島根県を旅してきました。

旅行

なんとなく気になっていた島根県。

神奈川からだと遠くてなかなか行ける距離ではなくて月日は過ぎて行きましたけど、なんとなく機会が巡って念願の島根県は松江と出雲を訪れる運びとなりました。


かつて耳にした日本神話の影響なのか、さだかではないですけれど「出雲」という地名が自然と心に残っていました。

出雲(いずも)、すなわち島根県です。

いつの間にか心に在ったその土地をいつか訪れてみたいなと思いながらも、自分の暮らす神奈川県から遥かに遠いところにあって、ちょっとやそっとで行ける距離ではありません。

そんなある日、行くなら今しかないと何かに言われた気がして、いよいよ島根を訪れることになりました。

出雲との縁

そのまえに出雲といえば、ひとつ具体的な縁がありました。

自分はかつて結婚式を挙げる場所を探しにいくつか神社を回ったことがあったんですけど、そのときに神奈川にある相模国総社 六所神社 の長閑な感じがとても心地に合う気がしました。

そしてそこで式を挙げるに至ったのですけど、その神社が出雲地方にゆかりのある場所だったのでした。

六所神社の由来によると、かつて第十代崇神天皇の時代に出雲地方より移住され、この地に祖国の髪を祀ったことが起源とのこと。詳しくはわかりませんが西暦では 718 年に当たるようです。

そんな由来もあって、六所神社に張られている注連縄は出雲大社と同じ形で、出雲の地で造られているものなのだとか。

島根の地に誘われて

機が巡ったのは でした。

出雲に誘われたと言えるかどうかは分かりませんけど、その1週間ほど前に島根に行けるのは今しかない と突如に思って、その勢いで訪れることに決まりました。

今は妻がなかなか時間に自由が利かなくて、その中でいろいろやりくりしてもらって、そんな日取りになりました。この日に行っておかないと次の機会がいつ巡るかも分からないので、今回は普段よりは強行突破です。

旅路は飛行機

できれば電車で行きたかったのですけど、横浜市から出雲大社までとなると新幹線と特急を使って 8 時間かかるみたいで、時間的な都合から今回は断念せざるを得ませんでした。

代わりに、今回初めて飛行機という手段を真剣に考えてみたんですけど、旅行会社から往復航路と宿泊地を自由に選べて旅先でも束縛されない格安のセットプランがあるんですね。飛行機だと自宅から 4 時間くらいで出雲大社まで行けるみたいです。

今回はJTB の「出張応援価」という冊子に載っていたプランを申し込むことにしたのですが、飛行機の場合の申込期限はなんと1週間前、まさにその日が期限、しかも受付終了の1時間前くらいだったので慌てて電話で申し込みを済ませたのでした。

2月の1日(日曜日)から2日(月曜日)までの1泊2日の島根の旅です。

ちなみにセットプランのパンフレット、今回は親がちょうど持っていてくれたんですけど、駅前とかの旅行ショップに置いてあるみたいです。

行き先は松江、そして出雲へ

いちばんの訪れたい場所は出雲大社 でしたけど、島根なんて何度も行ける距離ではないので、今回はそれと合わせて松江も訪れることにしました。飛行機で往復時間を節約したのもそんな理由です。

松江は、ちょうど少し前に何気なく@mottwinkleさん に島根について聞かせてもらったときに出てきた地名だったのと、その後でご縁のあった@fenrir_recruitさん が所属する会社フェンリル の島根支社が松江にあると知り、訪れてみたいと思えた土地でした。

地理的にも松江と出雲は目と鼻の先にも見えます。

出雲大社は有名なので日曜の訪問は避けたかったので、最初の日曜日には松江、その翌日に出雲、そんな大雑把な日程だけ決めて旅の当日を迎えることになりました。

ちなみに島根行きを決めてから何気なく調べた島根の地図から「隠岐諸島」という島があることを初めて知って興味を持ったのですけど、さすがにこちらは今回の日程の中では無理そうなので諦めました。

