Windows 版 FDISK の使い方
BASIC
パーティションとは
パーティションとは、一台のハードディスクを便宜上、複数の領域に分割したものを言います。
パーティションを分けることで、あたかも複数のハードディスクがあるように見えるようになります。
OS レベルでは完全に独立したものとなるため、システム用の領域とログ用の領域を分けることで、ログがいっぱいになったときもシステム用のディスクには影響を与えないといった使い方ができます。
また FAT16 のような、大容量のハードディスクを取り扱えないフォーマットを使用したい場合も、取り扱える容量 (FAT16 ならば 2GB まで) でパーティションを区切ることで対処することができます。
また、分割したパーティションごとに別々のフォーマットをすることができるので、このパーティションは Windows NT 用に NTFS でフォーマットして、もうひとつは Windows 98 用に FAT32 でフォーマットするといったことも可能です。
Windows の FDISK が取り扱うパーティションには、
- 基本 MS-DOS 領域
- 拡張 MS-DOS 領域
という2つの種類があります。さらに 拡張 MS-DOS 領域 の中には論理 MS-DOS ドライブを作成することができます。
論理 MS-DOS ドライブとは、1台のドライブの中に論理的なドライブを作成して、あたかも複数台のハードディスクが搭載されているかのように OS に認識させるためのドライブです。
これとは対照的な表現として、物理ドライブというのもあります。これは物理的なドライブを指し、本当に接続されているハードディスクを指します。
FDISK の起動
FDISK は Windows に付属している起動ディスクに入っています。まずは Windows の起動ディスクを使用して DOS モードの Windows を起動します。
DOS モードで起動したら、次のようにして FDISK を起動します。
C:\> A:\fdisk
すると FDISK が起動します。
大容量ディスク をサポートした FDISK の場合、まずはじめに
512 MB 以上のディスクがあります。このバージョンの Windows では、大容量ディスクのサポートが強化され、ディスク領域を有効に使えるようになりました。2 GB 以上のドライブを、ひとつのドライブとしてフォーマットできます。
というようなメッセージが画面に表示され、大容量ディスクサポートを使用可能にするかどうかを聞いてきます。
この大容量ディスクサポートというのは、Windows 95 の OSR2 という比較的新しいバージョンから搭載された FAT32 というファイルシステムを使ってパーティションを構築できるようにすることです。
FAT32 が登場した当初は、FAT32 に対応したディスクチェックなどのユーティリティが存在しなかったため、なにかトラブルがあったときに対処ができなくなってしまう恐れがあったということと、FAT32 を取り扱えない OS がほとんどであったために、このような確認のメッセージが表示されるのだと思います。
いまとなっては FAT32 を使用してもほとんど問題にならないほど普及しましたので、特に理由がない限り、大容量サポートを有効にしても問題ないと思います。
FDISK の操作
Windows 95 OSR2 に付属していた FDISK には以下のような5つのメニューが用意されています。
- MS-DOS 領域または論理 MS-DOS ドライブを作成
- アクティブな領域を設定
- 領域または論理 MS-DOS ドライブを削除
- 領域情報を表示
- 現在のハードディスクドライブを変更
このうち、5番のメニューは、ハードディスクが複数あるときに表示されて、編集するドライブを変更することができます。
現在編集対象になっているドライブは、メニューの上の、”現在のハードディスク:” というところに番号で表示されています。
[ 1 ] MS-DOS 領域または論理 MS-DOS ドライブを作成
パーティションを作成する場合にはこのメニューを選択します。このメニューを選ぶとさらに細かなメニューが現れます。
- 基本 MS-DOS 領域を作成
- 拡張 MS-DOS 領域を作成
- 拡張 MS-DOS 領域に論理 MS-DOS ドライブを作成
基本 MS-DOS 領域の作成を選択すると、まず利用可能な領域が調べられます。
そして、利用可能な最大領域を割り当てるかを訪ねられますので、最大容量を割り当てたい場合には Y を、そうでない場合には N を入力して ENTER を押します。
Y を指定した場合には、再びドライブをチェックしたあとに登録が完了します。
N を指定した場合には、ディスクの総容量が表示された後で再びディスクのチェックが行われます。チェックが終わった時点で、どのくらいの容量を 基本 MS-DOS 領域 に割り当てるかを聞いてきます。
ディスク容量を MB 単位で指定して ENTER を押せば、作成完了です。なお、基本領域は1つしか作成できないので気をつけましょう。残りの容量は 拡張 MS-DOS 領域 を作成して、その中に複数の 論理 MS-DOS ドライブ を作成することになります。
ESC キーを押して、元の画面へ戻ります。
拡張 MS-DOS 領域を作成すると、まず作成する拡張 MS-DOS 領域の大きさを MB 単位でたずねられます。作成する大きさを指定して ENTER を押すと作成されます。拡張 MS-DOS 領域は1つしか作成することができないので気をつけましょう。
拡張 MS-DOS 領域の場合、続いて論理 MS-DOS ドライブにどのくらいの容量を割り当てるかをたずねられます。拡張 MS-DOS 領域の大きさを上限として、サイズを MB で指定すれば、その大きさの論理 MS-DOS ドライブが生成されます。
拡張 MS-DOS 領域が余っている限り、繰り返して論理 MS-DOS ドライブを生成することができます。ESC キーを押せば、すべての領域を使わなくても、論理 MS-DOS ドライブの生成を完了することができます。
拡張 MS-DOS 領域に論理 MS-DOS ドライブを作成する方法は、拡張 MS-DOS 領域作成後に論理ドライブの割り当てを行う方法とまったく同じです。
[ 2 ] アクティブな領域を設定
