Apple Watch に初めて触れて感じたこと
Apple Watch
待ちに待った Apple Watch が発売されて 1 週間が経ちました。
嬉しいことに自分も初日に手に入れられたので、それから使ってみている中で感じた心地を綴ってみることにしました。
自分的には待ちに待った に Apple Watch がついに発売されました。
自分も無事に手に入れることができたので、さっそく腕に身につけて使い心地を試してみました。それから 1 週間が経過したので、試す中で感じたことをいくつか綴ってみることにします。
まず Apple Watch 選びから
せっかくなのでその前に、話は予約注文の頃に遡ってみます。
今回の Apple Watch は、ケースと呼ばれる筐体のサイズと色、バンドの種類と色をたくさんの中から選択できるようになっています。大きさや色を選ぶというのは iPhone 6 のときにもあったので、種類の数に差はあっても真新しい程のことでもなさそうなつもりでいましたけど、いざ Apple Watch を選ぶとそれが想像以上にこれまでと違うことに気がつきました。
完全に「好み」がでるんですよね。本体の性能はまったく同じで「自分に合いそうなのはどれかな」と選ぶ、そんな体験ってそういえば iPhone を含めたパソコンなどのデバイス全般で、してこなかったことのように思います。
選んだものによって値段がまちまちに変化するのも、これまでにほとんどなかったことなので余計にそう感じさせてくれるのかもしれません。
コレクションの選択
今回の自分はそんな中から、標準モデルのクラシックバックルを選んでみました。そしてケースの大きさは 38mm です。
これらを選ぶにあたっては、次のあたりを意識してみました。
ケースのサイズ
いちばん最初の問題として、ケースのサイズがありました。
サイズ | 実寸(縦 × 横) | 解像度(横 × 縦) |
---|---|---|
38mm | 38.6 × 33.3 | 272 × 340 |
42mm | 42.0 × 35.9 | 312 × 390 |
サイズがもし外身の違いだけなら単純な好みで済むところですけれど、解像度もそれぞれ違うとなると画面に表示されるコンテンツそのものも変わってくるため、広い方を選ぶのが何かと安心なようにも思えます。
ただ、実際に Apple Watch を身につけてみると自分の腕に 42mm は少し大きく感じられました。日常的に身につけて使うデバイスとなると、変に大きすぎても不格好です。
存在感のある時計を求めれば程良い大きさとも言えましたけど、自分はさりげないくらいの大きさがいいなと思ったので、今回は 38mm を選択することに決めました。
モデル
純粋な "Apple Watch" という名前を冠したモデルを選択しました。
モデル | 価格 | 特徴 |
---|---|---|
Apple Watch | 標準的 | 標準モデル / 鏡面仕上げのステンレス筐体 / サファイアクリスタル / 多彩なバンド |
Apple Watch Sport | 比較的安価 | 軽量モデル / マット仕上げのアルミ筐体 / Ion-X ガラス |
Apple Watch EDITION | 超高価 | 高級モデル / 鏡面仕上げの 18K ゴールド筐体 / サファイアクリスタル / 上品な印象のバンド |
そもそも Edition は高すぎて価値を見出せなかったので、この標準モデルと "Sport" モデルとで少し迷いましたけど、実物を身につけて眺めてみると、自分にはツヤのあるケースの方が魅力的にも思えます。
Sport と比べて値段がけっこう高くなるので迷いましたが、自分はたぶん Apple Watch を日常的に身につけて持ち歩きそうな予感がしたので、少し高くても日常使いに相応と感じるものを、要は気に入って身につけられる方を選んでおくことにしました。
ディスプレイを保護する素材は、サファイアクリスタルの方が Ion-X ガラスよりも強くて傷つきにくようです。そして Iron-X ガラスの方が軽いらしいです。
バンド
バンドは、クラシックバックルを選択しました。
バンド | 価格 | 印象 |
---|---|---|
スポーツバンド | 比較的安価 | 最もカジュアルな印象 / 豊富なカラーバリエーション / Sport タイプでは唯一の選択肢 / Edition 付属のものは上品に映える |
ミラネーゼループ | やや高価 | 金属調の布のような印象 / マグネットによる無段階調整 |
クラシックバックル | やや高価 | 昔ながらの革製の時計バンド / 厚手でしっかりした印象 |
レザーループ | やや高価 | 起伏のある革製バンド / マグネットによる無段階調整 |
モダンバックル | 高価 | スリムな印象の革製バンド |
リンクブレスレット | 超高価 | 金属感に溢れるバンド |
ミラネーゼループも気になったんですが、ああいういかにも金属系は自分には合わないような気がして、最終的にはクラシックバックルに落ち着きました。
スポーツバンドも少し考えましたが、自分にはカジュアル感が強い気がして、日常で何気なく身につけ難そうだったので今回は避けてみることにします。モダンバックルも気になったんですが、デザインがちょっと女性らしいかなと感じたのと、お値段が高かったので避けました。
ところでモダンバックルは、きっと弱めな男性がつけると女性性が強く出すぎそうな気がします。これが似合う男性って、女性と対等に渡り合えるようなオシャレ感覚を持った人なんじゃないかなとか、ついついあれこれ思いを巡らせてしまったりして。
ちなみにクラシックバックルを選んだ理由に、もうひとつ「値段」があったりします。
自分はかつて時計をしていた頃から好んでこういうバンドをしていたのですけど、たしか大抵 2,000 円くらいの価格でした。Apple Watch のバンドはそれより遥かに高くて、品質もきっと良さそうな期待が持てます。
良質なバンドの心地はどんなものなのか、Apple Watch に乗じてそこを知りたかったのも、クラシックバックルを選ぶ決め手のひとつになりました。
Apple Watch 到着
Apple Watch 予約開始直後に注文して、そして発売当日の正午頃にいよいよ手元に到着しました。
セットアップ
セットアップは簡単なような、面倒なような、斬新なような、そんな印象でした。
Apple Watch は iPhone 5 以上と一緒に使う機械なので、ペアリング操作をしてから使うことになるのですが、その操作が斬新でした。
iPhone のカメラに Apple Watch のペアリング待機画面を映すことでペアリングができる仕掛が面白いです。
普通だったらこういうことをしようとしたら QR コードとかを使うとかその程度の発想になると思うのですが、Apple Watch はもっと不思議な、幾何学模様と言っていいのか、そんな感じな映像コードになっていました。
こういう思わず出会う高度な演出って、先端のデバイスだけについつい楽しくなれますね。これを見るだけでも価値がありそうとか、ついつい思ってしまいます。
変わってその後のペアリング作業は地味な作業で、それは当然といえば当然ですが、ペアリングで使う映像コードとのギャップを大きく感じてしまって物足りなさも少しばかり感じました。
そしてもうひとつ気になったのが、画面に表示された説明をじっくり読んでいたり、写真を撮ったりよそ見をしたりしていると、いつの間にかペアリングが断たれてやり直しということが幾度とありました。
