WWDC16 をきっかけに San Francisco を訪れてきました。
カンファレンスと英語圏の体験
天に運を任せるように。
WWDC16 をきっかけにして、初めての海外 San Francisco の地を訪れてきました。
天に運を任せたくなった。
それだけに後押しされて、今回 WWDC16 への申し込みを決めた。もし抽選ではなかったら、申し込んでいなかっただろう。自分はずっと、海外へ行ったら生きて帰ってこれないと思っていた。だから、自分で決めることなどできなかった。
なぜ、わざわざ自ら多大なコストをかけて、自ら身に危険を迫らせてまで、海外へ行かなければいけないのか。申し込んだその瞬間から、腰が重い。そして同時に、このボタンを押したときから、当たる予感はしていた。
ちなみに WWDC16 というのは、Apple が毎年1回開催する開発者向けのカンファレンスだ。 2016 年の 6 月 13 日からの 5 日間、アメリカはカリフォルニア州、サンフランシスコで開催される。この期間、この場所に、世界中から意欲溢れる開発者たちが集結する。
転機
頑なに避けていた海外渡航を "運に任せたくなった" 大きな転機は、間違いなく、その 3 月に開催された try! Swift という Swift 言語の世界的カンファレンスでした。日本は東京、渋谷で開催され、世界中から Swift 愛で溢れる人たちが一堂に会したイベントです。
自分もそこを訪れて、たっぷりと楽しい時間を過ごさせてもらい、たくさんの思い出が心に刻まれました。
初めて感じた、言葉が通じない人と話したい!
そこで自分は、人生初の経験をします。
try! Swift の登壇者の中に hector Matos さん (@allonsykrakenさん ) がいらしたのですけど、その人のスピーチが自分の心を完璧に捉えます。
もともと自分の好きな分野の話だったんですけど、内容はさておき特に興味を持ったのが、少なくとも通訳を通して聞く限り、そこで彼が言ったことに筋の通らなさを感じたからでした。その話題は彼の技術ブログでも丁寧に解説されていたのですけど、それを読んでもそこでの主張とスピーチでの主張とが違っているよう。けれど、だからといってどちらかが間違いとも断言できなさそうで。
というのも、そんなポイントを彼は、自身のブログも紹介しながら何度も強調して忠告したのでした。
完全に自分の想像の域を超えている、どうしても彼から真意を確かめたい、たとえ言葉が通じなくても。
自分はまったく英語の会話ができない自信があるのですけど、それでもやってみたらなんとかなる、かもしれない。そんなことより、とにかく真意の糸口をわずかだけでも掴める可能性があるなら、それでいい。
巡り逢わせのありがたさ、同時に覚える無力感
try! Swift では QA ルーム という、登壇者と直接対話ができる時間が設けられていたのですけど、諸事情により彼の QA タイムを見つけることができなくて、そんな彼との対話ができる最後のチャンス "アフターパーティー" が巡ってきます。
自分の気持ちが迷っていようが関係なくて、もう、探すしかない。そして見つけたら、もう声をかけるしかない、みたいなそんな状況。ここで弱気を発揮して声をかけずに終わった後の後悔を考えると、それを受け入れて明日を生きる自信はちょっとありませんでした。
そうは思えど、人の顔を覚えることも苦手な自分は、彼を探すことさえままなりません。会場内をあちらこちらと歩いて回るも見つからず、そんな自分を彼の元へと導いたのは、それまでに出会った人たちでした。
言葉の壁を越えていく人たち
パーティーの開始からそれこそ最後まで、ずっと一緒に、彼を、そして答えを、探し回ってくれた人。この人がいなければ、たとえ彼に辿り着いたところで、彼の真意を捉えきれないまま、機会を終えてしまったと思う。この人の、僅かな疑問を即座に違和感として捉えられる力は本当にすごい。
そして途中にすれ違った、たくさんの友人。見かけたら教えるよ!って言ってくれて。そんな中には主催者も居て、彼を探していると伝えたら「マイク使っていいですよー♪」と軽やかに言う姿勢が、相変わらずすぎてニクい(笑)英語でどう呼びかけたらいいかまで丁寧に教えてくれたものの、狼狽えて何度も復唱する自分の元に、たまたま1月に北海道で初めて出会ったばかりの友人が合流します。
北海道のその人は英語がとにかく達者で、様子を汲むや「え? Hector さんを呼べばいいの?」とマイクを手に持ち『ヘクターさ〜ん!』と突如 日本語で 喋り始めて。英語をできる人間の『余裕』を知った瞬間でした。
