法人名義で契約できる格安 SIM を選ぶ際に注意したこと

格安 SIM

そういえば、以前に iPhone で使う格安 SIM カードを法人名義で契約しようとした時に注意したことが幾つかあったので整理してみることにしました。


そういえば以前に SIM フリーな iPhone で使う、法人名義で契約できる格安 SIM を探した時に、いろいろと気をつけたいところがあったのを思い出したので、まとめてみることにしました。法人契約の場合に限らない話もいくつか書いてあるので個人が格安 SIM を選ぼうとした時の参考にもなると思います。

契約を検討していた頃は 2015 年 10 月ごろなので、今回の話はその頃に調べたことが主になります。また、以下に記載してある詳細情報は 2016 年 01 月 24 日の時点での情報になります。

法人名義で契約できる会社であること

まず、そもそものところとして、一般向けとは違って法人名義で契約できる格安 SIM は限られてきます。当時調べていて記憶に残った通信会社は、たとえば次のものがありました。細かく探せばきっともっとあると思います。

今回はこれらの会社を中心にして、比較しながら話を進めてみようと思います。

通信回線の種類

ひとくちに 格安 SIM と言っても利用できる通信回線の種類も違ってきます。

SIM フリー iPhone などの通信会社に純粋に縛られない機種を使う分には基本的にはどれでも問題ないはずですけど、たとえば以前に docomo で契約した機種を持っていって、それで格安 SIM を利用したいみたいなときには、通信回線が docomo な格安 SIM 会社を利用することになったりします。

格安 SIM 会社 通信回線の種類 参考資料
IIJ モバイル docomo か au かを契約時に選択(音声通話は docomo のみ) サービス詳細
OCN モバイル docomo 参考
BIGLOBE LTE・3G docomo サービスエリア
mineo docomo か au かを契約時に選択(手数料が発生するが、途中変更も可能) サービス紹介

通信料金

そんな風にして格安 SIM 会社と通信回線の目星がついたら、今度は通信料金の検討です。そもそも格安 SIM を選ぶのだから安いほうが魅力的に思います。そんな通信料金ですけど、これについては法人契約だからといって値段が高くなる感じはしませんでした。

いくつかあるプランの内のdocomo の中からいちばん安いデータ通信の金額だけを挙げるのであまり参考にならないかもしれませんけど、気になった各社のいちばん安いデータ通信プランの利用料は次のようになっていました。

格安 SIM 会社 最低金額 最低契約時の通信量など 参考資料
IIJ モバイル 月額 900 円 毎月 3GB まで、使い切ると 256kbps、未使用分は翌月繰越 サービス詳細
OCN モバイル 月額 2000 円 毎月 1GB まで、使い切ると 300kbps、1日の通信料が 500MB を超えると 300kbps 料金
BIGLOBE LTE・3G 月額 700 円(+管理者ID基本料金) 毎月 3GB まで、月の通信量を使い切るか直近3日間の通信が 600MB に達すると 200kbps 料金注意
mineo 月額 700 円 毎月 500MB まで、使い切ると 200kbps 料金・スペック

プラン変更

それと法人名義に限った話ではないですけれど途中での契約プランの変更かできるかどうかも押さえておくと、その後の利用状態に合わせて適切な料金で利用できて安心かもしれません。

格安 SIM 会社 プラン変更 手数料 参考資料
IIJ モバイル 月単位で可能? 未確認 FAQ
OCN モバイル 営業担当へ連絡 未確認 Q&A
BIGLOBE LTE・3G 可能(適用時期は未確認) 0 円 料金FAQ
mineo 可能(翌月に適用) 未確認 料金・スペック

契約変更

また、今回に気になった IIJ モバイルや mineo では通信回線に関するそもそもの契約変更もできるようでした。

そんな機会もあまりないかもしれないですけど、契約し直すよりも安い料金で切り替えられたりすることもあるので、貸与する社員に応じて契約内容を見直すみたいなことも幾分しやすくなるかもしれません。

格安 SIM 会社 プラン変更 手数料 参考資料
IIJ モバイル データ SIM から SMS 機能付きデータ SIM への変更が可能(音声 SIM からデータ SIM への変更は不可) 未確認 FAQ
OCN モバイル 営業担当へ連絡 未確認 Q&A
BIGLOBE LTE・3G データ SIM を SMS 機能付きデータ SIM へ変更可能(データ SIM から音声通話 SIM への変更は不可) 3000 円 FAQFAQ
mineo 可能(docomo ⇄ au、データ通信 ⇄ 音声通話) 2000 円 料金・スペック