出発

さて、ものすごく久しぶりかつ人生で3度目の飛行機に乗りに羽田空港へと向かいました。

空港は何かと行きづらくて面倒という先入観はありましたけど、実際に電車に揺られてみると、思うより大して面倒なことはないですね。しかし空港へ着いてからがなかなか大変で、朝食処を探すにも不慣れな身には広くてひと苦労でした。

それでもとりあえずお店を見つけて休憩をして、チケットには「15分前までに保安検査場を通過してください」と記されていたので、それより少し早目な気持ちで訪れてみれば、けっこうギリギリだったみたいでした。

没収

そして保安検査場で、爪切りと一緒に入っていたアーミーナイフが引っかかって没収されてみたりして。

飛行機に慣れている人なら当たり前でしょうけれど、不慣れでうっかりしてました。

機内への持ち込みでなければ大丈夫…のかは分かりませんけど、とりあえずその時は荷物を預ける時間も過ぎていた様子で、今回は処分して頂くことになりました。着払いで送ることもできるそうでしたけど。

ちなみに帰りの出雲空港では、処分の箱にもっと立派なアーミーナイフが入れられてました。自分と同じように知らずに持ってきてしまったんでしょうね。

富士

なんだかんだで搭乗手続きも終わって、飛行機はいよいよ離陸しました。

今回乗った日曜の朝の出雲行きは乗客がかなり少なくて、到着までの1時間半ほど、ゆったりと過ごすことができました。

そして途中、機内アナウンスで「左手に富士山が見えます」と放送されて、自分たちは右側の座席に座っていたので「見えないねー」と思っていたら、少しして客室乗務員さんが「よろしければ少し席を移動してどうぞ」と言いに来てくれて。

おかげさまでしっかりと、富士を拝むことができました。

ようこそ島根へ

それからしばらく飛行機に揺られた後、いよいよ出雲に降り立ちました。

外はあいにくの曇り空、と表現するところなのでしょうけれど、自分的にはこういう天気もまた好きです。


そして出迎えてくれたのは、地元のキャラクターたち。

・・・なんか、それぞれ随分とキャラの方向性が違うのですが。

この中の右側にいる吉田くんは、キャラクターはどこかで見たことがあったんですけど、島根のキャラクターだったんですね。

吉田くんが気になって後で調べてみるとむかしの吉田くん/鷹の爪.jp というページが見つかりました。動画がなかなか・・・異彩を放っていて面白いです。

初日は松江へ

出雲空港に降り立って最初に、最寄りの町まで行くバスに乗り遅れました。

初めて見る景色は煌めいていて、到着ロビーに出てすぐのところに周辺観光マップがあったりするものだから「とりあえず、松江」とだけ決めていた自分たちは、少しここでくつろいでいたのでした。

何はともあれ松江の駅まで行くことに決めて、妻が事前の調べで出雲周辺の電車やバスを自由に乗り降りできる縁結びパーフェクトチケット というのを見つけていたので、それを出雲空港の総合案内所で買おうとしたのですけど、案内所の人が丁寧に助言をくださいました。

なんでも、出雲空港を行き来するバスは飛行機の時間と合わされていて、次にバスが来るのは3時間後なのだとか。

この後でどれだけバスに乗るかも分からなかったので、今回はチケットは買わずに、タクシーで最寄りの駅まで行くことにしました。なにはともあれ、こうして気を利かせてくれるのはありがたいですね。

タクシーで

さて、目に止まったのはレンタカーでしたが、出雲空港から松江駅まで車でも 30 分くらい、そして車を持つと何かと行動範囲が狭まる気がして、とりあえず最寄りの駅から電車で松江が良さそうでした。

最寄りといっても出雲空港から 5km くらいは離れているようで、徒歩にはちょっと難がありました。


そこで、今回はタクシーで最寄りの駅まで行くことにしました。

松江まで行ける近隣の駅といえば、北側を走る一畑電車(いちばたでんしゃ)の駅か、南側を走る JR の駅になるみたいです。さすが、バスが少ない代わりか、空港のタクシー乗り場にはちゃんとタクシーが待っていてくれて、それですぐに旅立つことができました。