ペアリングの操作自体はそれほど難しい手順ではないものの、少しばかり面倒なように思えました。
Apple Watch の使い心地
全体で見て、自分的には Apple Watch は「良い」印象でした。
ただし気になる点もいくつかあって、総合的に「良し」と見るか「悪し」と見るかは、人それぞれで大きく分かれそうな気がしました。
差別化
まず Apple Watch は、iPhone とペアで使うデバイスとしての立ち位置を貫いている印象でした。
ともすると単に「ペアリングが大前提で、性能的にもサイズ的にも、単純に同じことをするには無理がある」という解釈にもなりがちですけど、Apple Watch は iPhone 6 Minus ではないので単独で万能である必要はなくて、自分的にはなかなか良い立ち位置のようにも思えました。
腕を持ち上げれば、その目の前にはもう Apple Watch が存在しているというのは、これまでの iPhone にはなかった特権です。これまでの iPhone ではポケットやカバンから「取り出す」ということをしないと使えなかったので、それが省かれたことで生まれる手軽さは想像以上に大きく感じられました。
自分は PC を使うときに iPhone を目の前にある机の上に置いていることが多いのですけど、それに手に取ることと比べても、Apple Watch の手軽さにはかなり関心させられます。
アプリは黎明
ただ、これは後でも紹介しますが Apple Watch 対応アプリがぜんぜん頼りない面があって、それは今後に期待しないといけないように思いました。
そんな様子は、まるでパソコン黎明期みたいにも見えます。あの頃は「テキストエディタがないから作るか」みたいな有様でしたけど、それが楽しい時代でもあったので、今のアプリ制作者がいろんな「できないこと」とか「やりたいこと」とかを形にしながら Apple Watch を愉しみ、活気づけてくれたら嬉しいところです。
通知機能が魅力的
Apple Watch の小さな本命、通知機能はやっぱり便利に感じました。
先ほど「取り出す」が不要になるのが Apple Watch の最大の特長という話をしましたけれど、それともっとも相性が良さそうなのが通知機能です。
メールや Twitter で返信がきたときに手元に感覚的な通知で得られるのは良い感じです。
また、何か通知があったか気になったときに、腕を目の前にあげるだけで確認できるのも良い感じでした。
やってることは「通知があったかを気にして確認する」という iPhone でもお馴染みのことですけれど、Apple Watch では『わざわざ取り出す』という意識的な部分が不要なおかげで、まるで「通知がきていないことを無意識に知れる」ような心地がします。
なお、たとえばどのアカウント宛のメールが来たときに通知するかなど、Apple Watch でどの通知を受け取るかは iPhone の「Apple Watch」アプリを使って調整できるようになっていました。iPhone 本体の通知とは別の設定ができるので、上手に調整すれば Apple Watch がより便利なものになりそうです。
通知音は消音可能
既定では音と感覚で通知を知らせるようになってますけど、音を消して感覚だけに設定すると、すぐ隣に居る人にも知れることなく、自分だけに通知が伝わる感じになります。
iPhone の「Apple Watch」アプリを使って、そもそもの音量や、消音モードの ON/OFF ができます。
これなら「人と話をしている最中に平気で電話が鳴って水を差す」みたいな、今やすっかりお馴染みの失礼な行いも上手に避けられるようになるかもしれませんね。さらには通知を会話の隙を縫って確認できるのも Apple Watch ならではの利点に思えました。
接客業みたいな客人と接している時間の多い人には、特に嬉しい機能になりそうです。
存在感と安心感
そして Apple Watch を試している中で感じたものは「存在感」でした。
腕にしっかり巻きつけられた Apple Watch は、何気なく、その存在感を常に感じられるように思います。しっかりフィットするので邪魔な感じの存在感はないのですけど「たしかにある感じ」が面白い心地です。
そんな存在感から新しい「安心感」が生まれるような印象もしました。
取り出さなくてもいつでも使える安心感と、腕を上げればすぐに通知が知れる安心感といいましょうか。そんな安心感が iPhone を気にする理由を減らしてくれて、そうなると今までみたいに頻繁に iPhone 頻繁に手に取る理由がなくなってきます。
そして面白いのが Apple Watch 自身がもたらす安心感で Apple Watch そのものを頻繁に使う理由が減って、うっかりすると「Apple Watch の使い道がない」と錯覚しそうなところでした。
ともすると使い道がないとも感じかねない理由に「Apple Watch アプリが機能的に不足している」というのもあるでしょうけど、きっと Apple Watch はゲーム機とか電子書籍とかとは違う気がします。たとえば、電車の中でずっと Apple Watch を触り続ける必要があるなら、Apple Watch 最大の「利点」である「iPhone とペアで使う」という特徴を生かして、いつものように iPhone を使うのが良さそうに思いました。
通知の感触
Apple Watch では通知の感触も「優しく」みたいなこだわりがあると聞いてましたが、実際に体感してみても、今までの iPhone みたいな押し付けっぽい印象がしないところが良い感じです。
これまでの iPhone だと、基本的には手に持っていない、鞄かポケットかどこかにしまっている状態で通知を知らせる必要があったせいか、基本的には強めの音やバイブレーションで通知するのが普通でした。音はもちろん周囲の人にも通知を伝えますけれど、音のならないバイブレーションもけっこう周囲に広く振動していることが伝わります。
音が主流だったうちは、音としては聞こえないので静かで周囲に気を遣ってる印象でしたけど、バイブレーションがすっかり浸透した今となっては振動もけっこう煩く気になるように思います。
今度の Apple Watch の振動は手首にダイレクトに伝えるせいか、自分には確かな感触がするのに、周囲にはまったく聞こえないという、絶妙な感触になっていました。
その感触も催促的な感じはなくて、来たことを教えてくれるような、意識に変に割り込んでこない適度な感じが好感触です。
通知に気づかないことは有る
そんな通知機能ですが、実際に使っていて、通知に気づけないこともありました。
通知音を小さくして、感触に頼って通知を受け取っていたんですけど、食事を終えてふと Apple Watch を眺めたときに通知を知らせるマークが文字盤の上端に表示されていることに気がつきました。
そんな訳で過信するのは考えものかもしれませんけど、もし通知を見逃していても、ふとしたときに画面を目にして改めて気がつけるのも Apple Watch が持つ魅力のひとつに感じます。
少なくとも iPhone で通知を見逃したときよりは気軽に早く気づけることでしょう。
画面の行き来は慣れが必要そう
さて、もう少し具体的な操作について見てみると、Apple Watch に存在する画面は、まず、スリープを解除したときに表示される時計の「文字盤」画面があります。
そして、その文字盤画面で指を下にスワイプしたときに表示される「通知」画面と、上にスワイプしたときに表示される、アプリ毎の情報が見られる「グランス」画面があります。
それと、アプリを選んで起動するのに使う「ホーム画面」です。