そして確かな、疑問解消へと導かれて
そんなところへ「見つけたっ!」って駆けてきてくれた友人がいて、北海道のその人はそのまま通訳を買って出てくれ、そして要の Hector さんも、快く応じてくださいました。それからはそのまま、みんなのおかげで、滞りなく Hector さんと会話を進めることができました。
自分は理解が遅くて追いつかない場面が多々あったんですけど、北海道のその人の通訳はそんな様子までも完璧に相手に伝えてくれて、それを受けて Hector さんも率先して別の例を示してくれたり、一緒に答えを探しに来てくれてた人は、自分の理解の遅さをその場で補ってくれて。
そんなみんなに助けられ、納得行くまで考えて話すことができました。
ちなみにそんな自分が唯一貢献できたかもしれないのは、とても些細なところですけど、パーティー中、肌身離さず MacBook を常に持っていたこと。最初に荷物置き場にかばんを置いたときから MacBook だけは取り出していて。そんな MacBook は Hector さんと話すときにも、話した後にも、大いに活躍してくれました。
そんな自分を今に振り返ってみると『お前は言葉を喋れないなら、せめて MacBook くらい持っていろ』みたいなことだったのかもわかりません。自分はきっと MacBook と一緒じゃないと生きてはいけなさそう。
英語圏に触れてみたい
そうして、とても有意義な時間を過ごさせてもらうことができました。
とにかく通訳が完璧で、言葉が壁になることなんて全くない、そんな世界に恵まれて、満足するまで話せたことは、ほんとに嬉しい限りでした。ただ、それと同時に、何もできない自分がいたことに気づいて、もし彼らが誰もいなかったら、自分は果たしてどこまで辿り着けていたか、そんなことを考えずにはいられない気持ちも一緒に湧いてきました。
英語圏に身を置いてみたい。できれば、ひとりで。
仲間がいれば、きっと頼ってしまうに決まってるから、なるべくひとりで。そうしたら、何かを掴めて、身の程も、もしかして見えてくるんじゃないか。けれど、海外に身の危険が先に立つのもあったり、目的があまりに漠然としていて捉えどころがないのもあったり、そう思うばかりで日々は過ぎて行きました。
それから幾らか経ったある日に訪れたのが WWDC16 の募集開始でした。
その時は WWDC 自体に関心はなくて、けれども英語圏には触れてみたくて。この機会って自分にとってのすごい口実になるし、少なくとも今年は自分の人生でいちばん開発者仲間の多い時期、みんなと一緒に活動したいわけではない(そうでないと、確かめられない)けど、とても心強い時期でもあって。
これを逃したら2度と訪れないかもしれないとも思ったら、ちょっと運を試してみたくなったのでした。抽選なところも口実にして。今、自分がそこを訪れるべき時なら、天がそちらへ導くはず。
初の海外渡航
そんな風にして、この度 WWDC16 に参加する運びとなったのでした。
誰とも会いたくないわけじゃないけど、行く前にあまり知られしまうと予定が固まってしまいそうだったから、参加を伝える相手はごく近しい人たちに留めて、出発。
かといって完全に隠すつもりはなかったし、出かけてしまえばあとは巡り合わせだから、道中のツイートを『あれ…もしかして?』と思われる程度にさりげなく。もっとも、行きの空港で某超有名ブログの会社の友人にみつかり、瞬く間に広く知れ渡ったのですけれどね。おかげさまで、のびのびと動けるようになりました。
そんな感じで終わってみれば、みんなにしっかり助けられながら、良いバランスでフリーで在れて一人でもいろんなことを体験できて、とっても良い海外初体験になりました。WWDC もすごく楽しかったし、現地でたくさん、いつもお世話になってるみんなが声をかけてくださったこと、とても嬉しかったです。
懸念していた命も無事に帰還できて、常にそう在れる保証はないでしょうけど、とりあえず、単純に行動圏が広がっただけ、そんな風に感じられたことは、とても大きな収穫でした。
そんな WWDC を、軽くですけど振り返りながら、記録として残しておこうと思います。
持ち物の準備と所感
今回の初めての海外でもあったので、準備はひとまず、わからないことだらけでした。それでも幸い、インターネットで欲しい情報は簡単に調べられました。
そして、インターネットで見つけた先人の経験も参考にして、今回は次のような準備で海外へ臨むことにしてみました。実際にそれを持っていってどうだったか、みたいなところにも触れておきます。
