葉山マリーナでの操船セミナーに再び参加してみました。

船舶免許

以前にも葉山マリーナでの半日コースの操船セミナーに参加したことがありましたけれど、今回は1日コースでの開催とのことで、改めて参加してみることにしました。


小型船舶操縦士免許を取得してからこれまでに5度に渡って操船セミナーを体験してみて、船を運転することにもようやく慣れ始めた心地はしてきたものの、それでもまだ船を借りて出ていくにはわからないことが多い気がして今回もまた改めて、葉山マリーナ で開催されるトータル操船セミナーに参加してみることにしました。

セミナーの概要

今回の操船セミナーは、葉山マリーナと マリンライセンスロイヤル が共同開催するセミナーのようですけれど、こちらはマリンライセンスロイヤル卒業生でなくても受講できる様子です。また、会員制ボートクラブ シースタイル の会員の人ならその初回講習の代わりにもなるらしいのは嬉しいところかもしれません。

アンカリングに期待しつつ

今回のこちらの操船セミナーを選んだのは、こちらのセミナーにはいちおう 以前にも参加したことがある のですけれど、 そのときは「半日コース」での開催で、参加者募集のページに記載のあった「アンカリング(錨泊)」を体験する機会を持てなかったので、今回の「1日コース」なら体験できるかもしれないと思ったのがいちばんの動機でした。

自分で船に乗るようになったとき、そもそもアンカリングをする機会があるのかどうかもわからないものの、必要そうならそれなりに投錨できるように事前に体験しておきたかったので、葉山マリーナでの1日コースにも参加しておきたいと思っていたところだったので、思いのほか早くその機会が巡ってきたのでさっそく申し込んで参加しました。

そして無事にアンカリングを体験することはできましたけれど、実際のところ、アンカリングを実施するかははそのときどきの様子次第で変わりそうな感じでしたので、もしもこちらの操船セミナーでアンカリングを練習したい場合には、申し込みの時点でその旨を相談しておくと良いかもしれません。

再体験も目的に

ほかにも以前に参加したときに、担当してくださった安東先生の人柄もあってか、朗らかに過ごせた印象が残っていたのと、教わる人によって操船の仕方や持論がいろいろ違って良い経験になる印象なのと、いったん体験した相模湾を改めて眺めてみたい気持ちだったのも、改めて葉山マリーナで操船セミナーを受けようと思った理由のひとつでした。

前回のときに、先生が(トータル操船セミナーは)「だいたい自分が担当している」みたいに言っていたので、もしかすると次回も同じ先生かなと思ってみていたら、当日は期待の通りに、今回も安東さんが担当してくださることになりました。

総ざらいな心持ちで

そんな感じで臨んだ操船セミナーでしたけれど、全体を通して、これまでの操船体験を良い感じにおさらいできる機会になりました。

時間がたっぷりあって、いろんなポイントでいろんな話を聞かせてもらいながら操船できたり、海上で進路を適切に取る練習をじっくり練習できたりして、まさしく充実した操船セミナーな印象で。 ちなみに今回の参加者は3名でしたけれど、全員がこの日までに1度以上、葉山マリーナで安東さんによる操船セミナーを体験したことのある様子でした。それもあって、じっくりと詳細な練習で構成してくれていたのかもしれません。

開催日程

今回の操船セミナーは 土曜日に開催されました。開催時間は、募集の時点では 9:00 から 16:00 だったと思うのですけれど、前日の開催決定連絡のときには 9:30 から 15:30 と知らされて。そんな感じの合計 6 時間ほどの日程で、振り返ってみれば今回の操船セミナーは、おおむね次のような時間割で進められていきました。

時間 内容
9:30 〜 9:50 ロープワーク
9:50 〜 12:00 操船(三崎・城ヶ島)
12:00 〜 13:00 休憩
13:00 〜 15:00 アンカリング、方向転換
15:00 〜 15:30 離着岸

前回の半日コースでは教わった、リモコンレバーの操作方法は今回は教わらなかったので、やっぱりそのときどき、集まる人の顔ぶれなどで、教わる内容も少しずつ違ってくるのかもしれないですね。 アンカリングも先生がみんなにやってみたいか事前に尋ねていたりとかもして、 同じ操船セミナーに複数回参加するのは、前回に教わった内容をおさらいできる利点の他にも、こういうふうに違った内容を教えてもらえる可能性があることもそうですし、そもそもカリキュラム的には同じことでも機会が違えば内容も必然的に変わってくるのも、醍醐味のように思ったりします。

