ハードウェアレポート
iPhone 6 Plus と MVNO
SIM フリーな iPhone 6 Plus の購入と合わせて、ヨドバシカメラオリジナルの MVNO SIM カード WIRELESSGATE Wi-Fi+LTE を使ってみることにしました。
iPhone 6 Plus で WIRELESSGATE Wi-Fi+LTE SIM を使ってみる
iPhone の新機種が に発売されましたが、このうちのSIM フリー 版のiPhone 6 Plus を購入しました。
そして、このiPhone 6 Plus で、ヨドバシカメラオリジナル WIRELESSGATE Wi-Fi+LTE というSIM カード を使ってみることにしました。
WIRELESSGATE Wi-Fi+LTE のSIM カード
今回のWIRELESSGATE のSIM カード は、一般にMVNO という言葉で呼ばれたりして、実際にはモバイルデータ通信 回線を持たない事業者が他社の通信回線を借りて再販し、安価な料金でモバイルデータ通信 を利用できるサービスのようです。
今回のSIM カード の場合は、NTT ドコモ の通信回線を借りたサービスで、そのLTE 回線や3G 回線を利用できます。利用可能なエリアはNTT ドコモ のFOMA やXi サービスに準拠するとのことでした。
モバイルデータ通信 もインターネット共有 も問題なし
まず結論として、少なくとも 現在、モバイルデータ通信 を使ったインターネット接続も、インターネット共有 機能も、どちらとも問題なく使うことができました。
通信回線業者の事情で使えなくなる可能性もあるらしいのですが、とりあえず今のところは問題なさそうです。特にこれからはSIM フリー が広まる機運を感じるので、そういう事情の不安定さも減って行くんじゃないかなと勝手ながら期待しています。
SMS とデータ通信専用のプラン
今回、自分が購入した SIM カードの通信プランは、通信容量が 0GB のいわゆる最初から通信速度制限250kbps が課せられたカードなのですけど、SMS も利用できる、月額 480円+150円(630円)のものにしました。音声通話は利用できないのですけど、自分は普段の連絡といえば電子メールや SMS が主流なので、そろそろ音声通話から脱却できるかもしれないなと思ってこれにしてみました。
なお、SMS 送信にかかる料金は、基本料金 150 円とは別に、国内送信が1通3円、海外送信が1通50円になるとのことです。受信については料金はかからないそうです。
上記料金は 現在のものです。
関心どころは通信速度
基本的な通信速度
プランを選べば1GB や5GB といった月ごとの使用量がついたものもあるのですが、今回に選んだのはいわゆる0GB のプランです。
この通信速度制限がどれくらい影響するかは未知でしたけど、今の時代に通用するかは分からないものの、だいぶ昔のインターネット56kbps でもなんとかやっていけてましたし、iPhone 3GS を手にいれる前に使っていたPHS の64kbps 通信でも、外でノートパソコンをつないで使うのに遅さは感じながらもとても助かる速度だったので、もしかして250kbps でも大丈夫なんじゃないかなと、実験も兼ねてこれにしました。
SIM 各社ともに通信制限は常識のようで、どこでも使用量を超えれば速度制限がかかるのですけど、他社だと200kbps くらいの制限が一般的な様子だったので、速度制限を前提に使うなら「速い」方がいいだろうというのも理由のひとつです。
自分は年間11GBほどのデータ通信を利用しているようなので、それなら最初から1GB プランを契約すればいいかなとも思ったんですけど、ひとまず試してみたかったので、今回は0GB プランにしてみました。
自身のモバイルデータ通信
で使ったデータ量は、iOS
の設定画面にあるモバイルデータ通信
から見られます。ここのモバイルデータ通信の使用状況
というカテゴリにある現在の期間
というところで、使ったデータ量を確認できます。現在の期間
というのは、この画面のいちばん下にある前回のリセット日時
に書かれている日時から今までの期間のことになるようです。
追加チャージも可能
また、通信容量が付いていないプランでも、チャージすることで200MB の通信料を500円で得ることができるようになっています。割高感はありますけど、いざというときちょっと速度が欲しいときには、助けになる容量なのかなって感じます。