項目 | 内容 |
---|---|
滞在期間 | 滞在期間は、開催前日の WWDC レジストレーションに備えて日曜日から、終了翌日の土曜日を何かのための予備日として、翌日曜日の飛行機で帰る、そんな日程にしました。 |
ホテル | エクスペディア で、Chinatown の Dragon's Gate すぐそばにある ホテル アストリア を予約しました。WWDC16 開催前日の日曜日からの 7 泊で、合計 761.67 ドルと、妙に安いお値段でしたが、帰って寝るという目的には不足なしでした。 |
航空券 | エクスペディア で、WWDC16 開催前日の日曜日の便と、次の週の日曜日の便を確保しました。往復で 137,370 円です。ちなみに時差の都合で、行きは当日着でしたが、帰りは翌日月曜着でした。 |
San Francisco の路線図 | BART という地下鉄を使う機会がありそうだったので、iPhone アプリの Navitime サンフランシスコ版 をダウンロードしておきました。最初は不慣れでこれだけ局所的な路線図でも見るのがやっとでしたけど、情報が絞られてるおかげでかなり助けられました。 |
パスポート | まだ持っていなかったので取得しました。横浜の 産業貿易センター を2度ほど訪れ、計1週間くらいで取得できました。入出国で使う他にも、SIM 契約とか飲酒店とかで普通に身分証 (Photo ID) としても使ったりします。 |
パスポートのコピーと写真の予備 | もしパスポートを紛失した時に、帰国用の渡航書を発行してもらうのに必要らしいので、備えとして持って行きました。紛失時はかなり重要らしいので、きっと必須の持ち物です。もしかすると iCloud とかにも入れておくと良いかもしれません。 |
現地通貨 | 空港の両替所や現地の ATM でも交換できるらしいですけど、初海外だし、できることは事前に済ませたかったので、横浜のパスポートセンターに併設されていたお店で、日本円を 300 ドルに替えました。ちなみに帰国時は 171.63 ドル余ってました。 |
ESTA | ビザを持っていない人が旅行でアメリカに入国するために必要なものみたいです。Web から登録できるので、渡航前に済ませておきます。手数料は 14 ドルほど。登録時にはパスポート番号が必要なので、パスポートを取得してから行います。 |
現地で使える通信 SIM | インターネットが生命線と聞いていたので、海外で使える mobell ワールド SIM カード を持って行きましたが、まさかの圏外(ちょっとご機嫌が悪かった様子)現地なら安い SIM が買えると聞いてはいたのですけど、英語を話せない身としては、現地調達は怖いからと思って事前準備をしたのですけど、結局のところ現地での調達になりました。 |
クレジットカード | 普段から使っていた VISA カードをそのまま使いました。クレジットカードは、支払いに使ったり、現金をキャッシングしたりできるので「紛失した場合に備えて予備も重要」とアドバイスをもらっていたので、併せて、海外旅行保険つきのクレジットカードを持って行きました。 |
海外旅行保険 | 盗難補償の他にも、病気や怪我の補償がついたものを選んでおくと良いみたいです。パスポートセンターに併設のお店で勧誘された『初年度無料の JCB ゴールドカード』の付帯保険で良さそうだったので、今回はそれでまかなうことにしました。 |
セキュリティーポーチ | 定番の盗難対策として各所でセキュリティポーチが勧められていたので mont-bell セキュリティベルト を買って行きました。期間中ずっと、現金と予備のカードを分けて入れて、肌着の上に身につけてましたけど、しっかり入るし、存在を忘れるくらいに薄手でとても良かったです。 |
たびレジ 登録 | 外務省が運用する、海外安全情報サイト たびレジ に登録しておきました。訪問先に関する危険情報が発令されるとメールで知らせてくれるサイトです。登録時にパスポート番号が必要みたいで、パスポート取得後に登録しました。 |
海外安全アプリ | 外務省が提供する 海外安全アプリ というのがあったので、念のため入れておきました。特に使いませんでした。 |
スーツケース | 国際線で機内持込可能なサイズのスーツケース PROTECA STARIA V 37L を購入しました。滞在 7 日間には小さいのか迷いましたが、機内への持ち込みがしたくて選択、少なくとも自分はこのサイズで足りました。ただし帰りは荷物が増えてギリギリ、重量もかさんで結局、預け入れることになりました。 |