最寄りの駅まで

とりあえずタクシーの運転手さんに『松江まで行く予定なこと』『最寄りの駅まで行きたい』ことを伝え、行き先は JR の宍道駅(しんじえき)に決まりました。

行き先も決まり、景色を眺めながらタクシーに揺られていると、運転手さんがふとそういえば、電車の時間は大丈夫? と、思いがけない心配をくださいました。


自分の中では勝手に地方の電車は少なくても JR ならそれなりにある と思い込んでいたんですけど、運転手さんの話によるとかなり少ないそうです。もしかしたら特急が来ているかもしれないらしくて、特急があればそれに乗ったほうが時間の短縮になるでしょう、と教えてくれました。

距離的にはそれほどでなくても、待ち合わせで時間がかかるものなんですね。

けっこう心配してくれるものだから、乗り換え案内で調べてみると、幸いちょうど良い時間の電車がありましたけど、JR 山陰本線の普通電車は 1 時間に 1 本程度の間隔みたいでした。

宍道駅

そして無事に宍道駅に到着です。

ドアを潜ると、かつて福井県の三国町で見たような落ち着いた空間が広がりました。

時刻表を確認すると 15 分ほど後に発車する予定になっていてホッとしつつ、切符を買おうとした自分たちを駅員さんが見つけて「大丈夫、電車はありますよ」と声をかけてくださいました。

そして切符を買ってのんびりしていれば、今度は「もう電車来てますよ。あちらの方がきっと温かいです。」と声をかけられてみたりして。良い感じに気遣ってくれる温かい町です。

そんな心遣いがなんか自然に沸いてる感じがするんですよね。

扉は手動開閉

さて、改札を潜るときにも「階段を渡って向こう側ね」と声をかけられ、潜れば確かに向こう側に電車が待っていました。

電車の扉は押しボタンの手動開閉式で、しかも開く扉と開かない扉とがあったものだから扉の前であたふたしつつ。

なんとか無事に電車に乗り込み座席に座って寛いだ頃、先に乗っていたちょっとギャルっぽいお姉さんがボタンを押して電車の扉を閉めました・・・。


閉めるのをすっかり忘れてました。

なんか首都圏辺りに住んでいると、電車に限らず大抵のドアが勝手に開いて勝手に閉じるが当たり前になっていることに気がつきました。なんか、自分で開けた扉を自分で閉めれないって、ものすごく行儀の悪いことです。


閉まるときだけでなくて開けるときもそう、前に行くと勝手に開くのと、前に行って自分の指で開くのと。その時の心の在るところって、もしかしてとても大きく違うのかもしれないなと、思わず考えさせられました。

自分の指で開いた扉は、誰のせいにもできないですしね。


その後、乗り込んできて閉めない人がけっこういらっしゃったので、せめてもの罪滅ぼしにと、閉め忘れられた扉を閉める役をやってみました。それはそれで、なかなか面白かったのですが。

ちなみに余談ですけれど、島根で出会った地元の人らしき人たちは男女とも、変に飾らず、大抵はナチュラルな感じの印象でした。ギャルっぽい感じの人は、その扉のところで出会った人だけだった気がします。そもそも日曜の松江と月曜の出雲では、地元の人か観光客か、そこから区別できないとも言えますけれどね。

松江

そして電車が走り出せば、あっという間に松江駅に到着しました。

さて、ここからどこへ行くかですけど、それよりもまずお昼を過ぎた頃合いだったので、まずは食事処へ行くことにしました。目指すは数日前に教えてもらっていたお蕎麦屋さんです。

教えてもらった中で気になった八雲庵 は、松江城のすぐ近くにあるみたいです。

松江駅から松江城までは 2.5km 程の距離みたいなので歩けないこともなさそうですけど、まずはバスで松江城まで行ってみることにしました。

その前に、さくら餅

松江城まで行くバスは幾つかあるみたいで、とりあえずそれらの発着時刻を調べてみようと外に出たら、駅の前ではお祭りみたいにいろんな出店が並んでいました。

そこで目に止まったのが、さくら餅でした。

もともと和菓子が好きな上に、ちょうど松江城を通るぐるっと松江 レイクラインバス の停留所がすぐ目の前、しかも 10 分くらい待ち時間があったものだから、ついつい買って食べてみました。


