技術書典3で Swift 本を頒布してきました。

同人誌即売会

東京秋葉原で開催された同人誌即売会 "技術書典3" に出展側で参加したので、その時の思い出を綴っておくことにしました。


東京・秋葉原で に開催された 技術書典3 に出展側で参加してきました。技術書オンリーの同人誌即売会、要は 技術書系同人誌だけを扱う即売会 です。

当日のツイートは 技術書典3 当日の様子 としてまとめられているのですけど、台風という天候の中にも関わらず 3,000 人もの技術書好きな人たちが集うイベントになった様子です。

そんな技術書典3に参加してきた様子を、記念に綴っておこうと思います。

頒布物の準備

今回は新刊として 俺コン Vol.1 / Day. 2 で発表した資料を原作にした "Protocol Oriented Integers に想うジェネリックプログラミングの未来" を用意しました。また、既刊としては "Swift らしい表現を目指そう " と "JavaScriptCore で遊ぼう " の2種類です。

新刊

新刊の内容は Swift 4.0 から登場した "整数型をプロトコル指向で表現しよう" という取り組みで、これによって Swift の全ての整数型が FixedWidthInteger というプロトコルだけで不足なく表現されるようになりました。これがすごく画期的なように思えて、今回はそんな想いを綴る本に仕立ててみました。

勉強会で発表した 原作資料はこちら になります。

Protocol-Oriented Integers に想うジェネリックプログラミングの未来 from Tomohiro Kumagai

リファレンス的な情報は断念

今回、できればそういう所感的な内容だけでなく Protocol Oriented Integers の概要についても綴りたかったのですけど、残念ながら入稿締切に追いつかなくて入れることができませんでした。それについては次のスライドを見てもらえたら嬉しいです。

Protocol-Oriented Integers #cswift from Tomohiro Kumagai

既刊

既刊は、在庫が手元にあった "JavaScriptCore で遊ぼう" は頒布確定です。それ以外の本は在庫がなかったのですけど、せっかくなら Swift 言語の実用的な本は置きたかったので、今回は "Swift らしい表現を目指そう" を増刷しました。

Swift 言語の実用書にはもうひとつ "Swift の 3 大プロトコルを眺める " もあって、これも刷ろうか悩んだのですけど、本の中で想定している内容が若干古かったので、今回は増刷しないでおくことにしました。古いといっても 今の時点ではぜんぜん実用的 と思うのですけど、本という物体で手元に残したときに、今後なんらかの事情で急速に情報が古くなったりしたらダメージが大きそうだったので。

趣向の違いは大事なポイントなのだけれど

ただ、これら2種類の Swift 実用書は、本当は、両方揃えておきたいところではあるんですよね。というのも "Swift らしい表現を目指そう" は Swift を 書くための入門書 なのに対して、"Swift の 3 大プロトコルを眺める" は Swift を 読むための入門書 なので、両方が揃って初めて自分が Swift 初心者に伝えたい広さを持つことができる気がするのでした。

技術書典3の様子

そうして迎えた技術書典3ですけれど、とても楽しい1日になってくれました。そんな様子を、自分自身の記念と、今後に出展する人の参考のかけらになるかもと思って、簡単にながら記しておきます。

会場へは早く到着

技術書典3では、作品を現地会場に宅配できるようになっていたと思うのですけど、今回は前日に自宅納品した新刊と、保管していた既刊を一緒に 自動車で 会場に運ぶことにしました。

いつもそんな感じにしていて、自分のペースで行ける車はけっこう好きではあるのですけど、最近は何だか 渋谷手前の道路の渋滞 が気になることが多くて、予定時間を2時間くらいオーバーして焦った記憶がいくつか残っていました。

だから今回は安全のために3時間前に出発してみたのですけど、そうしたら今回はまったく渋滞に巻き込まれなくて、3時間ほど前に会場近くに到着しました。そうなると時間を持て余すことになるわけですけど、時間がなくて焦るよりは気持ち的に はるかに楽 です。

