれくらいなので、再挑戦すれば Slackware 9 でもちゃんと GSX Server を動かすことが出来るかもしれないですね。
インストール前の準備
GSX Server は、 rc0.d や rc6.d といった初期化ディレクトリ (?) を利用することを想定しているようです。
Slackware 9.0 での実験の時にはこれらをとりあえず作成しないといけなかったのですけど、RedHat 9 ははじめからこのディレクトリが用意され、実際に機能しているようです。
なので他に必要なものと言えば、GSX Server のパッケージでしょうか。
これらは VMware GSX Server 2.5 を試してみる (失敗編) のときに入手したものを使います。ただし、RedHat といえば RPM なので、RPM パッケージを使ったインストールを行います。
インストール
/usr/local/src/VMware ディレクトリへ VMware-gsx-2.5.1-4968.i386.rpm を用意して、次のような感じにして展開、インストールを行います。
cd /usr/local/src/VMware/
rpm -Uvh VMware-gsx-2.5.1-4968.i386.rpm
すると…、次ぎのメッセージが表示された後、延々と処理がターミナルに帰りません。
Prepairing... ########################### [100%]
1:VMware-gsx ########################### [100%]
これは、、、、途中なのでしょうか、完了なのでしょうか。
とりあえずいったん落として、もう一度 RPM コマンドを実行してみることにしました。が、今度はうんともすんとも言わず。X Window 上のコンソールでやったのがいけないのでしょうか…。
ってそんなわけはなさそうですけど、一応 Linux を再起動して今度は CUI 環境で再チャレンジです。
…と、なぜか再起動の段階で、root ファイルシステムにエラー発見とのこと。
とりあえず fsck /dev/sda2 とでもして、root ファイルシステムのディスクチェックを行ったら、再び再起動です。それにしてもなにやらエラーがいっぱいありました…。
今度は無事に起動…。改めて RPM を実行してみると、今度はうまく行ったみたいです。
表示されるメッセージは上記で紹介した部分までだったのですけど、その後しばらくしてすぐにコンソールへ処理が帰ってきました。
GSX サーバの設定と起動
つづいてコマンドラインから "vmware-config.pl" を実行して、 GSX Server 2.5.1 の初期設定を行います。
You must read and accept the End User License Agreement to continue.
まずはじめにエンドユーザ同意契約書を参照する必要があるようです。enter キーを押して契約書の内容を画面に表示させます。そして同意するか ( Do you accept ? ) を尋ねられるので、yes を入力して次へ進みます。
Do you want networking for your Virtual Machines? (yes/no/help) [yes]
仮想マシンのネットワーク設定を行いますか、と言う質問のようです。とりあえず help を読んでみると、仮想マシンにネットワークを利用させるか否か、またその利用方法等の質問のようです。なので [yes] を選択して次へ進んでみます。
すると、"bridged" ネットワーク用の vmnet0 と、"host-only" 用の vmnet8 が設定されたようです。
Do you want this script to probe for an unused private subnet? (yes/no/help) [yes]
試用していないプライベート用のサブネットを検出しますか、という質問のようです。とりあえずこちらも help を見てみると、どうやら仮想マシン用の NAT を準備するかどうかの選択のようです。とりあえず [yes] を選択して次へ進んでみます。
すると、利用可能なサブネットが検出され、また通常の DHCP サーバが存在しているとの表示がありました。既存の DHCP サーバへレコードを追加するか、既存の DHCP サーバをたとえば eth0 限定とするなどの対応をとる必要があるというような補足説明が表示されました。
今回はとりあえず DHCP はどうでもいいので、さらっと読み流してそのまま次へ進むことにしました。
Do you want to be able to use host-only networking in your Virtual Machines? [no]
"host-only" ネットワークを仮想マシンで利用可能にしますかという質問です。これはたしか仮想マシンがホストマシンとのみネットワーク接続を利用できるようにする感じのネットワークだと思いますが、今回は "bridged" の方だけでいいと思うのでこちらは [no] を選択しておくことにします。
Please specify a port for remote console connections to use [902]
GSX Server の遠隔管理をおこうなうために使用するポート番号を指定します。ディフォルトでは 902 となるようです。実際に運用する場合は変えておいた方がいいと思いますけど、今回は実験なのでディフォルトの 902 を使用することにします。
Please enter your 20-character serial number.