優しい餡が美味なさくら餅でした。

松江って昔からのお茶処で、それに欠かせない和菓子も美味しいみたいですね。自分は後になって知りましたけど、せっかく松江を訪れたなら和菓子を楽しむのも良いかもしれません。

ぐるっと松江 レイクライン

さくら餅を味わうのも束の間、レイクラインバスが到着して松江城へ出発です。

さすが観光地を巡るバスで、運行中は町の見どころや歴史のお話が聞ける面白いバスでした。1日乗車券も販売されていて、迷いましたがせっかくなので購入してみることにしました。

ところで1日乗車券を購入した後で気づいたのですが、レイクラインバスは片方向限定で、松江の街を主に川に沿って進むバスのようです。

食事処を教えてくれた人の会社の島根支社も松江にあって、せっかくだし寄れたら寄ってみようかなと考えていたんですけど、レイクラインバスで松江城へ行けば、その後はたぶん逆方向になりそうです。

そんなバスの縛りと時間的な都合もあって、今回は観光に徹することにしてみました。時間的にもそれくらいで良い頃合いを迎えそうです。

松江城

レイクラインバスは「松江城大手前」という停留場に到着して、松江城は目と鼻の先です。

お昼をすっかり回ったことだし、まずは八雲庵へ行こうと思ったのですが、いまひとつ方向というか道が分かりません。

そこでふと松江城の天守閣から探せば見つかるかも? と思い立ち、まずは松江城の観光から始めてみます。

空高くそびえる松江城の天守閣。


そしてその天守閣からは、彼方に富士をも思わせる、大きな山が見えるんですね。

写真に写るほどではないながらも、この頃にちょうど小雪が舞い始め、なんともいい景色を拝むことができました。

さて、天守閣には観光用に臨める景色の案内表示があったので、それと八雲庵のアクセスマップを照らし合わせて行き方がなんとなくながら定まりました。

八雲庵

天守閣から北側へ抜け、武家屋敷方面へ。

東寄りの橋から川を渡って向こう側の通りを川沿いに進むと、先に喫茶処の八雲庵・別館。

それを過ぎたところには、お蕎麦処の八雲庵が門を構えてました。

入ってさっそく、美味しそうなお蕎麦を注文してみます。

妻はお店でオススメの「鴨なんばんそば」を、自分はそのとき一緒にお店の人が勧めてくれた「天ざるそば」を頂くことにしました。冷たい出雲そばは天ぷらとも良く合うんですって。

自分が食べた天ざるそばは、麺の歯触りがとても良くて味もしっかり美味でした。それに加えて天ぷらがまた美味しくて、特にエビがまるでとろけるようで絶品でした。衣のサクサク具合も上質です。

天ざるそばには、温かい鴨汁が添えられていて、濃い目の味付けでそのまま飲んでも美味しいですし、お蕎麦を付けるとまるで鴨なんばんそばみたいな舌触りと味わいになって面白かったです。二つの味が楽しめるのもいいですね。

お店に到着した後で知ったんですが、八雲庵のラストオーダーは 15:00 みたいでした。自分たちが訪れたのは 15:00 になる間際の頃合いでした。まさにぎりぎり、うっかり食べそびれずに済んで幸運でした。

宍道湖

食事を終えて、とりあえずレイクラインのバス停が八雲庵のすぐ近くにあったので時間を見に行くと 10 分くらい待てば来そうな頃合いでした。

次の行き先をまだ決めていなかったので、バスを待ちながら考えます。


2 月のレイクラインバスは 30 分に 1 本の間隔みたいで、最終バスを考慮すると、あと 1 回どこかで降りて観光できるくらいな感じに見えました。実際には夕方に「嫁が島運行ルート」というのがあって、もう少し余裕があったのですが。

自分は知らない街を歩くのが好きなので、どこかでテキトウに降りて停留所を幾つか歩こうかとも考えましたが、途中で通過する「千鳥南公園」という停留所が湖のすぐ近くなのが気になって、今回はその停留所で降りて湖を眺めることにしました。