通信量チャージ

格安 SIM ではプラン変更までしなくても通信量を必要時に追加できるオプションも用意されていたりします。これがあると 普段は安いプランで契約しておいて通信速度が欲しい時だけチャージして使う みたいなことも可能になって勝手がよくなります。

格安 SIM 会社 チャージ 料金等 参考資料
IIJ モバイル 月単位で可能(翌月末日まで有効) 1GB を 300 円で サービス詳細・料金
OCN モバイル 不可?
BIGLOBE LTE・3G 随時可能 100MB を 300 円で(使い切るまで有効) ボリュームチャージ利用期限
mineo 随時可能 100MB を 150 円で(翌月末日まで有効) 料金・スペック

音声通話

これまで普通のキャリア回線を利用していてそこから格安 SIM に乗り換える場合は、これまで使用していた回線についていた音声通話の機能も気になるところな気がします。

格安 SIM では基本はデータ通信専用が基本で音声通話が付くと割高になるスタイルなので、通話が必要かどうかを見定めてみるのも面白いかもしれません。最近であれば Facebook などの SNS メッセージサービスだけで充分な人もいるでしょうし、 iPhone 同士なら FaceTime Audio とか、IP 電話サービスみたいなスマートフォンならではの格安通話の手段を活用できたりするかもしれません。

なお、格安 SIM の本日のサービスでは発信番号にあらかじめ決められた番号をつけることで通話料が半額になるみたいなサービスがあったりするので、音声通話オプションをつけた場合はそれも活用すると、格安 SIM ならではの安さを活かせて良さそうです。

格安 SIM 会社 基本料金 通話料 割引通話機能 参考資料
IIJ モバイル 月額 +700 円 30 秒 20 円 あり 音声通話機能
OCN モバイル なし? - -
BIGLOBE LTE・3G 月額 +700 円 30 秒 20 円 あり(通話パックあり) 料金オプションサービス
mineo 月額 +700 円 30 秒 20 円 ビジネスLaLa Call をデータ通信量を消費せずに利用可能 料金・スペックビジネス LaLa Call)

留守番電話の機能

そして音声通話を検討するにあたっては、留守番電話機能があるかについても気にする必要があります。通常キャリアの音声通話であれば留守電がついてて当たり前ですけど、格安 SIM では標準では留守番電話機能がついてなくて、追加料金で使えるようにするのが一般的な印象です。

中にはそもそも留守番電話機能が使えない会社もあったりするので、事前にしっかり確認しておきたいところです。特に留守番電話機能が利用できない会社はわざわざ『ない』とは謳わない傾向があるように思えるので注意したいところです。

もうひとつ気をつけておきたいところは、留守番電話に残されたメッセージを聞くときに通話料が普通に発生するところ。これは今までのキャリアでも普通だったみたいなので、変わらないとも言えるところですけれど。

格安 SIM 会社 留守番電話の利用料金 参考資料
IIJ モバイル 月額 300 円(留守電のメッセージを聞く時に通話料が発生) 音声通話機能
OCN モバイル なし?
BIGLOBE LTE・3G 予定あり(2月より受付開始) FAQオプションサービス
mineo 月額 +300 円(留守電のメッセージを聞く時に通話料が発生) 料金・スペック

SMS 機能

または音声通話にこだわらなくても、もしかすると SMS メッセージ機能だけで済むかもしれません。音声通話機能をやめて SMS 機能だけにするという選択ができるのも格安 SIM ならではのメリットなのかもしれません。

なお、SMS メッセージを送るときに追加料金が発生することは忘れないでおきたいところです。メッセージは送信時に文字数に応じて一通あたり 3 円 〜 30 円の料金がかかります。

メッセージ機能については、データ通信機能さえあれば Twitter や iMessage などを使うことができるので、連絡を取る人たちがそれで済むようであれば SMS 機能を選ぶ必要はなかったりするかもしれません。ただ最近は SMS メッセージを使って本人確認するシステムが増えてきた気もするので、あったほうが何かと便利かもしれません。

この SMS 機能については、音声通話機能をつければその一環として無料で付加されるのが一般的みたいです。

格安 SIM 会社 SMS 基本料金 SMS 通信料金 参考資料
IIJ モバイル 月額 140 円 通信数に基づき課金 サービス詳細・料金
OCN モバイル 月額 100 円 通信数に基づき課金 料金
BIGLOBE LTE・3G 月額 120 円 通信数に基づき課金 料金
mineo 月額 120 円 通信数に基づき課金 料金・スペック

新規登録手数料

新規の契約手数料は、個人であれば SIM の購入が登録手数料に代えられているのが一般的な印象ですけど、法人だと普通に申し込みを行って後日 SIM が手元に届くというのが一般的みたいです。

