ハードウェアレポート
Storage Device
RAID 機能付き HDD ケース Century CRTS35EU3RS6G を使ってみる。
これまで使用していたRAID 機能付きのハードディスクケースcorega CG-HDC2EU3100 が故障したかもしれない感じだったので、同じような機能を持ったハードディスクケースCENTURY CRTS35EU3RS6G に交換してみることにしました。
実際のところ、以前に使っていたcorega CG-HDC2EU3100 が故障したわけではなく、どうやら PC のマザーボードの方の故障だった様子ですが。
CENTURY CRTS35EU3RS6G の機能
今回のCENTURY CRTS35EU3RS6G は、以前に使っていたものと同様、2 つのハードディスク を内蔵できるようになっていて、次の動作モードを使って運用できるようになっています。
動作モード | 用途 |
---|---|
スタンダード | それぞれのディスクを通常通り 2 台として利用する動作モードです。 |
ストライピング | RAID 0 と呼ばれるモードです。ふたつのディスクを 1 台の大容量なドライブとして利用する動作モードです。2 台を同時に読み書きすることで、高速なディスクアクセスを可能にします。 |
ミラーリング | RAID 1 と呼ばれるモードです。ふたつのディスクに同じデータを記録する動作モードです。片方のディスクが故障してもデータを失わずに済みます。 |
コンバイン | ふたつのディスクを 1 台の大容量なドライブとして利用する動作モードです。単純に大容量ディスクとして使いたいときに利用するもので、ストライピングのような速度向上は図られないそうです。 |
今回はこのうちのミラーリング で、ディスクの故障からデータを保護するために使用します。
また、今回のケースは規格速度640MB/s のUSB 3.0 に対応しています。以前のケースは規格速度60MB/s のUSB 2.0 までしか対応していなかったため、大幅な速度アップが期待できます。
今回のも前回のも、規格速度384MB/s または768MB/s のeSATA での接続にも対応していますが、eSATA での接続に対応した PC というのは敢えて用意しないとなかなかないため、今ならほぼ標準搭載されているUSB 3.0 がやっぱり使いやすく思います。
使用準備の心地はいまいち
さて、そんなCENTURY CRTS35EU3RS6G を購入して使う準備を進めてみましたが、その時の印象としてはすこし不安 な印象でした。
ミラーリング構築時に初期化が必要
この機械は安いRAID 対応ケースの部類に入るので、このくらいの性能で当然なのかもしれないですが、いちばん不安に感じたことはスタンダードモード での準備を除き、モード設定時にディスクの初期化が必要というところでした。
ふたつのドライブに同じデータを書き込むミラーリングモード も同様で、初めてミラーリング用として設定するときにはディスクの内容が消去される仕組みになっていました。
つまり「既存のディスクをひとつそのまま使ってミラーを作り、そこに新しいディスクを追加して複製を作る」ということができません。
この製品の説明書にもあるとおり、ふたつのディスクを使って空のミラーリングを作成した上でバックアップからデータをコピーしなくてはいけないため、最初は実質的に最低 3 台のディスクが必要でした。
ミラーリングといってもバックアップは必要なので、無駄ということはないのでしょうけど、ちょっと思わぬコストがかかることを念頭に置いて導入しないと戸惑いそうです。
モード設定の扱いにくさ
これに関連して、なんらかの理由でミラーリングを再構築しようとした時のデータ消失も心配です。
ディスクがひとつ壊れて取り替える分には、壊れた方を抜いて差し替えれば自動で修復してくれるようなのでいいのですが、なんらかの事情でミラーリングを再構築しようとしたときに、うっかり操作を間違えてデータを消失してしまう可能性もないとは言えません。
モードの切り替えはスイッチで切り替えて、リセットボタンを押しながら電源を入れるという流れで変更するようになっているんですが、スイッチのメモリが僅かに曖昧で操作しにくく、初期化も電源投入後にすぐに始まってあっけなくデータが消滅するので、なかなか強い印象です。
注意深く操作すればきっと大丈夫なのでしょうけれど、自分は最初、実験として 1 台のディスクで初期化せずにミラーリングができるか試そうとしたら、スイッチを間違えていてストライピングで初期化してしまいました。
データ保護の目的で用意したRAID 機器で、データの消去が容易に行われるというのは、なかなか致命的な仕様のようにも感じます。
機械的な作りの安さ
あとこの機械はフロントのカバーを倒すことで、ネジを使わずにディスクの抜き差しができるようになっているのですが、この作りがけっこう弱そうな印象でした。
ディスクがしっかり固定されるのは良いのですけど、その分、ディスクを取り外す時に力が必要で、フロントのカバーを倒そうとすると、なんだかカバーが折れそうな気がして、これまでのただ数回のディスクの抜き差しでさえ恐る恐る操作していました。
また、ネジなしで正面から手軽に取り出せるようになってはいますが、ホットスワップには対応していないため、必ず電源を切ってからディスクの抜き差しを行う必要があるようです。
こちらも注意すればなんの問題もないところですが、手軽なために、うっかり電源を落とさずに抜かないように注意が必要です。
使い始めてみた印象
使い始めれば普通な印象
そんなこんなで、扱う上で注意しないと怖いかなと思えるところはあるものの、使い始めればとりあえず不安な感じはしませんでした。
接続もUSB 3.0 のおかげで実用的な速度がしっかり出てくれていて、ひとまず悪くはなさそうです。
ディスクの故障検出には注意
使って行く上で注意しないといけないことは、上記で触れた機械の扱いももちろんですが、他にもディスクが片方故障したときに気づけるように意識しないといけないところでしょう。
もともとこういう安い機械は PC 側で故障を検出して通知するみたいなことができないので、ときどき機械をチェックして故障が検出されていないかランプで知る必要があります。
そんなとき、今までのcorega CG-HDC2EU3100 では赤色の LED が光るのですが、今回のCENTURY CRTS35EU3RS6G はディスクが故障したときに LED が消灯するようになっているそうです。
これだと、知っている人が見ないと故障したことに気づくのはなかなか難しそうです。赤色ならそれを見た誰かがなんか変だよ?
って教えてくれる可能性はありますけど、消灯だとともすると自分さえ気づかないなんていうこともあるかもしれません。
身近に置いて使う人向き
そんなこんなで、今回のCENTURY CRTS35EU3RS6G は、RAID の構築をなるべく安く済ませたくて、ケース自体を身近に置いて自分の目でそれを見ることができる人向けな印象でした。
機械の作りや故障の検出については、これまで使っていたcorega CG-HDC2EU3100 の方が僅かに安心かなとは思うのですが、こちらはなんとなく内部の熱に熱が篭りやすい気がして、それはそれで心配でした。なかなか理想的には行きませんね。