iOSDC 2017 で "表現の場" としてブース出展を選んでみました。

カンファレンス

自分の理想を表現したくて iOSDC 2017 にブース出展してきました。

不思議なもので、つい先日までつらい記憶に苦められていたはずなのに、今に思えば機会を全うできたかなって思える、嬉しい時間になっていました。


後日に開催された 俺コン の懇親会で、iOSDC 実行委員長 長谷川さん とお話しする機会に恵まれて。

そのとき彼から 熊谷さんのトーク、前夜祭に向いてると思って採択したかったけれど "前夜祭" にチェックが入ってなくて、出来なかった…! と聞かせてもらって、あそこで チェックを入れなくて本当に良かった って思った。言い換えるなら、チェックをつける欄を用意してくれて本当に良かった。もしあの日、あそこにチェックを入れていたら、これから綴る体験は、出来なかったはずだから。

iOSDC JAPAN 2017

記憶はだいぶ揺らぐのですけど、自分は からの 2 日間、日本最大級の iOS デベロッパーのためのカンファレンス iOSDC Japan 2017 に主に スポンサーブース 枠で参加してきました。 いちおう一般参加でもあるのですけど、ほとんど全ての時間をブースの中で過ごしていました。

俺コン

ちなみに、冒頭で触れた 俺コン というのは、松館さん を筆頭に(と、自分は認識している)カンファレンスに分類されると思われる勉強会です。 iOSDC JAPAN 2017 で採択から漏れたトークの中から、主催陣の Swift 愛好会iOS Test NightAKIBA.swiftfastlane 勉強会Kyobashi.swift松館大輝さん のそれぞれが、それぞれの想いを乗せてトークを選び、その本人に直接お願いすることで成り立っているカンファレンスと聞いています。

もちろんトーク内容も大きなウェイトを占めているとは思うのですけど 意識が "人" へと向いている感じがする の、そういうところがとってもいいなと、個人的には感じました。

プロポーザル

iOSDC は、トークを一般から公募する方式を採っていて、自分も前回の iOSDC 2016 に応募して話をした経験もあって、今回もせっかくだからと思って申し込んでみたのですけれど、今回は採択には至りませんでした。

まずはそんなプロポーザルを描く中で、感じたことを綴ってみます。

自分が伝えたいものは何か

このところの自分の関心どころとして プログラミングの楽しさを伝えたい というのが大きくありました。

たしかどこかで 採択されるにはたくさんのプロポーザルを提出することが大事 みたいに聞いたような気がするのですけど、昨年に自分は、いちばん思い入れの深かったトークが落選して苦い思いをした記憶が強くて、今回は できるだけたくさんの人に、本当に伝えたいものだけに焦点を絞って 応募することにしました。

いちばん伝えたかったこと

そう思って考えた末に思い浮かんだのが 技術系同人誌を書こう! というプロポーザルでした。

プログラミング系の技術畑が向かう先の未来に 技術系同人誌 があるような気がして、そんな世界をみんなにも知って欲しい、知ってくれる人が増えればそちらの世界の広がりも加速する、そう願って応募しました。

もうひとつの…伝えたかったこと

技術系同人誌の話に懸けるつもりでいたのですけど、間も無くしてもうひとつ、多くの人に伝えておきたい気持ちを抑えられなくなって Protocol-Oriented Integers に想うジェネリックプログラミングの未来 も提出しました。

伝えたかったこととしては、Swift 4 で登場した Protocol-Oriented Integers を眺めていたら、未来が大きく変わる気がして、そんな想いをみんなと共有したかったのと、今ってなんとなく『ジェネリクスは難しい』と思われている世の中に感じていて、そんな未来を迎えるためにも、特に入門して間もない人にも ジェネリクスを基礎的なものとして受け入れて欲しい みたいな想いがありました。

望むのは、主要2日間だけ

どちらも伝えたい想いの強いものだったので どちらが選ばれても後悔することはない はず、そう思って提出することに決めました。これ以外にも伝えたいことはいくつか思い浮かんだのですけど、これ以上、自分の伝えたいこと同士で競わせたくはなかったので、今回はこの 2 つで打ち止めです。

