ハードウェア RAM ディスク "i-RAM" を使ってみる

HARDWARE REPORT


GIGABYTE GC-RAMDISK (i-RAM)

GIGABYTE 社から販売されている GC-RAMDISK (i-RAM) は、DDR-SDRAM 規格のメモリをハードディスクのように利用できるようにする機器です。

この GC-RAMDISK には DDR SDRAM 用のスロットが 4 つ搭載されていて、ここに搭載したメモリの容量もった Serial ATA ハードディスクとして利用することが出来ます。対応メモリは 1 枚あたり 1GB までで、最大で 4GB のメモリを搭載することが出来るそうです。

下調べをしていたときだったか、たしか DDR SDRAM スロットには 1 枚あたり最大で 2GB のメモリを載せることが出来るようなことが書いてあったような気がしたのですけど、GC-RAMDISK の箱などを見てみると 1GB までのメモリを想定しているような感じでした。

 

ところで今までも EZ-NET レポート: RAM DISK を使ってみる で紹介したように、PC に搭載されているメインメモリを RAM ディスクに割り当てることで "ソフトウェア RAM ディスク" 環境を構成していたこともありました。

RAM ディスクを一時作業用のディスクとして使用することでとても快適になったながらも、仮想ディスクとして認識されている場合にはそれを作業領域に設定できないソフトウェアもあったり、最大でも 4 GB までしか搭載できないシステム環境を使っていて、多くのメモリを RAM ディスクに割り当てるのはもったいない感じがしたりして、そのあたりの駆け引きとかになかなか気を使っていたりしたのでした。

ちなみに、ソフトウェア RAM ディスクを作業領域として割り当てられなかったものとしては、Windows XP のページングファイルや、Adobe Photoshop 5.5J の仮想ディスク領域などがありました。忘れてしまいましたけど、他にも何か設定できないソフトがあったような気がします。

ほかにも大きいメモリを確保することで不安定にならないかとか、メモリが熱によって動作不良を起こしたりした場合など直接的に OS 関連にも影響が及びそうとか、ソフトウェアのインストールなどでその領域を使ったときに再起動後にまだ必要なファイルがあったりしたらどうなるんだろう…とか、なんとなく不安を感じる部分もあったりして、あるときに何の因果か Windows XP が不安定になって OS をインストールしなおしたた時を境に、ソフトウェア RAM ディスクの利用は控えていたのでした。

 

そんな中、この GC-RAMDISK の、通称 i-RAM の存在を知ったのでした。

これなら基盤に RAM ディスク用途のためだけに DDR SDRAM を搭載するので、システムのメモリ容量には干渉しないで済みます。また、Serial ATA インターフェイスを用いて物理ハードディスクとして認識させることができるそうなので、ソフトウェア RAM ディスクと違って一時作業領域として割り当てられないという心配もまったく無いはずです。

そして RAM ディスクというものは通常、電源を落とすと内容が消えてしまうものなのですけど、この GC-RAMDISK は PCI スロットのスタンバイ電源から電源供給を受け続けるため、PC の主電源を落とさない限りは内容を保持してくれるというのも安心なところです。さらにはバッテリー電池も搭載されているので、もしも PC の主電源を落としたとしても、数時間程度はその内容が消えることがないそうです。

これによって、インストール手続きなどで途中に再起動を挟んでさらに一時ファイルが必要だったりする可能性があるようなときでも安心です。

 

GC-RAMDISK を組み込む

それでは GC-RAMDISK をシステムに搭載してみることにします。

GC-RAMDISK を搭載するためには、まず第一に、PC には Serial ATA が搭載されている必要があります。これは GC-RAMDISK が Serial ATA インターフェイス経由でデータ転送を行うためで、広く普及している IDE (Ultra ATA) とは違うものなので少し注意が必要です。マザーボードに Serial ATA インターフェイスが搭載されているか、空きスロットは存在するかなど、気にしておくと良さそうです。

その他にも注意点がいくつかあって、GC-RAMDISK は電源供給を PCI スロットから行うため、PCI スロットにも空きがある必要があります。

そのとき GC-RAMDISK 機器自体の大きさにも注意する必要があります。基盤自体の横幅が 22 cm と大きめなので、マザーボードや筐体の作りによっては何かが邪魔になって搭載できないこともあるかもしれません。縦幅についても、ブラケットよりも 1 cm 強ほど頭が出ている感じなところも注意です。

