Slackware 7.0 のインストール

SOFTWARE REPORT


Slackware

Linux のディストリビューションのひとつである、Slackware のバージョン 7.0 をインストールしてみました。

今回のインストールで使用する PC の構成は、

型式 : DELL DIMENSION XPS H266

CPU : Intel Pentium II 266 MHz
MEMORY : EDO SIMM 96 MB (ECC)

HDD : CASTLEWOOD ORB 2.2 GB (IDE)
CD-ROM : PHILIPS 4424 CDRW (IDE)

VGA : matrox Millennium 4 MB
SOUND : YAMAHA OPL-3A

LAN : Laneed LD10-100/AL

といった環境です。

ハードディスクとして ORB ドライブを利用しますので、ディスクを取り替えるだけで複数の OS を起動することが出来るはずです。

 

Slackware の入手

なかなか入手しにくい感じのします Slackware ですが、今回は Slackware のページから直接ダウンロードしてみました。

ただし、すべてのファイルをダウンロードしたときにはまる3日ほどかかってしまいましたので、以下に示すインストールで必要なファイルだけをダウンロードするといいと思います。

  • bootdsks.144
  • rootdsks
  • slackware
  • bigslak

まだ、省いていいファイルもあるかもしれませんが、これだけあればインストールを行うことが出来るようです。

 

今回はこれを Microsoft JOLIET 拡張を施した iso-9660 形式で CD-R にやいて使うことにします。

 

起動ディスクの作成

Slackware のインストールを行うための起動ディスクを作成します。

起動ディスクを作成するにあたって、使用していないフロッピーディスクを2枚用意する必要があります。 

そして bootdsks.144 の中にある RAWRITE というプログラムを利用してブートディスクを作るわけですが、そのときにシステム構成によってどのブートディスクを作ればいいかが変わってきます。

今回の例のように IDE だけのシステム構成の場合、bare.i というファイルを利用してブートディスクを作成します。もし SCSI 構成のシステムへインストールする場合は scsi.s を利用するとうまくいくことが多いようです。

 

今回は bare.i を用いてブートディスクを作成することにします。

MS-DOS プロンプトから bootdsks.144 のフォルダまで行って、次のように入力します。

rawrite bare.i a:

これでブートディスクを作成することが出来ます。

また Slackware のインストールにはルートディスクというものも必要になりますので作りましょう。

今度は rootdsks というフォルダへ移動して、そこで次のように入力します。

rawrite color.gz a:

ルートディスクにもいろいろと種類があるようですが、通常のインストール時には color.gz を利用すれば大丈夫のようです。

 

インストール用 Slackware の起動

先ほど作成したブートディスクをフロッピーディスクに入れて、コンピュータを起動します。すると次のような画面で停止します。

boot :

Enter を押して続けます。今度はしばらく画面に文字が表示された後に、次のようなメッセージが現れて停止するはずです。

VFS : Insert root floppy disk to be loaded into RAM disk and press ENTER

ルートディスクを入れてくれといわれますので、先ほど作ったもう一枚のほうのディスクと取り替えてから ENTER を押します。

 

しばらくすると

slackware login:

という画面で停止します。ここで root と入力して ENTER を押すと Slackware にログインすることが出来ます。

 

インストール用の領域を作成

これから Slackware のインストールに入るわけですが、その前にハードディスクの構成を設定する必要があります。

Linux のインストールにはスワップ領域と、インストール領域を用意する必要があります。それを設定するのが fdisk というツールです。

fdisk の使い方となると少しややこしくなってしまいますので、今回は以下に示す領域に区切るやり方だけ紹介します。

  • 64KB --- スワップ用
  • 2GB --- slackware インストール用
  • 残り --- /tmp へマウント

 

Slackware へログオンしたら、以下のように入力します。

fdisk /dev/hda

すると fdisk が起動します。/dev/hda というのは、どのハードディスクを設定するかを支持するものですので、システム構成によって若干変わってくると思います。

 

IDE システムならば大体は /dev/hda でいいと思いますが、わからなかったり不安な場合は

dmesg | more

 と入力してください。そうすると、起動時に現れたメッセージ(の一部)を確認することが出来ますので、その中から自分のハードディスクがどこに認識されたかを知ることが出来ます。

