法務省の電子証明書を取得する
SOFTWARE REPORT
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法務省 商業登記に基づく電子認証制度
法務省の 商業登記に基づく電子認証制度 に定められた電子証明書を使用することにより、法務省オンライン申請システム での各種オンライン手続きや、PDF への法人名義での電子署名等を行うことができます。
法務省オンライン申請システムでは、いろいろな機関が発行する電子証明書が使用できるようになっていますが、今回はその中から、商業登記に基づく電子認証制度を運営する電子認証登記所の電子証明書を取得してみることにしました。
電子認証登記所の電子証明書を取得するためには、専用のソフトウェアが必要となるとのことでしたので、今回は 株式会社ピスク 様の "電子認証システム(単体版)" を利用して、電子証明書の取得を行います。
なお、平成 23 年 2 月 1 日から、法務省が無料の申請ソフトウェアの提供を開始したようです。その辺りのお話については EZ-NET: 法務省が無償提供する商業登記電子認証ソフトを使ってみる に記してみましたので、興味があればこちらも参照してみてください。
申請用のデータ作成
電子認証登記所の電子証明書を取得する際は、平成 21 年 8 月 14 日現在、電子証明書発行申請書と併せて、申請用磁気ディスク、印鑑カードを管轄の法務局へ提出する必要があります。
申請用磁気ディスクというものは、電子証明書の発行に必要な公開鍵や各種事項が記されたデータディスクとのことで、フロッピーディスクまたは CD-R で提出する必要があるとのことでした。
これを作成するために、今回は株式会社ピスク様の "電子認証システム(単体版)" を利用します。
電子認証システム(単体版)を起動すると、各種メニュー画面が表示されます。その中から 【申請情報と書類作成】 をクリックし、必要事項を入力して行きます。
商号又は名称 | 全角 | 商号を日本語表記で入力します。 |
---|---|---|
商号又は名称(英語) | 半角 | 商号を英語表記で入力します。通常は、ローマ字表記とするようです。 |
本店又は主たる事務所 | 全角 | 本店所在地の情報を入力します。 |
法人代表者の氏名 | 全角 | 代表者の氏名を日本語表記で入力します。 |
法人代表者の氏名(英語) | 半角 | 代表者の氏名をローマ字表記で入力します。 |
法人代表者の資格 | 全角 | 法人代表者の資格を選択または入力します。例えば、合同会社の場合は "代表社員" となります。 |
電子証明書の有効期限 | 取得したい電子証明書の有効期限を選択します。ここで選択した期間によって、申請時の登記印紙の料金が変わってきます。 | |
休止用暗証コード | 半角 | 電子証明書の使用を休止する際に使うパスワードを指定します。8 文字以上 64 文字以下で設定する必要があるとのことです。 |
休止用暗証コード(確認用) | 半角 | 設定する休止用暗証コードを再度入力します。 |
RSA 暗号化鍵長 | 1024 と 2048 とから選択します。安全のため 2048 を選択しておくのが良いとのことです。 | |
パスワード | 半角 | 電子証明書の取得や電子署名時に入力するパスワードを設定します。64 文字以下で設定する必要があるとのことです。 |
パスワード(確認用) | 半角 | 設定するパスワードを再度入力します。 |
ファイルの保存先 | RSA 暗号化キーペア情報の保存先を指定します。ディフォルトでは "C:\SumEX\SumEXCL\EX41\keypair\" フォルダに "商号又は名称.keypair" という形で保存されるようになっていました。 |
このような感じで必要事項を入力したら 【OK】 ボタンを押して、申請情報を作成します。
このとき、空のフロッピーディスクの挿入を求められるので、挿入の上 【OK】 ボタンをクリックすると、申請用フロッピーディスクが作成されます。これを、申請書と共に管轄の法務局へ提出することになります。
ここで、Windows Vista 64 ビットだからなのか、"間違ったフォーマットのプログラムを読み込もうとしました。(HRESULT からの例外: 0x8007000B)" というメッセージが表示されてしまいました。
実際にタスクマネージャで確認してみると、電子認証システム(単体版)のプログラム "EX41500.exe" が 64 ビットで動作している様子が伺えます。今回のエラーは、64 ビットプログラムが 32 ビットのモジュールをロードしようとして発生すると言われるエラーのようですので、これはほぼ間違いなく、"電子認証システム(単体版)" が 64 ビットで起動されてしまうことが原因でしょう。
強制的に 32 ビットで起動させる方法でもあれば問題なく動作する予感がしますけど、残念ながらその方法が判りませんでしたので、今回は 64 ビット環境での使用はあきらめることにしました。
なお、PDF への電子署名プラグインについては、試してみた限りでは 64 ビット環境でも、署名・検証ともに正しく動作するようです。
