FileMaker Server 10 をインストールしてみる
SOFTWARE REPORT
FileMaker Server 10
FileMaker Server 10 をインストールする機会があったので、それについての調査とあわせて、インストール方法等を整理してみることにしました。
FileMaker Server 10 というのは、FileMaker Pro 10 をクライアントとして、ネットワーク経由でデータベースを共有するためのソフトウェアのようです。共有方法も、専用ネットワーク共有や Web による共有といった、いくつかの共有方法をサポートしている様子です。また FileMaker Server 10 Advanced ライセンスの場合には、ODBC や JDBC による共有機能も提供されているとのことでした。
Active Directory もサポートしているとのことで、Windows ドメインを用いたユーザー認証もサポートされているようなことがパッケージから見て取れました。
また、プラットフォームも Windows Server 2003 や 2008、Windows Vista 等のほか、Mac OS X 10.4.11 以降にも対応しているとのことです。
なお、FileMaker Server 10 では、下記のポートを使用するとのことでした。
ファイアーウォールを設置する場合には、これらを考慮して設定を行う必要があります。特に記載はありませんでしたが、おそらく全て TCP による通信ではないかと思います。
ポート番号 | コンポーネント | 用途 |
---|---|---|
80 | Web サーバー | エンドユーザーが Web サービスへ接続するために使用します。 |
5003 | マスターサーバー | FileMaker Pro 及び FileMaker Server がデータベースへ接続するために使用します。 |
16000 | 全サーバー | Admin Console を用いて管理者が接続するために使用します。(HTTP) |
16001 | 全サーバー | Admin Console を用いて情報のやり取りを行うために使用します。(HTTPS) |
16004 | 全サーバー | Admin Console が使用します。 |
16006 | Web サーバー | FileMaker Server が内部的に使用します。 |
16008 | Web サーバー | FileMaker Server が内部的に使用します。 |
16010 | Web サーバー | カスタム Web 公開エンジンで使用するそうです。 |
16012 | Web サーバー | FileMaker Server が内部的に使用します。 |
16014 | Web サーバー | FileMaker Server が内部的に使用します。 |
16016 | Web サーバー | Apache Jakarta Protocol 1.3 で使用するそうです。 |
16018 | Web サーバー | Apache Jakarta Protocol 1.3 で使用するそうです。 |
50003 | マスターサーバー | FileMaker Server サービスがローカルで使用します。 |
50006 | マスターサーバー | FileMaker Server Helper サービスがローカルで使用します。 |
FileMaker Pro 10 からの接続として、必須の通信ポートとしては 5003, 16000, 16001 への着信あたりになるかと思います。
その他にも、FileMaker テクニカルサポートインフォメーションの中には 50003 および 50006 についても必須のような記載がありましたので、上手く行かない場合には、気にしてみるのも良いかもしれません。
また、Web 公開を利用する場合には 80 や 443 (SSL) といった Web サイトのポート番号を、Admin Console による管理を行う場合には 16000 および 16001 への通信を許可する必要があります。
上記の表にはないのですが、インターネット上の情報によると、FileMaker Server 10 Advanced ライセンスにより ODBC/JDBC データベースを利用する場合には 2399 を使用するといった情報もありましたので、それも気に留めておくと良いと思います。
この辺りの詳細については、付属しているマニュアルの 2 章 "複数のマシンでの FileMaker Server の展開" に図解で詳しく記されていますので、そちらを参考にすると良いでしょう。
FileMaker Server 10 のインストール
今回は Windows Server 2003 Standard Edition SP2 をテスト環境として用意して、そこに FileMaker Server 10 をインストールしてみることにします。
なお、参考として FileMaker Server 10 をインストールする直前の、ハードディスク使用容量は 5.03 GB でした。
