Windows Live OneCare を使ってみる
SOFTWARE REPORT
ウィルス対策ソフトの負荷
ウィルス対策ソフトの重さというものを、よく耳にするこの頃でした。
今の自分の仕事場では TrendMicro 社のウィルスバスターが広く使われているようで、そのバージョンを 2007 にアップデートしたところ、それが動き出すだけで仕事にならないくらい重いと聞くことが多くなったんですよね。仕事場のみならず、知り合いでも 2007 にしたらぜんぜん駄目だみたいな話を何かと耳にしていました。
個人的には Symantec 社の Symantec AntiVirus 10.1 や Norton AntiVirus 2006 を利用してたりするのですけど、どちらかというと企業向けの Symantec AntiVirus 10.1 を利用していたときはそれといって重さが気になることはなかったのですけど、都合でそれを Norton AntiVirus 2006 に変更してみたところ、全体的に漠然とした不調感に見舞われてしまったのでした。
都合というのは、利用していたのが Victor 社の Mobile mini note PC MP-XP741 というノートパソコンだったのですけど、Symantec AntiVirus 10.1 は AntiVirus サーバと通信が取れることを前提としている作りのようだったため、持ち運びしているときなどには、ウィルス対策が有効になっているのか無効になっているのか、少し不安に感じるところがあったんですよね。
そこで、普通の Norton AntiVirus 2006 に交換してみたのですけど、インストール直後から、なんとなく妙に重たいときがあったりとか、スリープ状態から復帰したりした後で Windows XP が完全にハングアップしてしまったり、そこまでなくても重くて使い物にならなくなってしまうこととかが、目に見えて頻発するようになってしまいました。
一応は Norton AntiVirus 2006 関連のソフトウェアを動作させたからといって重いと感じることはない感じではありましたけど、そうでない全般的に重たいのはちょっと困り者です。
そんな感じで軽いウィルス対策ソフトがこの頃のテーマだったりしたのですけど、ふとしたことで PC の Winlogon というプログラムがエラーで停止してしまったときに、Microsoft 社からの修復の提案のひとつとして OneCare というソフトウェアの存在を知ることになったのでした。
Windows Live OneCare
Microsoft 社から 2007/01 頃に発売された Windows Live OneCare というソフトウェアは、ウィルス対策機能を含む日常的な PC 管理を担ってくれる統合ソフトウェアのような感じだそうです。
その提供機能を見てみると、ウィルス対策、スパイウェア対策、フィッシング詐欺対策 (IE7 と連動)、双方向ファイアウォール、パフォーマンスのチューンアップ、バックアップと復元と、たくさんの機能がありそうな感じがするものの、眺めているとちょっとばかり疑問を感じます。というのも、同じく 2007/01 頃に発売された OS である Windows Vista の機能とかぶるところが多いように思うんですよね。
ウィルス対策が目玉機能として、双方向ファイアーウォールは人によってはあったら安心かもしれない新機能ではあるけれど、それ以外の機能としては、なんだか Windows Vista そのもののような感じです。スパイウェア対策については、Windows Vista では標準機能の、Windows XP でも無償ダウンロード可能な Windows Defender を使えばいいはずですし、パフォーマンスのチューンアップにあるバックグラウンドでのハードディスク自動最適化に関しては、それこそ Windows Vista の売りのひとつだったはずです。バックアップ機能としては、Windows XP の頃からバックアップツールが存在していましたし、それをスケジューリングすることも可能だったはずです。
Windows Live OneCare の機能として別パッケージで販売するくらいなのだから、それなりの使い勝手や機能の向上が図られているのかもしれないですけど、それにしてもこれだけ機能がある中で、その多くが Windows Vista の標準機能でまかなえてしまいそうなところが、逆に OneCare の値段をやけに高いものに感じさせられてしまうような気がします。
これがウィルス対策ソフトというだけの話だったら、お手軽な値段のよう感じられるような気がするんですけどね。
というのもライセンス体系として、この Windows Live OneCare というソフトは、1 つのパッケージで合計 3 台の PC へインストールすることができるようになっているのが挙げられます。