MacBook | 今回は開発者カンファレンスだったので、もはや必須です。実際にたいへん活躍しました。San Francisco のコンセントは日本と形状が同じで、変換アダプタとかは何も必要なかったです。 |
モバイルバッテリー | もはや iPhone が生命線だったので、今回に合わせてモバイルバッテリー Anker PowerCore+ 20100 USB-C を購入しました。もしなかったら電池残量の心配がつきまとっていたので、これは持って行って大正解でした。 |
チャック付きポリ袋 | 下調べで『あると何かと便利』とあったので、とりあえず小さめの 100x140mm チャック付きポリ袋 を幾つか持って行きました。実際、こまごまとしたものを入れるのに便利で、今回は厚み 0.08mm のしっかりしたものだったので、安心感がありました。 |
電源延長ケーブル | 下調べで『MacBook の充電とかで何かと便利』とあったので、手元にあった 巻き取り式の 2m 電源タップ を持って行きました。実際にホテルで、期待の位置で MacBook を使うのに重宝しました。 |
ビーチサンダル | 最初に検討していたホテルのレビューで『浴室の床が汚い』とあったので、ビーチサンダル を買って持って行きました。少しかさばりましたし、宿泊したホテルの浴室はきれいで必要なかったですけど、室内履きにもこれがけっこう良い心地でした。それ以来、旅行に限らず、すっかり自宅の室内履きになってます。 |
室内履き | ホテルとかで靴より緩い履きものがあると便利と聞いて、秋冬頃に自宅で使っていた mont-bell キャンプシューズ を持って行ったのですけど、結局、ビーチサンダルの心地が良くて、ずっとそちらを履いていました。 |
ボールペン | 下調べで「何か書く必要があったりするからあると便利」と聞いて、意識的に持って行きましたけど、必要なところでは用意されていたので必要はなかったです。ただ、チップの金額とかをペンで書く機会は幾度かあったので、持っている安心感はありました。 |
名刺 | 下調べで『開発者との交流があるから大量に用意した』とあったので、自分も大量に用意したのですけど、自分の場合は 10 枚ほどしか必要ありませんでした。完全に人によると思いますけど、ここでないとあるに越したことはなさそうです。 |
自作のプロダクト | 名刺代わりに自分のアプリを見せられるといいと聞いたので、代わりに自著『Xcode 5 徹底解説 』を持って行きました。インパクトの強い紙版を持参したのですけど、これを誰かに見せる機会は作れずでした。 |
予備の食料 | 何か予期せぬ事態で飢えないようにと思って カロリーメイト を3箱ほど持って行きました。途中、入国時の持ち込み禁止物に "一部の食品" があることに気づいてハラハラしましたけれど、とりあえずこの程度なら、特に申し出ることもなく持ち込めるようでした。ちなみに自分は "プレーン味" がいちばん好きです。 |
防寒着 | San Francisco は朝夜は寒いらしいですが、夏前くらいだし、自分は活動中なら比較的寒さに強いので、普段のジャケットだけを用意しました。寒いと感じたのは、初日の午前6時に曇り空の下、並んでいたときだけです。それ以外は終始、朝 7 時とか夜 23 時とかの街を歩いていても自分はぜんぜん平気でしたけど、周りは口を揃えて「寒い」と言っていたので、もしかするとあったほうが良いのかもしれません。 |
ノイズキャンセリング・ヘッドフォン | 下調べでは『飛行機やホテルで、音が煩くて困るとき用にあると良い』という情報を得て、手持ちの SONY MDR-NC100D を持って行ったのですけど、出番はありませんでした。そういえば、そういう騒音に自分は鈍感でした。 |
そんな感じで準備して行きましたけど、それぞれについてもう少し、気になったところを記しておくことにします。
飛行機
英語が苦手な自分としては、何かあったときに最も影響が大きそうな飛行機は、往復とも日本の航空会社 ANA にしました。
そう思ったんですけど、気がつくと行きの便だけ United Airlines になっていたのは、そういうものなのかな? 幸い行きだったので、搭乗手続きは普通に日本語で大丈夫でした。帰りは ANA で、サンフランシスコ国際空港の列に並ぶや否や『おはようございます!』と日本語で声をかけられたときの安堵感をよく覚えています。
ホテル
