SoftBank 提供の FON ルーター FON2405E を使ってみる

HARDWARE REPORT


FON 製 無線 LAN ルーター FON2405E

平成 23 年 1 月 21 日現在、SoftBank 社では iPhone 等のスマートフォンを特定の条件で利用されている場合に、期間限定で Wi-Fi ルーターを無償提供 しています。

この SoftBank が提供する Wi-Fi ルーターは FON 社が提供する無線 LAN ルーターらしいのですけど、何やら癖があるといううわさもあって気になっていたのですけど、これを入手することができる運びとなったので、さっそく実際に使ってみることにしました。

今回入手できた Wi-Fi ルーターは FON2405E でしたが、希望によっては FON 社製以外のルーターを SoftBank 社より提供頂くことも可能な感じもしないことはない感じでした。

 

ともあれ、使ってみた感じとしては、FON2405E は FON_FREE_INTERNET が有効な状態では "使うべきではない" といった結論でしょうか。

癖があって使いにくいというはありましたがそれは別問題で、とにかく FON_FREE_INTERNET が有効化されている状態では、第三者が勝手に自分の契約回線を使用して、自由にインターネットにアクセスできてしまうという危険性があるというところが問題です。

つまり、実質的に「第三者が自分に成りすましてインターネットへアクセスし、第三者のサーバーに迷惑行為を行うことも可能」な環境が、説明書通りの方法で簡単に作れてしまいます。

FON_FREE_INTERNET はなんだか特殊な仕組みになっているようなので、もしかすると不正利用があった際に FON 利用者を特定する術が SoftBank か FON かどこかで提供されているのかもしれないですけど、それは何か事件が起こった後のお話となるはずなので、余程の理由がなければこれを使わない方が安心なように思います。

 

幸いなことに FON2405E では、この FON_FREE_INTERNET を特別な接続方法を採ることで無効化することができるようでしたので、利用する場合はそちらの方法で環境を整えることをお勧めしたいところです。

その辺りの方法については FON ルーター FON2405E の正しい使い方 (ブリッジ接続) に記してみましたので、そちらも参考にしてみてください。

 

FON ルーターを設置する

FON 社の Wi-Fi ルーター FON2405E の設置自体は、簡単にできるように設計されているようでした。

手順としては、FON2405E 背面の "INTERNET" ポートと家庭内にあるブロードバンドルーターの "LAN" ポートとを LAN ケーブルで接続して、FON2405E の AC アダプターをコンセントに接続すれば良い感じです。

 

実際にやってみると、FON2405E 背面の "INTERNET" ポートへ LAN ケーブルを差し込むのが硬くて少し大変な感じでした。

LAN ケーブルが差し込めたら、AC アダプターを接続してみると、最初のうちは FON2405E 表面のインジケーターが緑とオレンジで点滅していましたけど、1 分程度で緑で点灯するようになりました。これで準備が整っているのでしょう。

 

FON_FREE_INTERNET に接続してみる

FON2405E の設置ができたはずなので、試しに iPhone 4 をそれに接続してみることにします。

iPhone のホーム画面から「設定」を選択します。そして「Wi-Fi」を選択して、"ワイヤレスネットワーク接続" のところから "FON_FREE_INTERNET" をタップします。

すると、少しして FON Wi-Fi ルーターのログイン画面が少し表示された後、そのまま再び "Wi-Fi ネットワーク" の設定画面に戻りました。

FON2405E に付属していた説明書では、それ以降の追加設定は必要なく、これでFON ルーターを利用できるらしい記載がありますので、これで設定は完了ということなのでしょう。

 

この状態で Safari 等を使ってみると、ちゃんと Web サイトを閲覧することが出来ました。

つまり、特にパスワード等での認証は必要なく、FON_FREE_INTERNET を利用できる条件が揃っている人であれば、だれでもこの FON2405E に接続して、インターネットを利用できてしまうということになりそうです。また、通信も暗号化されていないようなところにも注意です。

そうなると、家庭内 LAN ネットワーク内のパソコンへの不正アクセスが気になりますが、iPhone には、普段使っているネットワークの IP アドレスとは別ネットワークのプライベート IP アドレスが割り当てられていて、FON Wi-Fi ルーターを接続したネットワークへのアクセスはできないようになっている感じでした。

具体的には "192.168.182.0/24" のネットワークに所属する IP アドレスが設定されている感じです。

このことから、どうやら FON2405E はいわゆるルーターモードで動作していて、FON_FREE_INTERNET から家庭内 LAN ネットワークへ乗り入れることはできないように設計されているものと思われます。ただし、複数のルーターでプライベートネットワークが階層的に構成されている場合には、下層に FON2405E を接続すると、上位のプライベートネットワークへは接続できるようになるようなので注意が必要そうです。

 

iPhone ではなく無線 LAN 対応のノートパソコンで接続を試してみたところ、FON_FREE_INTERNET 自体は検出されて、パスワードなしで接続することができるものの、IP アドレスが割り当てられず、パソコンからは利用することはできなくなっているようでした。

通常のパソコンから利用する場合は、FON2405E にもうひとつ搭載されているアクセスポイント "MyPlace" を利用する必要がありそうです。

 

MyPlace に接続してみる

FON2405E には、FON_FREE_INTERNET という公開用アクセスポイントの他に、MyPlace というプライベート用のアクセスポイントも用意されているようでした。

この MyPlace アクセスポイントにはパスワードが設定されていますので、こちらなら FON_FREE_INTERNET と違って安心感がありそうです。

 

iPhone や iPad で MyPlace を利用する場合は、ホーム画面の「設定」から「Wi-Fi」を選択して、"MyPlace" を選択します。

すると、パスワードを入力する画面になるので、ここで FON2405E の機械の裏面に印刷されている WPA key を入力することで、無線 LAN へ接続することができました。