なお余談ですが、Slackware ははじめは 英語 101 キーボードとして設定されていますので、日本語キーボードで "|" を出す場合は、"]" を押します。

fdisk が起動すると、Command ( m for help ): と表示されます。

 

まずはスワップ領域を作成します。

n と入力して ENTER を押してください。

Command action
    e   extended
    p   primary partition ( 1-4 )

とたずねられますので、 p を入力してプライマリパーティションを作成します。

 

Partition number (1-4):

と聞かれますので、はじめのパーティションなので 1 と入力します。

続いて作成するパーティションの大きさを設定します。

 

First Cylinder (1-534, default 1):

というようにたずねられます。ここに現れる数値はハードディスクの容量やりよう状態によって違いますので気をつけてください。

ここでは今回割り当てるパーティションがディスクのどこから始まるかを指定します。default という記述は、何も入力がなかった場合に適用される数値で、通常は割り当て可能なシリンダ番号が設定されています。

今回はシリンダ番号1(はじめから)でいいので、何も入力せずに ENTER を押します。

すると、Using default value 1 というようにディフォルトの番号 1 が利用されたことが伝えられます。

 

Last Cylinder or +size or +sizeM or +sizeK ( 1-534, default 534 ):

今度は割り当てるパーティションがどこまでかを指定します。

シリンダ番号を指定するほかにも、+1024 のように 1024 Byte 確保するように指定することも出来ます。+10K のように KB 単位で指定したり、+10M のように MB 単位で指定することも出来ます。

今回はスワップ領域用に 64 KB 確保しますので、+64K と入力します。英語キーボードでいう + は、日本語キーボードの ^ のあるキーを SHIFT を押しながらタイプすることで入力できます。

 

これでパーティション1が作成できるはずですが、もし途中で Partition 1 is always defined. Delete it before re-adding it. などと表示される場合には、既にパーティション1が作成されてしまっていますので、d コマンドによってパーティションを削除するなどの対応をしてください。

 

 

パーティション1を作成しましたが、これだけはスワップ領域用と Linux において少し特殊な位置に置かれます。

スワップ領域であることを示すために、t コマンドを利用してスワップ領域であることを明示的にします。

t と入力して ENTER を押すと、Partition number (1-4): とたずねられます。これはどのパーティションを設定するかということですので、スワップ領域に利用するパーティション1を指定するために 1 と入力します。

Hex code (Type L to List codes): と表示されますので 82 と入力します。入力した 82 は Linux swap という意味です。

 

これでスワップ領域の作成が完了しました。続いてインストール用のパーティションを作成します。

インストール用のパーティションも基本的にはスワップ領域を作成するのと一緒です。変わる部分としては、Partition number (1-4): に対して、2番目の領域なので 2 と入力することと、2 GB の領域を割り当てる予定なので、Last Cylinder or +size or +sizeM or +sizeK ( 1-534, default 534 ): という問いに対して +2048M と入力する程度でしょう。

今回のパーティションは Linux で通常利用するパーティションなので、Linux native という種類に設定するのですが、この fdisk を使ってパーティションを作成した場合は、はじめから Linux native となっていますので、t コマンドで設定する必要はありません。

 

同様に /tmp に割り当てる領域も作成します。今度はパーティション 3 で、確保する Last Cylinder もディフォルトの値(あまっているものすべて)が利用できます。

 

以上でハードディスクの領域設定は完了ですが、もうひとつ設定しておくものがあります。

今回はパーティション2を Linux の起動用として利用しますので、ブート用のパーティションであることを設定します。

a コマンドを利用してブートパーティションの設定を行います。

Partition number (1-4): と聞かれます。今回の起動パーティションは 2 なので 2 と入力します。

 

以上で設定は完了です。正常の設定されているかを見るには p コマンドを利用します。

Device Boot Start End Blocks

ID System
/dev/hda1 1 1 4000 + 82 Linux swap
/dev/hda2 * 2 522 2100672 83 Linux native
/dev/hda3 523 534 48384 83 Linux native

このような感じに設定できていれば完了です。

w コマンドで、変更内容を保存して終了してください。

 

念のため、再び Linux を再起動してからセットアップを行いましょう。

 

