放射線測定器 MKS-05 を Bluetooth で接続する : EZ-NET

HARDWARE REPORT


放射能測定器 MKS-05 を Bluetooth でパソコンと接続する

平成 23 年 3 月 11 日の東日本大震災以降、その影響で爆発事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所の影響によって、日本でもすっかり放射能測定器がおなじみの機械になってしまったような気がします。

そんな放射線測定器のうちのひとつ、ウクライナ製のガイガーカウンター MKS-05 を購入してみました。



ちなみにこの新型機種には、Bluetooth によるパソコンとの通信機能が用意されています。

この Bluetooth 機能を使って、パソコンで MKS-05 の測定データを確認できるとのことでしたので、実際にそれを試してみることにしました。

対応 OS

今回使用するパソコンは、Windows XP が搭載されたパソコンです。

Windows 7 でも使用できればよかったのですけど、残念ながら MKS-05 に付属していたソフトウェアが 64 ビット版の Windows 7 には対応していないようで、セットアッププログラムを実行したタイミングで次のエラーが表示されてしまいました。

このファイルのバージョンは、現在実行中の Windows のバージョンとは互換性がありません。コンピューターのシステム情報を確認して、x86 (32 ビット) または x64 (64 ビット) のどちらのバージョンのプログラムが必要であるかを確認してからソフトウェアの発行者に問い合わせてください。

インストールが出来ない以上、64 ビット版の Windows 7 では使えない感じですね。

ちなみに Windows 7 でも 32 ビット版であればインストールが出来ましたし、64 ビット版でも Professional 以上に搭載されている XPMode を使えば、XP Mode 上で MKS-05 と Bluetooth 通信できるようでした。

XP Mode を使った時のお話は、また別の機会にしたいと思います。

対応 Bluetooth レシーバー

Windows パソコンで Bluetooth を使用するためには、Bluetooth 受信機(レシーバー)を用意する必要があります。

ノートパソコンには最初から Bluetooth 受信機が搭載されている機種も多いようですけれど、Bluetooth 受信機と MKS-05 との相性で接続できない場合もあるようなので注意が必要です。

自分のパソコンには Bluetooth 受信機がなかったので増設をしてみたのですけど、最初に用意したプラネックスの BTMicroEDR2XZ では上手く接続できず、結局 BUFFALO の BSHSBD04BK を使用して接続できるようになった感じです。


この受信機で MKS-05 と接続できました。

そんな感じで今回は、BUFFALO BSHSBD04BK という Bluetooth レシーバーを使用して、MKS-05 とパソコンを接続して行きます。

 

Bluetooth 受信機 BSHSBD04BK をセットアップする

デバイスドライバーのインストール

まず、Bluetooth 受信機 BSHSBD04BK をパソコンに接続します。

すると、標準ドライバーがインストールされて、パソコン上でとりあえず Bluetooth が使えるようになりました。

ただ、標準の Bluetooth ドライバでは、どうやらガイガーカウンター MKS-05 との通信を上手く行えない感じでした。

そこで続いて、この BSHSBD04BK に付属しているドライバソフトウェアをインストールして行きます。

 

まずは CD-ROM ドライブに、Bluetooth アダプタに付属していた CD-ROM (BSHSBD04/05 シリーズ ユーティリティー CD) を挿入して、ドライバーのインストールを開始します。

"日本語" を選択して【OK】を押すと、Motorola Bluetooth インストールウィザードが起動します。

そしてこのまま手順どおりに進めて行くと、Bluetooth ドライバのインストールは完了しました。

Bluetooth を設定する

インストールが終わるとタスクトレイに Bluetooth アイコンが表示されるので、それを右クリックして、"Bluetooth 設定" を選択します。

Bluetooth 設定画面が起動したら、スパナのアイコンをクリックして "一般設定" 画面を開きます。

ここでは、まず Bluetooth デバイス名として "CHECKPOINT" を設定します。ガイガーカウンター MKS-05 は "CHECKPOINT" という名前の付けられた Bluetooth デバイスと通信を行おうとするようなので、この名前を設定しないと通信ができない感じでした。

また、"他の Bluetooth デバイスにこのコンピュータの表示を許可する" にもチェックを入れる必要がありました。この設定が必要なのはもしかすると、他のデバイスから見つけられるようにしておかないと、MKS-05 がこのパソコンが存在していないと思ってしまうのかもしれません。

 

また、MKS-05 とは Bluetooth COM ポート経由でデータのやりとりを行うことになるため、シリアルポートアイコンをクリックして COM ポートの追加を行います。

Bluetooth バーチャルシリアルポート一覧に COM ポートが登録されていない場合には【追加】ボタンをクリックして、受信用の COM ポートを追加します。ボタンを押してから数十秒ほどで COM ポートが一覧に追加されました。

ここの COM ポートの番号を覚えておいて、続いて、この番号を MKS-05 に付属していたモニタリングソフト "Cadmium ECOMONITOR" に登録する作業をおこなって行きます。