当日の天気予報

この日の天候は、晴れ。気温は 10℃ 前後から 16℃ までと暖かそうな予報でした。 風は西風から南西の風で、午前中は弱いものの、午後から 4.0m くらいと少し強くなる様子です。 風速だけなら前回の操船セミナーのときと同じかそれより弱いくらいのようですけれど、ただし前回は北風なので陸側から、今回は南西の風なので開けた海側から、その違いがどんなふうに現れてくるのか興味の湧いてくるところです。

実際の感じ

練習も兼ねての予想としては、南西からの風が強めだから波が気になる程度には高く感じられるかも。 そんなふうに想像してみていたのですけれど、実際の感じは極めて穏やか、マリーナに掲げられている旗も緑色でした。

船で海を走っている中でも、よく見れば靴や雨具の裾にわずかに海水の飛沫は付着するものの、水しぶきが飛んでくる感じはしませんでした。

帰り道の様子にも注意

それと風に関して先生が言うには、葉山マリーナから南の海域に向かうときには、北風のときには最初は追い風になって、波が高かったとしても気づけないことがあるそうでした。そうしていざ帰ろうとすると、目の前に白波が立って荒れた海が広がるみたいな、そんなこともあり得るのだとか。

そんなあたりは前回の操船セミナーでも教わっていて、そういうことにならないように、港をある程度離れた頃合いに船を止めて振り返ってみる、そんなことを実際に練習したりしました。今回は至って穏やかです。

このタイミングでついでに、ちゃんと帰りにマリーナに辿り着けるように、帰り道の目標になりそうな景色や建物などを覚えておくのもやっておくのが良いとのことでした。

服装

予報では少し暖かそうだったので、今回は普段くらいの服装に加えて、ユニクロで新調した ドライストレッチスウェットパーカー を着て、その上から防水性と防風性のある ブロックテックパーカー を羽織る感じにしました。 普通よりは厚着ですけれど、これまでみたいにフリースを着ることはしないで、ズボンも下着を重ね着することはしないでそこに雨具を履くようにしてみて。

そんな感じの服装で、気候的にも暖かかったのですけれど、海に出るとそれでもやっぱり風の冷たさを少し感じました。体が冷えるほどではなかったので、今回はこれくらいでちょうど良かったのかもしれません。

なんにしても、船にもだんだん慣れてきたみたいで、衣服の準備も手際良く、最初の頃よりコンパクトに用意できるようになって。最初の頃、特に 初めての登録教習所に通うに当たっての準備をしてみていた頃 が何だったのか不思議なくらいに思えたりもしました。

手袋もあると良いかも

それに加えて今回は、なんだか手の冷たさが気になりました。そこで 水上オートバイの教習を受けたとき に用意した マリングローブ をつけることにしました。

これまで、水上オートバイの教習だけでしか使ったことがなかったのですけど、使ってみると、多少は寒さが和らぐような気はしました。ただ、ロープか手すりに触れたりしたからか、すぐにびっしょり濡れてしまって、その水分が冷たく感じられました。手袋を用意するときは、しっかり濡れる可能性があることも想定して用意するのが良いかもしれません。

夏でもウインドブレーカーを常備したい

ちなみに服装に関して、夏場でもウインドブレーカーは手元に備えておくのが良いのだそうです。

たとえば急な雨に打たれたときに、びっしょり濡れてそのまま風を切って走っていると、体温が奪われて低体温になったりする可能性もあるとのこと。たしかに航行中に風を強く感じることって度々あるので、夏の季節にも持っておくように心がけたい心地がしました。

ロープワーク

今回の操船セミナーの最初は、ロープワークから始まりました。 みんな以前に講習済みなのもあって、今回は簡単めに、巻き結びとクリート止めを練習しました。

巻き結び

巻き結びは余裕なつもりだったのですけれど、かれこれ2ヶ月ぶりにおこなってみたら思わず手こずりました。 縦のポールに結んだからというのもあるかもしれないですけれど、ロープを一周巻いた後の次の巻き方が分からなくなって、周りに手伝ってもらって感覚を思い出したりしてました。

