Windows 7 で XP モードを利用してみる
SOFTWARE REPORT
Windows 7 で XP モードを利用できる環境を整える
Windows 7 には、従前の Windows との互換性を高めるために "XP モード" という機能が用意されています。
これを利用できるのは Windows 7 の中でも Professional, Enterprise, Ultimate に限られてくるのですが、それらのエディションを利用していて、CPU が "AMD-V" または "INTEL-VM" が利用できる環境であれば、仮想 PC という仕組みを利用して、あたかも Windows 7 上で動作しているかのように、従来の Windows XP を使って、ソフトウェアを起動させることができるようになります。
もし Mac OS 9 と Mac OS X の切り替え頃に Macintosh を利用していた場合には、Mac OS X での Classic 環境をイメージすると分りやすいかもしれません。
ひとつのパソコンの中で実質 2 つのパソコンを動かす形になりますので、メモリーや CPU、それとハードディスク容量に余裕が欲しいところですが、ともあれ Windows 7 では動作しないソフトウェアが動く可能性が出てくるところは、魅力の一つだと思います。
ただし、画像処理やハードウェアの利用といった部分で、弱点となる部分もありますので、あまり過信しすぎると期待外れで終わってしまうかもしれません。
Windows 7 に XP モードをインストールする
ともあれ Windows 7 で "XP モード" を利用するためには、"XP モード" のインストールが必要となるので、それをやっていってみようと思います。
Windows 7 の "XP モード" は、平成 23 年 4 月 15 日現在、http://www.microsoft.com/japan/windows/virtual-pc/ からダウンロードすることができるようになっていました。
こちらから【Windows XP Mode と Windows Virtual PC を今すぐ入手】をクリックして、次の画面で Windows 7 のエディションと、インストールに使用する言語を選択します。今回は、"Windows 7 のエディション" として "Ultimate 64 ビット版" を、"インストールに使用する言語" として "日本語" を選択したら、Windows XP Mode のダウンロードに進みます。
画面の表示にあるように、まずは【Windows XP Mode】をクリックして "WindowsXPMode_ja-jp.exe" をダウンロードしたら、それを実行して、"Windows XP Mode" のインストールを行います。そのインストールが完了したら、続いて【Windows Virtual PC】をクリックして "Windows6.1-KB958559-x64.msu" をダウンロードしてそれを実行します。
自分の環境では、ここでいったん Windows の再起動が求められました。
Windows の再起動を行ったら、再び http://www.microsoft.com/japan/windows/virtual-pc/ に接続して、最後に【Windows XP Mode update】をクリックして "Windows6.1-KB977206-x64.msu" をダウンロードし、それを実行してインストールします。
ここでも再度 Windows の再起動が求められたので、再起動を行って、これで "XP モード" に必要なプログラムのインストールは完了です。
続いて XP Mode 上で動作する Windows XP の準備を行います。
スタートメニューから "Windows XP Mode" を選択します。
すると、Windows XP Mode の使用許諾契約書が表示されます。
使用許諾契約書に同意すると、続いて "インストールフォルダーと資格情報" という画面が表示されました。
ここで、Windows XP モードにログオンするためのアカウント "XPMUser" に対するパスワードを設定します。
次の画面では、Windows XP Mode として使用する Windows XP の自動更新を有効にするかを設定します。
ここでは "自動更新をオンにして、コンピューターを保護する" にチェックを入れておくといいと思います。
これで Windows XP モードのセットアップのための準備が整いました。
後は【セットアップの開始】を選択すれば、Windows XP Mode のセットアップが完了します。
もしこの時に "他の仮想化ソフトウェアの実行中に Windows Virtual PC を起動することはできません。他の仮想化ソフトウェアを終了し、やり直してください。" といったメッセージが表示された場合には、使用しているパソコンで "AMD-V" または "INTEL-VM" の機能が有効になっていない場合があるそうです。
自分の場合もこのメッセージが出たのですけど、ただ、BIOS で確認してみても "Virtualization" が有効になっていて、CPU も AMD Phenom X4 だったため、AMD-V には対応しているはずでした。原因を詳しく調べてみると、どうやら BIOS のアップデートを行うことによっても改善される場合があるようでした。
自分の場合もそれで対応できました。その時のお話については EZ-NET: MA78GPM-UD2H の BIOS をアップデートする に記してみましたので、必要に応じてそちらも併せてご覧ください。
"XP Mode" が正しく起動できる環境が整うと、続いて "初回の使用のために Windows XP Mode をセットアップしています…" という画面が表示されました。
10 分ほど、これが終わるのをじっくり待つと、画面上に Windows XP が起動した画面が表示されました。
