Office 2010 (64bit) を使って気になったこと
SOFTWARE REPORT
Microsoft Office 2010 (x64)
以前に EZ-NET レポート: Microsoft Office 2010 (64bit 版) を試してみる で記したように、Microsoft Office では初の 64 ビット版である Office 2010 をインストールして試してみたのですけど、その中で気になった点などがあったので、ここに整理しておこうと思います。
全体的な情報として
リボン・インターフェイス
Office 2010 では、Word や Excel の他にも、OneNote 等の全ての Office アプリケーションで "リボン・インターフェイス" が採用されていました。
リボン・インターフェイスといえば、Office 2007 になったときに "使いにくい" という噂を耳にする機能でしたが、個人的には 2007 の頃から気に入って利用しています。
確かに今までの Office 2003 以前と比べて極端に操作性が変わったので、それまでの Office に慣れていた人ほど、使いにくさを感じていたのかもしれません。
自分は幸いにも、それまではあまり Office を使う機会が少なかったこと、EZ-NET レポート: MCAS Word 2007, Excel 2007 を受験してみる。 でも以前に記したように、初めて勉強したのが Office 2007 だったこともあり、ある意味はじめて覚えた操作がリボン・インターフェイスだったため、使い勝手はとても良く感じます。
実際のところ、機能が体系的に整理されていて、操作性も一貫している感じがするので、これまでのシステムメニューを使った操作よりも直感的で、使って慣れて行くほどに迷いにくくなるように思います。
推奨は 32 ビット版
インターネットから伺える Office 2010 の情報としては、今のところ 64 ビット版はまだ推奨されないような感じでしょうか。
プラグインが 64 ビットに対応していないといけないとか、2GB 以上のファイルを扱わない限り 32 ビット版でもとりわけ高速に動作するわけではないとか、そういった感じの情報を Microsoft 社自身が提供し、注意を促しているようです。
それらを踏まえて、Microsoft Office 2010 のパッケージも、32 ビット版と 64 ビット版を同梱していながら、既定のインストールでは 32 ビット版が選択されるようになっていて、64 ビット版を使用するには 64 ビット版のインストーラーを起動してあげる必要があるとのことでした。
32 ビット版との共存はできない
64 ビット版の Office 2010 をインストールする際には、Office 2010 を含めた既存の 32 ビット版の Office 関連製品は案インストールする必要がありました。
これは、例えば Word の 64 ビットなら Word の 32 ビットをではなく、Word も含めたすべての Office 関連製品を案インストールしなくてはいけないようです。ここには、もちろん Microsoft PowerPoint や Microsoft Access 等も含まれますし、Microsoft Office Viewer や Microsoft FrontPage, Microsoft SharePoint Designer といったものも含まれます。
以前のバージョンでしか提供されていない製品や、または Office 2010 は安めのエディションに抑えて Microsoft Access 等は旧バージョンのものを利用しようと考えているような場合には、64 ビット版の Office 2010 は我慢して、32 ビット版をインストールしなければいけない場面もあるかもしれません。
Outlook 2010 (64 bit) で感じたこと
連絡先情報が使用できない
64 ビット版の Outlook 2010 の動作で少し気になった点としては、Microsoft Outlook 2007 から自動的に移行されているはずの "連絡先" の情報が、電子メール作成時に使用できないというところがありました。
これについては解決方法があって、EZ-NET レポート: Outlook 2010 で、前のバージョンで使用していたアドレス帳を使用できるようにする の方で使えるようにする方法を記していますので、そちらを参考にしてみてください。
封筒アイコンが表示されない
それともう一つ気になったのが、新着メールが受信された際に、これまでのような "封筒" 型のアイコンがタスクトレイに表示されなくなってしまったところです。
平成 22 年 4 月 30 日現在、Microsoft Outlook 2010 の設定画面には、着信時に封筒型アイコンを表示するという設定項目があるのですけど、それをいくら調整しても、Windows 7 Ultimate 上のタスクトレイにはアイコンが表示されてくれませんでした。