シリアル番号を入力せよとのことです。あらかじめ入手しておいた試用のためのシリアル番号を入力して次へ進みます。
これでサーバの設定が終了し、VMware が起動されました。
Linux 自体の挙動不振
Slackware 9 の場合、/etc/init.d/ がダミーだったため、Linux 起動時に GSX Server を起動するようにするにはもう少し作業が必要だったのですけど、RedHat 9 の場合は特に心配ないようです。
ためしに再起動してみましたけど、問題なく GSX Server 関連のデーモンが起動してくれました。
とはいえまたしても再起動時に root ファイルシステムにエラー発見です。
VMware のインストールが影響しているのか、またはホスト自体の VMware workstation 3 が RedHat 9 に対応していないのか、今回は実験ということなのでいいですけど。
そして、更なる再起動時に…、eth0 の設定辺りで [FAILED] なる赤い文字…。リンクされてないのでケーブルをチェックしてくれと言われても、ホストも VMware …、ブリッジモードで設定されているのですが…。むむ。
モジュール pcnet32 自体はロードされているようで…、ディスクエラーが原因なのでしょうか…。これはもう一度、Red Hat 9 をインストールしなおした方がいいかもですね…。
RedHat 9 の再インストール
どうも不自然な挙動を示すので、もう一度 RedHat 9 をインストールしてみることにしました。
けれど結果は同じ…、というかこんなにエラーでてたかというほど、インストール直後に目立つエラーメッセージ。構成は前回と同じはずなのですけどね…。
ネットワーク eth0 のエラーも今回のエラーを見る限り、はじめからのようでした。
仕方ないので、ハートディスクに 10GB を割り当てて、そこへ全パッケージをインストールしてみることにします。構成はとりあえず、"サーバ" で。
そしてやっとこさ古インストールを終えてみたのですけど、どうもエラーは変わらずです…。
ざっとみた感じ、ext3 のデバイスドライバがエラーを出していたりするような感じでした。これは、VMware workstation 3.0 がサポートしていない、ということなのでしょうか…。
再びディスクを 4.0GB に戻して、今度は ext2 ファイルシステムにインストールしてみることにします。パッケージ構成も、最初の方にやったのと同じものを選択しました。
すると今度は、当然 ext3 のエラーも出ずにすみました。けれども eth0 は依然、リンクが切断された上体です。もっとも、これ以外にエラーのようなものは見受けられなかったので、上出来と言えば上出来ですが。
そしてもう少し調べてみたところ、どうやら eth0 のエラーは、DHCP クライアントが実装されていないことに起因するもののようでした。どこかでインストールし忘れたのでしょうか…。
とりあえず固定 IP を割り当てることで、eth0 は正常に動作するようになったので、今回のところはとりあえずよしとしておくことにします。
そして再起動してみるとまたしてもハードディスクエラーが…。ホストコンピュータのハードディスクチェックを行いましたけどエラーはなかったので、相性が悪いのかなんなのか…。
なにはともあれうまくいかなかったのは eth0 自体の問題は解決したわけなので、実験と言うこともあり、気にせずに GSX Server のインストールです。手順は先ほどと同じ、RPM からのインストールを行いました。vmware-config.pl も同様に実行します。
そしてなにやらいい感じにインストールがおわったのですけど、念のため再起動をしてみました。そして結果は良好です。ディスクのエラーも今回は見つからず、起動時にもしっかりと VMware が自動的に開始されたようでした。
Windows から接続してみる
とりあえずサーバ待ちうけは出来ているようなので、まだ仮想マシンも登録していませんけど、Windows クライアントから接続してみようと思います。クライアントは Windows XP Professional を利用してみることにします。
クライアントソフトウェアのインストール
ダウンロードした Windows 用のクライアントソフトウェア VMware-gsx-server-win32-client-2.5.1-4968.zip を展開して、"VMware-console-2.5.1-4968.exe" を実行します。
手順はそう難しいことはなく、普通にインストール作業を進めることが出来ました。
VMware Remote Console の起動
「スタート」 メニューから、「すべてのプログラム」 → 「VMware」 → 「VMware Remote Console」 と選んで、リモートコンソールを起動します。
すると、接続用のダイアログボックスが表示されます。
Server | 接続するサーバ名を指定します。ホスト名 ( IP 等) のほか、ポート番号と仮想マシンのパスも指定できるようです。 |
---|---|
User | ユーザ名を入力します。 |
Password | パスワードを入力します。 |
ユーザ名とパスワード…、何を入力したらいいかわからず、とりあえず Linux ユーザアカウントを入力してみたりしました。サーバとして Linux の IP アドレスを指定して接続…。
するとしばらく待たされたあと、エラーメッセージが表示されました。なんでも、一定時間待っても応答がなかったということです。以前に Slackware 9 で実験したときのように不明なエラーではないので対処は楽そうです。
これはおそらく、Red Hat 9 側のパケットフィルタ設定が、902 番ポートを遮断しているのだろうと思われます。なのでそれを調整してみることにします。
Red Hat 9 はパケットフィルタに iptables というツールを使用しているようです。
なのでこれの設定を調整してみようとおもったのですけど、なんだか ip_tables なるモジュールが正常に組み込まれていないようです。なので今回はパケットフィルタの設定を無効化してみることにします。
とりあえず X Window を起動して、redhat-config-securitylevel コマンドを実行します。そしてセキュリティレベルの項目を 「ファイアーウォールなし」 に設定します。
そして念のため RedHat を再起動してみると…。なんと起動時にでていた [ FAILED ] がなくなりました。どうやら iptables が障害になっていたみたいです。
これならきっとうまくいく、と思ってふたたび Windows クライアントから接続したのですけど…、だめでした。調べてみると、IP 0.0.0.0 が 902 ポートで待機しているようです。
これが問題なのか問題ないのかわからないですけど xinetd の設定にて修正すべき箇所も見つからなかったので、とりあえず iptables の問題もあったし、DHCP にて eth0 を設定するように調整してみました。
そして再起動してみると…、ファイルシステムのエラーとともに USB まわりのドライバーエラー発生です。eth0 も相変わらず [FAILED] を返すし…。
付録の RedHat 9 が悪いのか、VMware workstation 3 との相性が悪いのか…。とりあえず普通な問題には思えないし、時間ばかりかかって話にならないので今回はここで打ち切りです。