実際に行ってみた印象としては、自分の使った FON2405E の場合、裏面に記載されているパスワードが、字がつぶれていて読みにくいところが難点でした。実際の所 "a" と "e" や "i" と "l" とかが読み取れず、虫眼鏡で覗いてみたり、半ば勘で入力してみた感じでした。

 

接続が完了すると、FON_FREE_INTERNET とはまた違うネットワーク空間の IP アドレスが自動割り当てされました。

具体的には "192.168.10.0/24" のネットワークに所属する IP アドレスが割り当てられて、この IP アドレスならば、FON2405E を設置したネットワークとも通信が行えるようになっているようでした。

 

ところで Windows XP のノートパソコンでも設定をしようとしてみたら、これがどうにも上手く行きませんでした。

コントロールパネルの「ネットワーク接続」から「ワイヤレスネットワーク接続」を開いて、そこから "MyPlace" を選択すると、ネットワークキーを入力するダイアログボックスが表示されるので、そこで WPA key を入力してみたのですけど、接続しようとしてもしばらく待たされたあと、結局接続できていない感じでした。

なんとも挙動がおかしかったので、Windows を再起動してみたら "MyPlace" へ接続できるようにはなったのですけど、それからも不安定な感じは続き、"MyPlace" にはつながっているのに何故か急に管理ページにアクセスできなくなってしまうことがあったり、しばらくインターネットを使用しないで放置しておくといつのまにか "MyPlace" から自動切断されてしまう感じでした。

通信速度も異常に遅くて、管理ページの読み込み中に強制ログアウトされてしまうなど、どうにもならない状況でしたけど、これについては、使っていたノートパソコンの無線 LAN 子機と FON2405E との相性だったようでした。

これについてのお話は FON ルーター FON2405E の無線 LAN 接続が安定しない の方にも記してみましたので、気になる方はそちらを参照してみてください。

ちなみに FON2405E の "COMPUTER" ポートにノートパソコンを有線で繋いであげれば、管理ページが明らかに快適に動作する感じにはなりました。

 

その他、FON2405E の設定画面をパソコンで操作する場合のちいさな問題点として、自分が使っている Windows XP の IE8 では、互換表示モードにしないと正しく表示されないような感じでしたので、その辺りも少し注意が必要になってくるかもしれません。

 

FON2405E 設定画面の確認と感想

FON2405E の "MyPlace" に接続すれば、"http://192.168.10.1/" で、FON2405E のシステム設定を調整できるようになっていました。

そこで、どのような設定内容が用意されているかを確認してみたのですけど、ほとんど調整はできないようになっている印象を受けました。

とりあえず、電源を入れて自動設定された状態では、"WAN" は DHCP による自動取得で、"Wi-Fi" は "MyPlace" として "WPA/WPA2" による暗号化が設定された状態でした。WPA2 のパスワードは、本体背面に記載のパスワードとなっています。

そして、これが FON_FREE_INTERNET についての表示のような感じなのですけど、"FON" のステータスは "オンライン" となっていました。

 

用意されている設定内容としては、平成 23 年 1 月 22 日現在、ファームウェア 4.0.1.7 では次のような感じです。

ネットワーク設定 MyPlace (LAN) 側 IP アドレスと DHCP の有効化状態を設定できます。
インターネット設定 WAN 側 IP アドレスを "PPPoE", "静的 IP", "DHCP" の中から選択して設定することができます。
Wi-Fi 無線 LAN アクセスポイント "MyPlace" の SSID や 暗号化方式、動作モードなどの調整を行うことができます。"FON_FREE_INTERNET" に関する設定は、ここではできない様子です。
パスワード 管理ページのパスワードを設定できます。
システム FON2405E の再起動や、出荷時の状態にリセットを行うことができます。
言語 管理画面 (FONERA) の表示言語を変更することができます。
ファイヤーウォール WAN 側からのアクセスを "MyPlace" 側に転送することができます。"Dest IP" で転送先のプライベート IP アドレスを指定し、"Source IP" で WAN 側 IP へのアクセスを待つポート番号を、"Dest Port" で先ほど "Dest IP" で指定したアドレスに対する接続先ポート番号を設定します。

このような設定ができるようになっているようです。

 

この感じだと、管理ページから公開用アクセスポイント "FON_FREE_INTERNET" を無効化することは出来なそうな感じです。

"FON_FREE_INTERNET" 利用者を制限したり、アクセスログを確認する画面もないので、不正にこれを利用されてもそれに気づくことが難しくなっているように思います。

"FON_FREE_INTERNET" が不正利用されれば、すなわち自分が契約したインターネット回線を利用してインターネットへのアクセスがされるため、それによっておこされた迷惑行為や不正利用は、自分が行ったことと思われると言っていいでしょう。

このリスクは無視できないもののように思います。

FON_FREE_INTERNET はなんだか特殊な仕組みになっているようなので、もしかすると不正利用があった際に FON 利用者を特定する術が SoftBank か FON かどこかで提供されているのかもしれないですけど、それは何か事件が起こった後のお話です。

何もわからずにあるとき加害者として扱われる恐れを考えたら、付属していた説明書通りに設定した FON2405E は使用しないのが賢明なように思いました。

幸い FON2405E では、この FON_FREE_INTERNET を特別な接続方法を採ることで無効化することができるようでした。その方法については FON ルーター FON2405E の正しい使い方 (ブリッジ接続) に記してみましたので、そちらも参考にしてみてください。