そういえば昔にiPad のプリペイドプラン100MB を試してみていたときがあって、そのときの印象からもとりあえず200MB あればなんとかなるかな、という印象でした。それについてはiPad Wi-Fi + 3G のプリペイドプランを体験してみる に記してあるので参考にしてみてください。
また、今回のWIRELESSGATE のSIM であれば、iPad プリペイドプランのときとは違って、チャージした容量を使うかどうかを専用アプリで設定できるところも魅力です。これなら『チャージはしたけど、今はまだ使いたい場面じゃない』みたいなときにも、iPad のときみたいに『使うのを控えめにする』みたいな気遣いが要らないところが良い感じです。
なお、チャージした容量は6ヶ月間で消滅することになっているようです。iPad プリペイドプランのときは1ヶ月で消滅していたことや、今回のWIRELESSGATE では200MB というチャージ容量を考えると、十分な有効期間が設定されている印象でした。
Wi-Fi スポットも利用できるらしい
さらにもうひとつ、このWIRELESSGATE という会社は公衆無線 LAN に力に入れているようで、このSIM の料金の中にワイヤレスゲート Wi-Fi の利用料も含まれていて、自由に使うことができるのだそうです。
サービスの紹介ページを見る限り、マクドナルドとかスターバックスとか、東海道新幹線とか、スポットが充実しているのも期待が持てるところでした。
総合的に判断して
これだけ詰まって、それにしてはこの値段というのは、実用的なレベルであれば魅力的です。
WIRELESSGATE のSIM は途中でのプラン変更ができないので、別のプランが良かったとなると最初にかかるSIM 代金が無駄になってしまうところはありますが、それを加味して選べば、なかなかお手頃でよさそうです。
たとえばiPad みたいな、データ通信だけ欲しい人にとってはなかなか良さそうなプランかなって思います。
WIRELESSGATE Wi-Fi+LTE のSIM カード をiPhone 6 Plus に設定する
それでは、このWIRELESSGATE Wi-Fi+LTE のSIM カード をiPhone 6 Plus で使えるようにする方法をここで整理しておきます。
WIRELESSGATE Wi-Fi+LTE のSIM カード を使えるようにするのに必要なもの
WIRELESSGATE Wi-Fi+LTE のSIM カード をiPhone 6 Plus で使えるようにするために、つぎの3つが必要になってくるようでした。
まず、当たり前ですがWIRELESSGATE Wi-Fi+LTE のSIM カード です。iPhone 6 Plus のSIM ソケット はnano-SIM なので、そのタイプのWIRELESSGATE Wi-Fi+LTE パッケージを購入しておく必要があります。購入後のプラン変更はできないので、通信容量とSMS サービス 対応の有無は決めて買わないといけません。
また、WIRELESSGATE Wi-Fi+LTE のサービス利用料を払うのにクレジットカードが必要でした。それと合わせて、SIM の開通手続きを行うために、iPhone がインターネットへアクセスできるWi-Fi 接続が必要になります。
それと、絶対に大事になるのがSIM フリー 版のiPhone 6 Plus です。
SIM を差し込む
iPhone 6 Plus にWIRELESSGATE Wi-Fi+LTE のSIM を差し込みます。そうすると間もなくして、ひとまずアクティベーション処理が自動的に行われる様子でした。
SIM の開通を申し込む
SIM カード を差し込んだら、続いてインターネット上のサイトから開通の申し込みを行います。このときはまだSIM での通信はできないので、Wi-Fi を使ってサイトにアクセスします。
開通の申し込みページの URL はWIRELESSGATE Wi-Fi+LTE に付属してきた冊子に記されているので、それをブラウザに入力したら、必要事項を入力して開通手続きを行います。ここで必要になる情報は、SIM カード の台紙に記載されているSIM カード電話番号 と、契約者名、PC で受信可能なメールアドレス、支払いで使う契約者名義のクレジットカード番号といったところでした。
必要事項を入力して申し込み手続きを行うと、詳細な契約内容が電子メールですぐに送られてきて、その時点でWIRELESSGATE Wi-Fi+LTE のサービスがすぐに開通される様子です。
SIM でインターネットを使用できるようにする