そんな思い入れで選んだテーマ、伝えるなら ちゃんとまっすぐ伝えたかった から、前夜祭を対象から外して、主要 2 日間だけに絞って提出しました。冒頭でも触れましたけど、のちに代表の長谷川さんから 前夜祭なら通ってた という話を聞いて、ここの選択は 少なくとも自分の中では正しかったかな って、おかげさまで、思うことができました。

さらに、もうひとつの伝えたかったこと

プロポーザルとして提出したのはそんな 2 つだけだったのですけど、実のところもうひとつ みんなに伝えたいなって、強く思うもの がありました。

それは『プログラミングの楽しさを伝える』ということ。自分は、プログラミングに大切なのって "技術" よりも "楽しさ" なのかなって思うところがあって。楽しさがあれば、技術は後からでも身につくように思うのですよね。それを自分の勉強会 みんなで Swift 復習会 で少しは描けているような気がして、それを iOSDC という舞台で描けないか と、思い描いてしまったのでした。

とはいえ、この復習会は 談笑形式 の勉強会で、自分ひとりで話すとはいえ、理想は 2 時間、最低でも 1 時間はないと成り立たないから、プロポーザルとして計画するにはぜんぜん時間が足りなくて。

無理を承知で、実行委員長の長谷川さんに相談してみるも、やはりなかなか実現性は難しく。それでも、いろいろ案を練ってくださって、iOSDC が完全に閉幕する 2 日目の夜に、アフターパーティー的な会として開いてみるのはどうかと提案してくださいました。自分に限らず広くみんなにも声をかけて、終わった後も盛り上げようと。iOSDC としても公式告知でバックアップしてくれるそうで、これなら自分を特別扱いしなくて済むし、自分の色も存分に出せそうで とっても見事な提案 に感じました。

それから、事はブース出展へ

そのつもりで、みんなで Swift 復習会の特別会の準備を進めていたのですけど、最終的な iOSDC 側が示した最終日の日程に 予定変更を迫られ ます。

完全閉会時間が、当初に聞いていたよりも 1 時間遅くなったのと、そのあとの夜遅くから公式の夜のパーティーが開催されることに決まったそうで、それらを踏まえて考えてみると、与えられた時間はごくわずかでした。しかもちょうど、ゆっくり食事を楽しむような時間帯。自分の中で、勉強会で食事を出すのは何かが違う気がしているので、そうなると与えられた時間は、自分にとってはもはやゼロに等しい感じでした。

そんな中で、どうしたら自分のイメージする『プログラミングの楽しさを伝える』を伝えることができるのか、計画をいったんリセットして考え直していたとき、そういえばツイッターで見たひとつの呟きを思い出します。

そんな手が…あるのか? そう思いながら、おそるおそるスポンサーの資料請求をしてみたのが iOSDC 開催の 11 日前 でした。

そんな急であるにもかかわらず、幸いなことに 1 つだけブースに空きがあって、数日ほど悩んだんですけど、この まるで残しておいてくれたみたいな機会を逃したらずっと後悔しそう だったので、お願いすることにしました。

間近とあって、条件として『パンフレット、スポンサー紹介ビデオへのスポンサー名表示が不要なら』とのことでしたけど、そういうのは特に興味がなかったから むしろ好都合かな って思ったりしながらも、無事にブーススポンサー枠を獲得することができました。

そして、悩める日々の始まりへ

こういう感情に人は "後悔" という言葉を当てるのかな?

そうやってブース出展を決めて、今年の iOSDC は 僅かな時間を除いて、ブース出展に専念することになった 訳ですけれど、これが想像以上に後へと引きずることになったのでした。けれども未来の自分のために、今回はそんなお話を綴っておこうと思います。

何を出展しよう?