宿泊した ホテル アストリア は、何故だか安くて、今回は 7 日間で 761.67 ドルでした。
それでいながら、Chinatown の Dragon's Gate のすぐ隣という、治安的にもたぶん不安がなくて、今回の WWDC16 のセッションが聞ける会場 Moscone West まで、徒歩 15 分弱、Grant Avenue から Market Street, 4th Street を経由して、不安なく歩ける距離も魅力でした。
初日の Bill Graham Civic Auditorium にも、徒歩 20 分もあれば着いたと思います。こちらも Grant Avenue から Market Street まで出て、そこから Civic Center 付近まで歩けました。この道は、特に BART の Civic Center 駅付近の一部だけ、歩いていて怖さを感じる人はいる(実際に少し危ない場所らしい)みたいでしたけど、確かに雰囲気がここだけだいぶ変わるものの、怖さまでは自分は感じませんでした。自分は、朝 6 時から夜 22 時くらいまで、擦れ違う人との距離さえ気にして歩けば、特には不安は感じなかったです。保証まではできませんけど。
ホテルの設備は、日本の 東横 INN と比べても格が低い印象でしたけど、寝に帰る分には十分すぎるし、この値段でも部屋にはシャワーが付いているしで、個人的には満足でした。なんだかんだで、朝 7 時に出て、夜 23 時前後に帰る毎日だったので、気楽に過ごせてよかったです。
街でのインターネット回線
インターネット回線は iPhone が SIM フリー対応であれば、現地の街で SIM 契約するのがいちばん安いらしい話は聞いてたのですけど、初の海外で、もしそれを成し得なかったときのリスクが不安だったので、海外対応の mobell ワールド SIM カード を国内で用意して持って行きました。
しかしこれがまさかの圏外。結局のところ SIM が電波を上手く掴むのに時間が(半日以上?)かかったみたいだったのですけど、また繋がらなくなっても不安だったので、50 Powell St, San Francisco に見つけた T-Mobile で 7 日間の SIM を契約することにしました。
持って行った SIM は従量制でけっこう高かったのですけど、こちらなら 61.53 ドルで 2GB まで高速通信を利用できたので、道中、躊躇いなくツイートしながら移動できて楽しかったので、こちらに契約し直してよかったです。
契約も、とりあえず「SIM」とさえ言えれば、プランの紙を見せてくれたり、いろいろ丁寧に導いてくれるので、英語が話せなくても大丈夫でした。
スーツケース
旅行に持って行くスーツケースは PROTECA STARIA V 37L を購入しました。
けっこう高かったのですけど、他のと比べて作りがだんぜん良かったのに惹かれて、もう他のとは迷うことができませんでした。内側の構造がすごくシンプルなのと、内張りがとても丁寧で。そして何より、キャスターのロック機構が備わっていたのが決め手になりました。
以前、北海道を訪れた時に、電車の中で誰かのスーツケースが容易に転がって他の人にぶつかってたのがとても印象に残っていたので、この機能はとても魅力的でした。
それと、そもそも買うかレンタルするかも迷ったんですけど、自分は日常でプログラミングの勉強会を開くことがたびたびあって『もしかしてその時の荷物もスーツケースで運んだら便利かな?』と思って、購入することに決めました。
帰国後にさっそく、勉強会で使う機会があったんですけど、プロジェクターも含め、電源タップ等がまさにぴったり、このスーツケースにちょうど収まって、楽に持ち運びできたのが嬉しかったです。逆に見れば San Francisco へ 7 泊するくらいの荷物を持って歩いていたのか、みたいな驚きもちょっと感じてみたり。
セキュリティポーチとパスポート
それと盗難防止の定番的なセキュリティーポーチですけれど、よく「大事なパスポートなどを入れる」みたいに紹介されているんですけど、パスポートはちょっとしたとき、たとえば入出国時や SIM の契約、お酒を買うときなどに、身分証明書 (Photo ID) として出すことがあったので、自分はセキュリティーポーチには入れずに持ち歩いてました。
ジャケットの内ポケットにボタンが付いているものを選んで着て行って、パスポートはそこに。セキュリティーポーチは肌着の上に、そんな感じで身につけてました。もし服の下にセキュリティーポーチを忍ばせて、そこにパスポートを入れたとすると、何かのときに出すのに苦労するかもしれません。