これらの画面を行き来するのが、自分的には感覚的に捉えにくくて、慣れが必要なように思いました。
スリープ状態から文字盤の表示
これらの画面は主に Apple Watch 側面にある「デジタルクラウン」を押すことで切り替えることになるのですけど、まず、スリープ状態でデジタルクラウンを押すと「文字盤」が表示されるところまでは迷わずできました。
文字盤を表示するだけなら、スリープ中の画面をタップするだけでも大丈夫です。
文字盤からホーム画面を表示
文字盤の画面から「ホーム画面」を表示するときは、デジタルクラウンを押します。
ただ、操作に慣れないうちはついつい時計の盤面をタップして何も起こらなかったり、強押しして時計のカスタマイズ画面にしてしまうことがよくありました。
慣れてくれば「ホーム画面」を表示したいときに普通にデジタルクラウンを押せるようになりましたけど、そもそも「ホーム画面」を表示するのに Apple Watch のケースを 2 つの指で摘むようにしてデジタルクラウンを押さないといけないことが、少しばかり煩わしくも感じます。
ホーム画面での操作感
そして「ホーム画面」に移動した後、操作が分からなくなる場面が幾度とありました。
ホーム画面は上下左右にスワイプして移動できるようになっていますが、中央に「時計」アプリのアイコンがあるときにデジタルクラウンを押すと「文字盤」画面が表示されます。
ただ、それ以外のアプリアイコンが中央にあるときに押すと「ホーム画面」のまま、画面中央に「時計」アプリのアイコンが来る位置まで移動します。
このように「ホーム画面でデジタルクラウンを押したとき」の動きが状況によって違ってきます。
最初にデジタルクラウンで文字盤からホーム画面に移動した記憶が残るせいか、もう一度押したときには逆に文字盤画面に戻ってくれるのを期待してしまい、実際にはそうならなくて迷うことがよくありました。
慣れるまでは試行錯誤
期待と違う動作をすると感じるもうひとつの理由が、スワイプ操作が「ホーム」画面では画面内の移動になるところでしょうか。
そしてこれが「文字盤」画面では、上下のスワイプで「通知」画面や「グランス」画面が表示されます。この動きは iPhone でいう「通知センター」や「コントロールセンター」を表示するのと似た動きです。iPhone ではホーム画面でも同じ動作なので混同してしまいますが、この操作は Apple Watch のホーム画面ではできず、文字盤画面でだけ使える機能です。
そのため「ホーム」画面を iPhone のホーム画面と混同してしまい、つい「グランス」画面が表示されるのを期待して上へスワイプしても表示されず、代わりにホーム画面がスクロールされて、一瞬何が起こったか分からなくなってしまいました。
そして状況を掴めたところで、グランスを表示させたいためにホーム画面へ戻ろうとデジタルクラウンを押すと、ホーム画面の中央に戻って、再び一瞬何が起こったか分からなくなります。
そして状況を掴めてもう一度押すと文字盤の画面へ移動して、そこでやっと画面を上にスワイプしてグランス画面を表示できます。
ホーム画面からグランスへ戻るのは手間な印象
そんなことをしばらく繰り返すうちにようやく勝手が分かってきた気がしますけど、ホーム画面からグランスを見るには少し手間がかかるように感じました。
もしかするとこのような設計になっているのは「ホーム画面からならグランスではなく直接アプリを起動した方が簡単でしょう?」という主張なのかもしれません。
せめてホーム画面でデジタルクラウンを押せば必ず文字盤画面に戻るようになっていれば、煩わしさもずいぶん軽減されそうに感じるのですけれどね。ホーム画面のスクロール自体は指でスムーズにできるので、中央に素早く戻れる必要性もなさそうですし。
ホーム画面が雑多な印象
そうしたときに、続いて気になってくるのがホーム画面のアイコンの数です。Apple Watch にインストールされたアプリは、ホーム画面にアイコンだけが美しく並べられるのですけど、その数が少し多いように思います。
そして特に気になるのが、最初からインストールされているアプリはホーム画面から消せないことです。
実に 20 個ほどのアイコンが消せない状態で組み込まれているため、使いたくて入れたアイコンがそれらに埋もれて探しにくくなるのが残念なところです。せめて iPhone みたいに不要なアイコンをフォルダーでまとめてひとつにできれば良かったんですけど、今のところはどうやらそれもできない様子です。
もしかして Apple Watch はホーム画面に所狭しとアイコンを並べるスタイルが普通なのかもしれません。そう考えれば先ほどの「デジタルクラウンで中央に戻れる」意味も分かるような気もしますね。便利かどうかは別ですけれど。
デジタルクラウンは積極活用したい
さて、Apple Watch の特徴のひとつに、本体側面についたデジタルクラウンがあります。
大抵のことは画面を指で操作すればこと足りるので、慣れないうちはついつい忘れがちなボタンですけど、この回転操作が意外と便利に働きます。
たとえば設定画面のような上下にスクロールできるリストとかでは、iPhone のときの癖で画面を上下にスワイプさせてしまいますけど、デジタルクラウンを回転させることでも同じ動作が行えます。
同じと言っても指で画面を隠さない分、とても操作性が良いので、慣れないうちから意識して使って、いつでも自然に使う癖をつけてしまうと良さそうでした。
ちなみに文字盤のカスタマイズ画面では、各項目を調整するのにデジタルクラウンを使います。画面を指で操作する方法では調整できないので、デジタルクラウンを「指の操作の代替」みたいな意識では見ないほうが良さそうでした。
ホーム画面でデジタルクラウンを使うとき
そんなデジタルクラウンをホーム画面で使用すると表示範囲が広げられて、散りばめられているアイコン全てを見渡せる画面になったりします。
このような機能が付いているところからもホーム画面にアイコンをたくさん置くスタイルが窺えるように思えました。
アプリの起動まで出来る
そしてもうひとつ興味深いのが、デジタルクラウンを逆方向に回転させると、表示中の画面中央にあるアプリが起動するようになっています。
そしてここで不思議なのが、そうしてアプリを起動したとき、再びデジタルクラウンを逆回転させたとしても原則的にはホーム画面へ戻れないというところです。
進んだ操作と逆の操作で戻れないのは統一感なく、思わず迷ってしまうところのように感じました。
いちおう救済策は取られていて、デジタルクラウンで間違ってアプリを起動させてしまってもすぐに逆方向に回転させればアプリを終了できるようになっていますが、そんな配慮をしてまでデジタルクラウンでアプリを起動する機能を載せる必要があったかは疑問なところです。
もしデジタルクラウンでホーム画面を上下左右に移動できれば、アプリを自由に選んで起動するまでの流れをデジタルクラウンだけで実現できて印象も変わりそうですけど、それはできないようなので、それなら普通に指でタップして起動できるだけで十分です。
グランスは使いたいものに絞ると便利
Apple Watch でアプリを起動する方法として、ホーム画面の他に「グランス」画面があります。
グランス画面は文字盤画面を上にスワイプすると表示される画面ですが、ここを左右に移動することで、グランスに対応したアプリを切り替えて眺めることができるようになっています。
そしてグランス画面をタップすると、そのアプリを起動できるので、素早くアプリを起動するランチャーとしても最適です。
グランスに置くアプリは厳選する