これもまあ、普通は PC を 1 台くらいしか持っていないのかもしれないので、逆に高く付くと感じてしまうところなのかもしれないですけど、個人的には何かと利用する PC が多くなってしまいがちなので、1 本買えば 3 台までのゆとりができるというところは、なんだか安心を感じられるところです。
なにはともあれ現状のノートパソコンで Norton AntiVirus 2006 を使い続ける気がしないのと、タイミングよくちょうど更新時期となったので、これを機に Windows Live OneCare を実験もかねて使用してみることにしました。
ところで、購入した後でパッケージに同梱されている説明書を眺めていたのですけど、機能の一つのパフォーマンスチューニングに関して、自動チューンアップは標準では午前 2:00 に設定されるとのことでした。
その理由として "チューンアップには時間がかかり、実行中は PC の処理速度が低下することがあるため、既定のチューンアップ時刻を PC が通常使用されない深夜に設定しています。" と書かれていました。この時間に PC を起動していない場合はチューンアップが実行されないとのことで、これでは普通の人たちの環境ではあまり実行されないことになるのではないでしょうか。
そもそも影響を最小限にバックグラウンドで動作するというお話だった気がするのですけど、それにしては妙な気遣いのような気がします。Windows Vista の場合は Low Priority I/O という機能によって、そもそも標準で搭載されているデフラグがほとんど影響を及ぼさない程度にハードディスクを定期的に最適化してくれるように設定されているので、しかも指定時刻に PC が起動されていなかったら次の起動時に実行してくれそうなので、そちらのほうが余程頼もしく感じます。
使用環境まわりの確認
Windows Live OneCare の利用に先立って、現在の Norton AntiVirus 2006 の使用環境等を整理してみようと思います。
ハードウェアは Victor 社の Mobile mini note PC / MP-XP741 というノートパソコンで、OS は Windows XP Professional SP2、CPU は Intel centrino プロセッサ 1.10 GHz、物理メモリは合計で 768 MB になっています。この状態で Norton AntiVirus 2006 がインストールされていて、通常利用時は PF 利用量 344 MB な感じですが、この状態でも漠然と重たいことがままあったり、スリープから復帰すると重たすぎて話にならないことが頻発したりしています。
それでも Norton AntiVirus 2006 からウィルスの完全スキャンを実行してみると、それほど支障をきたすような重さは感じられません。このときは NAVW32.EXE というプログラムが起動して、それの CPU 利用率は 50% から 100% という範囲を行ったり来たりする感じです。たしかに 100% に到達するのは問題のような気もしますけど、それでも支障をきたすほど 100% で居続けることはなさそうでした。
ちなみにこの間の PF 利用量は 420 MB くらいまで跳ね上がるので、Norton AntiVirus 2006 を起動すると 80 MB くらいは余分にメモリを消費すると見ておいていいかもしれませんけど、それでも現在の環境では物理メモリを超えてしまうことはないので、あまり重く感じないのは物理メモリに余裕があるからなのかもしれないです。それでも、物理メモリは 512 MB はあったほうが安心というくらいになると思うので、一般的な PC を購入していた場合はメモリ不足による処理速度の大幅悪化も否めなそうなところです。
Windows Live CareOne のインストール
Victor Mobile mini note PC MP-XP741 には CD-ROM ドライブがないので、今回は他の PC にある CD-ROM ドライブを利用してインストールすることにしました。2 台目からのインストールの場合には Windows Live OneCare のサイト ( http://onecare.live.com/ ) から直接インストールを行うこともできるようになるとのことなので、既にどこかにインストールしている場合は、それを利用する手もあるかもしれないです。
ともあれ、CD-ROM 内の "OCSetup.exe" を起動すると、Windows Live OneCare のインストーラが起動します。インストールはウィザードの手順に従って、それほど難しいことなく進めることができました。
Windows Live OneCare インストールが起動して、更新プログラムが自動的にダウンロードされると、続けて使用する言語の選択となりました。ここでは "日本語(日本)" を選択して次へ進みます。そして "使用条件" に同意したら、後は Windows Live OneCare のダウンロードとインストールが行われました。
