Apple Pay を Apple Watch 2 で実際に使ってみた印象。

Apple Pay

Apple Watch 2 で Apple Pay を使い始めてみたのですけど、いつでも既に腕に在るのはかなりのメリットですね。

そんな使い心地の印象を綴っておくことにしました。


先日に こちら で記したように、Apple Pay を iPhone 6 Plus + Apple Watch 2 で使えるようにしてみましたけれど、それからすぐに実際に使う機会があったので、体験してみた利用場面と、そこで感じた印象を記しておくことにします。

装着は右腕を選択

Apple Pay を Apple Watch で使うにあたり、自分は Apple Watch を右腕にすることにしました。

その理由は、今回は特に Suica での電車利用に興味があったためです。駅の Suica に対応している自動改札って、右側の腰よりやや低い位置に IC リーダーが備えられている印象だったので、時計をするのに一般的な左腕だと使いにくそうと想像して、右腕にしてみることにしました。

使いにくくて右腕に変えたとかではないので、左腕だと実際のところどうなのかは分からないですけど、とりあえず自分が体験してみた Apple Pay は、そんな理由で全て「右腕」です。


ちなみに Apple Watch を右腕につけるための設定は、iPhone にある Watch アプリから行えます。

時計としての使い心地

ところで Apple Watch 2 が発売されてから Apple Pay が利用できるようになるまでに1ヶ月ほど間があったので、その間に Apple Watch を右腕につけて、時計としての使い心地を確かめてみました。

結果、慣れないうちは時間を見たい時につい左腕をあげてしまうことがありましたけど、すぐに右腕の方を見れば済むので、大した影響はありませんでした。慣れるのには案外時間がかかりましたけど、1ヶ月もすれば自然と右腕を見るようになりました。

通知を受けるデバイスとしての使い心地

興味深かったのは iMessage や Twitter などの通知を見る時で、この場合は Apple Watch に腕をタップされてから見ることになるので、右腕をタップされれば自然と右腕を見ます。

そのため通知に関しては、Apple Watch を右腕に変えたその瞬間から、まったく違和感なく利用することができました。

何かと時計が "見える" のは気になる

そんな感じで、使うことについてはすぐに慣れたのですけど、気になったのは、何かと Apple Watch が "見える" ところでした。

左腕にしていた時は意識して見ないと時計の存在を感じさせなかったのですけど、右腕にすると、何かを持つにも指を指すにも右手が主体になるためか、行動のたびに Apple Watch が、自分に対しても相手に対しても、見えるところは少し気になるところです。

自分はそれに次第に慣れるのか、相手はさして気にならないのか、今はまだ判断できないところです。

電車の自動改札で使う

まずはいちばんの関心どころ、電車の自動改札を通過してみた印象です。

東急田園都市線、横浜市営地下鉄、JR 東日本ともに、自動改札の IC リーダーはやっぱりちょっと低い位置にあるのはきになるものの、とりあえず、気持ち膝を曲げて腰を落としたくはなるものの、ひとまずは簡単に改札を通過できました。

準備はまったく不要

嬉しいのは Suica が "エクスプレスカード" として登録されているおかげで、Apple Watch 側での操作を何もせずに、いきなり改札に突入できるのがとても便利です。

そして、そもそも何も取り出す必要がないのはやはり大きかったです。Apple Watch は常に腕に巻かれているので、そもそもポケットやカバンから何かを取り出す必要なく、すぐにタッチの動作から入れるのは、明らかに今までの常識を覆してくれるくらいのインパクトでした。

便利というか、まったく次元が違う印象です。

デバイスを横にしても OK

タッチの仕方は、ついつい Apple Watch の画面を IC リーダーにカチッと当てたくなりますけど、そこまで腕を捻らなくても、自然に腕を振り下ろすようにして Apple Watch が真横を、画面が体の側面外側を向くようにタッチしても大丈夫でした。

この横を向く感じのタッチなら、腕の捻りも普通だし、そもそも腕として動かしやすい軌道になるので、この方法がもしかするといちばん安定するかもしれない印象です。

ただ、今のところはまだ慣れなくて、それでも少し腰を落としてタッチしようとしてしまうため、IC カードを使っていたときとくらべて改札を通る時のスムーズさは欠けてしまうところです。これについてはもっと使う回数を重ねて、体が慣れていく必要がありそうです。

腕から外しても OK

ところで Apple Pay を使った Suica は、Apple Watch を腕から外して、ロックがかかった状態でも支払うことが可能でした。

何らかの事情で、たとえば窓口で Suica を手渡して処理してもらうみたいなときとかに、普通に Apple Watch を手渡せばいいのは嬉しいところです。

金額を確認しやすい

電車を利用した場合で改札を出たときに利用金額と残高が Apple Watch に表示されたり、普段でも細長いボタンをダブルタップして Suica を見れば残高を確認できるのが、便利だし楽しい感じでした。