 

MKS-05 モニタリングソフトを使用する

Cadmium ECOMONITOR のインストール

ガイガーカウンター MKS-05 の Bluetooth が搭載された機種では、そのデータを、付属のモニタリングソフト "Cadmium ECOMONITOR" というソフトウェアで取得することができます。

付属の CD-ROM を挿入したら、その中の "Cadmium_CD" フォルダー内の "Cadmium_Setup" フォルダーを開いて、"SETUP.EXE" を実行すると、Cadmium ECOMONITOR のセットアッププログラムが起動します。

このとき、64 ビット環境で実行すると、実行直後にエラーメッセージが表示されてセットアップを進めることができないようでしたので、64 ビット版 Windows 7 を使用している場合は注意が必要です。

セットアッププログラムさえ起動できれば、インストールの作業自体は普通のアプリケーションと同じように簡単に行えます。

Cadmium ECOMONITOR の設定

Cadmium ECOMONITOR のインストールが完了したら、続いてそのアプリケーション上で設定を行います。

まずはスタートメニューから "Cadmium" を実行します。

Cadmium ECOMONITOR が起動したら、[Settings] メニューから [Settings] を選択します。

そしてここで、受信に関する設定を行います。

ここで "COM-port" として、Bluetooth 受信機を設定した際に割り当てた Bluetooth 仮想 COM ポートを指定します。また、"Select Dosimeter" では "MKS-05" を選択します。

このように設定して [Apply] ボタンをクリックしたら、これで MKS-05 と接続してデータの受信を行う準備が整いました。

MKS-05 のデータを受信する

Cadmium ECOMONITOR の設定が完了したら、ツールバーの Bluetooth ボタンをクリックします。

すると、画面の表示が "Search" に変わり、MKS-05 からデータが送信されてくるのを待っている状態になりました。

 

この "Search" にした状態で、MKS-05 の "MODE" ボタンを押していって、"PC" という表示が出てくる画面に移動します。

そして "THRESHOLD" ボタンを押すと、パソコンの Bluetooth 受信機と MKS-05 とが Bluetooth 仮想 COM ポートを介して接続されて、それを知らせるメッセージがポップアップで表示されました。

Cadmium ECOMONITOR 上でも MKS-05 が接続されたことが認識されて、データ通信を開始して良いかと訪ねられました。

ここで [Yes] ボタンをクリックすることで、MKS-05 が保持しているデータを画面上に表示することができました。

使い勝手が今ひとつ良くわからないところがありますけど、とりあえず "Channel" が "Dose" のところには、"Measurement times" が示す時間にどれくらいの被曝をしたかの積算が表示されています。

"Channel" が "Gamma" のところには、これまで計測して記録しておいた空間線量率が表示されています。MKS-05 の "Arch" モードで記録しておかないとここには表示されないのですけど、記録した計測値が画面表示よりも小数点数が1桁多く表示されるのが少し興味深いところでした。

 

ちなみに MKS-05 との通信は、5 分で自動的に切断されるようになっていました。

Cadmium ECOMONITOR が MKS-05 を検出すると、そこから 5 分のカウントダウンが始まって、0:00 になったところで強制的に MKS-05 との通信が切られる感じです。

わざわざ自動切断してくれなくても自分で切れば十分そうですし、そもそもリアルタイムでのデータ計測でもないのだから、自動切断をするなら受信後すぐ切断してもよさそうな気もするのですけれどね。

 

MKS-05 とパソコンを Bluetooth で繋いでみた感想として

このようにしてパソコンと MKS-05 とを Bluetooth で接続してみたわけですけれど、個人的に思っていたデータ取得のイメージとは違った感じでした。

リアルタイムに計測値が観られるのかと思っていましたけど、どうやら記録された値を後から観るためのものみたいです。

例えば、放射線従事者にこれを持たせて、従事者は予め定めた計測ポイントを巡ってそこの放射線量を計測し、その場で計測した値を "arch" で記録に残しておく。そうやっていくつかの計測ポイントを巡って戻ってきた計測者から計測器を受け取って、その計測値とその間の被曝量をパソコンに取り込む、といった感じに使える感じです。

個人的には、計測器をどこか近くにおいて、その計測器のデータを随時パソコンで監視できたらと思っていたのですけど、そういう用途にはどうやら使用できなそうです。

 

それともうひとつ気になったのは、Cadmium ECOMONITOR でデータを確認すると、空間線量の数値が MKS-05 本体の画面で見るより精度が 1 桁高くなっているところでしょうか。

MKS-05 本体だけだと 0.10 μSv とか 0.11 μSv という値でしたけど、これが 0.106 μSv とか 0.122 μSv とか表示されてくるだけで、ずいぶんと印象が違ってくるような気がしますね。

MKS-05 の画面では、10 μSv 未満であればもう 1 桁表示できる余裕もあるのだし、せっかくこのような値が内部で採られているのなら、それを画面でも見たかったように思いました。