風
空気の流れを「風
」といい、風向
と風速
で表します。
風は気圧の高い方から気圧の低い方に向かって
吹き、その気圧の差(気圧傾度
)が大きいほど、つまり等圧線の間隔が狭いほど風は強く
なります。
風向
風向
は、風が吹いてくる方向で表現 します。たとえば、北から南に向かって吹く風を「北風」 といいます。
風向は 360°
を 16 個に等分して表現し、北から時計回りに「北
」→「北北東
」→「北東
」→「東北東
」→「東北東
」
→「東
」→「東南東
」
→「南東
」→「南南東
」→「南
」→「南南西
」→「南西
」→「西南西
」→「西
」→「西北西
」→「北西
」→「北北西
」と巡って一周します。
波は来たりて、風 遠ざかる。風向は "風が吹いてくる方向"であるのに対して、流向は "波が流れていく方向" であることに注意します。
風向の 16 等分表記については、東西南北それぞれにピッタリのときは「東」などそれぞれ1文字で、北と東のちょうど間などでは「北東」のようにそれぞれを組み合わせた二文字で表します。北と東の間(北東)だけれど "東寄り" みたいなときは「東北東」のように、寄り気味の方角を頭に加えた三文字で表現します。
風速
風速は、空気が 1 秒間に移動する距離を「メートル毎秒 (m/s)」で
表します。風速は常に変化するため 10 分間の平均速度
で表すのが一般的で、その平均速度の中での最大値を「最大風速」といいます。また、3 秒間の平均速度で表したものを「瞬間風速
」といい、観測時間中で最も強く吹いたときの瞬間風速を「最大瞬間風速」といいます。
気象庁風力階級表
風力は、気象庁風力階級
によって 0 から 12 までの 13 階級 に分類されています。
日本では「風力 5」のように数字で表現し、名称は公式には用いられません。小型ボートの場合、風力 4 以上での航行は避けるべき とも言われます。風力 7 は「海上風警報」に相当、風力 8 〜 9 は「海上強風警報」に相当、風力 10 〜 12 は「海上暴風警報」に相当します。また、風力 12 は「海上台風警報」に相当します。風力 0 のような、風が止んで波が穏やかな状況のことを「凪
」といいます。
風力階級の「相当風速」の数値は規則性がなく、名称および陸上や海上の様子も抽象的で覚えるのは難しいため、ここでは「13 個に分類された風力階級があること」と「小型船舶は、風力 4 以上での航行は避けるべきと言われていること」をおさえておくと良いかもしれません。
風表と風裏
風が吹いてきて当たる場所のことを「風表
」といい、風が陸地などによって遮られて当たらない場所のことを「風裏
」といいます。
風速が同じでも、風表では風が吹いて波が高くなったり、風裏では風が遮られて波が穏やかになったりするなど、風向や周囲の地形で海上の状態が変わる ため、小型船舶で航行する際は、風力階級はあくまでも目安として、無理をしないことが肝心になります。
釣りなどで風裏に停泊しているうちに周辺の風が強くなっていてもそれに気づけずに、帰港を始めて風表に出た途端に高い波が押し寄せて航行困難になることもあるので、風が強まる予報が出ているときは風向と地形も加味して行動することも大切になります。陸地に入り込んだ形になっている湾
や大きな島が沖にある海域では、風向によっては風速が高くてもその影響を受けずに航行できることもあります。
突風
積乱雲
などに伴って起こる、瞬時に吹く強風のことを「突風
」といいます。この現象は、熱帯低気圧(台風
)や勢力の強い温帯低気圧が接近しているときや、寒冷前線
が接近しているとき、周辺の傾圧
が高まっているとき(天気図で等圧線の間隔が狭くなっているとき)などに起こりやすくなります。
海陸風
夏の日の海岸近くで、昼間は海から
陸に、夜間は陸から
海に、弱い風が吹くことがあります。これを「海陸風
」といいます。
これは、海と陸との気温差によって生じる局地的な風で、日中は陸上が暖まりやすく、陸上の気圧が低くなって陸へと風が流れます。夜になると陸上が冷えてくるのに対して海は冷めにくく、陸上の気圧が高くなって海へと風が流れます。日本では、日差しの強い夏の沿岸部で顕著にみられます。
風が入れ替わるときには、ほぼ無風状態になり、朝方に起こるものを朝凪
といい、夕方に起こるものを夕凪
といいます。