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プラス EX カードとは相性が悪そう

JR 東海の、新幹線を IC カードで乗り降りできる プラス EX カードとは相性が良くない印象でした。

というのも、この "プラス EX" は、在来線と新幹線とを乗り継ぐ時に、プラス EX カードと Suica を重ねて改札機にタッチすれば通過できて便利だったのですけど、この重ねてタッチが、プラス EX カードと Apple Pay との組み合わせだとできないとのことでした。そのため、新幹線改札すぐ横の窓口に Apple Watch と プラス EX カードを手渡して処理してもらう必要があります。

これについては公式サイトの 【重要なお知らせ】 iPhone 7、iPhone 7 Plus、Apple Watch Series 2に関するご案内 にも記載があって、他の方法として、指定席券売機で プラス EX カードを使って乗車券を発行して、改札機に乗車券を投入してから Apple Watch 2 をタッチするという方法もあるそうです。こちらの方が、窓口の人の手間も煩わさないし、Apple Watch を外して渡す手間もなくて良さそうです。


そんな手間も然ることながら、些細なところではあるのですけど、プラス EX カードを財布などから取り出さないといけない手間が、普段 Apple Watch を使うことによって際立ってしまうところも、思いのほか大きなインパクトでした。

取り出すという "当たり前の動作" が、一瞬にして "過去の面倒な動作" のひとつに変わってしまった印象です。

京都市営地下鉄での体験

京都市営地下鉄で 五条駅 から乗ろうとしたときに Apple Watch でのタッチに反応してくれない(ように思えた)ことがありました。

ただ、京都市営地下鉄に乗ること自体が初めただったのと、そもそもこの ICOCA 圏で Suica が使えるか判断できなかったので、速やかに諦めて切符を購入したのですけど、あとで友人に聞いたところ「たぶん大丈夫なはず」との回答でした。京都市交通局:市バス・地下鉄で利用できる交通系ICカード でも Suica が使えることが記されているので、きっとたまたま上手くタッチできなかったのだろうと思ってます。

ちなみに JR 西日本の 稲荷駅 からは、問題なく Apple Watch を使って入場できました。

バスで使う

東急バスの支払いでも試してみました。

東急バスは PASMO という交通系 IC カードを使うのですけど、普通に Suica も対応なので、問題なく Apple Watch で支払うことができました。ここでも "エクスプレスカード" に登録された Suica を使ったので、Apple Watch 側の操作は何も必要ありませんでした。

タッチについては、少なくとも自分の乗った東急バスは、IC リーダーが腰よりも高くてタッチしやすい位置に備え付けられていて、右腕の Apple Watch でとても楽にタッチできました。左手に装着していたとしても何も問題なさそうです。

コンビニで使う

コンビニで Apple Pay を使う場合は、お店の対応状況や自身の選択によって、Suica, iD, QUICPay のどれかで支払うことになります。

iD または QUICPay を使うとき

Apple Pay にクレジットカードを登録することで、それぞれのカードに対応づけられた電子マネー(iD または QUICPay)で支払えるようになりますけど、これらで支払う時は、タッチの前に Apple Watch の側面にある細長いボタンをダブルクリックする必要があります。

ダブルクリックすると Apple Watch の画面に登録済みカードが表示されるので、ここで左右にスワイプして、支払いたい電子マネーに対応したカードを選択してから、お店の IC リーダーにタッチします。

ダブルクリック時には、メインで使うカードとして登録されているものが最初に表示されるので、これだけを使うのであればずいぶん楽ではあるのですけど、その電子マネーが使えないとなると、別のカードに切り替えないといけないところが少し面倒です。財布を取り出してカードを探すのと比べたらずっと楽ではあるのですけれど。

Suica を使うとき

それに対して Suica を使うときは簡単で、お店で支払う場合でも "エクスプレスカード" として登録されている Suica であれば、Apple Watch の準備操作をする必要なく、お店の IC リーダーにタッチするだけで支払えます。

取り出す必要もなく、準備操作もなく、いきなりタッチするのに慣れてしまうと、もはや全て Suica で払いたくしまいます。

IC リーダーについて

コンビニの IC リーダーはお店によって設置場所や操作がまちまちで、使いやすいかどうかは完全にお店に依りそうです。

使いにくさを感じたお店のひとつは、腕を乗せるというのを想定していないため、IC リーダーのすぐ先に壁があるパターンでした。Apple Watch は腕につけているので、それを端末に乗せるときには、装置よりも先に手のひらが行きます。その方向に壁があると、手首を直角に曲げてタッチしないといけなくなって、けっこう苦しい印象でした。