英語
英語は、思った以上にしゃべれませんでした。
もう少し、必要に迫られればしゃべれるのかなって思ってたのですけど、まったく言葉が出てこなくて、せいぜい "Hello" や "Thank you" と言えるくらい。出かける前は『せっかくだから英語を勉強してから行こうかな』みたいな意気込みだけはあったんですけど、結局はそれより先にプログラミング言語の Swift を勉強するのに時間注いでしまい、英語は全く手つかずのまま、訪れることになりました。
それでも、案外なんとかなるもので、街中で食事をするときも、WWDC のラボ(技術的な質問を Apple の技術者にできるブース)でも、言葉が大きく支障をきたす感じはありませんでした。が、それでも言葉は話せないわけで、通じないことは多々ありました。
心に残っているのは、入国審査。相手の質問にちゃんと答えたつもりが、思いがけない返答が帰ってきて、意味がわからず言葉が出てこず、結局、入国審査官に呆れられつつ遠された、みたいなことがありました。とりあえず、入国するという目的は達成できましたけど。
それと WWDC 内のショップで買ったバッグを取り違えた時。気づいて戻ってお店の人に説明しようとするのですけど通じず、結局は筆談で意図を伝えることができました。この時に面白かったのが、相手が『もしかして、こう言いたい?』みたいに書いた英文を見て、自分が「No」と言った後、それからどんどん言葉が通じたところでした。軸が1本、定まってからはとんとん拍子。こんな風にして会話ってなりたっているんだなってちょっと感動しました。
ただ、そんな風にして、拙い言葉でも 7 日間、ちゃんと生きてこられたことに、普通だったら自信が湧くのかもしれないですけど、これじゃいけないな…って感じる方が強かったです。やっぱり、言葉が必要。きっと、そうじゃなくちゃダメなんですよ。
この旅行の中で、自分は Market Street で、物乞いをする人に声をかけられたのですけど、目の前に立って、彼が彼の口に運ぶ食べ物を「…これ!」みたいな感じで必死に指さす。それと水準が、なんか同じに感じたんですよね。
わからない、街の常識を知らないからわからないけれど、たとえ何かをねだるにおいても、何か議論を重ねる上でも、言葉ってなくてはいけないものなんじゃないか。そんなことを強く思うひとときでした。
San Francisco に感じたこと
そんな旅行の中で、出かける前と出かけた後とで感じるものの違いとか、行って初めて気づいたこととか、いくつかあったので、それを簡単にまとめておきます。
治安
率直な感想として、海外ってもっと怖いところだと思ってました。San Francisco は比較的安全らしいのと、油断できないのは確からしいのですけれど、少なくとも今は思ったよりも、自由に居られる印象でした。
iPhone
いちばんは、事前には『iPhone を街中で出すと奪われる』だったのですけど、確かにそういうことを経験している人が、周りに何人もいるくらいなので、危ないことは確かでしょう。
ただそう聞いて、訪れるまでは街中で誰も iPhone を出さないのかと思っていたら、現地の人が普通に出して操作しながら歩いてました。気をつける必要は確実にあれど、全く出せないことはなくて、自分は両手でがっちりガードしながら、街の写真を撮りまくってました。
歩ける時間
夜は危ない。事前にその言葉をよく聞きましたけど、夜って何時のことなんだろうとか、夜になると人が姿を消すんだろうかとか、そんなことを思っていたのですけど、訪れてみると大違いでした。
ここでいう夜というのは、この時期は 22:00 以降みたいなのですけれど、その時間になっても、自分が宿泊したホテルの周辺の ユニオン・スクエア や Market Street から、人の気配が消えることはありませんでした。
ちなみに、夏時間というのもあるらしく、San Francisco は 21:00 くらいでやっと暗くなってくるみたいな感じでした。
24:00 くらいまで、現地の人はまばらながらも普通に行き交っていて、とりあえず自分も、一人でも不安をほとんど感じることなく街を歩くことができていました。ただし Civic Center 近くの Tenderloin に近い側は、その頃にはあまり歩きたくない雰囲気に感じて、通りを挟んだ南側を選んで歩いたりしてました。