その湖が、宍道湖(しんじこ)です。

自分は今ここを訪れるまで知りませんでしたが、宍道湖は全国的にも有名な汽水湖で、しじみが特によく育つのだとか。

バス停のすぐ近くには宍道湖しじみ館 という建物もあって、しじみや海苔といった水産物を扱う大きなお土産屋さんと、その一角にシジミ展示館が併設された造りになっていました。

そんな湖の際をたっぷり楽しみつつ、次に来るレイクラインバスに揺られて宍道湖を後にしました。

源助

あとはレイクラインに揺られながら、松江駅の近くのホテルへ戻ります。

そんな帰路の行く先々で観光名所や歴史が語られる中、どこかの橋を渡る辺りで思いがけなく強烈な歴史の物語が、ものすごくさらっと語られました。

荒れ狂う川に橋を架ける工事は困難を極め、たまたま通りがかった源助を人柱に立てて川の怒りを鎮め、橋は完成したと伝えられています と。

たまたま、ですか。ずいぶん事は大きい事ように感じるのですが、それはもうほんとにさらりと。他の観光地と同じノリで語られただけになおさら衝撃的でした。

調べてみると松江大橋、源助供養碑 にまつわる伝説のことでした。

島根の初日、終了

それから間もなく、レイクラインバスは松江駅に到着しました。

そこからすぐ近くのホテルで、島根の初日はひとまずおしまいです。ホテルは航空券とセットで選べた松江東急イン です。

部屋は清潔感があって、用意されていた飲み物や小物もよくあるビジネスホテルと比べて頭ひとつ出ている感じで、自分にはちょうど過ごしやすく感じるホテルでした。

しじみの味噌汁

今回は食事なしのプランを予約して、夕食は駅前の海鮮居酒屋さんで食べることにしたのですけど、お刺身とか煮魚とかがとても美味しかったです。居酒屋系だといろんなものを適量ずつ注文できるのもいいですね。

そしていちばんいいなと思ったのは、レギュラー料理として「しじみの味噌汁」が載っているところ。

さすが宍道湖の名産品というのもあるのでしょうけど、こういう料理がメインで注文できることが、とても嬉しい心地でした。そしてもちろん心温まるような味わいです。


そんな料理を頂いた後、普段のノリで〆にデザートを・・・とも考えましたが、メニューを見たらなんだか食べる気がしませんでした。

デザートはデザートで美味しいですけど、普通の料理がそれ以上に美味しいんですよね。他のジャガイモのチーズ焼きみたいなこってりとした料理もなんとなく避けて、天ぷらとか出雲そばみたいな、素材の味がそのまま生きた感じの料理だけで満足でした。

2日目は出雲大社

2日目は目的地が明確で、目指すは出雲大社です。

道のりとしては、松江から JR 山陰本線で「出雲市駅」まで行き、そこから一畑電車北松江線で「川跡駅(かわとえき)」へ、そこから一畑電車大社線に乗り換えて「出雲大社前駅」へ行く感じになるなるようでした。所要時間は2時間弱です。

出雲大社へ向かう一畑電車も 1 時間に 1 本ほどの電車でしたが、今回はホテルで時間を調べて出かけたので順調に目的地までたどり着くことができました。

電車の本数が少ないと逆に、乗り換えとかも慌ただしくないのが良いですね。


そうそう、電車が出発する頃合いに運転手さんが運転席に乗り込んできて、それがまるでタクシーの運転手さんかのように見えて、そんなところもなんかいいなって感じました。

比べると首都圏辺りの電車って、なんか勝手に走っているかのように感じるんですよね。対してこちらの電車は人が運転して運んでくれてる感が伝わってきて、そういうところが自分は好感が持てました。

一畑電車の乗り方は・・・

知らないローカル電車に乗って緊張したのが、乗り方・降り方が分からないところでした。

自分で扉を開けるところは初日に体験したので大丈夫でしたが、乗ってみると「ワンマン電車の降り方」という説明書きが貼られていて、そこには無人駅なら先頭車両の前扉、有人駅ならどの扉からでも自由にと書いてあります。