ブース出展するにあたって、そもそもそれを思い立った動機の一つに、以前に別のカンファレンスで友達が せっかくエンジニアの集まる会社が開いているブースで、グッズをとかを配るだけなの、もったいない みたいに言っていたのが心に残っていたのがありました。

自分もその日のカンファレンスに大きな物足りなさを強く感じていて もし次に機会があったらブースで Swift Lab みたいなことをしたい と思っていたことが、今回の 決断を大きく後押し しました。 ただ今回はあの日とは違って、自分の伝えたいものが新しく1つできていたので、まずはそれを開くことを考えました。

それは 技術系同人誌即売会、プロポーザルで真っ先に提案した いちばん伝えたかった世界 です。

同人誌即売会って、慣れてしまえば普通に行ける世界と自分は思ってるのですけど、初めての人にとってはなかなか得体の知れない世界かも知れない。それなら いちど同人誌即売会を体験してもらえれば もしかして次から普通にいろんな技術系同人誌即売会の会場へ足を運んでくれるかも知れない。

そう思って、与えられたブースの中で 同人誌即売会を本気で開催してみる ことに決めました。

Swift Lab も捨てがたく

そうは決めても、こういう iOS のカンファレンスでブースを持つのは、なかなか何度もできることではないと思って、そうしたら やっぱり Swift Lab もやってみたい と思って止まなくなりました。

ちなみに Swift Lab というのは、以前に WWDC16 を訪れた時に体験してすっかり気に入った ”エンジニアに Swift の疑問を投げかけて一緒に相談できる場所" のことです。今回はそれを模して、Swift 言語について一緒に談笑できるブースを設けて ほんのわずかでも WWDC の Swift Lab の楽しさを体験してもらえたら という願いを込めて。

同人誌即売会に加えて Swift Lab と、ひとりで両方やるのは身が足りるのか心配でしたけど、両方を行うことに決めました。 この決断が iOSDC が終わった後まで、心に重くのしかかってくる ことになった訳ですけれど。

WWDC16 を訪れたときの話は こちら に記してあります。

出展内容、決定

出展内容は、これまでに作って手元に在庫のあった 技術系同人誌 4 種類 の即売会をメインでやることにしました。

こういう場所で同人誌即売会をするのは初めてだし、何より開催直前すぎて宣伝もしてないから まさか iOSDC で同人誌即売会が開かれるとは誰も夢にも思わない はず。もしかすると閑古鳥が鳴いて手が空くかも知れないから、諦め難かった Swift Lab もそこを狙って開けるかも知れない。 最低でも 2日目のお昼だけでも開けるように、ネットラジオ 熊谷と繪面がプログラミングコードの内から聴こえてくる声に耳を傾けて楽しむラジオ でご一緒している 繪面さん にお願いをして、同時開催してみることに決めました。

iOSDC 出展

そうして迎えた iOSDC 当日、結果はいちおう何も失敗してないはずなのに 心に傷を負う結果 となりました。

あまりにつらい思いが強すぎて、iOSDC が終わってからもしばらくの間、すっかり 記憶が絶望的 になってたのですけど、いろいろあって少し落ち着いて、今にこうして綴ってみると、良いこともあった…というか総合的にけっこうよかったんじゃないかって思えるようになりました。ともあれそんな絶望的な心境も踏まえて、出展の記憶、綴っておこうと思います。

前夜祭

ブース出展は 1 日目と 2 日目に焦点を当てて開催することにしていて、持ち込むものが多かったから、前夜祭の日は搬入のための時間に しました。

前夜祭当日は iOSDC のための準備合宿として 堤さん森本さん などなどと一緒に京都に居たので、早めに京都を出発して、横浜市内の自宅に寄り、そこから会場まで車で機材を運びました。 しかし、京都から自宅までが思いの外遠かったのと、自宅から会場までの道路も混雑していて所要時間 1 時間の予定が ゆうに 3 時間 かかり、会場閉鎖の数十分前になんとか到着。

スタッフさんの好意で少し長く居させてもらい、慌てて機材だけ搬入して当日終了、望みを 1 日目に託します。

そして迎えた 1 日目

プチ同人誌即売会はこれで 5 度目だったから、それなりに手際よく準備は進みました。プチ Swift Lab の準備もあって時間はかかり、結局のところしっかり準備が完了したのは午前 11 時を過ぎたくらいになりましたけれど。

