"いきなり PDF" を Windows Vista で無理やり使う

SOFTWARE REPORT


いきなり PDF

"いきなり PDF" は SOURCENEXT 社が販売している、PDF 書類として印刷するためのソフトウェアです。

以前にも EZ-NET レポート: "いきなり PDF" を使ってみる にて触れたことがありますけど、この "いきなり PDF" は Windows 上のプリンタとして認識されるので、印刷と同じ手順で PDF を作成できる手軽さがとても魅力です。また、一人で複数の PC を利用している場合にも、ライセンス上、それらすべてにインストールしていいことになっているのもなかなかうれしいところです。

 

Windows Vista 対応状況

今回は "いきなり PDF" を Windows Vista Business にインストールしてみたのですけど、そうしたところ、インストールは何も問題なく終了したように見えたものの、"いきなり PDF" がプリンタとして登録されないという状況に見舞われてしまったのでした。

何かの通知が表示されることもなかったし、コントロールパネルの "プログラムと機能" を見てもちゃんと "いきなり PDF" がリストアップされているし、何らかの理由でプリンタが登録されていないだけかと思ってその辺りを確認してみました。すると、新規プリンタの追加にて "いきなり PDF" が使うであろう "SN_PDFPort" というポートだけは登録されている感じが窺えました。

ただ、そのポートを使ってプリンタを使うにも、"いきなり PDF" プリンタドライバが見つからなくて、やすやすと使わせてはもらえない感じです。

 

SOURCENEXT 社の公式サイトを調べてみると、Windows Vista の対応状況として、とりあえず "いきなり PDF 2" というソフトウェアは Windows Vista では動作しないという記載がありました。"いきなり PDF" については当てはまりそうな記載が窺えないものの、きっと 2 が駄目なのだから 1 も駄目と思っておいてもいいでしょう。

そんな感じで "あきらめる" のが自然な感じなのでしょうけど、今回はデバイスドライバがないだけなので、デバイスドライバだけ見つけられれば何とかなりそうな気がします。そこで、実際に何とかなるのかどうか試してみようと思います。

 

"いきなり PDF" を Windows Vista で無理やり使えるようにする

まずは、"いきなり PDF" を CD-ROM から普段どおりにインストールします。特にエラー等は表示されずに終了するものの、プリンタの一覧に "いきなり PDF" が表示されることはありませんので、ここから、手動で "いきなり PDF" を表示させるようにして行きます。

 

【コントロールパネル】 の 【プリンタ】 から "プリンタの追加" を実行すると、追加したいプリンタの種類をたずねられます。

ここで "ローカル プリンタを追加します" を選択すると、続いてプリンタポートの選択画面が現れます。"いきなり PDF" をインストールしたときに、それ用のプリンタポートが Windows に組み込まれているようなので、"既存のポートを使用" から "SN_PDFPort (SN_PDF Port)" を選択しておきます。

次へ進むと、プリンタドライバのインストールが必要となってくるのですけど、ここがほんの少しばかり厄介なところとなりました。

 

"いきなり PDF" 用のプリンタドライバが手元にあればよかったのですけど、【ディスクの使用】 で CD-ROM 内を検索してみても、それらしいファイルは見つからない感じでした。

とはいえ、ディスク内にデバイスドライバが存在していないはずはないので、その中に収納されていた CAB ファイルの中身をのぞいてみることにしました。CAB ファイルの中身は Windows の機能だけでも見ることはできそうな気はしますけど、その方法がわからなかったので、今回は ちとら さんが製作した Lhaz というアーカイバを使って展開してみることにしました。

"いきなり PDF" CD-ROM に収納されている CAB ファイルは、"setup" フォルダにある "data1.cab" と "data2.cab" だけなので、これら 2 つを Lhaz を使ってどこかのフォルダへ展開します。

 

そして再びデバイスドライバのインストールの 【ディスクの使用】 を選択して、その CAB ファイルを展開したフォルダを参照させてみたところ、"sn_pdf.inf" というファイルが、デバイスドライバの候補として挙げられました。そのフォルダを開いてみると、プリンタドライバとして "いきなり PDF" が確認されて、これでどうやら問題なく進んで行けそうな感じです。

その "いきなり PDF" を選択して次へ進むと、とりあえずは無事にプリンタの追加が完了しました。ただ、テスト印刷をしてみたところ、印刷はされたようなのですけど、従来のように PDF ファイルが自動的に開かれる感じがありませんでした。

調べてみると、印刷時に書き出し先として指定した PDF ファイル自体は正常に作成されているようで、それをダブルクリックしてみれば、ちゃんとした文書が確認できる感じです。そして、もうひとつ気づいたこととしては、その作成された PDF は Acrobat 7.0 が使用しているとのことで、素直にそれを削除することができないようになっていました。

削除できないところについては、タスクマネージャを起動して、起動している "Acrobat.exe" を停止してあげれば消せるようになるのですけど、つまりはどうやら、作成したばかりの PDF ファイルを Acrobat が何かをしようとしたままの状態になってしまって、削除されないようにロックされる感じになっているようです。

 

タスクマネージャで Acrobat を手動で終了させてあげるか、Windows を再起動した時にでもロックは解除されますし、ロックされていても問題なく参照することはできるので、さして支障がないといえばないといったところですけど、なんだかすっきりしないところです。

印刷時に自動的にそのファイルを開く設定になっていたのも影響しているのかと思って、印刷の 【詳細設定】 にて "ファイル保存後に開く" のチェックをはずしてみたりしましたけど、その場合でも、Acrobat が起動したりしなかったりと、時折ロックがかかってしまうのは避けられないような感じでした。

そんな感じで、"いきなり PDF" の便利さも考慮に入れれば、とりあえずは Windows Vista でも実用レベルではあると思いますけど、使うには少しばかりの手間も覚悟しておく必要性はありそうです。個人的に利用している PDF リーダーは Adobe Acrobat 7.0.5 Professional というものだったので、それが影響している可能性もなくはないかもしれないですけど。