美味しんぼ 福島の真実編 6 を読んで
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美味しんぼ 福島の真実編 6 を読んで
安全な放射線量
会津の郷土料理がオープニングを彩る、今回の美味しんぼ「福島の真実」
そういえば "ひし巻き" は新潟の田舎からよく送られてきたものでしたけど、会津の郷土料理でもあるんですね。砂糖とあえたきな粉をたっぷりつけるとシャリシャリして美味しいんですよね。
こづゆ、豆数の子、味噌揚げ、三五八漬けなど、素材が上手に生かされた料理が、楽しそうな雰囲気で紹介されていました。
そこに、原発が影を落とします。
「安全なものは安全、危険なものは危険、きちんと見極めをつけることが福島の食材には必要なのです。」
ここの放射線量は安全なのに福島でひとくくりにされて怖がられる…と郷土料理の将来を案じる地元の人に対して、海原雄山が書けた言葉ですけど、これこそ原子力災害を気にする誰もが望んでいる答えなのではないでしょうか。
山岡さんも、それを見極めるためにも福島の真実を知ることが必要と言う…。
安全な放射線量って、なんだろう。
- レベル 7 という分類上では最悪の深刻事故。
- 東電福島原発からは、今も放射能がたくさん漏れ出している。
- 事故前は、放射能は少しも漏れないようにと厳重管理されていた。
- 放射能は量に比例して直線的に危険度が上がるとされている。(どこまでなら安全というのが無い)
- メルトダウンは最悪の事態とされていた。
- 被ばくは、内部被爆(食べて被爆)が最も怖いとされていた。
- プルトニウムやストロンチウムによる内部被爆での害が特に心配されているが、検査・公表されるのはヨウ素とセシウムだけで、ストロンチウムなどがどれくらい含まれるかは判断できない。
- 噂では、放射能による健康被害が見え出すのが 3 年後、影響は 10 年 20 年規模、それ以上で続くとされている。
- 噂では、放射能による影響は 5 年は様子を見た方がいいとされている。
東電福島原発の事故から 2 年が経って、判断材料になりそうな情報は、自分はまだこれくらいしか手に入っていません。
放射能汚染の基準が出来て、ヨウ素とセシウムの含有量が目に見える機会も多くなってきましたけど、それだけで、上記のような疑問をひとつでも解消できればいいのですけど。
この 2 年で、これはきっと大丈夫だなって思えたことって、もしかすると 1 つもないかもしれません。
なぜ、理屈の話が何も聞こえてこないのだろう。
なぜ、ある懸念事項に対する将来の予測が何も聞こえてこないのだろう。
- メルトダウンの後は何が懸念されていたの?
- 内部被爆では、何ベクレル食べて何年後にどんな影響が懸念されるの?
- 神奈川に降った放射能の量は何ベクレルで、どんな影響が懸念されるの?
- 海に大量の放射能が放出されてますけど、どれくらいの範囲にどんな影響が懸念されるの? 拡散されて薄まるから大丈夫、じゃなくて。
- 今も大気に大量の放射能が放出されてますけど、どれくらいの範囲にどんな影響が懸念されるの? どこにどの程度の到達が見込めるの?
- 先日、電源喪失がありましたけど、仮にもし危険な温度に達した時、どんな事態が想定されていたの?
- メルトダウンの事実が公表されてからというもの、なぜ専門家がテレビ等に出てきて状況とか、将来の見通しとかを大衆に向けて説明しなくなったの?
- 福島の立ち入り禁止区域の解除は、どういった状況で解除されるものなの? その状況になるには何が必要で、それまでにどれくらいの期間が必要と見込まれるの?
- それともずっと危険視されていた放射能が、安全になるような何かがあったの?
安全です、風評です、そんな話は聞き飽きました。
とりあえず、専門家の方々にはこういったお話をお茶の間に届けて欲しいと感じます。専門家なのだから、もちろんそれなりの根拠も交えて。そしてこれらの疑問が払拭できたら、ここにも載せて行きたいものです。
物語の中では続けて、ボランティアの方々が頑張る姿が映し出されてとても頼もしい限りでしたけど、だからと言ってこれらの疑問が解消されることはありません。
美味しんぼ「福島の真実」編 #6
著者 | 雁屋哲 |
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掲載紙 | 週刊 BIG COMIC スピリッツ |