グランス画面は左右に順番に移動しながら探す性質なので、ここに 6 個くらいグランスを並べてしまうだけでも見るのが億劫になってしまう印象でした。
どのアプリのグランスを表示するかは、iPhone の「Apple Watch」アプリで切り替えられるので、よく使うものだけを厳選しておくのが使いやすさの秘訣になりそうです。
とはいえ、さっと見たい機能はけっこうあって削りにくいところです。そこでたとえば文字盤に配置できるアプリは文字盤において、そのアプリをグランスから削って行くと良いかもしれません。
文字盤に置けるアプリは限られますけど、カレンダーと天気を文字盤におけば、それらはグランスから省けます。
そして、文字盤に表示された情報をタップするとアプリを起動できるので、むしろ左右に動かして探さないといけないグランスよりも素早く情報を確認できます。
あとは、よく使うけれど「隙をついて起動したい」ほどではないアプリであればグランスには置かず、ホーム画面の時計アイコンのすぐ近くに置いて起動しやすくしておくのを意識して整頓すると、思い切った厳選ができてくるかもしれません。
気の利いたロック機能
それと細かいところですけど、画面のロック機能が気が利いていて好きなところです。
Apple Watch にも iPhone と同じように画面をロックする機能がありますが、腕に身につけた状態でロックを解除すると、腕から外すまでの間は再ロックされないようになっていました。
ロックの解除も iPhone を解除したときに一緒に解除する設定ができるので、わざわざ Apple Watch の小さな入力画面を使わずに解除できるのも嬉しい気配りです。
通信距離
さて、Apple Watch は iPhone とペアで使うことが大前提のデバイスですけど、それなら通信圏内から外れるとどうなるのか確認してみました。
そうしたところ、通信圏外まで離れると Apple Watch の上端には、リンクした iPhone と通信できないことを示すマークが表示されます。
そして、多くの iPhone との通信が前提のアプリは起動さえできなくなりました。
グランスも更新されませんけど、通信できていたときに表示したものまでは確認できます。
そして iPhone が通信圏内に戻ると自動的に見つけて通信を再開してくれるようになっていました。なんらかの事情で iPhone と離れないといけないときでも、戻ればまた何もせずに通信が復帰するのは嬉しいところでした。
ちなみに通信距離としては、木造の室内で部屋を3つ跨いでも応答は安定しにくくなるものの、基本的には問題なく通信できる印象でした。ひとつ階が違う分には問題なさそうでしたが、隅にちょっと入った洗面所では完全に通信できなくなりました。
電池がなくなると…?
もうひとつ気になったのが Apple Watch の電池がなくなった場合です。
そこで、どうなるのか確認してみたところ、電池がほとんどなくなったところで「省電力モード」に自動的に切り替わりました。
省電力モードというのは、時刻を表示する以外の機能を無効化することで電池の消耗を防ぎ、最低限、時刻だけは確認できるようにするモードです。
最低限、時計としての役割だけは維持できるので便利かもしれないとも思いつつ、普段は iPhone とペアで使う前提の機械ということを考えると、これで助かったと思えることはほとんどないかもしれません。
袖に隠れる
実際に使って気になったこととして、長袖を着ていると結局 Apple Watch の画面が隠れていて「通知を知ってもすぐには見れない」事態がけっこう頻発しました。
このようなことは普通の時計をしていた頃にも普通にあった当たり前な出来事ですけど、Apple Watch ではそれに加えて、画面を見ようと袖を手でまくったときに画面を操作してしまうことが幾度とありました。
文字盤からホーム画面に移動するにはデジタルクラウンを押さないといけないのでそれは心配ないものの、まくるときに指が画面を斜め上方向にかすればグランス画面が、斜め下方向なら通知画面が表示された状態になって目の前に現れます。
また、文字盤にカレンダーや天気などを配置してあると、まくるときにそれに触れて、画面を見たときにはカレンダーが表示されているということもあります。
見る時々で違う画面から始まるのは何かと戸惑うので Apple Watch に触れずに袖をまくる癖をつける必要がありそうです。
画面を拭くときは誤操作に注意
誤操作でもう一つ気になったのが、画面を拭きたくなったときです。
Apple Watch は腕を上げるとスリープが解除される仕組みになっているので、画面の指紋を拭こうと画面を向けたときにも操作できる状態になります。
このとき指一本で拭こうとすると、強押しとみなされて文字盤のカスタマイズ画面になったり、スワイプとみなされて通知画面やグランス画面が表示されてしまうことがありました。
ただ、手のひらを使って広く拭こうとすると大丈夫みたいなので、画面を拭くときにはそうすれば誤操作もほとんど心配なさそうです。
通信の遅さ
稀にですけど、すぐ近くに iPhone があるのに妙に反応してくれないことがありました。
反応が遅いときは数秒から、長いと 20 秒くらい待たされることがあったりして、ここはさすがに Apple Watch への愛を試されるところなのかもしれません。これは『通信の仕組み上、仕方のないこと』とも言われているので、広い心でのんびり待つのが賢明でしょう。
たとえば「天気」アプリを起動したら、読み込み中のまま待たされて、そのまま Apple Watch がスリープしたこともありました。
そんな反応の遅さは、今の Apple Watch 本体側でアプリ制作者がプログラムを自由に実行できない制限が解放されて行くうちに、改善されて行くところなのかもしれません。
機内モードの連動
ところで iPhone の「Apple Watch」アプリを眺めていたら、iPhone と Apple Watch とで「機内モード」を連動させる設定があることに気がつきました。
ここの機能説明に「iPhone で機内モードをオンにすると Apple Watch の機内モードもオンになる」と書いてあって、興味が湧いて試してみたところ、iPhone と Apple Watch のどちらで機内モードを ON にしても、もういっぽうの機内モードも連動して ON になることが確認できました。
ただし、当然ですがどちらかで機内モードを ON にして両方が機内モードになった後は、どちらかの機内モードを解除しても、もう片方は機内モードになったままで連動しません。機内モードの設定は操作しやすいところにあるので、連動させておくと間違って押したときに元に戻すのが面倒になるかもしれませんね。
自分みたいに滅多に飛行機に乗らない身には、既定通り、連動しない設定にしておく方が便利そうでした。
アプリの使い心地
ここまでで Apple Watch 自体の動きに注目して思うままに心地を紹介してきましたが、ここからはアプリについて少し見て行きたいと思います。
全体的には、アプリは標準アプリや有名アプリも含めて、まだまだ途上な印象を受けるアプリが多い感じでした。
とりあえず作った感が強くて、もう少しちゃんと作り込めばもっとずっと便利になってくれそうな気がして、そこがとてももったいなく思います。もちろん Apple Watch らしさを考えて健闘しているアプリも見られます。
標準アプリ
それではまずは Apple Watch に最初からインストールされている標準アプリで気になったものを幾つか紹介して行きます。
地図アプリ