クリート止め

クリート止めについても手こずりました。この結び方の場合は特に、教習のときに教わったのと、D-marina で田島さんに教わったのと、こちらの葉山マリーナで安東さんに教わったのと、それぞれで微妙に方法やこだわりが違う感じがして。 自分は特に田島さんに教わった方法が馴染むみたいで、今回は特に最後の輪を作るところに苦戦しました。

安東さんの方法にも慣れておけばそれだけ器用になると思うので、何度か挑戦してみたのですけれど、上手くいくときもあればそうでないときもあり、そんな感じでコツを掴みきれないまま、今回のロープワークは終了しました。

操船セミナーが終わった後で改めて、堀越学園チャンネルさんの クリート教えます。簡単にみんなクリートができるように。 の動画でおさらいしてみると、もしかするとここで開設されているやり方が、安東さんの結び方とほとんど近いような印象がしました。これを見ながら復習しておきたいところです。

離岸

ロープワークを終えたらいよいよ出航です。 それに先立って係船しているロープを解らんする作業を、参加者3人で手分けして行う練習になりました。

解らんの手順は、風下側から。そちらからロープを解いて先に船に乗り込んで、それに続いて風上側を担当する人がロープを解いて乗り込む感じになりました。

離岸後の準備

離岸を終えたら、安東さん推奨の "ロープ類をすべて収納する" 作業に入ったのですけれど、前回に教わってできるようになっていたつもりのロープを束ねるやり方が、記憶していたのと違うことが判明しました。

このロープのまとめ方ですけれど、手順としては、ロープをコイル巻きにしたら、最初に中央あたりをひと巻きしてから、輪を作ったロープを頂点あたりに差し込んで、それにロープの先を差し込んであげる、そんな感じにするのが良いようでした。

ロープのコイル巻き

ところで、出航前のロープ収納とかアンカリングのときにも感じるのですけれど、ロープを輪状にコイル巻きにしたときに捩れて上手くまとまらないような感じがしました。

これについて、教習のときに使ったテキストを読み返してみると、コイルするときはロープの捩りの方向を考慮して行うのが良い様子です。一般的なロープは「Z捩り(左より)」で、その場合は時計回り(右回り)にコイルする感じにするように説明されていました。

三浦・城ヶ島まで

そして相模湾へと出航です。午前は葉山マリーナから南の方角にある三浦、城ヶ島へと向かうことになりました。

いつものようにその道のりを、先生に話をいろいろ聞かせてもらいながら、参加者みんなで分担しつつ向かうことになりましたけれど、今回の航行中はなぜだか不思議と、自分と直接話している相手の声以外は聞き取りにくい感じがしました。耳を傾ければ聞こえるほどの感じもしなかったので、今回は気持ちをのんびり観光気分で操船練習を楽しむ心地で臨んでみました。

この日の交通量

この日の船舶の往来は少ない印象で、他船を避航する必要はほとんどなかった印象でした。 それでも操船にだいぶ慣れてきたのか、動いている他船の様子も操船したての頃と比べればだいぶ分かるようになってきたのを感じられて。これまでの操船練習の成果が現れて始めている心地がしたのが、ひとつの大きな手応えのように思えました。

それでもやっぱり気を使うのが、手で漕ぐ感じのパドルボートの存在で、小さい上に海面からの背丈も低いものだから、見落としてうっかり突っ込まないか不安を覚えるところです。この感じだと、遊泳者がいるかもしれない季節はもっと怖いかもしれません。

この日はヨットも少なめで、遠目に姿は窺えたものの、前回の操船セミナーのときみたいに気をつけて進路を避けるみたいな必要はありませんでした。そんなヨットやパドルボートは夏になると賑わいを見せるらしいので、その頃の景色と操船の心地は、これまでに体験してきたものとはぜんぜん違って感じられるのかもしれません。

定置網と、漁具のブイ

葉山マリーナ付近の海は、前回のセミナーで江ノ島方面に向かうときの漁具があちらこちらに設置されている景色が印象的でしたけれど、今回の城ヶ島方面もやっぱり同じように海面に漂う漁具の目印が、なかなか見つけにくくて気を遣うところでした。ただきっと、どの辺りに特に気を配って航行すれば良いのかが、もしかすると慣れてくればなんとなくわかってくるのかもしれないような予感もしました。