それと、提出した際に指摘を受けたのですけど、商号や本店所在地といった全角文字での入力項目において、全角空白を使用すると、申請時にエラーとして検出されてしまうようです。ですので、これらについて、全角空白は入力せず、全て左詰めで入力するようにします。
また、商号の英語表記についてなのですが、こちらは基本的に、純粋なローマ字表記とする必要があるとのことでした。定款に英語表記が定められている場合、定款のコピーとともに提出することで受理されるとのことで、申請がいったん受理されずに戻されてしまいました。
これは、東京法務局町田出張所での平成 21 年 8 月 14 日時点でのお話ですが、なんだか処理がはじかれて試行錯誤の末、たぶん上記のようになっているとのお話でしたので、法務局によって対応が異なるかもしれません。そんな感じではありますが、英語表記が別にある場合にはとりあえず、定款のコピーも持って行くと安心かもしれないです。
法務局へ申請する
今回は、作成した申請用ディスクを、東京法務局町田出張所へ提出しました。
そこでしばらく待たされた後、上手く処理できないとのことで、いったん返却されてしまったのでした。処理できない理由としては、まず、事務所の住所や代表者名等に全角空白を使用していたところです。これについては税務署の方が修正して再度手続きを試みて下さったのですけど、それに続いてもうひとつ、英字の商号のところでも引っかかってしまったのでした。
英語表記は基本的に、商号を純粋にローマ字表記したものを記載するのだそうです。今回は定款で定めておいた英語表記を記載していたため、純粋なローマ字表記とは違うものだったのでした。
英語表記を削除すると言った手もあったようなのですけど、定款のコピーを提出すれば受理されるかもしれないとのことなので、日を改めて、定款のコピーとともに全角空白の部分を修正した申請用ディスクを提出することにしました。
なお、提出する申請用ディスクは返却されないとのことです。今回はフロッピーディスクで用意してありましたけど、今となってはフロッピーディスクも結構高いものですので、せっかくなので後日は CD-R で提出することにしました。
処理途中ということで戻された申請書と、修正した申請ディスク、定款のコピーを持って、再度法務局を訪れます。そして印鑑登録カードと併せてこれらを提出し、少しして、今度は無事、受理されました。
"電子証明書発行確認票" というものが手渡されて、法務局での手続きは完了です。
この後の電子証明書取得の流れを確認してみたところ 「受理されたから法務局の手続きはここまで」 とのことでした。とりあえず、確認票の中に "シリアル番号" が記載されている欄がありましたので、これを用いて電子証明書の取得作業を行えばきっと大丈夫でしょう。
電子証明書を取得する
申請ディスクの作成に使用した 株式会社ピスク 様の "電子認証システム(単体版)" を利用して、申請が受理された電子証明書の取得作業を行ってみます。
"電子認証システム(単体版)" を起動したら 【電子証明書取得】 ボタンをクリックします。
すると、電子証明書の取得に関する情報を入力する画面が表示されるので、"キーペアファイル" として、申請時に作成したキーペアファイルを選択し、"パスワード" にはその時に設定しておいたパスワードを入力します。そして、電子証明書発行確認票に記載されているシリアル番号を "電子証明書シリアル番号" の欄に入力します。
後は、電子証明書 (PKCS#12 形式) の保存先を指定して 【OK】 ボタンをクリックすれば、電子証明書の取得処理が行われます。
少しして、次の証明書を信頼するかどうかを尋ねる画面が表示されました。
シリアル番号:2008110000000001
主体者名:/C=JP/O=Japanese Government/OU=Ministry of Justice/CN=Registrar of Tokyo Legal Affairs Bureau
証明書ハッシュ値:3456 6AF4 995C DC3E 53DF 433A 8F8B EAF1 035D BE69
【OK】 ボタンをクリックして、少しすると "電子証明書を取得しました。" というメッセージが表示され、電子証明書ファイルが先ほど指定したフォルダに保存されました。
これで、電子証明書の取得手続きは完了です。
なお、64 ビット環境の場合、電子証明書を取得処理を実行しようとした時点で "間違ったフォーマットのプログラムを読み込もうとしました。" というメッセージが表示されてしまい、電子証明書を取得することができませんでした。
この感じだと、少なくとも平成 21 年 8 月 24 日現在において、Windows Vista (64bit) または Windows 7 (64bit) 環境では、電子認証システム(単体版)の証明書の申請や取得機能は使用できず、Adobe Acrobat 9 による電子署名は行うことができそうだという認識で使用するのが良さそうです。
取得した電子証明書での PDF への電子署名について
PDF への署名の際には、Adobe Acrobat の電子署名機能の中で、方法として "eXPDFSign" を選択して、"PKCS#12 形式" での電子署名を実行します。
他の方法として、印影のような画像は付加できませんが、Adobe のディフォルトセキュリティでも、PKCS#12 形式のファイルを指定して、電子署名を行うことはできました。