そう言われても、そもそも目的の駅が有人なのか、無人なのかが分かりません。

ソワソワしながら乗り換え駅の川跡駅に到着してもどこから降りていいのか分からなかったので、先頭車両の前扉にいる運転手さんのところへ向かい、切符を見せつつ出雲大社まで行きたいと言って、それこそ全ての場合を満たす感じで行動して、無事に乗り換えることに成功しました。


終わってみれば、出雲大社前へ向かうときには、川跡駅で好きな扉から降りてそのまま、踏切を渡った先で待っている出雲大社前行きの電車に乗れば良い感じでした。

川路駅でも、電車を降りれば駅員さんが待ち構えていて「出雲大社前行きはこちらです!」と、ちゃんと乗り継げるように案内してくれる様子でした。島根県、心配りがすごいですね。心を配る余裕がある、そんな街なのかもしれません。


切符は最後に、出雲大社前の電車を好きな扉で降りてから、駅の改札で駅員さんに手渡します。

ちなみに最後に切符を手渡す時に「記念にもらいたい」と言うと『無効』のスタンプを押して渡してくれて、持ち帰れます。

旅を終えてから写真を見返していて気づいたんですけど、どの駅が有人駅かは「電車の降り方」のすぐ下に貼られた「運賃のお支払い方法」のところに書いてありました。とりあえず川路駅と出雲大社前駅は有人駅とのことでした。

出雲大社行きの一畑電車

さて、川路駅で出雲大社行きに乗り換えたときに話を戻しますけれど、そこから少し電車で揺られる間、なんと車窓から見える景色の案内が車掌さんからありました。さすが、観光地行きの電車ですね。

そんな電車に、地元の中学生だか高校生だかも普通に数名乗り合わせていて、そんな地元の観光案内を聞きながら通う学校はどんな心地がするんだろうと、ちょっと興味が湧きました。


そんな年頃に地元の話を聞いても、もしかしたらあまり心地は良くないかもしれない。

でももしかして将来、地元というものを感じられるようになったら良かったと思えるのかなとか、あくまでも自分の今の価値観でですけど、そんなことを思いながら、ひとつ前の駅で降りる彼らを見送ってました。

出雲大社

そして電車はいよいよ、出雲大社前駅に到着です。

なかなかオシャレな佇まいでした。そんな駅は、出雲大社の第1の鳥居と第2の鳥居の中間あたりに位置しています。


まずは参道を少し戻って第1の鳥居、とても大きい綺麗な白い鳥居を拝みます。

そして、出雲大社の入り口とも言える第2の鳥居を拝みます。

第2の鳥居をくぐると木々に包まれます。

この道を進むと橋の先に、第3の鳥居が待っていました。

その先には手水舎があって、ここで両手と口を濯いで清めます。

そしていよいよ第4の鳥居、その先には出雲大社の拝殿が窺えます。

拝殿

拝殿には、噂に聞いていた立派な注連縄が張られていました。

これが本場、出雲の注連縄なんですね。自分たちが毎年訪れる六所神社の注連縄と同じ印象で、その起源がやっと拝めた気がして嬉しい心地がしました。


出雲大社は「二拝、四拍手、一拝」だそう。

丁寧にしっかりとお参りをして、これで無事、今回の旅の目的を果たすことができました。

大社巡り

あとは、残った時間で出雲大社の敷地を気ままに散策です。

拝殿の先には御本殿を拝める場所が。

そして御本殿を西側から拝みます。神様はこちらを向いてらっしゃるのだとか。

そんな御本殿の裏手に回ると、ウサギの像がたくさん立てられていました。

因幡の素兎

因幡の素兎(いなばのしろうさぎ)の伝説は、ここ出雲大社に祀られている大国主命(おおくにぬしのみこと)が登場する神話なのだそうでした。

それにちなんで出雲大社の至るところにウサギの像が飾られているようです。

御本殿の裏手にも、御本殿に向かって手を合わせている可愛らしい2匹のウサギの像が居ました。あまりに懸命に拝んでいるようで、お邪魔しないようにここを後にしました。

鎮守社

御本殿の西側にある神楽殿の脇から裏手に回ると、そこには鎮守社(ちんじゅしゃ)がありました。

神楽殿の表は環境客で大賑わいなのに、そのすぐ裏の鎮守社には居る間、誰一人として訪れる人のなかった不思議な場所。空気もなんだかシンとしていて重く、なんだか心が鎮まる、そんな場所でもありました。

