Outlook 2010 を別のパソコンに引っ越す

SOFTWARE REPORT


Outlook 2010 を引っ越してみる

Windows 7 に標準搭載されている移行ツールで、別の Windows 7 環境にデータ移行をしてみたところ、まだ Office 2010 (x64) が移行対象として想定されていないのか、平成 22 年 11 月 19 日現在では、Outlook 2010 の情報を移行することができませんでした。

そのため、手動にて Outlook 2010 (x64) の移行を行ってみることにしました。

 

移行前の環境をコピーする

Windows 7 での Outlook 2010 (x64) のデータファイルは、標準では "C:\Users\%USERNAME%\Documents\Outlook ファイル\" フォルダー内に "Outlook.pst" という名前で保存されるようでした。

ただ、今回の移転元のパソコンでは、Outlook 2003 くらいからずっと引き継いでいる IMAP 用のデータファイルがあるせいなのか、使用している "*.pst" ファイルは、"C:\Users\%USERNAME%\Documents\Outlook ファイル\" フォルダーと "C:\Users\%USERNAME%\AppData\Local\Microsoft\Outlook" フォルダーとに分散して保存されていました。

今回の Outlook 2010 の移行方法では、移行元と移行先とで "*.pst" ファイルがそれぞれが同じパスに保存されている必要があります。

そのため今回は、移行元のそれぞれの "*.pst" ファイルについて、保存されていたパスが分からなくならないように注意しながら、それぞれをバックアップしておくことにしました。

ちなみに、移行前の Outlook 2010 で "既定" として設定されていたデータファイルには、POP3 で受信したメールや、予定表、連絡先、タスク、RSS フィード、連絡先フォルダーといった Outlook で必要なデータのほとんどが格納されている感じです。

 

なお、移行前の環境に登録されているアカウント情報は、これらの "*.pst" ファイルの中には含まれていません。

アカウント情報をエクスポートする機能はどうやら Outlook 2010 にも Windows 7 にも備わっていないようですので、今回はレジストリーの内容を直接エクスポートする方法をとってみることにしました。

アカウント情報は、レジストリーの HKEY_CURRENT_USER → Software → Microsoft → Windows NT → CurrentVersion → Windows Messaging Subsystem → Profiles に格納されているようですので、こちらをエクスポートしておきます。

ここでは、たとえば "Profiles.reg" というファイル名でエクスポートしてみました。

 

また、メールの署名も必要に応じてバックアップしておきます。

こちらは、Outlook 2010 (x64) の既定では "C:\Users\%USERNAME%\AppData\Roaming\Microsoft\Signatures" に 1 署名あたり 3 つのファイル (.htm, .rtf, .txt) と 1 つのフォルダー (.files) で構成されているようですので、この "Signatures" フォルダーを丸ごと保存しておきます。

 

新しい環境に Outlook を移行する

Outlook 2010 引っ越しの流れとしては、まずはデータファイルの復元から行います。

Outlook 2010 を閉じた状態で、以前のパソコンから取得した "*.pst" ファイルを、移転先でもそれぞれを移行元と同じパスに複製します。そうしないと、後で送受信を行った場合にエラーとなるようなので十分注意します。

すべての "*.pst" ファイルを移行元と同じ場所にコピーできたら、まだ Outlook 2010 は起動しないで、続いてプロファイルの復元を行います。

 

アカウントの復元には、以前のパソコンでエクスポートしておいたレジストリーファイル、ここでは "Profiles.reg" を、新しいパソコンに登録するという方法で行います。

移行前のパソコンでエクスポートしておいたレジストリーファイルを右クリックして "結合" すると、"情報を追加すると、値が変更または削除されてしまい、コンポーネントが正常に動作しなくなることがあります。" という警告メッセージが表示されますので、自己責任を覚悟して、続行します。

これでうまく行けば、【コントロールパネル】 の 【ユーザーアカウント】 にある "メール" の中に、以前使用していたプロファイルが登録されているはずです。

 

もし "結合" しても、エクスポートしたはずのプロファイルが作成されない場合には、同じ名前のプロファイルが、以前に削除されている可能性が考えられます。

その場合はレジストリエディタ (regedit.exe) を使用して HKEY_CURRENT_USER → Software → Microsoft → Windows NT → CurrentVersion → Windows Messaging Subsystem → Profiles → Deleted Profiles に、該当する名前のサブキーが存在しないかを確認します。

あるようならそれを削除することで、その名前のプロファイルが、【コントロールパネル】 の 【ユーザーアカウント】 にある "メール" から確認することができるようになるようでした。

 

プロファイルが登録されて、それが "常に使用するプロファイル" として選択されているか、または "使用するプロファイルを選択する" が選ばれていれば、これで移行前のアカウント情報が復元できていると思います。

念のため、復元したプロファイルの 【プロパティ】 を表示して、電子メールアカウントが以前に使用していたものと同じかどうかや、データファイルの保存場所が、実際の "*.pst" ファイルを指しているかを確認しておきます。

もしも、実際の "*.pst" ファイルのパスとプロファイル上のパスとが異なる場合には、必ずプロファイル上に登録されているパスにデータファイルを移動するようにします。

 

これでほぼ、移行作業は完了です。

Outlook 2010 を起動すると、従来通り、メールを受信してくれるようになっていると思います。仕訳ルールや RSS フィードについてもちゃんと復元されているようでした。

ここで、メールの送受信が正しくできるかどうかを確認しておきます。

もしここで "タスク 'xxxx@xxxx.xxx.xx.jp - 送信中' でエラー (0x8004010F) が報告されました: 'Outlook データ ファイルにアクセスできません。' といったエラーメッセージが表示された場合には、移行前と移行後とで、そのアカウントに対応するデータファイル (*.pst) のパスが変わってしまっていることが考えられます。

その際はもう一度 【コントロールパネル】 の 【ユーザーアカウント】 にある "メール" から、プロファイルの設定を確認して、データファイルが正しく存在していることや、移行前の環境と同じパスを示しているかを確認して、正しい形に修正します。

 

メールの送受信が確認できたら、残すところは、メール署名の復元です。

署名については、移行元のパソコンで保存した "C:\Users\%USERNAME%\AppData\Roaming\Microsoft\Signatures" フォルダーの内容を、移行先のパソコン内の同じフォルダーへ上書きコピーを行うことで、Outlook 2010 (x64) へ複製することができました。

複製したら、Outlook 2010 (x64) の 【ファイル】 → 【オプション】 の 【メール】 設定で、署名が正しく認識されていることと、それが関連付けられているアカウントとが適切かどうかの確認をしておくと良さそうです。

 

そのほか、今回は Outlook 2010 の設定をそのまま移行することができなかったので、仕上げとして Outlook 2010 の 【ファイル】 → 【オプション】 の 【詳細設定】 から "送受信" に関する設定を行い、メールの自動受信間隔を 30 分から任意の間隔に調整したりといった、Outlook 2010 の設定を調整する必要があると思います。

これらの手順を踏んでようやく、Outlook 2010 (x64) を別のパソコンへ引っ越すことができました。