朝は、少なくとも午前 7 時 30 分にはすっかり明るく、街にも活気が感じられるので、この時間にもなれば Market Street の Civic Center 付近も含めて、歩いていて怖い感じはしませんでした。
ちなみに最も危ないとされる Tenderloin には1歩も足を踏み入れなかったので、その辺りの危なさについては想像さえもできません。SOMA 地区はみんなとたしか 21 時ごろに訪れましたけど、大勢で歩くには平気そうでも、ひと気は少なく、一人で歩くのは怖いというか、避けたい気持ちに包まれてました。
クレジットカード社会
アメリカはクレジットカード社会だから現金はほとんど持ち歩かない、そう聞いていたのですっかり、街で現金を見かけることは少ないのかと思ってたのですけど、まず、現金しか使えない料理店はそこそこある様子でした。
そういうところには "Cach Only" と書かれているようでしたけど、そこで現金払いは当然として、クレジットカードが使えるお店でも、普通に現金で支払っている現地の人がいるのが想像と違って少し驚きました。
それでも確かに、ハンバーガーショップでもコーヒーショップでも、たしかにクレジットカードが使えるお店が多いかも?と思ったんですけど、日本に帰ってきてみたら、実は日本でもけっこう多くの場面でクレジットカードが使えることに気づいてみたり。そういえば日本のコンビニとかでも、けっこう普通にクレジットカードが使えるんですよね。
チップ文化
ハラハラしたのが、チップの文化でした。
サービスを受けた時に 15% とか 20% とか、幾らかの料金を上乗せして支払う文化で、うっかりすると失礼に直結するものだけに、どれくらい払えばいいんだろう、ここではチップは必要なのか、みたいな不安が何度と頭を過ぎりました。
ホテルの掃除の人には 1 ドルでいいのかな、部屋を出るときに置いてくる感じで。レストランは 15% から 25% と言われてるみたいで、その幅の中からどう選べばいいか分からなかったり、そもそも計算に不慣れで、電卓を出したり、暗算しつつ念のためちょっと多めにしてみたりして。
これが Fisherman's Whalf みたいな、典型的な観光地になると、レストランのレシートに『18% だとチップはいくら、20% だといくら』みたいに書いてあって、だいぶ助けられました。
ところで、チップをクレジットカードで払うときなのですけど、最初はやり方がよくわかりませんでした。
不思議なもので、お店の人に Check をお願いして、クレジットカードを預けた後、カードを返してもらうのと合わせて渡されるレシートに、チップの金額を書いて席を立つ、確かこんな流れだったと思います。
決済を終えた後に書いたチップ金額が、ちゃんと後で引き落とされてる、そこがとっても不思議でしたし、最初はそういう流れを想像もしていなかったので、インターネットで支払い方を調べつつ、合っているのかハラハラしながらお店を後にしてたりしました。
自由な人々
あともうひとつ、強烈に印象に残っているのが、街の人々がみんな "自由" に思えたところでした。
音楽と共に行き交う人
自由という言葉だけでは大いに語弊を含みますけど、例えば、街の中で車も、そして人さえも、ときどき大音量の音楽を流したりしながら、街を行き来してるんですよね。そしてそれが、街に馴染んでる。
日本だったら白い目を向けられそうなシチュエーションなのに、誰もそんなそぶりを見せない、それどころか、自分さえもが、そんな彼らを見て違和感を感じない、微笑ましいとさえ思ってしまう。
現地の人がどう思っているかまではわかりませんけれど、とりあえず、そんなことがとても心に残りました。
掃除をする人
音楽つながりで思い出すのが、ファーストフード店の店員さんです。
あるお店では、閉店時間が迫ったのか過ぎたのか忘れましたけど、店員さんが掃除を始めたんですけど、自分たち客がいるのに、そのまま大音量の音楽を流して、ノリノリに床掃除を始めたところが面白かったです。
またあるお店では、普通の営業時間中、床の掃除を始めた店員さんがいたんですけど、こちらは口笛を吹いて楽しそう。どちらともぜんぜん憎めない感じ、むしろ好感持てるところが、すごく不思議な体験でした。
物乞いをする人
物乞いをしている人が街にたくさんいるのですけど、とてもアクティブなのも印象的でした。
たくさんいるとは言っても、別に頻繁に訪れるわけではないのですけど、街を歩いている自分とかに、自ら語りかけてきたりするんですよね。自分は完全に無視を決め込んで、居ないものとして回避しながらも、この積極さはちょっといいなと思ってました。
個性を認め合っている?