Slackware のインストール

Linux を再起動してログインしたら、setup と入力します。すると Slackware のセットアップが始まります。

 

HELP
KEYMAP
ADDSWAP
TARGET
SOURCE
SELECT
INSTALL
CONFIGURE
EXIT

という項目でセットアップが行われます。

基本的には上から順番で進んで行きますが、HELP は各自に任せるとして、また KEYMAP は、Slackware では日本語キーボードのキーマップが用意されていませんので、設定しないで US キーボードのままとします。

よって、ADDSWAP からはじめることにします。

 

ADDSWAP

まずは Linux に対してスワップ領域を設定します。ADDSWAP を選択すると、fdisk の時の設定しておいた Linux swap 領域を自動的に見つけてくれますので、そのまま <YES> で先に進みます。

するとスワップ領域のパーティションが初期化されて、Linux 用のスワップ領域が構成されます。

作成が完了するとその旨を伝える通知がありますので、<EXIT> を押します。

つづけて TARGET の設定を行いますかと問われるので、<YES> を選択して次へ進みましょう。

 

TARGET

つづいて Linux をインストールするパーティションの設定です。

まずはルート ( / ) としてマウントされるパーティションの選択です。これは事実上の Linux のインストール先だと思ってください。

今回のディスク構成では 2 つのパーティションがあまっていますので、

/dev/hda2    Linux native 2100672K
/dev/hda3    Linux native 48384K

というように表示されています。

 

今回は /dev/hda2 へインストールを行いますので、それを選択します。

パーティションを選択すると、それをインストールする前にどうするかを尋ねられます。

Format は、高速に初期化を行うときに選択します。Check はディスクに破損がないかなどのチェックをしながら初期化をしますので、非常に時間がかかります。No は初期化等は何もしません。

今回は安全に Check を選択して初期化します。

すると inode を選択する画面になります。ここでは 4096, 2048, 1024 の3通り選択することが出来ます。ディスクの記憶サイズの違いのようですが詳しいことはわかりませんので、ディフォルトの 4096 を選択します。

初期化が終わると、続いてほかのディスクのインストールに入ります。

 

利用できるパーティションの一覧が表示されます。既に使用されているものは ( IN USE ) と表示されています。

ここでは残りの /dev/hda3 を選択します。初期化作業は上記の TARGET の時と同様です。

続いてマウントポイントをたずねられます。マウントポイントとは、Linux のどのディレクトリにそのハードディスクを割り当てるかを指定するものです。

今回は /tmp に割り当てますので、ここで /tmp と入力します。

 

マウントできるパーティションがある場合は、これの繰り返しとなります。

マウントできるものがなくなると、終了して設定状況が表示されますので<EXIT> を押して次へ進みます。

 

つづいて SOURCE の設定に入るかどうかをたずねられますので <YES> を押して次へ進みます。

 

SOURCE

ここでは Slackware をどこからインストールするかを選択します。

ローカルなハードディスクやフロッピーディスク、ネットワークドライブなどさまざまな選択肢が用意されていますが、ここでは CD-ROM からインストールしますので、Install from a Slackware CD-ROM を選択します。

続いて CD-ROM をどのように見つけるかを問われるので、AUTO を選択して自動的に認識してもらうことにします。

Slackware の CD-ROM を挿入してくれと言われますので、CD-ROM ドライブへ Slackware の CD-ROM を挿入して < OK > を押します。

 

正常に Slackware が見つかると、続いてどの Slackware をインストールするかをたずねられます。普通に使用するのであれば、Slackware を選択することになります。

 

SELECT の設定へ移るかを聞いてきますので < YES > を選択して次へ進みます。

 

 

SELECT

続いてインストールするアプリケーションを選択します。適宜で必要なものを選択してください。

今回はすべてインストールすることにしますので、そのまま < OK > を押します。

 

INSTALL へ移るかを聞かれますので、< OK > を押してインストールを開始しましょう。

 

 

INSTALL

どのようにインストールを行うかを選択できます。

SELECT の項で選択したアプリケーションの、さらに細かいインストールを設定することが出来ます。今回は full を選んですべてをインストールすることにします。