ここで気づくこととしては、Windows Live OneCare は、CD-ROM をひとつのキーにはしているものの、インターネットを利用してプログラムをダウンロードしているような感じです。インターネットが必須環境となるソフトウェアなので問題はないですけど、今までとは違う感覚がなんだか不思議な感じです。これなら CD-ROM なんか付けずにライセンス証だけにするとか、パッケージがもう少し簡単でもよさそうですけどね。
しばらくして、"競合するプログラムの削除" というウィンドウになりました。これは、既にインストールされていた Norton AntiVirus 2006 を残したまま Windows Live OneCare のインストールを行ってしまったのが原因で、コンピュータの正常な動作を期待するためにも既存の競合ソフトを削除しなければならないとのことでした。
検出されたのは "NortonAntiVirus2006" だったので、そのまま "削除" ボタンを押してアンインストールしてもらうことにします。削除ボタンを押すと Norton AntiVirus 2006 セットアップが起動したので、"すべて削除" ボタンを押して後は手順に従えば、Norton AntiVirus 2006 のアンインストールは完了でした。
アンインストールが完了して Windows を再起動したら、Windows Live OneCare が自動的に起動しました。
使い心地
Windows Live OneCare の利用準備が整った直後あたりは CPU 利用率が 100% 近くだったりしましたけど、これはどうやら Windows Live OneCare Update が実行されたことが影響したもののようでした。自分の環境では影響ありませんでしたけど、この様子だと PC 性能によってはもしかすると、アップデート時は重たさを感じたりするかもしれないです。
そして何もしていない状態での PF 利用量は 326 MB と、Norton AntiVirus 2006 の頃とそれほど変わらない値を示しているようでした。Windows Live OneCare ウィンドウは "WinSSUI.exe" が担っているようでした。
ウィルスとスパイウェアのフルスキャンを行ってみると、"MsMpEng.exe" というプロセスが起動して、CPU 利用率が 40% から 60% くらいの範囲で推移しているようでした。時折 80% くらいまで到達することもあるようですけど、逆に 20% くらいまで落ち込むこともあるようで、全体的におおよそ 60% くらいと、これなら PC にかかる負担は以前よりも確かに少なくなりそうです。
また、このときの PF 利用量も 292 MB 程度となっていました。何故だかいつの間にか何もしていないときよりも PF 利用量が減少しているようですけど、"MsMpEng.exe" のメモリ使用量が 36 MB 程度となっているところからも、つまりスキャン時でもそれほどメモリを消費しないという感じと見ていて良さそうです。これなら、アップデート時はちょっと気になるところですけど、ウィルス対策ソフトが動作したからといって極端に使い心地が悪化するといったことにはならなそうな感じがしました。
そして検索が終わってみると、なにやらウィルスが 3 件検出されたのですけど、検出結果がウィルス名とそれに対する処理の簡単な内容のみで、どこでそれが見つかったのかという情報が確認できる様子はありませんでした。Windows Live OneCare の設定で、ウィルスとスパイウェアの "検疫ファイル" の確認の場合は確認できるようになっているようでしたけど、今回の検出は "検疫できませんでした" または "削除済み" のみで、それらは検疫ファイルの一覧には挙がってこない感じでした。
設定によって "[中] と評価されたソフトウェアに対して自動処理を実行する" といった程度の設定は可能であるものの、それ以上の細かい調整はできる様子はないので、検出されたウィルスの詳細を知る術がさらに狭められるとともに、もしも誤認があったときの予期できないファイルの行方が少しきになるところです。
他にも電子メールは常にスキャンされているのかどうかといった様子も見えてこない感じで、スキャンスケジュールもディフォルトでは "毎日 23:00" に設定されているのでそのとき起動していなかったら実行されないかもしれないし、わざわざ "毎日" に設定されているところにも不安は残るところです。ただ、"ウィルスとスパイウェアの監視" 設定として常にウィルスチェックを行うような設定にはなっているので、どういう範囲で常時スキャンが行われているかは判りませんが、まったくの無防備ということまではなさそうです。
チューンアップでは "不要なファイルの削除", "ハードディスクの最適化", "ウィルスやその他の不要なソフトウェアのスキャン", "バックアップが必要なファイルの確認", "Microsoft から提供される優先度の高いセキュリティ更新プログラムの確認" の手続きが実行されるとのことです。