そんな話を、同じく日本から来ていた友人と話していたところ、それは「互いに個性を認め合ってるからじゃないか?」みたいな話になったのが、とても印象的でした。
たしかに、日本は同調を求めたりとか、そこからずれると『変な人』としてしまいがちな気がしますけど、もしかするとここでは、あなたはあなた、私は私、そんな文化が根付いていたりもするのかなって思ってみたり。時にそれが冷たさに繋がることもあるでしょうけど、見た景色にはなんとなく暖かさみたいなものも感じて、そんなところについつい考えさせられました。
そんな彼らの姿を見ていたら、自分の中でも何かがちょっと変わった心地がしました。もっと自分に、もっと自由であっても、それが自分の向かう先ならいいんじゃないかな。
WWDC16 に感じたこと
さて、そんな感じでいろんなことを感じられた旅でしたけど、いちおう目的の WWDC16 で感じたことを軽く記してみます。
いちばん楽しかったこと
WWDC16 で、いちばん楽しかったのは Swift Lab でした。
Swift Lab は、Apple の Swift 開発チームに Swift のことを隅から隅まで、たっぷり聞ける至福の機会です。しかもけっこう空いていて、長い時間を待たされるみたいなところもないのも嬉しかったです。
最初は、気になるセッションを見て、合間に Lab にお邪魔する形を取っていたんですけど、真っ暗闇に煌々と輝くスクリーンが自分は苦手で、疲れるし眠くなるしで苦労しました。いよいよそれに辛抱できなくなって、いっそセッションは何も見ないで、全部を Lab に当ててしまおうと思ったら、これが最高に良かったです。
全部を Lab に当てるといっても「技術者に聞くこと」が必要になるわけで、それを探すのもけっこう大変。結局、朝からずっと会場内のソファーを陣取って Swift と遊び、話題を見つけて Lab に突撃する、みたいな形になりました。Lab に突撃できるのは、午後の最後の方になってがやっとでした。課題を質問できるレベルまで準備して持っていくのは、相応の努力が必要でした。
参加後の勉強会
そんな楽しい Lab だったので、帰国後は 3 つの勉強会に参加して、そんな Lab で体験してきた事柄を話して回ってきました。
2016.06.22 - FiNC WWDC 振り返り勉強会
2016.07.01 - WWDC.next
2016.07.09 - 第68回 Cocoa 勉強会関西
まとめ
内容が好評だったかまではわからないですけど、とにかく Lab が楽しいことを伝えたい、少なくとも Lab でたっぷり楽しんできた自分がいることを伝えたい、そんな思いで資料を作りました。
途中から準備期間が不足してしまって、聞いてきたことをそのまま資料にするのがやっとな感じで、それが大変だったし、もっと手間をかけられなかった心苦しさもありますけれど、なんとか3つ、予定していた WWDC 報告会をこなせてホッとひと息です。
WWDC16 とっても楽しかった。
同時に、何かが見つかって、同時に、何かわからなくなったような気もする。これから自分は何をしていったらいいんだろう、そんなことを思いながら、素敵な機会を嬉しく思う、良い体験ができました。このブログも含めてやっと、自分の中で WWDC16 が幕を閉じた心地。
San Francisco を訪れた日からずっと、立ち止まってしまってる感も否めないので、これから、次の道を探してみたいと思います。
現地でも、日本からも、みんなにはとってもお世話になりました。当日もその後も、いろんなところで関わってきてくれて、一緒になって喜んでくれたり、すごく楽しかったです。どうもありがとうございました。
ちなみに WWDC16 期間中のツイートは こちら にまとめてあります。思いっきり San Francisco を味わってきました。