そんな準備をしている最中から 同人誌即売会にはたくさんの人が来てくれて、本を手に取ってくれたのがとても嬉しかった です。 願わくば、ブース準備開始時間を一般来場者と同じではなく、それより 1, 2 時間ほど早くしてもらえたらよかったかな。

プチ同人誌即売会は、大盛況

さすがにセッションが始まれば一足はパタリと止むものの、合間になると人が常に集まってくれてうれしい悲鳴、とてもとても Swift Lab を開く余裕はありませんでした。お昼休みこそ、とても賑わってくれて、お昼ご飯もほどほどに 足を運んでくれたみんなとずっと楽しく話せていた のは、とても嬉しいひとときでした。

途中 1 つだけ、セッションを聴きにブースを離れたのですけど、その間もお隣でブースを開いていた 今城さん が留守中もきてくれた人の相手をしてくださって、おかげさまで良い感じに開催を進めることができました。

ところで、なるほど。この後に経験する絶望に包まれてすっかり記憶の彼方でしたけど、今こうやって綴ってみると 絶好のスタート を切っていたようです。

プチ Swift Lab も、やりたい

そんな感じで良い感じにできていたのですけど、やっぱり Swift Lab もやりたい。

人が途切れる気配はないけれど、ブースを開いていられる時間っていつまでだろう。そう思って調べてみると、なんと 懇親会の時間中もブースの時間として居られる ことに気がつきました。懇親会の時間ならもしかして、セッションの合間の休憩と違って人もまばらになるかもしれない、そうだとしたら Swift Lab をメインで開いて良いかもしれない。

そう思って、懇親会の時間を Swift Lab に当てたのですけど、これがこれが 想像をたやすく絶するくらいに つらかった。

懇親会の時間、ブースエリアから 本気で人が消える のね。そこに居るのは正真正銘、自分 1 人だけ。そして壁を隔てた扉の向こうには それはそれは楽しそうな世界が広がって いて。そんな場所に 5 分くらい立たずむだけでも 心に深手を負うには充分 でした。何度 手元のリストバンドを身につけて、あの扉の向こうに行こうと思った ことか。けれども 意地でも行くものか と、頑なに拒む自分の信念と必死に葛藤しながら。

途中、懇親会に参加しにきた友人が自分を見つけてくれて、そんな姿勢を讃えてくれた言葉を支えにひとり Playground と戯れながら。 それからしばらくして、かつて Hamamatsu.swift でお世話になった Licht さん が自分の存在を見つけてくれて、話を聞きに留まってくれたおかげで、そこから知り合いの輪ができ始め、なんとかそれなりの Swift Lab の形を結び始めました。

この当時は『扉の向こうに行っていたらきっと楽しかったと思うけれど、そうしなくてよかったって、言い聞かせるように思ってました。自分の中にちゃんと昇華するにはもう少し時間が必要そうって思ってましたけど、こうしてブログに綴っていたら、不思議ともう『行かなくてよかった』って素直に思えるくらいになりました。ずっと Lab をやっててよかった、と今だからこそ思える。

もう少し Lab っぽくしたい

自分が Swift Lab で感じた良さのひとつに 訪れた人自身が疑問を投げかけて、それについて楽しく語らえる場所 というのがありました。

今回の Swift Lab も、そういうのを描いて体験をして欲しいと願って始めたのですけど、たしかに急に質問を投げかけるのって難しい。僕自身が Swift の楽しいところを紹介するのがメインな感じになってしまって、話していて楽しいながらも、もどかしさを抱えるところでもありました。

明日のお昼には繪面さんが来てくれるかもしれないからぜひ来てね!って伝えてみても、ラジオのイメージが強いのか、僕ら 2 人の Swift 談義を想像して楽しみにしてくれて、そこにちょっと気持ちのズレを感じてみたり。それはそれで嬉しいけれども、せっかく繪面さんが居たら難しい質問も有意義に談義できる、またとない場所になるはずなのに。ついついそう思ってしまって、楽しさ半分、もどかしさ半分、そんな心地で Swift Lab を過ごしてました。