宅配搬入が賢いかもしれない

ただ、こうして長い時間を持て余してみて思ったのは、素直に 会場に宅配搬入してしまった方が楽なのかな って思うところでした。 今回は前日にも予定があって睡眠不足だったことも重なったのだと思うのですけど、この日も準備で眠る時間が遅くなっていたのもあって、今回は終わる頃にはすっかり疲れきっていたように思います。

それでも成し遂げられたので、根本的な問題ではないのですけれど、せっかくみんなが足を運んできてくれるなら心身ともに余裕を持って出迎えたい、そんな風に思ったりもしました。特に今回は、疲れがすっかり表に出ていた気がするので。

そんな訳で、当日の朝に ゆっくり眠れる時間を確保できるかどうか は、けっこう大事なポイントなのかもしれません。

駐車場

駐車場は、今回の会場 秋葉原 UDX の公式地下駐車場を利用しました。エレベーターで 2F に上がれば、今回のイベント開催場所のアキバスクエアにすぐにアクセスできるので 搬入するには最高の立地 です。

予約も EPARK で出来るようになってい他ので、安全のため予約をしておいたのですけど 予約しなくても全く心配なさそう でした。 入場開始3時間前の早い時間に着いたときにもガラガラでしたけど、サークル入場開始時間の 10:00 でも十分な空きがあった印象でした。

誤植の訂正

そんな余った朝の時間でしたけど、実は準備が間に合ってなかったところがあったので、朝食の前にまずはそれに時間を当てることにしました。作業場所は、いちばん誰の邪魔にもならないだろう車の中で。

間に合っていなかったのは 新刊の誤植を修正する作業 です。

正誤表を挟むでもよかったんですけど、正誤表ってなんか見にくい印象なので、今回は間違い部分に貼れる シールを作って それを貼ることにしました。シールだけは家で作ってこれたのですけど、それを貼っている時間がなかったので 朝の時間を誤植訂正シール貼りに当てる ことができました。

そうして無事にぜんぶの新刊に貼り終えたところで、時間はちょうどサークル入場開始の時刻です。

会場準備、開始

すぐ傍のエレベーターから速やかにアキバスクエアに荷物を搬入して、ブースの準備開始です。

準備は手慣れたもの…だったはずなのですけど、終わったのが1時間後の **一般入場時間ぎりぎり* で、なんとか準備ができた感じでした。できれば準備が落ち着いてから、知り合いや運営さんに挨拶をして周りたかったのですけれど、その時間は全くないまま、一般入場開始の時刻を迎えました。

準備はともかく済ませた感も強くて、もう少し丁寧に準備したかったところもあるので、願わくば 2時間くらい準備時間があると嬉しい ように感じました。

内容紹介カードを準備し忘れる

そうそう今回、新刊の内容を紹介したカードをいつものように作ったのですけど 印刷してくるのを忘れて しまって、飾ることができませんでした。新刊だけないのもアンバランスな気がしたので、今回はそれは飾らないでおくことにしました。

PDF データは持っていたので近くのコンビニまで行って印刷することも可能ではあったので、準備がひと通り終わったら行こうかと思ったのですけど余裕なく、技術書典3が始まれば、自分ひとりでの参加だったので、持ち場を離れて行くにもちょっと難しいかったです。

技術書典3、開幕!

そうして始まった技術書典3の時間、いつものように楽しく過ごすことができました。

今回は台風のせいもあるのか、それとも自分が勉強会で同人誌界を広める活動をしてきたからか、偶然なのかも分からないですけれど、自分のブースまで足を運んでくれる人たちの色が 今までと少しだけ違うような 気がしました。新しい顔ぶれに来てもらえるのは嬉しいものですね。

そしていちばん心に残ったのは、自分が湊川さん(@llminatollさん )と もくもく執筆会 を重ねてきたおかげか ブースの内側にも仲間がたくさん居らした ことでした。