定置網は、今回は城ヶ島へ向かう途中くらいに1箇所だけ、目立って気になったような印象でした。先生が避けて航行している可能性も考えられますけれど、こちら方面は少ないのかもしれません。

そう思いつつ、そういえば定置網の場所って調べられるのかな? と思ってネット検索してみると、相模湾の定置網がある場所として 「相模湾の定置網等設置状況」 という資料が見つかりました。海図画像の解像度が荒くてはっきりとはわからないものの、定置網のおおよその場所はこれが参考になりそうです。

ちなみにこれは「ヨット・モーターボート用参考図」という、海図をもっと狭い区域に絞って小型船舶が航行するのに便利な情報が盛り込まれたものなので、相模湾を航行する機会の多い人は事前にこれを入手して確認しておくのも良いかもしれません。

錨泊中のプレジャーボート

城ヶ島を巡って葉山マリーナに戻っている最中、プレジャーボートが黒丸の形象物を掲げているのが目に止まりました。

黒丸の形象物は「船舶がアンカーを下ろして錨泊中のときに掲げるもの」と教習のときに習い、実際に東京湾での操船セミナーのときに大型船が掲げているのを見てはいたのですけれど、教習時のテキスト挿絵も含めてそれが大型船だったのと、小型船舶には掲げられそうな場所がありそうな気配がなかったものだから、プレジャーボートが掲げているのを見かけた時はなかなか衝撃的でした。

すぐさま先生に尋ねてみると、やはり小型船舶も形象物を掲げなければならないのだそうです。今回の操船セミナーで使っている船にも膨らませられる形象物が備え付けてあるのだそうで、少しでもアンカーを下ろして錨泊するなら、使う必要が出てくるそうです。

形象物について

形象物を掲げなければいけない状況は交通法規で決められていて、そのうちの一部は 国土交通省の「昼間の航海 船の形象物(その1)」 でも紹介されていました。忘れてしまってなかなか覚えきれないところなので、こういう機会に少しずつでもおさらいしておかないといけなそうです。

浅いところ

ところでこうして操船練習を重ねていると、先生が「あそこは浅瀬になっているので近寄らないように」と教えてくれる場面に幾度か出会うのですけれど、そちらを見てもぜんぜんわからないのですよね。

ときには黄色い系統の看板が掲げられていたり、ブイで区画を描かれていたり、そんなふうにして目印を用意してくれている場所こそあるものの、何もなく思えるところもたびたびあって。磯などの岩場が比較的ちかくにある水域とか、島が比較的ちかくに臨める場所とか、護岸の近くとか、船の揚げ降ろしができそうな坂のあるあたりとか、それなりに疑える勘所みたいなのはありそうですけれど、疑えそうもない場所さえもあったりして。

三崎付近の橋の下を潜るときにも、どの橋脚の間でないと浅いから注意が必要、みたいなところもあって。こちらもどこなら通れるみたいな表記が何もなかったものだから、これはなかなか難しい、というかもはや判りようがない印象でした。何も知らずにそんな橋で行会い船とすれ違うことになったら、別の橋脚の間へと進路を取りたくなりそうです。

先生に尋ねると「知っていないとわからないかも」みたいに教えてくれて、その海域の様子を知る地元の人にガイドしてもらったり、海図を見たり、事前にマリーナなどで行きたいところの周辺で危ないところがないかを教えてもらっておかないと、どうにもならないところでもある様子でした。

船の密集度

それと興味深く思えたのが、もしかして目に映るほど船は密集していないのかもしれないと感じることがありました。

葉山マリーナ付近の海上を眺めていると、なんとなく遠くに小舟がたくさん密集しているように見えるのですけれど、そうかといって小舟を掻い潜って行かなければならない場面は今回はなくて、もしかすると、詳しいことはわからないのですけれど 圧縮効果 みたいなもので密集して見えているのかもしれないです。

午前の部、終了

そんなこんなを体験しながら、ほかの参加者と先生とで三崎のマグロ話に花を咲かせているのを微笑ましく感じつつ、船は城ヶ島を巡って葉山マリーナへと戻ってくるコースになりました。

