仮想サーバーサービス ServersMan@VPS を使ってみる

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DTI ServersMan@VPS

移転したばかりのデータセンターで DNS 逆引き環境が提供されなかったため、移設したメールサーバーが一部で "不正な SMTP サーバー" として判定されてしまい、正常な運営を行うことができなくなってしまいました。

そこで急遽、最近利用を始めていたさくらインターネットの VPS 980 上に SMTP リレーサーバーを用意して問題を回避したのですけど、リレー元の SMTP サーバーは多くの顧客を抱えたサーバーでメールの量も通常より多いことが予想されたため、メールをさばききれなかった場合に備えて、もうひとつ別の仮想サーバーを用意してみることにしたのでした。

 

もうひとつさくらインターネットの VPS を利用しようかとも考えたのですけど、各社がさまざまな仮想サービスを開始し始めた頃というのもあって、この機会に他の VPS を体験してみることにしました。

そこで目についたのが、さくらインターネットと同じような環境でほぼ半額という、DTI 社の ServersMan@VPS というサービスでした。

表立った性能表記としては、平成 22 年 11 月 12 日現在、Entry プランでは次のような感じになっていました。

月額料金 490円
最大 2 か月無料
メモリ 最大 512MB
保証メモリ 256MB
ハードディスク 10GB
IP アドレス IPv4 × 1
IPv6 × 1

臨時の応急措置としての利用が目的なので、なんといっても安いことは大きなメリットです。ハードディスクも 10GB あれば、リレー用の SMTP サーバーには十分すぎる容量です。

今回は SMTP サーバーとして運用する都合、ホストの逆引きができる必要がありますが、FAQ を見ると逆引きが提供されるとの記載があったため、その辺りもひとまずクリアです。

 

選択において迷ったのは、搭載メモリー容量でしょうか。

検討段階では、保証メモリ容量の表記がとても小さかったこともあるのか、さくらインターネットの VPS と同じ 512MB という数値に納得してはいたのですけど、いざ申し込みを進めてみると、申し込みページでは搭載メモリ 256MB が大きく記載されていて、心配になり 1 日考えてしまった程でした。

今どきの Linux でメモリー 256MB って、果たして足りるものなのでしょうか。

今回は結局、最大 512MB であること、代替 SMTP サーバーがメールをさばききれなかった場合の応急対応用であること、そして純粋に ServersMan@VPS がどんなものか試してみたい好奇心から、メモリー容量は 256MB (MAX 512MB) で納得しておくことにします。

他、どういう条件を満たせば利用料が最大 2 か月無料になるのか、また、利用料無料の代わりに別サービスで費用が発生しないかなど、料金面でのメリットをどのように受けたら良いのかの説明がよく分からなかったのですけど、今は迷っている場合でもなかったので、そこは気にせず申し込みしてみることにしました。

 

システムの初期状態

申し込みが終わると、すぐにサーバーを利用できる環境が整いました。

届いたメールに記載されていた ID を使用して SSH で接続してみると、もう運用を始められる状態となっていました。

気になったメモリー容量も、Linux システム上では 512MB として認識されていて、どういう動きになるかは分からないですが、この中で最低 256MB が保証されるということになるのでしょう。

 

ちなみに、何もしていない状況で、使用メモリーは 12,056 MB で、空きメモリーは 512,232 MB となっていました。

物理 PC に普通にインストールした場合と比べて妙にメモリー使用量が少ないのと、Swap が用意されていないのが気になりますが、とりあえず、メモリーの使用料がずいぶん抑えられた構成になっているようです。

稼働プロセスがとても少ないのも、メモリー使用が抑えられている要因でしょうか。

  • init [3]
  • /sbin/udevd -d
  • sshd: root@pts/0
  • syslogd -m 0
  • /user/sbin/sshd
  • xinetd -stayalive -pidfile /var/run/xinetd.pid
  • crond
  • /usr/sbin/saslauthd -m /var/run/saslauthd -a pam -n 2
  • /usr/sbin/saslauthd -m /var/run/saslauthd -a pam -n 2
  • -bash

ps axu としてプロセスを確認してみると、全部でこれだけ、プロセスがリストアップされてきました。

 