そんな想いも、今になってブログを綴りながら振り返ってみれば、本当に質問を探し出すのも難しいし、そもそも Swift Lab 自体が初めての体験、僕自身も趣旨をちゃんと告知できていたかといえばそうでもないから、もしかしてそれで自然だったのかもしれないですね。このカンファレンスという場所において Swift の談義をする場所はたしかに提供できたし、イメージ通りの Lab も最後に体験することができたので、気に悩む必要なんて何もなかったのかもしれないなって、たった今なら感じられますけれど、当日はほんと、不思議なまでにつらかったです。

初日、おしまい

そうして遊んでいるうちに、懇親会もいつしか無事に終わったみたいで。帰り際に自分たちを見つけては そんな楽しそうなことしてたの!? って声をかけてくれる友達がいて、気持ち救われてみたりしながら。退出時間ギリギリまで、みんなと一緒に Playground で遊んでました。

落ち着いて、いったん片付け終わって、会場を離れたのが 23:00 の少し前。実はこの日の朝も道が渋滞していて 3 時間以上かかっていたから、これから帰って、もし明日も同じように混んだとしたら。そう思ったら 明日の開場時間に間に合う気がしなかった ので、急遽、会場から車で 10 分ほどのところに宿泊して。軽く食事だけ済ませてこの日は休むことにしました。

ところで翌日の気がかりに、お昼の Swift Lab がありました。限られた短い時間の中で、忙しさの合間を縫って来てくれる繪面さんと、集うみんなに 有意義な時間を過ごしてもらうには どうしたらいいか。この日に覚えた "気持ちのズレ" も相まって不安なところでしたけど、とりあえず今日と同じように自分が主導で話題を探して、繪面さんがいるからこそ聞けるような話に導いて行ったら、みんなにとって貴重な時間になってくれないかな…って、そんなことを願いながら。

そして迎えた最終日

そして翌日。近くに宿泊したにもかかわらず、なぜか 到着が開場時間ぎりぎり で、急いで準備開始です。フリードリンクには助けられました。

前日に同人誌の在庫がだいぶ少なくなったので、この日はお昼も含めてそれ以外でも Swift Lab を並行開催できるかな? って思って、Lab 用のスペースを広く作ることにしました。 準備が整ったのはやっぱり 11:00 くらい、お昼には繪面さんも Lab に参戦、それに合わせて来てくれる人もいて、おかげさまで Swift Lab を無事に開催できました。

ただ、お昼の合間の短い時間、自分が無理に流れを作ろうとしてしまったのか、少し無理があったみたいで、歯車の噛みあわせを調整しながら。周りの様子を伺うのに必死であまりよく覚えていないのですけど、たぶん無事に終わったはず。話題もそれなりに良い感じになっていたんじゃなかったでしたっけ。そして同時に幾つかの哀しみを感じてたようにも思います。

終わってみれば、限られた状況の中で Swift Lab を形にできたのかなって思うところです。こうして iOSDC 会期中の 自分が写った唯一の公式写真 も残されていて、眺めていると思うところはいろいろありますけれど、自分にとっては ある意味唯一の iOSDC 本体と交差する時間 だったのかもしれません。

同人誌は完売、Lab は理想へ

セッションの始まりとともに、いったん同人誌即売会の時間に落ち着き、それからいつしか 再び Swift Lab の時間 になって。 和泉田さん が Lab のひと側として自主参戦してくれたときからでしたっけ、当時は苦しみもがいていて記憶はすっかり曖昧ですけど、そこから学生さんが シングルトンに関する疑問を持ってきてくれて、ここにきてまさに 自分の想い描く Swift Lab らしさ を感じられて。

ちょうど和泉田さんがいたのも相まって、シングルトンから DI の話になり、とても有意義な時間になったように感じます。そんな彼らは LT の時間も Swift Lab にいれくれて、iOSDC が終わるまでの間、そして終わってからも LT タイムから戻ってきたみんなを巻き込んで 許される時間ぎりぎりまで 楽しむことができました。