するとファイルのインストールが始まります。

full を選択した場合はすべてのファイルがインストールされますので時間がかかりますが、その間に設定することがないので放って置けます。

 

ファイルのインストールが完了すると、続いて Linux カーネルのインストールです。どこからカーネルを取ってくるかを選択します。

今回はブートディスクからとることにしましょう。

bootdisk を選択します。するとブートディスクをセットしてくれと言われるので、インストール時に使用したブートディスク(1枚目のディスク)をフロッピーディスクドライブにセットします。

< OK > を押すとカーネルのコピーが行われます。

 

続いてブートフロッピーの作成です。

今回インストールした Linux が何らの理由で起動できないような場合に、起動できるようにするためのものです。

簡単に作り方をいいますと、format によってフロッピーディスクを初期化した後に simple を選んでブートディスクを作成します。

作成が終わったら continue を選択して次に進みます。

 

続いて MODEM の設定です。今回はモデムを用意していませんので、no modem を選択します。

続いてスクリーンフォントの設定です。

コンソール画面に表示される文字のフォントを変更したい場合は < YES > を押して、用意されているフォントから好きなものを選択します。

続いて LILO ブートローダのインストールです。

Linux を起動するための LILO をどのようにインストールするかを指定します。今回は自動的に設定できる、simple を選択して次へ進むことにします。

続いてフレームバッファコンソールの選択です。

コンソール画面の解像度を選択することが出来ますが、今回は安全に standard を選択します。好みに応じて選択してください。

そして次に LILO をどこへインストールするかを指定します。

ハードディスクから Linux を動かすのでしたら、MBR を選択してハードディスクのマスターブートレコードへインストールします。今回も MBR を選んで、ハードディスクから直接 LILO を起動できるようにします。

 

ネットワークの設定です。

今回はネットワークをインストールしますので、< YES > を選択して次へ進みます。するとネットワーク設定に関するメモが表示されますので < OK > を押して次へ進みます。

ホスト名の入力です。

好きな名前をアルファベットで入力しましょう。今回は ORB-LINUX としてみました。

そして TCP/IP 上での名前も指定します。今回はとりあえず "." とだけ入力しておくことにします。ドメイン名が決まっている人はそれを入力するといいでしょう。

IP アドレスを設定します。これも個々の環境によりますが、ここでは DHCP による名前解決を行う設定にします。DHCP を選択して次へ進みました。

これでネットワーク設定は完了です。< OK > を押して次へ進みましょう。

 

そして利用するマウスの設定です。今回は PS/2 タイプの Microsoft インテリマウスを利用しますので、imps2 を指定しました。個々の環境に合わせて設定してください。

GPM を利用するかたずねられます。X Windows システムを利用する場合はなにか問題が発生する場合があるようなので、今回は < NO > を選択することにします。

 

続いて SENDMAIL プログラムの設定です。ここでは SMTP+BIND を選択します。

そしてタイムゾーンの設定です。

各自の地域に応じて設定しください。日本の東京近辺に住んでいる人でしたら、Asia/Tokyo を選択することになります。

 

タイムゾーンの設定が終わると、X Window システムのウィンドウマネージャの選択です。お好みにより設定しましょう。

今回は、今までの X Window らしくない(?)、GNOME を選択してみました。ちょっと重たい感がありますが、Windows に負けないくらいの出来なので、一度は使ってみるといいと思います。

 

それが終わると、今度は root 権限(Linux の最強権限)のパスワードの設定に入ります。

パスワードを設定しますかと尋ねられますので、< YES > と選択してパスワードを設定します。

New password:

と画面に表示されたら、設定するパスワードを入力します。入力し終えて ENTER を押すと、

Re-enter new password:

と画面に表示されますので、確認のため再びパスワードを入力します。キーボードマップは英語キーボードなので、日本語キーボードで記号を入力する際には注意が必要です。

間違えずに入力できると Press [ enter ] to continue: と表示されますので、ENTER を押してもとの画面に戻ります。

 

これでセットアップは完了です。

< OK > を押してメニュー画面へ戻ったら、EXIT を選択してセットアッププログラムを終了して Ctrl + Alt + Delete によってコンピュータを再起動します。

 

再起動後、Linux が正常に起動できれば成功です。