まずは、現在位置と周辺地図を確認できる地図アプリから。
画面が小さいからで済ませばそれまでですが、現在位置を知るにもなかなか辛い地図の広さでした。ただ、自分が使っているのは 38mm の画面なので、これが 42mm だったらもう少し印象が変わってくるかもしれません。
スワイプで地図を上下左右に移動させたり、デジタルクラウンを回転させると地図を拡大縮小できるので、限られた画面の中ではかなり健闘しているようにも思えました。
ただ、ナビ機能は作り込みが甘いのかどうか、手際よく使うには少し辛い印象でした。
目的地をセットした後に、全体の経路が表示されても小さすぎて方向くらいしか分からないのは画面的に致し方ないところのように思えますけど、その後のガイダンス音声が iPhone から聞こえてくるのが厳しいところでした。
鞄に iPhone を入れていれば音声はほとんど聞こえないので Apple Watch の画面と感触に頼ることになるんですけど、事あるタイミングでカチカチ鳴りはするものの、画面を見ても文字で小さく記されていて、運転しながら注視するのはかなり辛いところです。
さらには長袖を着ていれば袖に隠れて、運転中にまくって見るわけにも行かず。
ガイダンスの音声については Bluetooth ヘッドセットを使えばそれで聞けそうな気がしますけど、残念ながら手元の Logitec LBT-HS500 ヘッドセットは Apple Watch に非対応とのことでペアリングできず、残念ながら今のところは試せていません。
ところで、よくよく思えば、車でナビを使うときって出発前にしっかり準備ができるでしょうから、それこそ iPhone をダッシュボードなどにしっかりマウントして普通のカーナビ同様の環境を作って出かけるのが良いかもしれませんね。
駅から目的地まで徒歩で向かうときとかであれば、もしかすると Apple Watch のナビも役に立つかもしれません。目的地の距離も遠くないでしょうし、腕をまくって注視するのも、徒歩であればいくらでも立ち止まって行えます。
そう考えれば Apple Watch のナビもこれくらいの機能があればひとまず十分なようにも思えてきました。
あともうひとつ、検索がちょっと体を成していないところがあって、これが少し厄介です。
音声入力で「〜へ行きたい」とか「〜までの経路」みたいに言うと目的地を探してくれるところまでは良いのですが、画面の小さいため、該当候補が複数あったときに目的地を選べるだけの情報が表示されてくれませんでした。
地元ならまだしも知らない場所で都道府県と郵便番号だけを見て、行きたい場所を選ぶことは難しそうです。
項目をタップすれば地図などの詳しい情報は見られるのですけど、そもそも目星をつけるのがたいへんで、選んでみて違ったときに再びリストに戻ってきても前にどれを選んだか分からなくなってしまいました。
カレンダーアプリ
Apple Watch のカレンダーアプリは、直近 1 週間の予定を確認するためのアプリになるようです。
アプリを起動してすぐは「当日から 1 週間の予定」が表示されていて、いっけん文字が細かいですけれど、小さい画面で予定を把握するには丁度いい小ささで、けっこう使いやすい印象でした。予定をタップすればその詳細が見れるので、直近の予定を確認するには重宝しそうです。
そして左上のナビゲーションをタップすると今月のカレンダーを確認できるのですけど、これがあくまでも文字通り「今月のカレンダー」なのがちょっと残念に思えました。
どの日に予定が入っているかも分からなければ、タップした日の予定が見られる訳でもなくて。
どの日付のところをタップしても「本日」からの予定になってしまうので、あくまでも今月が何日まであるか、そして何日が何曜日かを確認する程度の役割しかなさそうです。それならせめて翌月のカレンダーも見たいところですけど、どうやら「今月」までしか確認できない様子でした。
そんな感じで、使ってみて最初は「これは出来が悪い」と思っていたんですけど、しばらく Apple Watch を使ってみているうちに「この程度でも有りなのかな」と思えてしまうあたり、慣れなのか諦めなのか分からないですけど、感覚が変わってくるのはちょっと面白いところでした。それでもやっぱり翌月のカレンダーくらいは見たいところです。
メールアプリ
メールアプリも標準でインストールされているので、手元の Apple Watch だけでも簡単なメールのチェックは十分にできます。
これがなかなか良くできていて、さすがに狭い画面なので iPhone ほどの見易さはないにしても、手軽さの面で大きく勝るため、全体的に iPhone よりも勝手が良く感じられました。
ちなみに HTML メールは書式付きでは読めませんけど、テキストだけでならとりあえず読めるようにもなっています。そもそも Apple Watch でチェックしたいメールは連絡のやり取りなどのテキストメールが主体になりそうなので、困ることはあまりないでしょう。
そんな感じで便利そうなアプリなのですけれど、なぜだか返信する機能が用意されていないみたいで、そこがもったいないところです。
Apple Watch からでもメールが出せたらずいぶん便利になりそうな気がしますけど、メールってけっこう冒頭に挨拶を含める風習があるので、そんなあたりも加味すると、せめて iPhone からメールを出すのが、今の時代の "マナー" なのかもしれませんね。
それとひとつ不思議な作りに思えたのが、Apple Watch でメールアプリを開いてメールを受信すると iPhone 側でメールの受信完了の音が鳴るところでした。受信完了を iPhone で知らせる必要ってない気がするんですけど、とりあえず今はそういう作りになっていました。
カメラシャッターアプリ
カメラのシャッターアプリは、使いどころがあるかは別として、作りにちょっと興味が湧きました。
Apple Watch でシャッターアプリを起動すると、iPhone のカメラアプリがフォアグラウンドで起動して、シャッターボタンを押すと Apple Watch と iPhone の両方でシャッター音が鳴って写真が撮影できる仕組みになっています。
このとき凄いというのか怖いというのか、iPhone のカメラの映像は Apple Watch 側でもスムーズに見られます。もちろん通信圏内に限られますけど、少し離れて何かを観察したいときにも使えそうです。音声は届かないので、あくまでも動きを窺う用途に限られますが。
ちなみにこのとき、シャッターを切れば音がしますが、それまではカメラ動作中を示す何か目印が iPhone 側に表示されることはない様子です。
iPhone の画面を見ればカメラアプリが起動していることは分かりますけど、それが Apple Watch で起動されたものかは分からないので、誰かの iPhone が置き忘れてあってカメラアプリが動いていたら、撮られている感じはなくても警戒していて損はないかもしれません。
音楽アプリ
標準の音楽アプリで試しに音楽を再生してみたところ、なんと iPhone 側から音楽が鳴ってびっくりしました。
iPhone 側の音楽データを再生したからなのかと思って、iPhone の「Apple Watch」アプリでライブラリを Apple Watch に転送してみたんですけど、それを再生しようとすると「ヘッドセットが必要」というメッセージが表示されました。
どうやら Apple Watch だけで音楽を聴くためには Bluetooth ヘッドセットが不可欠になるみたいです。
居合わせた人にちょっと聞かせるみたいなことには少し向かなそうですね。