開通したWIRELESSGATE Wi-Fi+LTE をiPhone 6 Plus で利用できるようにするには、iOS の通常の設定、モバイルデータ通信 やLTE 回線を使用 の設定を ON にするのももちろんなのですが、それとは別にAPN 構成プロファイル というものをインストールする必要があるようです。
このAPN 構成プロファイル は、WIRELESSGATE 社のこちらのページ からインストールできるようになっていました。 の時点ではiPhone 6 Plus は明記されていませんでしたが、ここのiPhone 5s のものをインストールすれば大丈夫でした。
これをインストールすることで、付属の冊子に記されていたAPN の文字列やパスワードといった情報を入力しなくても、WIRELESSGATE Wi-Fi+LTE のSIM を使ってインターネットを利用できるようになるようです。ちなみにiPhone 6 Plus +iOS 8.0 では、これらの設定を手動で設定することはできない様子でした。
このAPN 構成プロファイル をインストールしておかないと、ちゃんと開通手続きを行っていても、いざモバイルデータ通信 でインターネットを利用しようとしたときに、PDP 認証エラー とかネットワーク接続がありません とかいったエラーメッセージが表示されてしまうようです。
専用アプリのインストール
さて、WIRELESSGATE Wi-Fi+LTE には、専用のiOS アプリが用意されています。これを使うと、チャージ容量の購入や確認、チャージした容量を使うかどうかの選択といったことができるようになります。
専用アプリはAppStore からダウンロードできます。これをインストールして、アプリにSIM カード電話番号 を登録すれば、アプリを使ってこの回線のさまざまな設定が行えるようになります。
ここでの注意点として、このアプリにSIM カード電話番号 を登録するときは、最初の登録のときだけモバイルデータ通信 を使って行う必要があるようです。そのため、いったん Wi-Fi を OFF にしてから専用アプリを起動して、アプリの「SIM サービスはこちら」のところにあるSIM 電話番号 を入力して、登録をおこなうことになります。
もしここで Wi-Fi が有効になったままだと「Wi-Fi 接続中エラー」と表示されます。また、開通手続きは行われていてもAPN 構成プロファイル のインストールを忘れていた場合は、ここで「PDP 認証エラー」が発生します。また、専用アプリを起動した状態で Wi-Fi を OFF にするとモバイルデータ通信 回線を見つけられずに「未接続エラー」というエラーが表示される場合があるようです。
テザリング について
iPhone 6 Plus には、モバイルデータ通信 の回線を Wi-Fi や Bluetooth などを経由して PC で共有するテザリング 機能が用意されています。
これについて、今回みたいなSIM の場合は利用できないかもしれないという噂がありましたけど、少なくとも の時点では、普通どおりに iOS でインターネット共有 の機能を有効化することで、問題なく利用することができました。
250kbps のWIRELESSGATE Wi-Fi+LTE を使ってみた印象
無事に利用準備も終わって、さっそく少し使ってみました。今のところの印象として、思いのほか250kbps という通信速度でも問題ない印象でした。メッセージの送受信とか Web の閲覧程度なら充分快適、数十MBのファイルを送受信するには心配なような、今のところはそんな印象です。
電波状況について
とりあえず自宅内の電波状況は、まさかのdocomo LTE が1目盛か2目盛、ときには3G にも変わる感じでした。
これはただの場所の問題ですけど、ソフトバンクの回線の場合はLTE がフルで入っていたので少し意表を突かれました。ただ、家の外に出ればLTE がフルには僅かに及ばないものの問題なしで、そもそも自宅では Wi-Fi を利用することになるので、きっと困ったことにはならないでしょう。
自宅内でも3G ならフルに入るので、仕様上は3G でも数Mbpsは出るらしいからさして影響ないのかなとか思っていたんですが、試してみると明らかに速度に差が現れました。電波についての知識がないのでわからないのですが、通信速度制限がかかっていても電波状況の影響は大きく受ける印象です。
ちなみにチャージして高速通信を試してみると、自宅内の電波状況でも、明らかに速度が改善されました。どちらの通信速度であっても、電波状況によって比例的に影響を受けるのかもしれませんね。
Web サイトを眺めてみる