他にも、お店によっては電子マネーでの支払いの時に『端末に IC カードを置いたまま画面のボタンをタッチする』操作が必要になる場合があります。その場面にはまだ出会ってないのですけど、その時は、端末に置いた Apple Watch をつけた手で画面のボタンを押すことは難しいはずなので、そんな時には戸惑うこともあるかもしれません。

この辺りはきっとこれから、Apple Watch での支払いが世に浸透するに従って、そんなに遠くないうちに使いやすくなっていくのかなって、期待も含めて思ったりしてます。

自動販売機で使う

Suica 対応の自動販売機で買い物をするときもコンビニの時と同様で、何も準備することなく、飲み物を選んで IC リーダーに Apple Watch をタッチすれば、それだけで手続き完了です。

IC リーダーの設置場所は自販機によると思いますけど、自分が出会った何件かの自販機は、そんなにタッチが難しくない位置に設置されていた印象です。それに "店員さん" とか "後ろの人" とかを気にせず、自分のペースでタッチできるのも、ずいぶんと操作のしやすさを手伝ってくれます。

そんな感じで誰かを煩わせることもないので、どれくらいの距離まで Apple Watch を近づければ認識してもらえるかの実験とかにも良さそうです。

まとめ

こんな感じで、Apple Pay が解禁されてから5日間ほどで体験した Apple Watch での Apple Pay の使い心地を記してみました。

全般の印象

とにかく "取り出す必要がない" というのが、途方もなく大きなメリットに感じました。

これによるメリットとしては "すぐに使える" とか "財布を出さなくていい" とか "手が塞がっていても使える" とか、想像しやすいところですし、まさにそのまんまなのですけど、これが想像よりも遥かに想像通りに便利みたいな心地です。

ともすると近い将来、都心部に住むほとんどの人が Apple Watch またはそれに近いデバイスを持って歩く日も近いんじゃないかと思えるくらい、自分にとっては画期的な道具でした。これまでも "通知" や "ナビ" で真新しい便利さをもたらしてくれた Apple Watch がさらに未知の世界へ誘うような、なんだかそんな印象でした。

チャージも便利

そうそう、Apple Pay のおかげで Suica へのチャージもそうとう便利になったんでした。

これまで自分はオートチャージを使ってなかったので尚更そう感じるのですけど、いつでも手元から iPhone や Apple Watch を使ってチャージできるようになっていて、これがものすごく便利です。

Suica アプリでチャージ

いちばん手軽に使えるのが iPhone からの Suica アプリでした。

Suica アプリから金額を選択して、Apple Pay に登録してあるクレジットカードか、Suica アプリに登録してあるクレジットカードを使って入金できます。FeliCa に非対応の iPhone 6 PLUS からでも利用できます。

Suica の残高をいつでもみられるのと相まって、出かける前に自宅ででも、出かけた先でも、電車に揺られている途中でも、必要性を感じたときに必要な分だけチャージできるのは想像以上に便利です。単純に券売機へ行く手間が省けるだけでなく、財布からお金を取り出して券売機に差し込む必要がないというのが特に大きな便利さでした。

Apple Watch でチャージ

Apple Watch からもチャージできます。

Apple Watch の Wallet アプリを起動して Suica を選択したら、そこからデジタルクラウンで画面を下にスクロールすると、チャージ用のボタンが現れます。

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ここから、チャージしたい金額を選択して、Apple Pay に登録してあるクレジットカードの中から支払いに使いたいものを選択、そして Apple Watch 側面にある長細いボタンをダブルクリックすることで、Apple Watch だけの操作でチャージが行えました。

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こちらの方法だと Apple Watch の画面が小さいせいか操作にちょっと気を遣うのと、支払いを実行してから完了するまでにいくらか待ち時間が発生するのが気になりました。それでも iPhone を取り出す手間がなくなるので、何かのときにとても役立つかもしれません。

オートチャージ、利用履歴の確認など

iPhone の Suica アプリでは、チャージの他にもいろいろなことができそうです。

たとえばここで、クレジットカードを登録できるようになっていて、ここで登録したカードを使って Suica へのチャージができるようにもなっています。登録できるカードは Apple Pay よりも広く、モバイル Suica で利用できるものが登録できる様子でした。

また、オートチャージの設定もできる様子です。実際に試してはいないのですけど、JR 東日本公式の iPhone 7でビューカードを使う方法:ビューカード を見るとそんなあたりが記載されているので、適切な対応クレジットカードを用意して Suica アプリに登録すれば使えそうです。

他にも『SF(電子マネー)利用履歴』を見れたりして、これもなかなか良い感じですけど、Suica アプリで見れる履歴は前日までに限られるようです。当日の利用履歴も見たい場合は iPhone の Watch アプリから "Wallet と Apple Pay" の画面を使うと確認できます。