Microsoft Expression Web 3 に目立つ不具合
SOFTWARE REPORT
Microsoft Expression Web 3 について
Microsoft 社の Expression Web 3 は、Web サイト開発のためのツールです。
Microsoft FrontPage から Microsoft SharePoint Designer を経て Microsoft Expression Web という形でリリースされているソフトウェアなのですけれど、平成 21 年 11 月 06 頃から発売された Expression Web 3 について、大きな不具合が目立つように思います。
これは限定された場面ですけど、先日に EZ-NET レポート: Microsoft Expression Web 3 が起動直後に強制終了してしまう にも記したような事例もありますので、安定性の面での不安感は否めません。ひとつ前のバージョンの Expression Web 2 は、そういう面での不安は感じなかったのですけどね。単なるバージョンアップにしては、あからさまなエラーが多いように感じます。
なお、使用している環境は Microsoft Windows 7 (64 ビット版) ですが、ほぼ同一の環境 2 つで同じ不具合を確認しています。他の OS では、発生するかどうかの確認はしていません。
これについて、平成 21 年 11 月 25 日に、Expression Web 3 Service Pack 1 が提供されて、これらひと通りについて問題は発生しなくなりました。
そのあたりについては、EZ-NET レポート: Microsoft Expression Web 3 に Service Pack 1 を適用する の方に記していますので、こちらも併せてご覧ください。
パブリッシュが正しく動作しない
Expression Web では、サーバーへサイトをアップロードすることを "パブリッシュ" と言いますけど、Expression Web 3 では、この動作にどうにも不安がありました。
ただ、これらについては Service Pack 1 を適用することで解決できるようになった様子です。詳細については EZ-NET レポート: Microsoft Expression Web 3 に Service Pack 1 を適用する の方に記していますので、こちらも併せてご覧ください。
アップロード先のディレクトリがずれる
たとえば、アップロード先を FTP サーバーとしていたときに、アップロード先の都合で日本語のファイル名が指定されたファイルをアップロードできないことがありました。
最初に確認したエラーで、詳細を忘れてしまったので少し違うかもしれないですけど、たしかサイト全体をパブリッシュしようとすると、ファイルのアップロード先は正しいのですが、不適切なファイル名のところでエラーとなってアップロードが途中で終了してしまいます。
そこで、ファイル単体毎にパブリッシュを行ってみると、ホームディレクトリではなくルートディレクトリに対してアップロードがされてしまい、結果として、本来のアップロード先とは違う位置にファイルがアップロードされてしまうのでした。
ファイル単体のパブリッシュの場合は、サーバー上に存在しなくなったファイルの削除は行われないので、被害とまでは行きませでしたが、下手をするとデータを失う可能性にもつながる不具合のように思います。
これを回避するために、アップロードしたいディレクトリがルートになるような FTP アカウントを作成して、アップロードを行うようにしてみました。
更新していないファイルもアップロードされてしまう
Expression Web 2 までは、パブリッシュの際には、更新されたファイルのみがアップロードされるようになっていました。
Expression Web 3 でも、そのような設計になっているはずなのですけど、サイト全体をパブリッシュするようにしてみると、全てのファイルまたはそれに近い数のファイルが、毎回、アップロードの対象となってしまうのでした。パブリッシュ先のサーバーを複数試したり、アップロード方法も FrontPage Server Extensions や FTPS で試してみたりしたのですけど、どうにも時間がかかってしまいます。
アップロードしたいファイルを選択してのパブリッシュならば、それ以外のファイルはアップロードされずに済むので、とりあえずそれで回避することはできました。ただ、ファイルを選択してのパブリッシュでは、サーバー側でいらなくなったファイルの削除処理も行われないので、やはり不便な感じは否めないところです。ときどきは、多少時間がかかっても、サイト全体をパブリッシュする操作は行うのがよさそうです。
これについて、注意して調べていたところ、どうやら Expression Web 2 との動作の違いによるものであることが分かってきました。
どうやら、Expression Web 3 では、パブリッシュの際に "フォルダー" を表示項目として選択してる場合には、全てのファイルがアップロード対象となってしまう感じです。更新されたファイルのみをアップロードしたい場合には、パブリッシュの際の "サイトビュー" の "表示" 欄の選択肢で "変更されたファイル" を選択する必要があるようです。
こうすることで、更新されたファイルのみをアップロードの対象とすることが可能のようでした。
アップロードできない場合がある
Expression Web 3 で FTPS でのパブリッシュを行ったところ、次のエラーが発生して、アップロードすることができないことがありました。
URL 'img' には、32 より多いディレクトリがあります。
このエラーは、あるひとつのサーバーへのパブリッシュ時に発生したものなのですけれど、この原因というものが、いまひとつはっきりしないのでした。
アップロード先のサーバーが異なっていた場合にはこのエラーは発生しなかったので、おそらくアップロード先のサーバーの問題だと思うのですけど、存在する 'img' フォルダを調べてみても、その中に 32 個のディレクトリが存在するものはありませんでしたし、または、階層数が 32 に達するようなディレクトリもありませんでした。
しかも、何度か試してみると、次のエラーに変わることもありました。
URL 'skins' には、32 より多いディレクトリがあります。
どちらも WordPress という BLOG ソフトの構成ファイルとして存在しているもので、なかなか消してみるという訳にも行かず、それが何か関係するのかどうかまでは分からないところです。Expression Web 2 でなら、問題なくパブリッシュを行うことができるので、Expression Web 3 固有のエラーの様子が窺えます。
WordPress 関連のディレクトリはアップロード対象から除外しているのですけど、アップロード先のページリスト作成中に発生してしまうため、必ず引っ掛かってしまいます。
こちらも、ファイル単体でのアップロード機能、フォルダーリストの最上部で右クリックして "選択したファイルをパブリッシュする" を選択すれば、サイト全体をアップロードするのとほぼ同じ状況を作ることができるので、全く回避不能というわけではありませんが、やはり不要なファイルの削除処理が行われないので、好ましいとは言えない状態です。
なお、このエラーは Service Pack 1 を適用することで現れなくなるようです。さまざまな改善がなされているようですので、特に支障がない限りは、適用しておくのが良いでしょう。
外部エディタでの編集が行えない
Expression Web では、Expression Web の組み込みではない他のエディタを使用してファイルの編集も行えるようになっています。
たとえば、Expression Web に予め登録しておけば、個人的に気に入って利用している EmEditor でテキスト編集を行うこともできるのですが、Expression Web 3 でこれを行ってみたところ、EmEditor で編集して保存した内容が、元のデータに反映されないようでした。何度か試してみたのですけど駄目でした。
Expression Web 2 では問題なく利用できていたので、これは Expression Web 3 で新たに発生した不具合のように思います。
特にテキストファイルの場合、文字コードの都合で、外部エディタでないと文字化けしてしまうことがよくあるのですけど、Expression Web 3 では外部エディタで開くと保存できないというのは、なかなか厄介です。
当該ファイルを右クリックすると "プログラムから開く" というメニュー項目がありますけれど、その中の "Expression Web (HTML として開く)" を選択して開いてみたところ、とりあえず正しい文字コードで表示されたので回避することができましたが、ファイルの内容によってはもしかしたら、対応が難しい場面も出てくるかもしれません。
これについては Service Pack 1 を適用することで解消するので、充てていない場合には、忘れずに充てておくのがよさそうです。