これで "XP モード" の設定は一通り完了です。
設定された "XP モード" の Windows XP は、実質的に、もうひとつのパソコンに Windows XP をインストールしたのと同じような状態になっていますので、とりあえず Windows Update を実行して、Windows XP を最新の状態にしておくのがいいと思います。
XP モードを使用してみる
これで "XP モード" を使用する準備が整ったので、実際に "XP モード" を使ってみたいと思います。
まず、インストール直後は自動的に起動するようなので気にする必要はなさそうですが、それ以降で "Windows XP Mode" を起動したい場合には、スタートメニューから "Windows Virtual PC" を起動します。
すると、エクスプローラーが起動して、その中に "Windows XP Mode.vmcx" という形で、XP モードで使用する仮想 PC が表示されました。
この "Windows XP Mode.vmcx" の【コンピューターの状態】が "電源切断" や "休止状態" になっている場合には、このアイコンをダブルクリックすることで、"XP Mode" の起動が行われ、Windows 7 内のウィンドウの一つとして、Windows XP Mode が動作する仮想 PC が起動します。
ソフトウェアのインストールなどは、このウィンドウ内で行います。
インストールは特に難しいことはなく、従来の Windows XP を使用しているときと同じ要領でインストールを行っていきます。初期設定では、実機の CD-ROM ドライブに CD-ROM を挿入すると、"XP モード" の方でもそれが認識されるようになっているので、CD-ROM からのインストールも試してみればすぐに慣れると思います。
インストールが完了すると、"XP モード" 内の Windows XP に、インストールしたアプリケーションが登録されました。
"XP モード" のもう一つの特徴として、Windows XP Mode 上でインストールしたソフトウェアを Windows 7 からでも実行できるというものがあります。
XP モードにある "自動公開" という機能がそれにあたるのですけど、Windows 7 のスタートメニューから【Windows Virtual PC】の【Windows XP Mode アプリケーション】と辿ると、その中に、Windows XP Mode でインストールしたアプリケーションが表示されます。
ここからアプリケーションを選択すると、Windows 7 上でアプリケーションが起動しているかのように、Windows 7 のデスクトップ上に Windows XP Mode にインストールされているアプリケーションのウインドウが表示されます。
ちなみに、Windows 7 のスタートメニューに表示される XP モードのアプリケーションは、厳密には Windows XP Mode の "全てのユーザー" 用のスタートメニューに登録されたショートカットが対象になっていました。もしここに登録されないアプリケーションでも、手動でそこにショートカットを作ってあげると、Windows 7 から直接起動することが可能になる様子です。
ところで "XP モード" にインストールした仮想アプリケーションを、"XP モード" が起動した状態で Windows 7 のスタートメニューから起動しようとしたところ、"仮想アプリケーションを起動するには、仮想マシンを終了する必要があります" という警告メッセージが表示されてしまいました。
この場合【続行】ボタンをクリックすると、ウィンドウ内で動作している Windows XP Mode が自動的にログオフされて、そのあと引き続き、Windows 7 のデスクトップ上で、Windows XP Mode のアプリケーションが起動される感じでした。
XP モードの環境を整える
Windows XP Mode は、仮想 PC の技術を応用したものになっています。
動作している Windows XP は、Windows Virtual PC という仮想 PC ソフトウェア上の 1 コンピューターとして動作しているため、その仮想 PC のメモリー搭載量やハードディスク容量といった、仮想ハードウェアの性能を調整することもできるようになっています。
"XP モード" の環境設定は、スタートメニューから "Windows Virtual PC" を起動を選択することで行います。
"Windows Virtual PC" を選択すると、エクスプローラーが起動して、その中に "Windows XP Mode.vmcx" という形で、XP モードで使用する仮想 PC が表示されました。
ここで "コンピューターの状態" が "電源切断" になっていれば、この状態で "Windows XP Mode.vmcx" を右クリックして【設定】を選択します。
もしここで "休止状態" や "実行中" のような場合は、このアイコン "Windows XP Mode.vmcx" をダブルクリックして Windows XP Mode を起動して、それをシャットダウンしてからでないと、設定を変更することはできないようになっていました。
【設定】を選択すると、この仮想 PC にどのくらいのメモリーを割り当てるかや、ハードディスクイメージの設定など、仮想 PC の設定を行う画面が表示されました。
ここで、仮想 PC の設定を調整することが可能となっています。
実際のパソコンのメモリー容量に十分な余裕がある場合には、ここでメモリー容量を 1024 MB に設定しておくと動作が快適になるかもしれません。ただし、とりあえず Windows XP SP3 で簡単なソフトウェアをちょっとだけ使いたいような場合には、メモリー容量は 512 MB も設定されていれば、ひとまずは十分なようにも思います。