個人向けの SIM 販売による新規登録方法の場合はときどき SIM 販売金額の割引によって実質的に手数料が免除されることもあったりしますけど、法人向けの場合はなかなか期待できなそうです。ちなみに登録手数料自体は個人でも法人でもさして違わない印象でした。

格安 SIM 会社 参考資料
IIJ モバイル 3000 円,サービス詳細・料金
OCN モバイル 3000 円,料金
BIGLOBE LTE・3G 3000 円,料金
mineo 3000 円,料金・スペック

付随サービス料が必要な会社も

また、今回気になった格安 SIM 会社のうちの BIGLOBE については、データ通信や音声通話に付随して発生する料金に加えて、管理手数料みたいなものが必要になる様子でした。

BIGLOBE の場合は、ひとつの管理手数料で複数の回線を持ってるみたいなので、回線数が増えればさほど気にならない金額になそうですけど、回線を1つだけ契約したいようなときには割高感が出てきます。格安 SIM 会社によってはこうした別の固定料金が発生する場合もあるようなので、契約前には気をつけてみたいところです。

格安 SIM 会社 付随サービス 料金 参考資料
IIJ モバイル なし 不要
OCN モバイル なし 不要
BIGLOBE LTE・3G BIGLOBE オフィスサービス 月額 500 円(1契約で複数回線利用可能) BIGLOBEオフィスサービス
mineo なし 不要

番号ポータビリティー

音声通話を使う場合は、これまで使っていた電話番号そのまま引き継げる番号ポータビリティー (MNP) も気になるところですけど、これについては現在は、個人の場合と同様に利用できる印象です。ただ 2015 年 10 月頃に調べていたときには MNP を利用できない格安 SIM 会社がいくつかあった印象なので、選ぶときにはここも気にしておきたいところのように思います。

さておき、法人契約の時に注意したいのが、もし MNP を利用するときには移転元と移転先とで名義を合わせる必要があるというところかもしれません。あまりない場面かもしれないですけど、個人名義で使っていた番号をそのまま新たに法人名義で契約する格安 SIM に転用することができません。そのため、あらかじめ法人名義に変更してから MNP を利用するか、また新たに取り直さないといけないこともありそうです。

格安 SIM 会社 MNP 手数料 参考
IIJ モバイル 可能 転出時は 3000 円 MNP転入
OCN モバイル なし? 未確認
BIGLOBE LTE・3G 可能 転出時は 3000 円 FAQ
mineo 可能 転出時は 2000 円 料金・スペック

無料通話

無料通話サービスについては、気になった格安 SIM 会社の中では BIGLOBE が通話パックと称して基本料金の中にいくらかの通話料が含まれたプランを提供している様子でした。これについても 2015 年 10 月頃に調べていたときにはなかったサービスだったので、もしかすると今後に他の会社でも似たようなサービスが行われるかもしれません。

それと大事なところとして、現時点では、大手キャリアでは当たり前な感じのある同じキャリアでの通話料が無料になるみたいなサービスが無くなるところにも注意したいように思います。携帯電話の通話料金ってほんのちょっと話しただけのつもりでも月額でみるとあっという間に 1,000 円とか料金がかかってくる印象があるので、通話はまずしないと思える人でなければ、通話料についても幾らか気にしておきたいところに思います。

格安 SIM 会社 無料通話サービス 参考
IIJ モバイル なし?
OCN モバイル なし?
BIGLOBE LTE・3G BIGLOBE 電話に「通話パック60」オプションあり BIGLOBEでんわ
mineo なし?

キャリアメール

格安 SIM に乗り換えて人によっては困るかもしれないのが、たとえば @docomo.ne.jp みたいないわゆるキャリアメールが使えなくなるところです。

これは普段でもキャリアを変えればアドレスが変わって何かと面倒が発生するところですけど、格安 SIM への乗り換えの場合はそもそもメールアドレスが発行されない場合も多い印象がします。

スマートフォンであれば Gmail みたいな無料の電子メールサービスを使えば充分なところもありますけど、稀に携帯電話向けサービスでのユーザー登録で必要になることもありますし、電子メールでやり取りする相手が PC メールを受信しない設定になっている場合があったりするので、キャリアメールがないと困る場面がないかどうかは念のため確認しておきたいところに思います。

そんなキャリアメールと電子メールの違いについては mineo コミュニティサイト内の説明 がわかりやすいです。

格安 SIM 会社 キャリアメール 参考資料
IIJ モバイル なし FAQ
OCN モバイル なし?
BIGLOBE LTE・3G なし(BIGLOBE ドメインの電子メールが発行される) FAQ
mineo なし(mineo.jp ドメインの電子メールが発行される) 料金・スペック