準備時間に忙しくて、ゆっくりと存在を認識する時間はなかったのですけど、それでも同じどこかで同じように同人誌を頒布している顔見知りがいるというのは、豊かなことのようにも感じられました。そして、こうして当日だけでなく それ以外の日でも集える場所があるというのもいいな って、そんなことを思ったりもして。

頒布の印象

さて、人によっては肝心の頒布状況についてですけれど、自分は今回は やや好調 な印象でした。 なんとなく全体的に技術書典2のときよりも頒布数でいえば不調だった印象ですけれど、個人的には新刊が読み物的な側面もあったのかなとも思いつつ。それでも今回も新しい顔ぶれに出会えて、既刊も含めて手に取ってもらえて、とても嬉しく過ごしていました。

自分はなんか、買ってくれることみたいなことは二の次で、何よりも自分のブースに、とりわけ 技術書典そのものに足を運んでくれること に嬉しさを感じるみたいなんですよね。その上で、自分のブースを訪れて、しかも本を手にとってみてくれるとか 最高の体験 です。

紹介カードは必須な印象

今回、先ほど綴ったように本の紹介カードを飾らないでみたのですけど、そうしてみた印象としては "絶対あった方が良かった" 印象でした。

本を手に取ってみるという行動は けっこう敷居が高い ように思うんですよね。まずは足を止めて、その時に本を手に取らなくても、とりあえず内容を窺えるのって大切そう。紹介カードがあったときには、本を開く前でもカードを元に内容を尋ねてくれることもありましたからね。

今後はもし印刷していくのを忘れたとしても 手書きでも必ず作って掲示するのが良さそう です。

宣伝カードは貰われにくい

それと、今回も勉強会活動や執筆会活動のチラシをハガキサイズの紙に刷って自由にお持ち帰りしてもらえるようにしたのですけど、これらを持ち帰ってくれることばかりか、関心を向ける様子を見せる人は ほとんど居ない印象 でした。

伝えたいことを文字で所狭しと綴ったカードでしたけれど、何よりもまず、伝えたいことが気にしなくても目に飛び込むくらいに単刀直入、それこそ 伝わらなくてもやってることが見えれば良い くらいの潔さで作った方が良かったりするかもしれません。

同じように、缶バッジも幾らかしか貰われる事はありませんでした。別にいらないという事実もきっと然ることながら、もらってくれようとしてくれる人たちも「これ、もらってもいいんですか?」って恐る恐る訪ねてくる印象だったので もしかすると "もらう" という行動そのものに慣れていないのかも しれないですね。

ご自由にお取りくださいというカードも添えてあったのですけど、もしかすると何をもらって良いのか、書いておくと安心なのかもしれません。

公式による電子決済の試み

今回、すごくいいなって思ったのが、技術書典公式によって 後払い決済システム が提供されたことでした。

自分も使ってみようかなと思ったものの、使うには Android 端末が必要なものと勘違いして、なんとか手持ちの Kindle Fire で使えるようにできないかと試みるも時間がなくて利用は断念。ただ、そのときに技術書典公式ページで利用登録だけはしてあったせいか、嬉しいことに 決済用の QR コードを運営さんから頂く ことができました。

こういう心遣い、努力、すごいなって思います。よかったら使ってねという枠を超えて、使って欲しい気持ちが伝わってくるようで、なんとなく これこそまさに同人気質 みたいに感じて、決済用のカードをもらえたことそのものが、とても嬉しかったです。

決済してくれる人も現れて

それでも自分は決済準備ができていないものと思い込んでいたのですけど、あるとき自分のブースを訪れてくれた人が「現金以外で支払えませんか?」と尋ねてきたのですよね。

その流れから、そういえば QR コードもらった!という話になって、使えるようになっているか分からないけれどという話をしつつ。それでももし利用準備ができていなかったとしても、きっと自分がお金を受け取れないくらいなんだろうなって思ったので、公式の電子決済を試してもらうことにしました。

スキャンしてもらえば、スキャンした冊数の合計金額が表示されて、サクッと購入手続きができて。とっても便利な印象でした。終わってから知ったのですけど、決済状況は Web の公式サイトから確認できるようになっていて、すごく手軽に扱えるところが好印象 なシステムでした。