その時はもう自分の気持ちがいっぱいいっぱいで "つらさの中のせめてもの最後の救い" みたいな感覚でしたけど、終わってこうして綴ってみれば、すごくよかったなって思えるようになっていました。有終の美を飾ってくれて、本当にありがとうございました。

同人誌即売会と Lab の両立は、ひとりでは困難

そんな中でいちばん強く思ったことは、やっぱり ひとりでは同人誌即売会と Lab の両立は不可能に近い ということでした。

プチ同人誌即売会が絶好調だったのもあるとは思うのですけど、即売会中に Swift 談義をするのは到底不可能でした。逆に Swift Lab を中心に動いているときは、同人誌即売会の方に関心を向けてくれた人に声をかけることもできないし、本について尋ねられれば Swift Lab から途中でも離れざるを得ないところで。何よりもそうやって、どちらにも 中途半端にしか相手をできない現実に 哀しさを覚えて、それが何よりつらいところでした。

現実的なところとしても、プチ同人誌即売会に専念しているときの方が、Swift Lab に専念しているときと比べて、圧倒的に本の売れ行きが良かったりして、やっぱり 気にかけることの効果は、想像以上に大きい なって、実感として覚えるところでした。

片付けた最後に撮った写真

全てが終わってみんな帰って、自分のブースを片付けていたら、友達が助けに集まってきてくれて。あっという間に片付けも終わって、最後に残ったスタッフのみんなが一緒に記念撮影してくれました。今に思えばこの写真が、自分が iOSDC で楽しく寛いでいた唯一の時間、そして唯一の写真だったかもしれません。そんな訳で不思議なメンバー揃い踏みな、記念の写真になりました。

iOSDC の記憶がない

そんな感じで(当時は)苦しみの末に iOSDC を遂げましたけど、思いがけず ここから特につらい日々を迎える ことになりました。

というのも iOSDC そのものの記憶が まったくと言っていいほどなかった のですよね。唯一、ひとつだけセッションを観ていたおかげで カジュアルな雰囲気の Track B の景色 だけは記憶に残ったのですけど、それ以外はもはやブースから見える景色が全てでした。

自分が知っている iOSDC の景色は、原則これで 全て です。

周りの声から察するに ものすごく楽しかったみたい なのですけど、それがまったく実感なくて。その後に公開された公式の写真も、まるで自分がそこには居なかったみたいに、もはや 99.9% 以上が自分の見たことのない景色。たぶん自分は、誰も居なくなった 1 日目の懇親会の時間にすっかり支配されて しまって、そんな想いにずっと苛まれていたのかもしれません。

そんな渦中は気持ちがもはや真っ暗で、どこかのタイミングで繪面さんが掛けてくれた「セッションの合間で移動する時、ブースにいつも人がいてすごいなーって思いながら見てた」という言葉が、かろうじて自分の存在を繋ぎとめてくれていました。

ほんと、自分には目の前の景色しか認識できなかったから、目の前以外の人からも自分の存在が認識されていたという事実は、自分にとって想像以上に大きなものに感じられました。

そんな気持ちで、当時はついつい写真を直視するのもできないくらいだったりして、このブログを綴り始めるまでは、見る自信がまだなかったりしたのですけど、綴っていると気持ちも整理がついてくるみたいで、やっと普通に眺められる余裕が持てていました。

俺コンに救われる

今にこうして綴っていれば なんでそんなに深刻だったんだろう? って不思議と思ってしまいますけど、それまではほんとにずっと引きずっていて、そこから解放へと急速に向かわせてくれたのは に開催された、いちおう iOSDC の派生イベント 俺コン Vol.1 / Day. 2 でした。

カンファレンスの景色さえもが、もはや 初めて見る光景 で。

今となっては iOSDC の深刻な悩みから解放されてしまったせいか、なんでそう感じたのだったかすっかり忘れてしまったんですけど、この日を境に自分の iOSDC JAPAN 2017 が動き出すような気がして。そんな予感を信じて、舞台に立てる機会を与えてくれた 松館さん に謝辞をしたため、臨んだ登壇の時。