メールを読む際に Outlook 2010 を立ち上げる使い方なら支障はないでしょうけど、常に起動させておくには少し困った感じです。
そんな感じで使っていたところ、あるとき "封筒" アイコンが表示されていることに気が付きました。
どうやら POP3 でメールが受信されたときにだけ表示されてくれるような感じです。自分は主に IMAP でメールを受信しているのですけど、その場合は新着を示す "封筒" アイコンが表示されてくれないような感じでした。
iTunes で iPhone と同期が取れない
また、iPhone をつないで iTunes で同期をとろうとしたところ、次のメッセージが画面に表示されてしまいました。
既定のメールクライアントが設定されていないか、または現在使用されているメール クライアントがメッセージングの要求を実行することが出来ません。Microsoft Outlook を実行して、既定のメール クライアントとして設定してください。
Outlook 2010 を起動して、何度か既定のメールクライアントとして登録しなおしてみたのですけど、うまく行きませんでした。
これについては、iTunes 9.1.1.12 と Outlook 2010 (64 ビット版) との相性の問題だったようで、平成 22 年 6 月中頃にリリースされた iTunes 9.2.0.61 にアップデートしてみたところ、アドレス帳やスケジュール等、すべて問題なく同期されるようになりました。
プレビュー画面に Excel シートが表示される
Outlook 2010 で Excel ファイルが添付されたメールをプレビュー画面で確認したところ、プレビュー画面内にきれいに Excel シートが読み取り専用の状態で表示されました。
もっとも、これまであまり Excel ファイルが添付された文書をメールでもらう機会もそうなかったので、もしかすると前のバージョンでもできていたのかもしれないですけど。
MS-IME 2010 (64 bit) で気になったこと
Outlook 連絡先との同期
Word 2010 で名前を入力していたら、漢字変換候補の中に、その説明を示すバルーン表示がされることに気が付きました。
内容を見ると "Outlook 連絡先辞書" というヘッダーの元、フルネームや所属などを確認できるようになっています。たしか今まではこのような表示はなかったように思うので、もしかすると Outlook 2010 のアドレス帳と MS-IME 2010 とが連携するようになってきたのかもしれません。
だからといってフルネームや電話番号等に変換できるとかそういったことはない様子ですけど、MS-IME がアドレス帳の情報を辞書として扱ってくれるのは嬉しいように思います。
今までは読みが難しい名前の人をアドレス帳に登録しても、IME 辞書に手動で登録してあげないと変換候補に出なくて不便に思っていましたけど、ここにきて対応されて、一般的ではない名前も Outlook に登録すれば候補に挙がってきてくれるので、これで人の名前の入力がずいぶん簡単になりそうです。
Publisher 2010 (64bit) で気になったこと
テキストの行間設定が継続されない
印刷物を作成するための Publisher ですが、今回インストールした Publisher 2010 で、以前の Publisher 2007 で作成したファイルを開いてみたところ、テキストのレイアウトが大きく崩れてしまいました。
原因はどうやら、テキストボックスでテキストの行間を設定することができないようになっているようで、標準と異なる行間設定をしていたデザインが大きく崩れてしまったようです。
段落の書式設定から行間を再度設定すれば元に戻すことができるのですが、少なくとも平成 22 年 5 月 14 現在としては、バージョンアップには手間の発生も視野に入れる必要性はありそうです。
特に 64 ビット版を導入する場合には、同じ PC 上では以前のバージョンと共存することが出来ないので、より注意が必要になるかもしれません。
Word 2010 (64bit) で気になったこと
依然 「元に戻す」 が効かなくなることがある
以前のバージョンである Word 2007 ではときどき 「元に戻す」 機能が効かなくなることがありましたけど、新しい Word 2010 の 64 ビット版でも、同様の症状が発生することを確認しました。
この原因はたしか古いバージョンの Word 文書を開いた際に起こる "仕様" だったように思うのですけど、どうしてこのようなことになってしまうのでしょうね。
今回も確かに以前のバージョンで作成されたファイルを開いたので同じ理由ではないかと思うのですけど、編集中の文書を前の状態に戻せないというのはきわめて勝手が悪いですし、そもそも古いファイルを開いただけでここまで制限されてしまうのは辛いところがあるので、何とかこのような仕様はなくなってしまってほしいものです。