Web 共有もインストールしてみようと思うので、まずは IIS のインストールから行いました。
こちらは 【コントロールパネル】 の 【プログラムの追加と削除】 を開いて、左側のメニューから 【Windows コンポーネントの追加と削除】 を選択して、"アプリケーションサーバー" のインストールを行います。Web 公開の際に必要な PHP の機能は後で FileMaker Server 10 のインストールと併せて行うことができるようなので、ここでは標準のインストール構成でインストールを行っておきます。
つづいて、FileMaker Server 10 のインストールです。
FileMaker Server 10 の CD-ROM をドライブに挿入したら、その中の "Setup.exe" を実行します。
すると、次のメッセージが表示されてしまいました。
D:\Setup.exe
このアプリケーションの構成が正しくないため、アプリケーションを開始できませんでした。アプリケーションを再度インストールすることにより問題が解決する場合があります。
Windows 7 では問題なく実行できるので原因は良く分からないのですが、とりあえず Files\ フォルダに格納されている "Setup.exe" を実行してみたところ、記載されているインストール手順と同じ画面になったので、今回はそれで進めて行くことにします。
まずは、"セットアップ言語の選択" 画面が表示されたので、"日本語" を選択して次へ進みます。
すると、"Java(TM) Update 7" と "Bonjour for Windows 1.0.5 (32-bit)" の 2 つの追加ソフトウェアをインストールする必要があるとのことなので、【インストール】 ボタンをクリックして、追加ソフトウェアのインストールを行いました。
Java については、何かと 「必ずどのバージョンを入れてくれ」 というソフトウェアをよく耳にするような気がしますので、既に Java 関係のアプリケーションが導入されたサーバーへインストールする場合には、もしかすると注意が必要になるかもしれません。
途中で "Bonjour for Windows" のインストーラーが起動するので、こちらも手順に従って進めて行きます。インストーラオプションの選択画面では、デスクトップショートカットを作成するかとか、ソフトウェアの自動更新を行うかといった選択肢がありましたが、それらはとりあえず既定値のまま、インストールを行っておくことにしました。
これらのインストールが完了すると、続いて "FileMaker Server 10 セットアップ" が起動します。
次の画面へ進むと "インストールを始める前に" という画面が表示されます。ここにはインストールにあたっての注意事項が記されていました。整理して書き出してみると、次のような感じでしょうか。
- FileMaker Server 10 は専用のコンピュータへインストールする (パフォーマンスの都合)
- インストールするコンピュータのスリープモードやスクリーンセーバー設定を無効化する
- ファイアーウォールが設定されている場合は FileMaker Server 10 が使用するポートを開放する
- Web 公開を使用する場合は Web サーバーをインストールしておく
これらに注意しつつ、今回はどの条件もクリアしているようでしたので、そのまま次へ進んで、セットアップを続けて行きます。
そして、ライセンス許諾契約に同意して、インストールするフォルダーを選択します。
今回は既定値のまま "C:\Program Files\FileMaker\FileMaker Server\" にしておくことにします。
続いて、セットアップタイプの選択となります。
ここでは FileMaker Server 10 を 1 台のコンピューターへインストールするか、それとも複数のコンピューターへインストールするかという画面となりました。複数のコンピューターへインストールするというのは、FileMaker Server を構成するコンポーネントを複数のコンピューターへ分散してインストールすることにより、パフォーマンスの向上を図るといった仕組みのようです。
今回は 1 台のコンピューターへのインストールで十分なので、"1 台のマシン" を選択して次へ進みます。
ユーザ情報の入力画面では、ユーザー名と所属名、それとシリアル番号入力して次へ進みます。
これで、プログラムをインストールする準備が整ったので、【インストール】 ボタンをクリックして、プログラムのインストールを開始します。
この処理自体は 5 分もあれば完了しますが、そのあとに引き続き "展開アシスタント" による FileMaker Server 10 の展開手続きというものを行う必要があるとのことでした。
なお、インストールが終わってみると、ハードディスクの使用容量は 5.41GB と、インストール前と比べておよそ 0.38GB 増加している感じでした。