ホストの逆引きについて

それではさっそく SMTP リレーサーバーの構築を行おうとしてみたところ、肝心な IP アドレスからの逆引きが利用できないようでした。

DNS のキャッシュの都合もあるのかと思い、ローカルキャッシュをリセットしたりもしたのですけど、それでも逆引きを行うことができませんでした。

FAQ を何度確認しても、逆引きは "v-xxx-xxx-xxx-xxx.ub-freebit.net" という形で行えるという記載はあるのですが、実際に逆引きしてみると、見つからないと言われてしまいます。

しばらくすれば出来るようになる可能性は高そうですけど、もしできなかった場合は SMTP リレーサーバーの構築を行っても意味がなくなってしまうので、ひとまず SMTP リレーサーバーの構築は延期ということにしておきました。

 

その後、3 日後くらいになって、ホストの逆引きが出来るようになっていましたが、その間、臨時対応として建てた別の SMTP リレーサーバーの方が問題なくメールをさばけていそうということもあり、今回は ServersMan@VPS を利用する理由がなくなってしまいました。

雰囲気も何となくわかったし、料金を払っていてもしょうがないので、今回はひとまず ServersMan@VPS は解約することにしようと思います。

 

利用してみた感想として

他、利用してみて思ったところとしては、リモートアクセスとして SSH を利用する形になっていますが、これが利用できなくなった場合にどうしたら良いのか、その答えを探してみても上手く見つからなかったところが、運用上少し心配なところでしょうか。

さくらインターネットの VPS 980 の場合も、GRUB 起動ローダーでシリアル通信の設定を間違えると、管理ページからのアクセスが出来なくなってしまうことがあるとの記載はありましたが、それが公式サイトに明示されていることと、通常の運用の中ではそうそう GRUP の設定を触ることはないと思われることから、こちらには安心感があります。

SSH の設定は、運用上簡単に調整できるところでもありますし、そもそも SSH を利用したくない人もいると思うので、そういった面で SSH に頼らざるを得ない、SSH の設定に非常に神経を使わざるを得ない環境はちょっと気になりました。

 

また、FAQ に記載されている事項なのですけど、用意されている ServersMan@VPS 用の管理ページが、yum による httpd のアップデートで利用できなくなることがあるという記載がありました。

実際、メールに記載されていた管理ページに接続しようとしてみたところ、ページが見つからないというエラーになってしまいました。ただ、FAQ のガイドラインを見ても、該当する個所は正しく設定されているようです。

調べてみると、契約時に "シンプルセット" を選択した都合か、単に httpd が起動していなかったことが原因のようです。

httpd を起動して、コントロールパネルから ServersMan サービスを有効にすることで、コントロールパネルを利用できるようになりました。ちなみに、この段階でのメモリー使用量は 53,152 MB となりました。

 

このコントロールパネルでは、VPS をインターネットストレージとしてアップロードやダウンロードを行うといったことが出来る感じになるのでしょうか。

サーバーの再起動やコンソールログインといったサーバー運用にかかる機能は無いようで、これは融通の面でも、サーバーをまるごと管理するという視点からは、個人的には無い方が単純で良いようにも感じました。

 

それともう一つ、今回退会の申請をして思ったのですが、退会の手続きが非常に分かりにくく思いました。

説明および手順自体はちゃんと画面に記載されているのですけど、その前後にたくさんのサービス紹介や広告が出ていて、どこに手続きを進めるための事項が書かれているかとても分かりにくい印象を受けました。

利用は簡単でも解約に僅かに手間がかかるだけでも、意図的にそう設計されていると感じてしまうと、そこそこストレスになりますね。

 

ServersMan@VPS を少しの間利用して感じた利点としては、IPv6 アドレスが既に割り当てられているというところでしょうか。

インターネットの IPv6 への移行も話題に上がることが多くなってきた気がするこの頃、IPv6 を利用できる環境がインターネット側のホストで持てるというのは、現段階でさまざまな実験を行うにあたっては、とても価値のあるものになると思います。

それと、より多くのメモリーやハードディスクのプランも提供されていて、上位プランへ移行する場合に環境をそのまま引き継げるというのも、実運用で利用する場合において、大きな利点になるかもしれないです。