また GC-RAMDISK にメモリを挿し込むとブラケットと比べて 5 mm ほどはみだす感じになるので、真下に位置する PCI スロットに何かが搭載されていると、それとぶつかってしまいそうな感じでした。

 

ハードウェアのインストール

まずは GC-RAMDISK にメモリを搭載します。

搭載できるメモリは DDR SDRAM という種類で、今回はちょっとした都合であまった DDR400 規格の 1 GB を 2 枚と、混在してしまう感じですけど DDR333 規格の 1GB を 1 枚の、合計 3 GB という感じにしてみます。

若干斜めに傾いたメモリスロットだったのでその違和感にわずかに慣れが必要でしたけど、特に難しいことはなく普通に挿し込むことが出来ました。また、説明書によるとメモリは上から順番に刺すほうが良いとのことでしたので、上から順に DDR400 を 2 枚、続いて DDR333 という感じにしてみました。合計 3 枚なので最後の 1 スロットは空いています。

 

そして PC 本体に GC-RAMDISK を搭載します。

大きさの面でいろいろと気にする点はありましたけど、とりあえず AOpen 社の AX4SPE MAX II というマザーボードでは、PCI の横に位置する Serial ATA インターフェイスにかぶさらない感じでした。

そんな感じで、GC-RAMDISK 自体がとても大きいので見た目的な圧迫感はあるものの、問題なくゆとりを持って PCI スロットへ搭載することが出来ました。ただしやっぱり、横幅の都合で次の PCI スロットに干渉する感じでしたので、実質的に 2 つの PCI スロットを占有してしまう感じでした。

あとは GC-RAMDISK に同梱されていた Serial ATA ケーブルでマザーボードと GC-RAMDISK とを接続して、ハードウェア的なインストールは完了でした。

 

BIOS の調整

GC-RAMDISK は、システム的には通常の Serial ATA ハードディスクとして認識されます。

そのため、これは現在使っているマザーボード AX4SPE MAX II の仕様のようなのですけど、GC-RAMDISK を初めて接続して PC の電源を入れた初回だけ、BIOS の真っ暗な POST 画面のところでハードディスクの起動優先順位が変更になったことを示すメッセージが表示されて停止してしまうのでした。

それを解消するために、いったん [Delete] キーを押して BIOS 設定画面へと移動して "Advanced BIOS Features" の "Hard Disk Boot Priority" の設定内容を確認しておきました。あとは BIOS 設定を保存して PC の再起動を行うことで、次回からは正常に起動できるようになります。

 

GC-RAMDISK を利用可能にする

GC-RAMDISK も OS からみれば通常のハードディスクと変わらないので、ハードディスクを増設したときと同じ要領で OS に認識させてあげる必要があります。今回は Windows XP Professional を利用していますので、まずは "管理ツール" の "コンピュータの管理" から 【ディスクの管理】 を選択して、パーティションの作成や初期化などを行います。

ディスクの管理を起動すると、新しいハードディスクが検出されて 「ディスクの初期化と変換ウィザード」 が立ち上がるので、初期化するディスクとして選択して、準備の前段階が完了といった感じです。ダイナミックディスクへの変換は RAID を利用しないのであれば、する必要はないと思います。

それらの手続きが終わって 【ディスクの管理】 にディスクが認識されたら、好きなようにパーティションを区切って初期化を行えばいよいよ利用可能となります。今回は 3 GB をまるごとひとつのパーティションとして、それを NTFS 形式で初期化して利用することにしました。

 

TEMP 領域に設定する

今回の GC-RAMDISK を導入の目的は、一時作業領域を RAM ディスクに置くことでシステムを快適に利用するのが目的なので、さっそくその辺りの設定を行ってみました。メモ程度な感じですけど、せっかくなのでここに記録しておくことにします。

Windows XP のページファイル

とりあえず Windows XP が使用する仮想メモリを GC-RAMDISK に配置してみようと思ったのですけど…、システムが示した推奨サイズが 3070 MB だったりして、そこまでこだわる必要も無いかな…ということで、今回はページファイルは引き続き、ハードディスクへ配置しておくことにしました。