先生の指導のもと、参加者3人で着岸と係留を行って。今回は着岸の操船をする人と、係留を船首側と船尾側とを分担しての着岸でした。係留は風上から行うようにして、クリートに止めるときにはしっかりしゃがんで結ぶのを心がけることで、落水の危険を少なくできるとのことでした。

そうして無事に着岸をして、お昼休みを挟んで午後の操船練習へと移っていきます。

アンカリング

午後の操船練習は、テクニカルな感じの操船がメインの時間になりました。そんな最初はアンカリング(錨泊)で、葉山マリーナからほど近い周囲にほとんど船舶のいない海域で、アンカーを下ろす(投錨)練習をしました。

今回使用したアンカーはダンフォース型のもので、初めて扱ってみた印象としては、見た目も重さもなかなかの重量感がありました。適切なロープの長さは、通常は水深の 3 倍くらい、風が強いときは 5 倍くらいが、ひとつの目安になるそうです。アンカーは船首側から下ろせるようになっていて、その際は船首側を風に立てて行うことになるようです。 そんな投錨作業は、操船する役とアンカーを上げ下げする役、アンカーロープの補助をする役に別れて、次のような感じで手分けして行いました。

アンカーを下ろすとき

  1. アンカーを下ろすときにロープが絡まないように、ロープの絡みを解いておく。
  2. アンカーを下ろす役が、風の吹いてくる方向を腕で示し、操船する役に伝える。
  3. 操船する役が、船首を風に向ける。
  4. アンカーを下ろす役が、アンカーを(投げ込まず、手繰るのと逆な感じで)海に下ろしていく。
  5. アンカーが着底したら、ロープが張らないで垂れている感じのときは、船を少しだけ後進させる。
  6. アンカーが下ろせたら、舷方向の先にある2つの目標物の重視線(トランジット)を確認して、船が流されていない(走錨していない)ことを確認する。

アンカーを引き上げるとき

  1. 船をわずかに前進させて、アンカーロープが張りを弛ませる。
  2. アンカーロープが緩んだら、普通に上に引き上げていく。
  3. アンカーが水面まで上がったところで、付着した砂や海藻などがあれば、濯いで振るい落としておく。
  4. アンカーをデッキまで引き上げる。

アンカーの収納

  1. アンカーロープをコイルして束ねる。
  2. 収納スペースに、最初にロープを入れてクッションにして、その上にアンカーを置くと良いらしい。

アンカリングをしてみて

アンカリングを体験してみた印象としては、何よりまず「アンカーが重たい」のが心に残りました。船のデッキに立つ経験がほとんどないのと相まって、そんなアンカーを上げ下げする姿勢が我ながら危なっかしく感じられました。係留したりするときにも言えることですけれど、まずは揺れる船の上でも安定した姿勢を取れるようになるのが肝心なのかも知れないです。

あと、アンカーロープの張り具合に応じて先生が、この場合は船をこう動かしたら良い、みたいに指示してくれたのですけれど、それがちゃんとは理解できなかった感じがします。この辺りは、アンカーの性質などを知ることも大事になってくるような気がして、改めてインターネットで調べてみると、YAMAHA マリン製品のサイトに掲載されていた アンカリングの基本アンカリングの手順 が、とても詳しくて分かりやすい印象でした。

移動できなくなるのに注意

アンカリングをするにあたっては、アンカーを下ろすとそこから身動きできなくなることに留意する必要があるとのことでした。錨泊中にほかの船が突進してきても移動して避けることができなくなるのもあって、先生的にはアンカーを打つことはあまり推奨していなくて、風が弱いなどで問題がなければアンカーは下さず、いつでも操船できる状態にしておくことがおすすめのようです。

それでもアンカリングを推奨したい場面もあって、たとえばエンジン故障などのときには、船が流されないようにアンカーをおろしておくと、救助者が見つけやすくなるなどの利点もあるようです。アンカーがたとえ地面まで届かなくても、流されるのをいくらか抑制できたりするらしいので、そういうときに活用するのも視野に入れられそうな様子でした。

