iPhone が PDP 認証エラーで通信できなくなったときの対応案

ハードウェアレポート

iOS 9.0 beta 5 ではモバイルデータ通信まわりの調整が図られたのか、主に格安 SIM (MVNO) を使っている場合に PDP 認証エラーが発生して、データ通信できなくなったりするようです。

このようなときの対処としてはいくつかあるようなので、それらを整理しておきます。


iPhone を iOS 9.0 beta 5 にしたところ、自分が使っている ワイヤレスゲート WiFi+LTE SIM でモバイルデータ通信を利用できなくなりました。

以前にも格安 SIM を初めて使って APN 構成プロファイルを入れ忘れたときにも見たエラーですけど、今回は単なる入れ忘れではなさそうです。

モバイルデータ通信が使えなくなっても SMS でメッセージの送受信はできるみたいで連絡手段の全てがなくなる訳ではなかったですけど、自分がよく使う Safari や地図、ツイッターや乗り換え案内といったアプリはどれもインターネットを使うことが大前提で、モバイルデータ通信が使えないのはかなり不便です。


今回の場合は iOS の問題というより SIM 用に提供されている APN 構成プロファイルが問題だったようで、それを少し手直しして入れ直すことで解消しました。

このような PDP 認証エラーが発生したときの対処としてはいくつかあるようでしたので、今回はそれらを整理しておくことにしてみます。

1.ネットワーク設定をリセットする方法

PDP 認証エラーについて調べるとよく出てくるのが、ネットワーク設定をリセットする方法でした。自分の場合はこの方法では直りませんでしたけど、一般的にはこの方法で直す場合が多いようです。

APN 構成プロファイルを入れ直す

いちばん簡単なのが、格安 SIM 会社が提供する「APN 構成プロファイル」をインストールしなおす方法で、これで上手く直ってくれれば影響範囲も小さくて良い感じです。

この方法は『おかしくなった APN 設定をリセットする』意味合いもあるとは思いますけど、どちらかというと『最新の APN 構成プロファイルに差し替える』のが本来の目的のような気もします。

対処方法

APN 構成プロファイルは、MVNO 各社の Web サイトからダウンロードできるようになっている場合が多いようです。

自分が利用している「ワイヤレスゲート WiFi+LTE SIM」であれば こちら からダウンロードできるようになっているので、このページを iPhone で開いて『端末が LTE 通信に対応している場合』の方のプロファイルをインストールして差し替えます。

間違ってインストールしたときなど、不要な APN 構成プロファイルを削除したい場合は、iPhone の「設定」アプリから「プロファイル」を選択して、そこから不要なものを選んで削除できます。

iPhone のリセット機能を使う

もうひとつ有名な対処方法に iPhone のネットワーク設定をリセットする方法があるようです。

ただしこちらはその名のとおり、ネットワークまわりの設定がリセットされてしまうため、既に iPhone に登録してある Wi-Fi のパスワードや VPN 設定などもリセットされるため、その後の再設定が面倒なのが厄介だったりすることがあります。

対処方法

リセット自体は簡単で、iPhone の「設定」アプリから 一般 リセット ネットワーク設定をリセット とたどり、パスコードを入力することでリセットできます。

2.APN 構成プロファイルを自作する方法

今回の問題を解消するのに使えた方法ですが、もし iOS のアップデートなどで APN 構成プロファイルの互換性がなくなった場合は、上記のようなリセット操作をしなくても、適切な APN 構成プロファイルに差し替えることで、問題を解消できることがある様子です。

この方法は、通常は自分が利用している MVNO 会社から適切な APN 構成プロファイルが提供されるのを待って、提供され次第それをインストールすることで対処することになると思いますけど、APN 構成プロファイル自体はテキスト形式のファイルなので、どう修正すれば良いかさえわかれば、自分で作って入れ直すことも可能です。


今回は、どうやら APN 構成プロファイルの書式が少し変わったのと、その中に認証方式を書き加える必要がありそうな情報を こちら で見つけたので、それを参考に APN 構成プロファイルを自作してみることにしました。

APN 構成プロファイルを自作する

APN 構成プロファイルの自作にあたり、今回は別の MVNO 会社 IIJmio が試験的に提供する APN 構成プロファイルを参考に作成してみることにしました。

この内容に、自分が利用している「ワイヤレスゲート WiFi+LTE SIM」の現行の APN 構成プロファイルの内容の必要なものをコピー&ペーストで作成してみました。


そうして出来上がったのが、次のような APN 構成プロファイルです。

これをたとえば wg-unofficial.mobileconfig という名前で保存して、メールなどで iPhone に送って開いてあげると、この APN 構成プロファイルのインストールが行えます。

今回の自分の場合では、この方法によって無事、iOS 9.0 beta 5 と ワイヤレスゲート WiFi+LTE SIM の組み合わせでも、モバイルデータ通信を利用できるようになりました。

3.SMS だけ開通する方法

そんな PDP 認証エラーでしたけど、モバイルデータ通信が使えなければ何もできないかと思いきや、SMS については送受信ともに利用できる様子でした。自分はデータ通信専用 SIM なので通話ができるかどうかまでは分かりませんでしたが。

出かけて初めて PDP 認証エラーに気づいたようなときに連絡手段が残されているかどうかは今やかなり重大なところなので、SMS だけでも使えるというのは助かります。

ただ iPhone ではデータ通信を使った iMessage が何かと優先されるみたいで、メッセージの送信にずいぶん時間がかかったり失敗したりしてしまうことがよくありました。

iMessage を無効化する

PDP 認証エラーで iMessage が使えないときには iMessage を無効化しておくと、最初から常に SMS で送受信をしてくれるので便利です。

iPhone の設定アプリから「メッセージ」を選択すると、そこから「iMessage」の有効・無効を選択できます。

ここでいったん iMessage を無効化すると、データ通信ができるようになるまで iMessage を再度有効化できなくなるようですけど、そもそもデータ通信ができなければ iMessage を受け取れないので、今回のような場面でこれが何かの支障になることはきっとないでしょう。