Vpopmail を調べてみる
REPORT
はじめに
この文書は Vpopmail が利用するに値するかどうかを調べたときのものです。個人的には自分の肌にあわなそうだったので利用するのはやめました。なので使いかたとかそういったことには一切触れられていないです。
qmail と Vpopmail
qmail とは、http://www.jp.qmail.org/ でも歌われている通り、「安全確実で、信頼できて、高性能で、簡潔なメイル配送エージェント」 が売り文句になっているメールサーバです。また Vpopmail は、Inter7 Internet Technologies で公開されている qmail の仮想ドメイン管理を支援するソフトウェアだそうです。
このソフトウェアを使うことで、異なるドメインで同一のアドレス (@ の前の部分) を使用したい場合などの Linux アカウント名の問題を解決することが出来るようです…。
他にも POP before SMTP 機能やら SMTP Auth 機能やらを実装することも出来るらしいです。Courier-IMAP 対応や IP ベースのバーチャルドメインもサポートしているとの売りも掲げているようです。
同一アドレス(同一@異なるドメイン) を実現する仕組みは…
憶測
qmail 単体でも Linux アカウントを工夫すれば、virtualdomains を利用して異なるドメインにて同一のアドレス( @ の前の部分) を利用することは出来ます。仮想ドメインを設定して、それらのアドレスに届いたメールをそれぞれべつべつの Linux アカウントのメールボックスへ転送する…。
これが Vpopmail にてそういった手間を考えなくていいらしいのですが、はたしてそんな都合よくいくものなのでしょうか。
たしかに SMTP ならばそういったことは可能でしょうけど、POP はメールアドレスのドメイン部分を知ることができないはずなので、そうなるとたとえば user@aaa.bbb と user@ccc.ddd の2つのメールアドレスが存在していた場合に、ログインしてきた user アカウントがどちらのドメインを想定しているのかなどわからないような気がします。
そうなると、純粋に IP ベースのバーチャルドメインサポートと仮定して、指定された IP アドレスによってどちらのドメインを想定しているかを判断する…、というのが妥当そうなのですけど、これでは大して問題解決にはなっていなそうですし。
また、Vpopmail はシングルユーザ ID で仮想ドメインを運用するための qmail アドオンパッケージだそうです。セキュリティ性にも配慮されているとのことですので心配はないと思いますけど、このあたりもなんとなく気になる仕様です。
調査
肝心な POP での認証から調べてみたのですけど、やはりアカウント名は注意する必要があるようです。
Vpopmail は管理のためのプログラム群がつまったパッケージのようでたしかに登録作業とかでは重複するとかどうとかの配慮は要らないようなのですが、POP へ渡すユーザ名は "user%virtual_domain_name" というような書式でないといけないのだそうです。
主観ですけど、なんだかあまり意味がなさそうな感じです。
- /etc/passwd ではなく独自のアカウントリストを使える
- アカウント登録のためのパッケージがそろっている
- MySQL でアカウント管理が可能らしい
- 認証系の POP や SMTP も利用可能らしい
- Web から利用できる管理ツールが存在する
利点としては上記のものが挙げられているようですけど、個人的な意見としては次のような感じの不安要素があります。
- 独自のアカウントリストのため互換性や操作性に不安がある
- 独自仕様のこともあり、アカウント登録パッケージのとる行動 (修正箇所等) が把握しきれないのではないか
- 手動による qmail 関連ファイルの編集で、Vpopmail に関係する設定ファイルの秩序が乱れないか
- qmail 自体が仮想ドメイン管理しやすいとおもうため、アカウント命名規則を自分なりに定めてそれにそって設定すれば事実上 Vpopmail の仕様と似た感じになるのではないか (/etc/passwd は必須)
とりあえず、導入していろいろと不便がかかりそうな気がしてならないし、それを乗り越えて使うほどのツールとは思えないので、興味がもてるようになるまで Vpopmail の実験とかさらなる調査はお預けです。