もちろん iPhone を近くに持っていれば、それで聞かせればそれで十分なのかもしれませんが、ちょっとこれを聞いてほしいみたいなときに、せめて Apple Watch 本体に入れたライブラリくらいは Apple Watch 単体で聴けても便利そうに思いました。
ところで先ほどのカメラアプリやメールアプリの様子を見ても、基本的には iPhone を丸ごと拝借して Apple Watch に必要な機能を提供していることになるのでしょう。ほぼ iPhone とペアで使うのが必須だとか、アプリを作るときには機能を Extension という iPhone 側で実行するコンポーネントに入れるので分かっているつもりでしたけど、こうして実際の動きを眺めてみると実感としてはっきりと感じられる心地がしました。
天気アプリ
iPhone の標準の天気アプリといえば「晴れ」などのマークが不気味な印象でしたけど、Apple Watch ではむしろちょっと可愛らしくて良さそうなものになっていました。
実際のところは、いつの間にか iPhone の天気アプリも同じ雰囲気になっていて、使い勝手も随分と向上している印象でした。これはメインで使ってみても良いかもしれません。
ただし、降水確率の表示は画面をタップしないと切り替わらないので、さっと見る操作が向いている気がする Apple Watch には少し面倒な操作を強いているようにも感じられました。
グランスの表示は最小限ですけど、大きな文字で見やすいです。
これで足りなければタップするだけでアプリに移動できるので、これくらいの情報量もアリなのでしょう。
写真アプリ
写真アプリはどうやら iPhone からアルバムをひとつ選んで見られるようでした。
あらかじめ iPhone の「Apple Watch」アプリで同期するアルバムを選択しておくと、そこに保存されている写真が Apple Watch に転送されて観られるようになります。転送されてしまえば iPhone と通信できないときでも観られるようです。
デジタルクラウンを回してサムネイルでたくさん表示したり、写真をそこそこ拡大できたりして、アプリ自体の使い勝手は良い印象ですけど、いかんせん画面が小さすぎて体感上の使い勝手は半減気味にも思えました。
あと Apple Watch で写真を表示して、それを見せようと向かいの相手に画面を向けるとスリープするので、みんなで写真を見たいときには素直に iPhone を取り出すのが良さそうです。
Apple Watch での写真アプリの使いどころとしては、何かの確認番号とか、指定席の座席番号とかみたいな、後でちょっと確認したいような画像を転送しておいて見るみたいなときには重宝しそうな気がします。
電話アプリ
電話アプリについては、まだほとんど使ってないので詳しい勝手は分からないのですが、ひとつだけ。
最初の画面の最初の項目「よく使う...」という文字が画面に入りきらずに切られています。
標準アプリで、しかも時と場合で変化する訳でもないテキストが、こうやって端が途切れてしまっているのがとってももったいなく感じます。逆にこれからいろいろ手を入れてくれる予感もしますけれど、本体みたいに美しく仕上げてくれると嬉しいように感じました。
接続状況を確認できるグランス
Apple Watch には、機内モード・お休みモード・消音モードを切り替えるグランスが用意されてるのですが、その下に iPhone の音を鳴らすボタンが用意されています。
このボタンを押すと、リンクしている iPhone でそこそこ強めの音が鳴ります。マナーモードであっても鳴ります。
きっと「iPhone をなくしたときに便利な機能」という位置付けなのだろうと思うのですけど、なぜ Apple Watch にこのような機能を付けたか自分には疑問に思えました。
そもそも iPhone には「iPhone を探す」機能で音を鳴らせますし、その機能に Apple Watch の現在位置は出てきません。むしろ失くすのは Apple Watch のように思えて、それより iPhone に Apple Watch で音を鳴らす機能を搭載して欲しかったように思えます。
さらに困ったことに、このボタンを含む画面はグランスのいちばん左というなかなか良い場所に表示され、設定で消すことができません。
そしてボタンはとても押しやすい大きさで、押すと確認メッセージも出ずに iPhone 側で音を鳴らします。静かにしないといけないところで Apple Watch を触るのがちょっと怖くなりそうな、そんな機能にも思えました。消音モードの切り替えと同じ画面にあるというのも怖さを感じるところです。
ちなみにいったんボタンに触れるとキャンセルできない様子でした。鳴った音も Apple Watch からは消せませんが、幸い 5 秒ほど鳴って止んでくれます。
サードパーティー製のアプリ
標準アプリの印象はこれくらいにして、続いていくつか、自分がお世話になっているサードパーティー製のアプリの印象をいくつか記してみます。
ツイッターアプリ
自分の中でもっとも使いそうなツイッターアプリですけれど、これは「通知が受け取れること」が唯一の魅力かもしれません。
まず、アプリを起動すると、二つ目のボタンのテキストが切れてます。文字の長さが時と場合で変化するものでもないので、こういうところはちゃんと枠に収めて欲しかったように感じます。
そして、見れるのは「タイムライン」と「トップトレンド」だけになっていました。
個人的には Apple Watch は、暇つぶし的に無作為にタイムラインを眺めるのには向かないような気がします。
操作の反応的にも、腕の疲れ的にも、画面の小ささ的にも、電池容量的にも、やっぱりさっと「必要な」情報を見る機能に的を絞った方が有用なアプリに仕上がるのかなって感じました。
そもそも、アプリを起動してから、まず見たいものを選ばないといけないところも気になります。Apple Watch が今のところ通知に向いた機械であるのを考慮すると、最初の画面はリプライ一覧とかでも良かったんじゃないのかなって思ってみたり。
そして通知も、もうひと頑張り欲しいところでした。
ただでさえ小さな画面なのに「〜さんが@ツイートしました」と2〜3行に渡って表示され、そしてその次の行には送信先のアカウント名、すなわち自分のアカウント名が表示されています。
狭い画面にこれだけの情報を入れてしまって、肝心の内容が画面の外に追いやられているのはとてももったいなくも思えます。
これは作る側の事情としては仕方ないところなのかもしれないですけど、使う側としては、誰からツイートが来たかを1行で完結させて、冒頭に自分のアカウントがあったら消去するみたいな工夫を施して欲しいところでした。
そして、通知を見終えてしまうと Apple Watch からではリプライを再度確認できなくなります。
リプライしようと、返信を書き始めるところまでは良かったんですけど、音声入力に失敗してうっかり Cancel してしまったら、そのまま閉じて Apple Watch からはもう返信できなくなるという困った作りになっていました。
先ほどの話と話とダブりますけれど Apple Watch のツイッターアプリではとりあえずタイムラインやトレンドなんてどうでもいいので、リプライと DM だけを卒なくこなすアプリにして欲しいように思います。
ただ、とりあえず Apple Watch の使い勝手とかを考えずに作った感が強いので、近いうちきっと改善されてくれるんじゃないかなと期待は持てたりしています。
Twitter - Twitter, Inc.