ハードディスクからブートしたいときに、そのハードディスクのどのパーティションを起動用にするかを設定します。
アクティブに設定されたパーティションが起動時に読み込まれるようになります。基本 MS-DOS 領域のみがアクティブパーティションとして設定することができるようです。
[ 3 ] 領域または論理 MS-DOS ドライブを削除
作成されているパーティションを削除する場合にはこのメニューを選択します。このメニューを選ぶとさらに細かなメニューが現れます。
- 基本 MS-DOS 領域を削除
- 拡張 MS-DOS 領域を削除
- 拡張 MS-DOS 領域内の論理 MS-DOS ドライブを削除
- 非 MS-DOS 領域を削除
ここから適切なパーティションを消すことになります。存在しているパーティションはあらかじめメインメニューの 4. 領域情報を表示 を使って確認しておきましょう。
存在しない種類の領域を削除しようとすると、その種類の領域がないことがメッセージとして返されます。また、論理 MS-DOS ドライブが設定されている 拡張 MS-DOS 領域を削除しようとすると、先に 論理ドライブを削除してくれという旨のメッセージが表示されます。
適切な項目を選択すると、その詳細情報が表示されて削除するかどうかをたずねてきます。
たとえば基本 MS-DOS 領域や論理 MS-DOS ドライブを削除する場合には、論理ドライブの情報が表示され、どのドライブを削除するかを問われます。表示された表の一番左側、Drv の項目部分が、削除対象を指定するためのドライブ名となります。
削除したいドライブ名 (たとえば D) を入力して ENTER を押します。
するともう一度再確認のメッセージが現れます。削除するとデータが完全に消えてしまうので、慎重を促しているのでしょう。今度はボリュームラベルをつかって削除するデータを再確認します。消したいドライブのボリュームラベルを入力して ENTER を押します。
ボリュームラベルを指定する上で注意しなくてはならないのが、FDISK はアルファベットは大文字しか取り扱えないということです。ボリュームラベルが設定されていない場合は、単純に何も入力しないで ENTER を押します。
ボリュームラベルにアルファベットの小文字がある場合には、ここではうまく削除することができません。その場合、一度 MS-DOS プロンプトに戻って、ボリュームラベルを変更しなくてはいけないので気をつけましょう。
さらに、削除してもいいかたずねられますので、念のためもう一度確認してから、良ければ Y をおして ENTER を押します。
これでドライブの削除は完了です。
”続けるには ESC を押してください” と表示されますので、ESC を押して一つ前の画面へ戻ります。
拡張 MS-DOS 領域の削除は簡単で、”削除しますか” という問いに対して単純に Y をおして ENTER を押すことで完了します。
注意点としては、削除したい拡張 MS-DOS 領域内にある論理 MS-DOS ドライブをあらかじめ削除しておく必要があります。
[ 4 ] 領域情報を表示
現在選択されてるハードディスクの領域情報(パーティション情報)を表示します。ここをみれば現在どのようにパーティションが区切られているかを調べることが可能です。
種類のところにある、PRI DOS は、基本 MS-DOS 領域を表します。また、EXT DOS は拡張 MS-DOS 領域を表しています。システムの欄には、そのパーティションのフォーマット形式が示されます。
拡張 MS-DOS 領域に論理 MS-DOS ドライブが存在している場合には、その旨を示すメッセージが表示され、論理ドライブの状況も表示するかどうかをたずねられます。
論理ドライブの情報も表示したい場合には Y を入力して ENTER を押せば、論理ドライブの情報が表示されます。
[ 5 ] 現在のハードディスクドライブを変更
ハードディスクが複数個接続されている場合に表示される項目です。
これを選択すると、現在のハードディスクのパーティション情報が簡単に表示された後で、どのハートディスクを編集対象にするかをたずねられます。
編集したいハードディスクの番号を指定して ENTER を押します。
FDISK を終了する
はじめのメインメニューの画面まで ESC キーを押して戻ります。
さらにここで ESC キーを押すと、変更を完了するにはコンピュータを再起動してくれとのメッセージが表示されますので、もう一度 ESC を押して FDISK を終了したあとにコンピュータを再起動してください。
これでパーティションの設定は完了となります。
論理ドライブ名
論理ドライブ名は、ドライブを増設したりすると増設前とは変わってしまうことがよくあるので注意しましょう。
論理ドライブ名は基本 MS-DOS 領域、論理 MS-DOS ドライブの順番で名前が割り当てられていき、さらにドライブ番号の小さい順に名前が付けられていきます。
たとえば Primary IDE のマスターに 基本ドライブと論理ドライブを2台を構成したハードディスクがあったとします。この場合、ドライブの情報は次のようになります。
- PIDE-MASTER : PRI-DOS : ( C: )
- PIDE-MASTER : EXT-DOS : ( D: )
- PIDE-MASTER : EXT-DOS : ( E: )
このような環境の中で、Primary IDE のスレーブにもう一台ドライブを増設して、基本ドライブと論理ドライブを1台で構成した場合、論理ドライブ名は大きく変わります。
- PIDE-MASTER : PRI-DOS : ( C: )
- PIDE-MASTER : EXT-DOS : ( E: )
- PIDE-MASTER : EXT-DOS : ( F: )
- PIDE-SLAVE : PRI-DOS ( D: )
- PIDE-SLAVE : EXT-DOS ( G: )
基本 MS-DOS 領域が優先されて、D: ドライブとして入ってきてしまうので、今まで D: と E: を構成していたドライブ名がひとつずつ後ろにずれてしまいます。
これらのドライブが単純に文書データなどを保管しているだけのドライブならばそれほど致命的にはなりませんが、Windows に常駐するようなプログラムがこのドライブに入っていたりすると、Windows はそのプログラムを見失ってしまうことになります。