本体実質無料はない

それと大手キャリアではお馴染みな感が強い iPhone などの本体代金実質無料的なサービスは受けられなくなりそうです。

大手キャリアでは2年縛りと高い月額料金と引き換えに、2年間使い続けさえすれば本体代金のほとんどを毎月の料金から割り引いてもらえるサービスがありますが、格安 SIM でそういったサービスが用意されているところは今のところはなさそうです。

もし格安 SIM と合わせて SIM フリーの端末を新規に買おうと思うなら、本体代金も含めて月額換算でいくらかかるのか、そんなところも加味しておきたいところのように思います。特に最近の iPhone は高い印象なので、本体を1、2年で買い替えるとなると案外、割引を駆使した大手キャリアの料金とさして変わらないみたいなこともあるかもしれません。

通信速度が落ちるかもしれない

これはアンテナ状況などの環境によるのかもわかりませんけど、自分は以前ソフトバンクの回線を使っていて、それを docomo 系の格安 SIM に乗り換えた時に通信速度が体感的に遅くなったと感じられたことがありました。

例えばソフトバンク回線 4G アンテナ感度いっぱいで下り 63.12Mbps の速度が出ていたところ、同じ場所で docomo 系の格安 SIM の LTE アンテナ感度いっぱいだと下り 2.20 Mbps という速度が計測されました。

周辺の通信利用環境によっても左右されると思うので、場所や時間によっても変わってくるとは思いますけど、とりあえずそんなことがあったので、もし利用したい格安 SIM 会社でお試しサービスが提供されてる場合には一旦それで使い心地を試してみるのも良いかもしれません。

格安 SIM 会社 お試しサービス 参考資料
IIJ モバイル なし?
OCN モバイル なし?
BIGLOBE LTE・3G あり LTE・3Gお試し利用お問い合わせ
mineo なし?

最低利用期間

そして、大手キャリアではお馴染みの最低利用期間も気にしておきたいところです。

データ通信専用の SIM であれば基本的に無いか無視できる程度の期間設定になっている様子でした。ただし最初に新規契約手数料がかかっていて、それが格安 SIM の料金に対して割高なので、ある意味それが感覚的な最低利用期間になっているとも言えそうです。

音声通話対応の SIM になると、ある程度の最低利用期間が設定されることが増えてくるようです。大手キャリアと比べれば短い設定になってる印象ですし、その期間を超えたからといって再び利用期間の縛りが再発生するみたいなことはなさそうですけど、大手キャリアとは違って縛られる代わりに得られるメリットが薄い印象なので、それも考慮して検討したいところに思えました。

格安 SIM 会社 最低利用期間 途中解約の違約金など 参考資料
IIJ モバイル 音声通話 SIM については1年(データ通信 SIM は未確認) 最大 8400 円 FAQ
OCN モバイル 1ヶ月 未確認 FAQ
BIGLOBE LTE・3G 音声通話 SIM は契約の翌月から12ヶ月目まで(データ通信 SIM は最低利用期間なし) 8000 円の契約解除料 FAQ
mineo 原則なし 12ヶ月以内に他社へ MNP 転出する場合は実質 9500 円の追加手数料 よくあるご質問

格安 SIM に切り替える際に気をつけたいこと

そんなあたりが今回、法人名義で使える格安 SIM を検討していて感じたところでした。

大手キャリアも他社からの乗り換えなどを利用すれば料金を安く抑えられる可能性もあるでしょうから、その辺も加味して格安 SIM が魅力的かを検討する必要がありそうです。もっとも法人名義になると割引特典もかなり削られる印象なので、個人名義のときのような割引は期待できなくなりますけれど。

料金面以外については、大手キャリアならショップが各地にあって何かの時に相談しやすいというのはあるかもしれません。


そしていざ格安 SIM へ実行しようと思ったときには、単純な月額料金のほかにも次のような料金の発生も視野に入れたいところです。

音声通話を利用したいなら

これまで使っていた電話番号を引き継ぎたい場合には

そんなあたりを考慮して格安 SIM に乗り換える価値があるのかどうか判断するのが良さそうです。

こんなふうに特に音声通話まわりで料金がかさんでくる印象のある格安 SIM ですけれど、少し前まではデータ専用プランであっても制限なく通信できる容量が安いと少なめだった時期もあるので、もしかすると今後に通話まわりについても充実したプランになってくる可能性もあるかもしれません。


そうそう、それと忘れないでおきたいのが、もしこれまでのキャリアで本体実質無料のサービスを受けている場合は当たり前ですけど格安 SIM への乗り換えに伴って以前のキャリアで実質無料サービスが解消されるため、残っている本体分割代金が毎月かかってくるところにも注意したいところです。