そら案内
天気予報が見られるアプリ「そら案内」は、けっこう気を配って作られている印象でした。
標準の天気アプリと比べると情報が多くてごちゃごちゃしている印象ですけど、慣れると必要な情報が画面1〜2枚で見られてけっこう便利です。温度表示もよく見ると折れ線グラフになっているので、各天気アイコンの高さで温度が直感的に判るところも上手だなって思いました。
グランスもこの画面と原則一緒になっています。便利なのでこれで良いのか、それとももうひと工夫欲しかったのか、今のところは判断がつかないところです。
そら案内 - feedtailor Inc.
Yahoo! 乗換案内
iPhone 版はとても便利で愛用している電車の乗り換え検索アプリ「Yahoo! 乗換案内」ですが、Apple Watch 版とはちょっと自分が期待する方向性とは違って感じられました。
iPhone アプリ版の「通勤タイマー」に最寄駅を設定すると、その駅の電車発着時間を Apple Watch で随時確認できるようになります。
色合いは綺麗ですし、発着時間をいつでも見れるというのは便利といえば便利ですけど、どの色が何を表しているかが慣れるまでは分かりませんでした。スクロールすると電車の種類のところが同じ色になっていて分かるので、慣れれば便利な作りではあるのでしょう。
グランスも同じ色合いになっていて、こちらはさらに直近だけのものが表示されるように工夫されていてとても見やすいのですけれど、グランスはこれだけ余裕があるので、時間の横に種類や行き先を表示してくれていても良かったように感じました。
そんな感じで、家を出るタイミングをすぐに知れて便利なアプリのひとつだろうとは思うんですけど、残念なことにバス停には対応していないようでした。自分の最寄はバス停なので、これでは意味を成してくれません。
この Yahoo! 乗換案内は iPhone 版では最寄のバス停から、というかそれこそ自宅住所から検索しても的確に経路を出してくれて気に入っていただけに、Apple Watch でバス停の時刻を見られないことが少し残念に思えました。
そもそも電車よりバスの方がひとつひとつの間隔がずっと長いので、そちらの方がずっと価値があると思うのですけれどね。
そして、なにより自分が「乗換案内」を使うときって、知らない場所に何時に着きたいみたいなことが多くて、見たい情報は「今出れば何分の電車に乗れる」ではなかったりします。
それに自分は移動中に「乗換案内」を見ることも多くて、そういうときは「次はどこの駅で降りるか」とか「次は何線に乗り換えるか」といった情報を見ています。
そういう情報が手元でさっと見られるのだろうと思っていたので、あくまでも自分の中でですけど、期待とのギャップが大きく感じられました。
Yahoo!乗換案内 - Yahoo Japan Corp.
駅すぱあと
Yahoo! 乗換案内が自分の期待と少し違ったとなると、それまで愛用していた「駅すぱあと」が気になってきます。
そこでさっそく試してみたところ、こちらはそこそこ期待に近いような気もするものの、機能を少し詰め込みすぎている印象も受けました。
駅すぱあとでは iPhone で検索した経路が Apple Watch で見られるようになっていて嬉しいところでした。
個人的にはこれをグランスで見られるとなお嬉しかったんですけど、そこは好みの問題なのでしょう。それと例え簡易的でも Apple Watch からでも経路検索ができれば便利だったと思いましたが、なくても許容範囲なのかもしれません。
ただ、アプリを起動して最初の画面で、メニューから 4 つのモードを選択するのは、毎回するにはちょっとしんどい作業です。
経路を保存できるクリップは、強押しで出てくるメニューから選んで選択できれば十分なように思います。発車時刻のカウントダウンは、現時点でグランスでその機能を提供しているなら、カウントダウンもここで見たいなら強押しメニューからで良い気がします。
現在時刻を元にどこにいるかを表示する「イマココ」は面白い機能ですけど、GPS ではなく時間だけで判断しているなら、あまり価値のない機能のようにも思えますし、なにも単独機能として用意しなくても、経路表示のところについでに表示してくれたら手間がなくて嬉しいようにも思えました。
ちなみにグランスはこんな感じです。
完全に、iPhone で検索済みの経路の出発時刻だけに的が絞られているのが潔く感じられました。この潔さがアプリを起動したときの画面にも適用されたら、もっと便利に使えそうで期待が持てました。
駅すぱあと【無料】乗換案内 - 経路検索・バス時刻表も見れるアプリ - Val Laboratory Corporation
割勘ウォッチ
さて、続いて自分で作ったアプリになるのですが、電卓アプリを作りました。
発端は「自分が Apple Watch アプリを作れるとしたらなんだろう」という漠然としたものでしたが、作ってみると電卓と時計って意外と相性が良いように思えました。
ちょっとしたときに計算したいと思うんですけど、たとえスマートフォンに電卓が入っていても意外と準備が面倒なんですよね。パソコンに向かっているときも、電卓アプリを起動するのは意外と面倒です。
そんなとき、手元でちょこちょこ操作するだけで電卓が使えるというのは、思った以上に便利でした。
そして最初はよくある電卓のようにフル機能が搭載された電卓を作ってみたんですけど、いざ指で操作してみるとボタンが細かく感じられました。
さすが Apple なもので 38mm サイズの Apple Watch でもけっこう的確にボタンは押せるんですけど、気持ち的な窮屈感をどこかに感じて。そんな中、日常でふと計算したいときってどんなときだろうと考えたとき、少なくとも今の自分の身の回りでは「割り勘」のように思えたのでした。
そうして「割り勘」に必要なボタンだけに絞り込んでできたのがこの電卓です。割り勘電卓だとよく「合計金額」と「人数」を入れる欄が用意されているのを見かけますけど、今回は敢えて普通の「割り算専用電卓」にしました。