ついつい力みすぎてしまって、いつものようにみんなに向かって笑いかけられなかったのが心残りではありますけれど、とりあえず、無事に役目を終えられて。

懇親会

そして迎えた懇親会で、やっと 自分が見たかった景色に出会えたような心地 がしました。

知り合いがたくさんいる世界、そして自分が題材にした Protocol-Oriented Integers についてたっぷり好きに語らえる世界。きっと 1 時間くらいの短い時間だったと思うのですけど、ものすごく長い時間に感じて、みんなと気ままに楽しむ時間を 存分に満喫 できました。

そんな自分にとって特に大事な機会になったのは、iOSDC 実行委員長の 長谷川さん が懇親会で掛けてくれた言葉でした。

このブログの冒頭でも触れましたけど、長谷川さんからの 熊谷さんのトーク、前夜祭に向いてると思って採択したかったけれど "前夜祭" にチェックが入ってなくて、出来なかった という言葉を聞いて、なぜか 全てが報われたような 心地がしたんですよね。

しかしほんと、もしもあそこで前夜祭トークとして受かっていたら、それこそ伝えたい思いも中途半端のまま、ブース出展することだって当然のようになかったわけだから、あの日の選択は間違ってなかったなって思うと同時に、今回のブース出展も間違ってなかったのかなって、思えたのかもわかりません。 なんにしても、こうして今にブログを綴ってみていて、プチ同人誌即売会も、プチ Swift Lab も、両方やって良かったなって思える ようになるのだから、なんとも不思議なものですね。

iOSDC つらかった

そんなわけで iOSDC JAPAN 2017 は、超つらかった。

そしてこうして振り返ってみれば ほんとに楽しかったなって 思えたりして、そんなところが嘘みたいでとっても不思議。昨年の iOSDC 2016 とはぜんぜん違う景色でしたけど、自分だけしか体験してない景色として、たった今から将来の素敵な思い出になってくれそうです。ブース出展、やって良かった。

改めて、ブースに立ち寄ってくれたみなさま、運営スタッフのみなさま、実行委員会のみなさま、実行委員長の長谷川さま。そして、ブースの手伝いを引き受けてくれた繪面さん、思いがけない大事な機会を他ならない信念でもたらしてくれた松舘さん。貴重な機会を届けてくれて、ありがとうございました。

そして、伝えたかったこと

最後に、採択されなかったプロポーザルで話したかったことを綴って、今回のブログを終わりにしようと思います。

技術系同人誌を書こう!

プログラミング系の技術畑が向かう先の未来に 技術系同人誌 があるような気がして、そんな世界をみんなにも知って欲しい、知ってくれる人が増えればそちらの世界の広がりも加速するかも、そう願って応募したトーク。

iOSDC の舞台のために描いていたイメージとは大きく違ってくるのですけど、後日、このテーマに近い題材で Swift 愛好会iPhone Dev Sapporo で発表してきたので、その時の資料をここに添付しておきます。

技術系同人誌を書こう #love_swift #devsap from Tomohiro Kumagai

Protocol-Oriented Integers に想うジェネリックプログラミングの未来

Swift 4 で登場した Protocol-Oriented Integers を眺めていたら、未来が大きく変わる気がして、そんな想いをみんなと共有したかったのと、今ってなんとなく『ジェネリクスは難しい』と思われている世の中に感じていて、そんな未来を迎えるためにも、特に入門して間もない人にも ジェネリクスを基礎的なものとして受け入れて欲しい みたいな想いを伝えたくて応募したトーク。

そんな想いをうまく表現しきれなかった感はありますけれど、このテーマに近い題材で 俺コン Vol.1 / Day. 2 で話す機会を頂けたので、その時の資料をここに添付しておきます。

Protocol-Oriented Integers に想うジェネリックプログラミングの未来 from Tomohiro Kumagai

ちなみに Protocol-Oriented Integers そのものについては、幾らか前に カジュアル Swift 勉強会 で話した資料があるので添付しておきます。具体的なことを知りたい場合はこちらをご覧ください。

Protocol-Oriented Integers #cswift from Tomohiro Kumagai

これで、伝えたかったことは全てです。どうもありがとうございました。