ロープを切る道具の備えも

また、アンカーが岩などに引っかかって引き抜けなくなった場合に備えて、ロープを切るための道具を備えておくのもおすすめだそうです。ロープカッターのような道具がないと、根がかりしたときに長いロープをまるごと海底に捨てて来なければならなくなって手間になるのと、それだけ余分に海にゴミを残してしまうことに繋がりますし、余った長いロープがほかの船や何かに絡んでしまうことももしかするとあるのかもしれません。

ロープカッターは、たとえば自身の船のプロペラにロープが絡まったときにも、それを除去するのに役立つかもしれないので、何にしても備えておくと安心なように思います。

球形の形象物

それと、実際にアンカーを下ろして錨泊している最中は「錨泊中」を意味する 黒色球形形象物 を掲げる決まりになっているので、それも備えておく必要がありそうです。

かつての実技教習では、法定備品の確認のときに黒色球形形象物を扱わなかったので備え付けられている実感がなかったのですけれど、教習テキストにはちゃんと掲載されていて、船の所有者に義務付けられている船検(船舶検査)で必要になったり、実際に日本小型船舶検査機構の 小型船舶用法定備品一覧表 にも細かく規定されている様子です。

今回の船にも、実際に見ることまではしなかったのですけれど、膨らませて使う黒色球形形象物が常備されているとのことでした。

アンカリングを行える場所

アンカーが効くかどうかは海底の地形も大事になってくるそうで、一般的には砂地や泥地が効きやすく、岩場とかでは効きにくいと教習のときもテキストで教わりました。 そんな底質は海図にも記されていますけれど、砂地でもゴミなどで抜けなくなったりするそうで、錨泊を予定している場合には、事前にマリーナの人や漁師さんなどの地元の人に教えてもらうのも大事になってくるそうです。

アンカリングについて改めて教習時にもらったテキストを確認してみると、錨地の選定は次の事項をチェックするようにと記されていました。

ほかにも、航路や港内などの法律で投錨が禁止されている場所や、そうでなくても他船の航行を妨げる場所や、漁船の操業区域、遊泳区域などでは、緊急の場合を除いてアンカリングをしてはいけないとのことでした。

180 度の針路転換

アンカリングの後は、進路を直線上で 180 度転換する操船練習を行いました。 真前と真後ろに1つずつ目標物を見つけて、その直線上をたしか次のようにして、行ったり来たりしてみます。

  1. エンジンの回転数を 1,000 くらいにして、前進
  2. リモコンレバーをいったんニュートラルに入れて、
  3. ハンドルを右いっぱいに切って、微速前進
  4. 直線針路の進んでいた方向から 45 度のところまで船首が向いたら、ニュートラル
  5. ハンドルを左にいっぱいに切って、微速後進
  6. 直線進路の逆方向まであと 45 度のところまで船首が向いたら、ニュートラル
  7. ハンドルを右いっぱいに切って、微速前進に入れる
  8. 舵を戻しつつ、徐々に加速しながら直線上を進んでいく

たしかそんな感じだった気がします。先生に指揮されながら操船する分にはそれなりにちゃんとできていたのですけれど、後日にいざ自分だけでやってみると、思いのほか、ハンドルを切って微速に入れた後にどれくらいまで待ったら良いかの自信が持てず、微妙な操船になってしまう感じでした。まだまだ練習を重ねてみないといけなそうです。

離着岸

そのあとは葉山マリーナに戻って、離着岸の練習をたっぷり行うことができました。

着岸における要所のおさらいとしては、左舷着岸が基本となること。桟橋に直進で進入しての着岸で、次のような手順での着信を幾度と練習しました。

  1. 桟橋に対して、微速のまま直進で進入
  2. ほどよい距離まで迫ったら、ハンドルを右いっぱいに切って
  3. じっくり待って、船首が桟橋から 45 度くらいまできたら、ニュートラル
  4. ハンドルを速やかに左いっぱいに切って、後進(そのまま船尾が桟橋に寄っていく)
  5. 行き足が止まったらニュートラルに入れて、着岸完了

教習や D-marina では 45 度で進入してニュートラルでの操船を基本とした着岸を教わってきましたけれど、葉山マリーナではこのような感じで 90 度で微速前進を基本とした着岸を教わる機会が今のところ多い印象。こういう違いは、先生の経験に基づくところや指導方針に依るところの他にも、マリーナの桟橋運用や海象などの環境によっても変わってきていそうな印象がします。