データベースファイルは、既定では "C:\Program Files\FileMaker\FileMaker Server\Data\Databases\" フォルダに格納されるようになっていましたが、これは FileMaker Server Admin Console の "構成" から "データベースサーバー" の設定を行うことで、ディフォルトフォルダを変更することができるようになっていました。
ただ、追加のフォルダという形でしか設定できない様子も伺えますので、システムがインストールされたパーティションへデータベースを保存しないようにするには、運用ルールとして追加のフォルダへのデータベース作成を徹底するか、予めシステムがインストールされたパーティション以外へ FileMaker Server 10 をインストールしておく必要があるかもしれません。
メモリ使用量の方は、タスクマネージャーによると 801MB とのことで、とりあえず、インストールしたばかりでデータベースをまだ扱っていないような場合には、FileMaker のシステム自体がメモリを圧迫している感じはないようでした。
FileMaker Server 10 展開アシスタントを起動する
展開アシスタントを開始すると、http://localhost:16000/?page=splash という URL に接続されました。
そしてさまざまなプログラムが読み込まれたような感じの後、"アプリケーションのデジタル署名の検証に成功しました。このアプリケーションを実行しますか?" ということで "FMS10-Admin Console" の実行許可を求められました。【実行】 ボタンをクリックすると、展開アシスタントによるセットアップが始まります。
まず、Admin Console のアカウントセットアップが始まります。
ここでは、FileMaker Server の "Admin Console" にログインするための "ユーザ名" と "パスワード" を設定します。
次へ進むと、FileMaker Server に名前をつける手順となりました。
ここで設定した "サーバー名" は、FileMaker Server Admin Console や FileMaker Pro での接続先サーバー名として表示されることになるそうです。
また、ここでは "サーバーの説明" や "管理者の連絡先情報(所有者, 電子メール, 場所, 電話番号)" といったものも入力することが出来るようになっていました。入力必須ではないようですので、必要に応じて設定すれば大丈夫でしょう。
続いて ODBC/JDBC の有効化の設定となりますが、これは Advanced ライセンスのみで有効であり、今回のような通常の FileMaker Server 10 では利用することができないので、そのまま次へと進みます。
次の画面では Web 公開の有効化の設定となりました。
今回は Web 公開を有効にして Web ブラウザーからも FileMaker のデータにアクセスできるようにしようと思うので、"はい、Web 公開を有効にします" を選択して次へ進むことにしました。なお、このとき、サーバー上には Web サーバーが既にインストールされて稼働されている必要があるとのことでしたので、気をつけてインストールを行いましょう。
そして、Web 公開テクノロジを有効にする画面では、既定で指定されていた "XML", "XSLT", "PHP" を有効にすることにします。このとき PHP は、"はい、FileMaker Server がサポートする PHP (PHP 5) をインストールします。" を選択することで、PHP インタープリターも併せてインストールすることができるようになっていました。
ただし、注意書きにもありますが、ここで PHP のインストールを行うと、もしも既存の PHP 実行環境がある場合にはそれが無効になるとのことでしたので、PHP によるシステムが稼働している Web サーバーへインストールしようとしている場合には十分注意が必要です。
そして最後に、このサーバーで稼働している Web サーバーが検出されます。今回の環境では、Web サーバーとして "IIS" が正しく検出されていることを確認して次へ進みます。
ここで数十秒ほど待たされましたが、次の画面で "展開の詳細" として、どのような設定内容で FileMaker Server 10 の展開を行うかが表示されます。
念のため、内容に間違いないことを確認の上、【完了】 ボタンをクリックすれば、FileMaker Server 10 の展開処理が始まります。
後は数分ほどして、"FileMaker Server Admin Console へようこそ" というダイアログボックスが表示され、FileMaker Server Admin Console が利用できるようになりました。
ここでは FileMaker Server の登録の他、FileMaker Server の動作テストを行うための "テクノロジーテストページ" を表示することができるようにもなっていましたので、インストール後のひと通りの動作チェックを行っておくと良いでしょう。