割り勘するときに合計を人数で割れば良いことはたぶんほとんどの人が分かっているので、むしろ普通の電卓の姿をしていた方が、直感的に分かりやすいんじゃないかと思います。割り算なら、割り勘以外にも使えますしね。
そして、計算結果は「=」を押したときに次の画面に移動して表示するようにしました。
電卓画面の上側に計算結果が逐次表示されるのが普通ですけど、狭い画面を有効に使おうと考えたとき、別画面がいいんじゃないかと思えて、この形に行き着きました。
Apple Watch で計算する場面って、おそらく「ちょっと」計算したいだけだと思うので、そうだとすれば続けてどんどん計算して行ける必要はなくて。きっと「=」を押したらひと呼吸ついてオシマイ。そんな呼吸感に合わせて動作もそこでお終いにしてみたところ、これがけっこう上手くいった気がします。
別画面にすることで、計算結果も小さいながらも広い画面でたっぷり表示することができました。入力中に数字が表示されない不安もありますけど、計算結果の画面で式も表示することで、最終的には払拭されるようにしてあります。
ちなみに電卓画面を強押しすると、フル機能の電卓も選べるようにしてあります。
もう少し面倒な計算がしたいときでも、これに切り替えることで Apple Watch だけで計算を済ませることができるので、必要なときにはきっと便利に使えると思います。こちらも、計算結果を出すには画面が小さいので、次の画面で計算結果が表示されるようになっています。
この電卓はグランスでも計算結果を確認できます。
コンセプトが「割勘電卓」なので、計算した後で「いくらだっけ?」と聞かれたときにすぐに確認できるように用意しました。数字をちょっとメモしておきたい場面にも意外と便利な気がします。
そんな感じでちょっとこだわって作ってみたので、よろしければ試しに使ってみてください。
FastCheckin
実に Apple Watch らしいなと思えたのが「FastCheckin」というアプリです。
自分の居る近くにあるスポットを検索したり、スポットにチェックインして居場所を共有できる Foursquare というサービスを手元の Apple Watch で操作できます。
Foursquare の性質上、屋外で移動中に使うことが多いと思うので、そんなときに iPhone を鞄から取り出さなくても、手元の Apple Watch でさくっとスポットを表示して、チェックインできるのがとても便利です。
願わくば、このアプリからスポットの場所も表示できたらいいのになとも思ったんですけど、自分はあまり Foursquare を使ってこなかったので、本来のコンセプト的には現在の仕様でちょうど良いのかもわかりません。
PictCheck
もうひとつ、Apple Watch と相性が良さそうなアプリに「PictCheck」というのがありました。
このアプリは iPhone でチェックリストを作っておけば、あとはそれをタップするだけで簡単にチェックの ON/OFF ができるという、持ち物や買い物のチェックリストを簡単に作れます。チェックリストの項目は、写真でも文字でも、どちらでも登録できるようになっていて、写真だとパッと見るだけで分かって便利です。
グループで分けて登録できるので「学校の持ち物」とか「塾の持ち物」みたいに分けて管理も簡単なので、普段の生活でとても重宝します。
そんなチェックリストの確認や ON/OFF を Apple Watch からも行えます。
チェックはすぐに連動するので、iPhone でも Apple Watch でも、時と場合で使いやすい方を見ればいいのが良い感じです。身支度とかを iPhone 片手にするのが意外としんどいときってあるので、そんなときにこのアプリと Apple Watch が威力を発揮してくれそうです。
まとめ
Apple Watch が手元に届いて1週間、使い心地を試してみてましたけれど、全体的に見るとなかなか便利なデバイスのように感じました。
ソフトウェアは時間とともに(使う側から見れば)自然と改良されて行くので、OS も含めて Apple Watch に馴染んで行くのもきっと時間の問題でしょう。ハードウェアは動きがとても心地良く操作できる印象なので、とりあえず今後 OS のアップデートで動作が重くなったりしない限りは十分役に立ってくれそうです。
利点はやっぱり安心感
何よりいちばん嬉しかったのは Apple Watch で得られる安心感でした。
Apple Watch が届くまでは、Apple Watch には単純に『わざわざ iPhone 6 Plus を取り出すことなく途中経路を確認したりツイッターで連絡を取り合えること』に期待してましたけど、実際はそれだけでなく、外出中でもそうでなくても iPhone を気にする気分的な負担がずいぶん減ったと感じるところが嬉しいところです。
窺える評判はまちまち
Apple Watch を良いと見るか悪いと見るかは、人によってずいぶん違うみたいですね。
自分の周りの iPhone アプリ制作者な方々が(賛否はまちまちながらも)飛びつく様子はお馴染みなところとして、そうでない身近の普通な人たちに興味があるか尋ねてみたら「興味ある!」と即答されたり、最初はぜんぜん関心がなくても貸して使ってもらってみたら便利だったと言って嬉しそうに注文してたりと、魅力を感じている人も見受けられました。
反面、iPhone 界隈で有名な AppBank が Apple Watch の発売と合わせて対応アプリの特集とかを組まれるのかなと期待をしていたんですが、まったく静かだったりして、評判は窺い知れないところでした。
これからがさらに楽しみ
たしかに Apple Watch は登場したばかりでアプリもまだまだ途上中なことは確かなので、アプリ制作者にはどんどん Apple Watch ならではのアプリを生み出してもらって、Apple Watch にもっと活気が溢れてくれたらとても嬉しいところです。
今はほとんど何もできない印象…とまでは自分はあまり感じないですけど、これからもっと工夫を重ねていろんなことが腕の中で自由にできるようになったら、もっともっと可能性が広がりそうで楽しみです。