この入口より先の写真は何故だか撮る気が起きませんでした。

命主社

御本殿から東側へ少し離れた命主社(いのちぬしのやしろ)には大きな樹がありました。

正しくは神魂伊能知奴志神社(かみむすびいのちぬしのかみのやしろ)と呼ばれ、前に立つムクの大樹は樹齢推定 1,000 年とも言われているそうです。

この社は駐車場よりもさらに少し東側に離れたところにあります。

昼食

お昼ご飯は出雲大社のお土産やさんがあるところにあるお蕎麦屋さんに立ち寄りました。

立ち寄ったのは蕎麦処 八雲 出雲大社無料駐車場前 というお店です。

帰りのバスの時間を確認しに行くついでに、そろそろお昼の頃合いだなーと思っていたら、ちょうど軒先でお店の人がにこやかに声をかけてくれたのでした。


この辺りのお店はどこもそんな感じみたいですね。そんな中でこちらのお店はなんとなく入りやすいような気がして、こちらで少しくつろがせて頂くことにしたのでした。

この日もときおり小雪が舞う寒さだったので、温かいたまごうどんを頂くことにしました。妻は三段割子の出雲そばです。

寒い日はこういう優しい出汁のうどんが体に染み入りますね。出雲そばも相変わらずの良い歯ごたえで、3種類の味が楽しめるのもいいですね。個人的な好みでは、たぬきそばがいちばん、お蕎麦を純粋に楽しめる感じでよかったです。

日本海へ

出雲大社を満喫したら、海の方まで歩いてみます。

自分はどこかへ旅したときに海を見たくなる性分みたいで、とりわけ日本海が好きなのですけど、出かける前に地図を見ると出雲大社も海の近くにあって、今回も海まで行ってみたいなと思いながらここを訪れていたのでした。

出雲大社から海へは 10 分くらい歩けば到着するようです。

出雲阿国の墓

その途中、歌舞伎の祖といわれる出雲阿国(いずもおくに) が眠る墓がありました。

階段を上った先にお墓があります。芸能関係者や歌舞伎ファンの人なども参拝に訪れたりするのだとか。ともあれ一般のお墓と同じところに、こうして眠り、そして観光名所として存在していることが不思議に見えました。

稲佐の浜

そして間もなく、目の前に海が広がりました。

自分は単純に「海に出ること」しか頭になかったので、浜辺をみたとき、そこに佇む弁天島がなかなか衝撃的でした。そしてこの浜辺のことを稲佐の浜(いなさのはま) と呼ぶそうです。


浜の砂は、幼い頃に新潟北端で踏んだ浜を思い出すような感触で、誰もいない冬空の下、波の音が広く響き渡ってました。

そんな海の空気に浸っていると、しばらくして女性が一人、この浜辺を訪れました。しっかりとしたカメラを携えていて、熱心に弁天島を眺めていたり、浜辺の遠くへ、海とは逆の方を散策していたり。

そんな気ままな旅が自分も好きなので、見ていてなんだか嬉しい心地になれました。

旅の終わりに

訪れたいところも訪れ終わり、時間も少しだけ余ったので、最後に出雲大社の参道のお土産屋さんを眺めつつ、甘味処の大社門前いづも屋 を訪れました。

お団子は 1 本ずつから注文できて、今回は「みたらし」「うぐいす(青大豆きな粉)」「黒蜜きなこ」を頂きました。

お団子は白玉みたいな少し柔らかい歯触りのお餅で、きな粉もしっかり味があり、良いジャリジャリ感もありました。どれも良い味わいを見せてましたが、自分的な好みでは特に黒蜜きなこが気に入りました。