電子決済はとても良さそう

今回、そういえば公式の決済システム以外にも、電子決済を何か導入してみようかなって考えてみたのですけど、こういうのって一般にシステム利用料がかかるものなので躊躇してやめたのですけど、公式の決済システムを使ってみたら、利便性を考えると手数料があっても使えるようにする価値はあるのかなって思いました。

サクッと手軽に支払えるというのもそうですし、領収書を(たぶん)決済システムを通して提供できるのと、なにより 電子決済を相手に体験してもらえる ところが大きいように感じました。電子決済って、もっともっと広がってくれたらいいなって思うんですけど、まだちょっと広まり切らない感じがするんですよね。電子決済を世の中の当たり前にしていくきっかけとしても、こういう場で電子決済を体験できる環境づくりは大切なように感じました。

非公式アフター

そして、今回の特別なイベントのひとつに @oyakata2438さん による 技術書典3 非公式アフター がありました。

身近の間で、同人誌即売会の後の懇親会は、まだ文化として根付いていない大事なテーマのうちのひとつで、特にもくもく執筆会を共催している @llminatollさん とは、出逢って間もない頃から 大事にしたいテーマのひとつ として話していて、これまでも小規模の懇親会を幾度か開催していたのですけど、今回、おやかたさんが精力的に大規模な会を開いてくださったので、お邪魔せて頂きました。

おかげさまで、たくさんの同人誌作家さんと、技術書典3終了後の同じ余韻を味わうことができて、とても楽しかったです。それぞれの仲間同士がそれぞれで歓談を楽しんでいる様子を見るのもいち参加者としても嬉しかったですし、その場で 僕らが開催している "もくもく執筆会" のおかげで同人誌即売会を知り、この場に立ち会うことができた という感想を頂けたことも、とても嬉しい限りでした。

これからも大切にしたい

懇親会は、これからも大事にして行きたいですね。規模は大きくても小さくてもいいから、とにかく仲間内で懇親会を楽しむ機会は持てたらいいなと改めて感じるひとときでした。

自分も開いて行きたいなって思うとともに、みんながそれぞれ思い思いに呼び掛けあって開いてくれたら、同人誌界隈がもっともっと良い賑わいを見せていってくれそうです。

福岡の友人たちと

今回は、以前に 技術書典2読々会(よむんかい)vol.4 でご縁のあった @music431perさん@gupuruさん@ponday_devさん も出展側としていらしてました。

自分のブースとは島を隔てて離れるくらいの距離でしたけれど、ほぼまっすぐを見渡す先に彼女たちのブースが配置されていて、今回も 相変わらずにとても嬉しそうな様子を浮かべて頒布する姿 が印象的でした。

嬉しいご挨拶

そんな彼女たちが、わざわざ自分のブースまで挨拶に来てくださったのがとても嬉しかったです。しかも福岡のお土産 "めんべい" まで携えて。初めて食べたんですけど、ものすごく美味しいおせんべいでした。

そんな嬉しさを感じられるのも、出展側の、出展者仲間同士の醍醐味なのかもしれませんね。

懇親会後もコーヒータイム

そんな福岡の @gupuruさん@ponday_devさん とは、非公式アフターが終わった後も、会場近くの珈琲店で軽くお茶をしたりとかして、いちばん最後まで大変お世話になりました。

技術書典3、閉幕

そんな感じで今回の技術書典3、無事に良いこといっぱいで終えることができました。

今回は雨といっても台風という、なかなか厳しい気象条件で、足並みも少し鈍っていた感はありましたけれど、それでも足を運んでくれる人たちに支えられて、活気溢れる素敵なイベントになったように思いました。

技術書典3、とってもよかった。

本を求めに来てくださった方々、ブースに立ち寄ってくださった方々、技術書典の会場を訪れてくださった方々、遠くからイベントの存在を気にしてくださった方々、技術書典3に携わった運営の方々、主催の @mhidakaさん 、どうもありがとうございました。

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