なので以下では簡単に、設定方法だけですけど触れておこうと思います。

 

コントロールパネルの "システム" を選択して、現れたダイアログボックスの 「詳細設定」 タブの中の "パフォーマンス" の設定を行います。そしてパフォーマンスオプションダイアログの 「詳細設定」 タブから 【仮想メモリ】 の設定を変更し、GC-RAMDISK のパーティションへページングファイルを設定します。

なお、そのときにシステム領域にページングファイルを置かないように指示した場合は、システム領域のページファイルの初期サイズが200 MB 未満の場合は STOP エラーの際にデバッグ情報ファイルを作成できない可能性があるとの通知が表示されます。

 

一時作業フォルダを設定する

Windows XP には、多くのソフトウェアが共通で利用するための一時作業領域の場所が 環境変数 に登録されています。

その環境変数名は TMP と TEMP の 2 つなのですけど、何かしらのソフトウェアがこの領域を一時的に使用するように設計されていたりするので、ここを GC-RAMDISK のパーティション内にあるフォルダにしておいてあげることで、多くのソフトウェアで処理速度の向上が見込めるかと思います。

 

設定方法は、コントロールパネルの 【システム】 から、"詳細設定" タブにある 「環境変数」 ボタンを押します。

そして、"システム環境変数" と "ユーザー環境変数" の両方にある TMP および TEMP 環境変数の値を変更して、それぞれに GC-RAMDISK の中にあるフォルダへのパスを指定してあげれば完了です。

 

Internet Explorer の一時フォルダを設定する

インターネットで Web サイトを閲覧するのに使用している Internet Explorer 6.0 の一時フォルダを変更してみます。

変更方法は、コントロールパネルの 【インターネットオプション】 を選択して、"インターネット一時ファイル" の 「設定」 ボタンを押して 「フォルダの移動」 を行います。ここで GC-RAMDISK パーティション内のフォルダを指定してあげれば、その中に自動的に "Temporary Internet Files" というフォルダが生成されて、そこへブラウジング時に読み込んだファイルなどが保存されます。

 

これが意外と重要で、一時ファイルを RAM ディスクに設定してあげるだけで体感的にインターネットが快適に動作するようになります。ソフトウェアの RAM ディスクでもインターネット一時ファイルをそこへ設定することが出来るので、ブラウザをより快適に動作させたいような場合には試してみる価値は大いにあると思います。

なお、Microsoft FrontPage 2003 でサイトを作成する場合にも、一時保存場所としてここで設定したフォルダが利用されるようでした。

 

圧縮解凍ソフト Lhaz の作業フォルダを設定する

個人的にお気に入りの、ちとら さまが作成した圧縮解凍ソフト Lhaz の作業フォルダを変更してみます。

Lhaz を起動したら、システムメニューの "ツール" から "オプション" を選択します。そして、表示されたダイアログボックスの "全般" タブを選択して、その中の "テンポラリフォルダ" として、GC-RAMDISK 上に作成されたフォルダを指定してあげれば完了です。

 

このように設定することで、圧縮や解凍時に RAM ディスクが利用され、ハードディスクを使用していたときと比べてかなりの処理速度の改善が見られるように思います。ただし、それにかかる必要なディスク容量がないと失敗してしまいますので、その辺りも気にしつつ余裕を持った容量を搭載しておきたいものです。

 

Photoshop 5.5J の仮想記憶ディスクを設定する

Adobe Photoshop 5.5J が使用する仮想記憶ディスクの設定を調整してみます。

Photoshop 5.5J を起動したら、システムメニューの "ファイル" から "環境設定" の 【プラグイン・仮想記憶ディスク】 を選択します。そして、仮想記憶ディスクとして GC-RAMDISK のパーティションを選択すれば設定完了です。

 

個人的にはあまり大規模に Photoshop を使う機会はないので判らないですけど、めいいっぱい利用する人にとってはたぶん効果的な設定なのではないかと思います。なお、最新のバージョンは判りませんけど少なくとも Photoshop 5.5J では、ここにはどうやらソフトウェア RAM ディスク上のパーティションは設定できないようでしたので、GC-RAMDISK が力を発揮する場面なのではないかと思います。