また、着岸点に向かうときに、直進を維持しようと思って左右にハンドルを切るとそちらに惰性が働いてしまって船が期待するように流れなくなってしまtたりするので、不必要にハンドルを切らないように心がけるのが良いのだそうでした。

ニュートラルと、微速前進

ちなみに着岸操船の中で、ニュートラルである時間を少なくするのは、ニュートラルだと船が推進力を失ってコントロールが効かなくなるからというのが理由のひとつに挙げられるそうで、風の強い日とかにニュートラル基本の着岸ではどうにもならないことがあるみたいです。これについては、自分が最初に教習を受けた日にも、少し開けた場所だった上に波風が強くて、着岸点に向かうことさえ難儀した記憶とも重なるような心地がしました。

D-marina みたいな、桟橋前は水路になっていて穏やかそうな環境で、平行に長い桟橋を着岸点にしている場合は、ニュートラルでじっくり桟橋に迫った方が、落ち着いて操船できて安全そうな印象を持ちます。

状況に合わせた操船・補正

まだ難しく感じるのが、手順通りに上手く進めなかったときの臨機応変な調整です。今回みたいな着岸練習の中でも、状況に応じて先生がいろいろ指導して補正をかけてくれるのですけれど、それが自分の力では到底できる心地がしないのですよね。 こういう離着岸の練習以外の、クルーズ的な操船のときにはそういう進路の微調整をする経験ってそうそうないような気がして、どうやったらそういう繊細な操船経験を重ねていけるのか、今のところ想像のつかないところです。

さまざまな着岸方法については、堀越学園チャンネルさんの動画 上手くなりたい人!これなら簡単。わかりやすく教えます。堀越学園の着岸。 に興味を惹かれる感じがするので、とりあえずはこういう動画をたびたび眺めてイメージを作りつつ、実際の操船の中で体験する機会を待っておくしかなさそうです。

離岸

離岸はそれほど難しくない印象が残っているのですけれど、それは単に自分の意識が着岸ばかりに向いているのと、先生が横で欠かさず指導してくれているから、自覚できていないだけのような心地もします。

今回の離岸は、左舷着岸している状態から、次のような流れで行いました。

  1. ハンドルを左いっぱいに切って、微速前進
  2. そうして船尾が外側に振ったら、ニュートラル
  3. ハンドルを真っ直ぐよりも右寄りくらいに戻して、速やかに微速後進
  4. 船が下がっていって程よく桟橋から離れたところで、後進のままハンドルを左いっぱいに回す。
  5. 船首が、進みたい方向に振るのをじっくり待つ。
  6. 船首が進みたい方向を向いたら、ニュートラル。
  7. そしてその惰性を活かしつつ、進みたい方向にハンドルを戻して、微速前進

指揮してもらうままに操船している分には、着岸のときとは違って桟橋から徐々に離れていくからなのか、なんの気なしに事が進んで行くのですけれど、それでも思い返せば「このままで大丈夫なのかな?」と思うところはたびたびあって、そういう迷いを生じるところが、いざ自力で操船しようとしてみたときに、迷いからおかしな操作をしてしまう要因になってしまいそうなポイントなのかもしれないです。

待機・方向転換

操船セミナーで行う離着岸の練習は、葉山マリーナの港内で行っているのもあって、ほかの船の往来がある度に隅で待機したりする時間が幾度とあったのですけれど、そういうときの操船も良い練習になりました。

港内の限られた広さな水域で、待機しつつ船の向きを変えておきたいときには、前の時間に教わった 180 度の方向転換的な操作が役に立って。なんにしても船は、リモコンレバーを前進または後退に入れて推進力を得たときに初めて舵がちゃんと効いてくるので、行きたい方に舵を切ったら少しだけ推進力を与えて向きを整えて。そんな感じで、船の流れる方向や佇む位置を微調整して、行き交う船をやり過ごしていました。