自宅内の電波状態の場合は Safari で Web を見てみたときに、遅さが気になる印象でした。
Google とか Wikipedia みたいなテキスト主体なページであればそれでも現実的な速度で次へ次へと見ていけますけど、画像が入る今時のページだと、ページひとつあたり10秒くらい待たされることも多い印象でした。ときには30秒以上とか、どうにもならないほど遅く感じる時もあるので、3Gが登場した頃のような快適さを期待すると、見ていられないくらいの速度です。
ただ、どうやらこの遅さは自宅での電波状況が悪いことが原因みたいで、そのあとで外出する機会があって外で試してみたんですけど、現実的な速度でページを閲覧できました。通常は問題を何も感じないくらいの速度で表示され、画像の多い今時のページもせいぜい10秒あれば表示される印象でした。
ちなみにチャージして高速通信を試してみると、自宅内でも明らかに支障のない速度へと改善が見られました。通信速度制限があると電波状況の悪さが影響する可能性が高まることはありそうですね。外出先でもこのような電波不足の状況になる可能性はありますが、WIRELESSGATE Wi-Fi+LTE ならWi-Fi スポット が利用できる可能性もありますし、いざとなれば200MB の容量チャージもできるので、値段と比べた安心感は大きいように思えました。
Web を見たときの体感速度は、テザリング を経由して MacBook Pro から通信回線を利用してみたときも、iPhone 6 Plus で直接インターネットを見るときと同じような印象でした。
メッセージ を利用してみる
簡単な検証ですけど、自宅の電波状況が悪い中で通信速度制限をかけた状態で、テキストや画像をiMessage で送信したときに、どれくらいの速度感で送信できるものなのかを調べてみました。
そうしたところ、数文字程度の簡単なテキストで、基本的にはボタンを押してすぐに送信される様子でした。電波状況の問題なのかときどき5秒くらいかかることもありましたけど、そんな瞬時に届いてもらわなければ困るものでもないので、とりあえずそれが問題になることはないでしょう。画面をロックしていても送られるので、ちょっと時間がかかっていても放っておけば大丈夫ですしね。
画像については、iPhone で撮った写真をそのままiMessage で送ってみると、送信が終わるまでに20秒くらいかかるかな、という印象でした。こちらもちょっとは待たされますけど、それほど現実離れした待ち時間ではなさそうです。同じく途中で画面をロックしても送られるので、これも問題なさそうでした。
電波状況の悪い自宅内でもこの様子なので、外の電波が普通に入る場所ならなんの心配もなしです。
今回はSMS も利用できるSIM カード にしたので、これについても体感速度を見てみると、iMessage と遜色ないくらい、普通に素早く送信されました。試してみていて思ったんですが、いわゆるガラケーのSMS より素早く送信できる印象でした。
Yahoo! 乗り換え案内 を使ってみる
個人的に使いやすくて気に入っているYahoo! 乗り換え案内 を使ってみると、これは自宅の電波状況が悪い中で通信速度制限をかけた状態でも、今までと同じ感覚でサクサクと経路を検索できました。これについてはまったく心配なさそうです。
地図アプリを使ってみる
地図アプリについては、自宅の電波状況が悪い中で通信速度制限をかけた状態で、標準のマップアプリと Google Maps はどちらとも、けっこう辛い印象でした。いったん読み込めてしまえばその近隣の地図を見るのは早いんですが、読み取るまでに10秒とか20秒とか、それくらいの時間がかかる印象で、地図を見るにはまずじっくりと待つ必要があるかもしれません。
ただ、これも電波状況の悪い自宅内での問題で、横浜の青葉台駅や、東京の都立大学駅あたりで使ってみると、少なくとも標準のマップアプリでは、何も問題を感じないほど快適でした。Google Maps は少し遅い印象でしたが、こちらも支障をきたすほどではなさそうです。
カーナビアプリを使ってみる
カーナビアプリも気になるところなのですが、自分が好んで使っているMapFan+ の場合は、250kbps という速度の中でも、新しく表示される部分が5秒くらいで読み込まれるので、これならそれほど影響はでてこなそうな印象でした。カーナビの場合、どちらかというと音声の方に頼りますしね。
それにMapFan+ の場合は、有料ですけどあらかじめ地図情報をダウンロードしておけるので、それにも頼れば、そもそも通信速度で困ったことにはならないでしょう。