そして出雲ぜんざいです。

自分はおしることか小豆の餡が好きなので、こちらも美味しく頂きました。小豆のお団子も好きなんですけど、ぜんざいを頼むのでお団子は別のを頼んだのでした。

今回の島根で食べた甘味すべてに言えることですけれど、ちゃんと調和の取れた甘さに抑えられているのが凄く良いです。

そんなぜんざいには塩昆布が添えられていて、これがまた良い箸休めになっていました。こういうのがひとつ添えられるだけで、品の良い甘さがいっそう引き立ちますね。

空港まではバスで

出雲大社から出雲空港までは連絡バスが出ていて、今回はそれで戻ることにしました。

所要時間は 40 分弱、電車を乗り継いで空港まで行くよりも早く着くみたいで、その分だけ長く出雲大社に滞在できるのが決め手になりました。


出雲大社には、その連絡バスの乗り場が 3 つあります。

御本殿から近い「出雲大社」、第2の鳥居の近くの「正門前」、そして一畑電車の出雲大社前駅の傍の「出雲大社前駅」とがあるんですけど、今回はそのうちの始発駅「出雲大社」から乗ることにしました。

バス停「出雲大社」から乗る場合は、切符を買う窓口があるのでそこで切符を買って、併設された待合室で待ちます。

窓口の左には細道があって、そこからすぐに神楽殿の近くのお土産やさんに繋がっていて、お土産を見ながら時間調整するのも簡単でした。

出発とそのとき

バスが訪れ、いよいよ出雲大社を離れます。切符は出雲空港を降りるときに渡せばいいそうでした。

そして、出雲大社内の最後のバス停「出雲大社前駅」に停車して乗客が揃ったところで、最後に運転手さんが客席を見渡しながら前方に立ち、次のようにはっきり丁寧に確認されていたのが印象的でした。


このバスは出雲空港からの玉造温泉行きです。出雲市駅へは行きませんから注意してください。

間違って乗られているかたはいませんか?


なんでも、ときどき間違っても同じ出雲だからちょっと間違っても大丈夫だろう と思って安易に乗ってしまう人がいるらしく、後で大変なことにならないようにと、こうして注意されているのだそう。

ちなみに出雲空港から電車の出雲市駅までは 15km 離れているそうです。

島根を振り返る

そうそう、こうして島根を訪れて思ったんですけど、土地勘がないと当たり前なことがぜんぜん分からないものですね。

最初の空港でバスを逃したときもそうでしたけど、そこから最寄りの電車の駅まで出るのにタクシーくらいしか手段がないこととか、松江に限った話なのかはわからないですけど電車よりもバスの方が盛んそうなこととか。松江から出雲までってけっこう距離的には近いかなと思っていたんですけど、時間的にけっこうかかるものなのだとか。


それと地名がけっこう読めなかったです。

兼ねてから知っていて読めたものの「出雲」とか、知らなかったら読めないですよね。他にも「宍道」とか「一畑」とか「川路」とか、出会ったのはそんなあたりでしたけど、簡単そうでも自信を持って読めないみたいな。

道を尋ねたりするときに何かと「読めないんですけど—」と続けることが多かったです。それでも読めてしまえば自然な感じで、なんだか心にも馴染む地名でした。


これまでの短い時間の中で見た街並みやすれ違う人の雰囲気と合わせて、土地柄もなんだか気に入りました。気に入ったといっても憧れとも違う、特別視の要らない普通な街並み。

島根というのは日本らしさを今も感じさせてくれるような、なんだか良い場所ですね。京都の日本、そして今の東京の日本とも違う、自然と共に生きているような景色が自分の肌にはとても馴染んで感じました。

こんな土地に暮らせたら、なんかいいかもしれません。

空港着、空港発

ほどほどの時間をバスに揺られて、いよいよ出雲空港に到着しました。

やっぱりバスは飛行機の時間に合うように運行されてるみたいで、帰りの飛行機まで若干の余裕を持っての到着でした。感覚的には、空港内のお土産屋さんを軽く眺めて、搭乗手続きを済ませられる程度の余裕がある程度な感じでした。

そんな感じで空港を過ごし、あっという間に島根を離れる時間になりました。

帰りの飛行機はほぼ満席で、窓から外を眺めることもままなりませんでしたが、今回に見た島根の景色を思い出しながら満足感に浸れる良い旅路のひとつとなりました。