そんな操作を適宜自由に何か桟橋などに迫る事なく行っていたので、先生からの指示も割と少なく、基本的には漂う感じの機会がたびたびありました。そんなひとときだったのもあって、これまでに5回の操船セミナーを体験されていた参加者の人が先生に何か指揮されることなくこまめに操船している姿を見かけて。せっかくだから自分も彼に倣って自主的に、船が流れずその場に止まるように操縦をしてみたり、良さそうな方向へ僅かに進路を補正してみたり、そんなふうに自分の意図で操縦をしてみていたらなんとなく感覚が僅かにながら掴めるようになってきたような。 なんにしても「自分で判断して操船する」というのの良い練習の機会になりました。

離着岸練習を振り返っての印象

離着岸をたっぷり練習してそれを改めて振り返ってみると、今回の自分はとりあえず、着岸でリモコンレバーを後進に入れるタイミングがちょっと遅くなってしまうような感じでした。

ハンドルを全て回し終えてからリモコンレバーを後進に入れるのを意識しすぎていたのが影響していそうな気がして、そのせいで後進に移るタイミングがワンテンポ遅れていそうです。もしかすると、ハンドルを「ある程度回し切った時点で後進に入れる」くらいの気持ちか、少なくとも「回し終えると同時に後進に入れる」くらいで臨むくらいの方がちょうど良さそうな印象でした。

そんな感じではありましたけれど、着岸の操船にも次第に慣れてきたのか、先生が横で指示を出してくれればだいぶ良い感じに着岸できるようになってきたような感じはして、それはこれまでの操船練習のひとつの成果の表れなのかもしれません。

まとめ

そんな流れで、最後に着岸から係船を行って、この日の操船セミナーは終了となりました。 これまでに受けてきた操船セミナーの中で、もっとも充実感を覚えるひとときになったような感じがします。 船の操作を満遍なく満足行くまで体験できた心地がして、これまでの操船練習の集大成にも相応しそうな印象もしました。

あとは、先生に浅瀬を教えてもらったときにも感じましたけれど、いくら操船セミナーで教えてもらったところで「無理なものは無理」みたいなところもあるように思えて、これはそろそろ自分でやってみないとどうにもならなそうに思えたりもしました。 これまでに6回、操船セミナーに参加してきて、いろんな先生に幅広くたくさんのことを教えてもらって、これからも興味の湧いた操船セミナーには参加していくにしても、ひとまずはそろそろ次のステップに進んでみてもいいのかなって思ったりもする今回の操船セミナーになりました。

駐車場

そういえば、今回の操船セミナーには自動車で訪れたのですけれど、葉山マリーナの駐車場を無料で利用させてもらう事ができました。

前回の操船セミナーは半日だったからか話題にのぼらなかったのですけれど、今回は1日と長いコースだったのもあって、受付の人から駐車場の無料券を発行できることを当日に教えてもらいました。それを知らなかったので、最初は葉山マリーナの目の前にある少し安い駐車場に車を止めていたのですけれど、それを聞いて移動してきて結果少しの駐車料金で車を止めておくことができました。

そんな感じだったので、葉山マリーナまで車で行きたいときは、操船セミナーに申し込むときに駐車場の割引があるかを尋ねておくと良かったりするかもしれないです。

教習で教わった先生

それとそういえば、もうひとつ。今回の葉山マリーナには、自分がかつて 登録教習所で実技教習を受けたとき にお世話になった吉村先生がいらしていた様子です。

操船セミナーの際中に安東先生からちらっとお名前を聞いたような気がして気になっていたのですけれど、 タイミングよく午前の部が終了したときに教習艇も桟橋に着岸して船上で何か教習をしているところで、もしかしてと思って桟橋から目を凝らして眺めてみるも失礼ながらはっきりと認識することができず。幸いご挨拶をひとこと交わせたものの、それだけでは確信が持てないままにお別れをしてしまっていたのですよね。

会話さえできればすぐに確信が持てそうなものの、教習中なのにそうするのも失礼だろうと思ったりしつつ、帰りに葉山マリーナ施設内のどこかですれ違えないかなと期待をかけてもみたのですけれど、結局のところお会いできずに帰ることとなりました。後で判明したことですけれど、そのときにいらした先生はやっぱり吉村先生だったご様子です。

これまでの免許取得から操船体験など

そんな感じで、いろんな意味で充実した良い1日になった印象でした。 今回みたいな操船を体験してみたお話や、小型船舶免許を取得したときの体験記などは、これからも順を追って記していくので、興味があれば眺めてみてください。