ハードディスクの最適化では CPU の利用率は 10% 程度となっていましたけど、ハードディスクのアクセスが頻繁になる都合か、だからといって他のプログラムを使っていると、まったく気にならないほどという感じもありませんでした。それでもウィルスチェックのときと同じような感覚で、それほど邪魔といった感じもなく、これなら処理中に遅くて困るといった心配も少ないように思います。そんな感じで今のところは、重さの面では特に不満は感じられないところでした。
ただしどちらとも、作業中の PF 使用量は 330 MB ほどを示してましたので、物理メモリが 256 MB しか搭載されていないような PC を利用している場合には、どのような影響が出てくるのかどうかは判らないところではありますけれど。
ライセンス認証を行ってみる
Windows Live OneCare を起動したら 「ライセンス認証」 ボタンを押して、ライセンス認証を行ってみました。
ライセンス認証ボタンを押すと、続けてコンピュータ名を指定する画面となりました。確認はマイコンピュータのプロパティから行うことができるのですけど、短い名前 (NetBIOS) でいいのかドメイン名も含めたフルコンピュータ名のほうがいいのか、ちょっと迷うところでした。
とりあえず短い名前を指定して次へ進んでみると、続いて Windows Live ID を用意する必要があるとのことでした。個人的には Windows Live ID を持っているので 「はい」 ボタンを押して次へ進みましたけど、持っていない場合には 「いいえ」 を選択して Windows Live ID の発行手続きとなるようです。
Windows Live ID を入手したら、それとパスワードとを入力して 「サインイン」 ボタンを押すと、続いて OneCare アカウントのセットアップ手続きとなりました。【Web サイトにアクセス】 ボタンを押すことで OneCare の Web サイトに接続されるので、そこの "ライセンス認証を開始" リンクをクリックして、認証手続きを続行します。
すると "プリペイド サービスの PIN" の入力画面となったのですけど、どうやらここにプロダクトキーを入力すればよさそうです。
プロダクトキーは Windows Live OneCare のパッケージに記載されているので、それを入力して 【続行】 ボタンをクリックします。すると送付先情報の入力画面となりましたので、氏名を入力して 【続行】 ボタンをクリックします。後は入力事項を確認して 【サービスに申し込む】 ボタンをクリックすれば、Windows Live OneCare サービスが Windows Live ID に登録されました。
登録が終わったら Windows Live OneCare の画面に戻って、ライセンス認証ウィンドウの 【次へ】 ボタンをクリックすれば、ネットワーク経由で Windows Live ID のサービス登録と照合されて、無事に OneCare のライセンス認証は完了しました。
慣れればいいのかもしれないですけど、初めてやってみた感じだと、ライセンス認証の手続きが非常に厄介な感じですね。世間にはパソコンがずいぶん浸透したとはいえ、今回のライセンス認証は非常にとっつきにくいものになりそうで、今後も Windows Live 対応ソフトが発売されて行くとしたら、この辺りの改善がひとつのテーマとなってきそうなところです。
2 台目の PC へインストールしてみる
Windows Live OneCare は、ひとつのライセンスで 3 台の PC にインストールすることができるようになっているとのことですけど、2 台目からのインストール方法は 1 台目とは少し違ってくるそうです。
2 台目へのインストールは Windows Live OneCare のサイト ( http://onecare.live.com/ ) から行います。1 台目のライセンス認証が完了している状態で、このサイトの "今すぐ使用" リンクから "別の PC にインストール" へとリンクをたどって、"Windows Live OneCare のインストール" をクリックします。
すると Windows Live OneCare のセットアッププログラムを入手することができますので、それを実行して Windows Live OneCare のインストールを手順通り進めて行きます。手順自体は 1 度目のインストールと特に変わらない感じでした。
インストールが完了したら、続いてライセンス認証を行います。ライセンス認証も 1 台目と手順は似ていて、まずはインストールした PC のコンピュータ名を入力します。そして 1 台目のライセンス認証で使用した Windows Live ID を入力してサインインを行えば、ライセンス認証の手続きは完了です。
2 台目からのインストールは CD-ROM も要らなければライセンス認証も簡単なので、なかなかこれは便利なのかもしれないです。