D-marina 主催のロングクルーズ操船セミナーに再び参加しました。

船舶免許

避航操船の練習をもういちど行ってみたかったのと、同じ景色がどう変わって映るのかに興味を覚えて、D マリーナ主催のロングクルーズ操船セミナーに再び参加してみました。


小型船舶操縦士免許を取得したからには、必要なときには運転できるようになっておかないといけないような気がして、 先日に D マリーナ 主催の マリンライセンスロイヤル 卒業生限定・操船セミナーに参加してきましたけれど、今回も再び「ロングクルーズ操船セミナー」に参加してみることにしました。

前回に参加してみたときの様子は こちら で紹介しましたけれど、今回もそれと同じ区分のセミナーになります。

参加の動機

そんなセミナーに再び参加しようと思ったいちばんの動機は、さらに先日に参加した ナイト操船セミナー での体験も含めて、自分はどうも海上の船がどちらに向かって進んでいるのか、そしてその距離感を把握するのに苦手意識がとても強くて、その状況を見極める機会が多くあったロング操船セミナーでもう一度、その感覚を探ってみたくなったところでした。

他にも、同じ操船セミナーでも東京湾クルーズで同じコースを走るのかどうかや、 今回の参加募集人数が前回の「3名」とは違って「2名」になっていたことも興味を唆られたところでした。 募集人数については、蓋を開けば当日は4名と、むしろ前回より多くなっていましたけれど、 それはそれとして良い感じのメンバーが集まって楽しいひとときになりました。

同じセミナーがどんな風に違って目に映るのだろうというところも興味があって、 前回と似たようなところ、前回とは変わって真新しいところ、そんな違いを見比べながら操船するのも楽しい感じでした。

日程

今回のロングクルーズ操船セミナーは、前回に参加したときからほぼ1ヶ月後にあたる 2020年11月16日の木曜日に、次のようなスケジュールで開催されました。 位置付けとしては、教習のときの「試験に受かる」ためのものではなく「実際に運転するための知識を身に付ける」ためのものになります。

時間 内容
9:30 〜 10:30 ロープワーク・点検
10:30 〜 11:15 離着岸
11:15 〜 12:00 離着岸・横浜港クルージング
12:00 〜 12:45 昼休み
12:45 〜 15:00 東京湾ロングクルージング

今回も予定されている内情自体は、前回と同じ時間構成で、実際に係留するなどの実践的なロープワークや法定備品の点検についてのおさらいと、出航の際に気をつけたい事前の情報収集、水路と外海での走行を体験する感じになりました。

今回の先生も前回と同じく、田島さんが担当してくださいました。カジュアルな印象と実戦に正直な感じが好印象の先生で、 自分が先月に参加したときのことを覚えていてくれていました。そんなおかげもあって、良い感じに馴染みつつ操船セミナーを受けることができました。

天候を調べておいてみる

せっかくの2回目の操船セミナーだったので、前回に教わったことを参考にしながら、 それを真似して自分でも事前に天候を調べておいてみることにしました。

マリーナ付近の天気を調べる良い方法はないかと探していたら、インターネットに 海天気.jp という情報サイトが見つかりました。 このサイトでは、海にまつわるマリーナなどの主要なエリアの、1時間ごとの風や波、潮汐などを簡単に見られるようになっています。 今回の操船セミナーが行われる D マリーナ そのもののピンポイントな情報はなさそうでしたけど、そのマリーナが隣接する 横浜港(神奈川県 の天気予報) を確認することができました。

それによると、この日の風向きは午前中は南東の風、それが午後には西北西の風に振れる感じ。 前回に教えてもらった言葉と照らし合わせると、東京湾的には午前は陸側から吹いてくるので大丈夫として、午後から風の影響が出てくる感じはするものの、風の強さが風速 0.6 m/s から 1.0m/s くらいと前回のセミナーと比べてずいぶん弱いので、これくらいなら大丈夫なのかな?という印象を持ちました。

服装について

これまではけっこう迷っていた服装も、勝手が掴めてくると不思議なくらいにさらりと定まるもので、 今回は冬の外を歩く服装に一枚重ね着をして、その上に風除けとしてレインウェアを羽織る感じで臨みました。 それで万全な感じで、終始不自由なく過ごすことができました。

夏でも冬支度と言われたりしますけど、そんな気持ちで、普通の服装を少し厚手に、加えて風に吹かれても冷えないウィンドブレーカーがあると安心そうな心地がします。ただし、落水はそうそうないにしても何気ない天気でも水しぶきを浴びることは普通にあったり、船体に触れたり座ったりしたときに汚れたりする可能性はあるので、そうなっても洗えば大丈夫なくらいの普段着を選んでおくくらいの注意感で良さそうです。

操船には小型船舶運転免許証が必要

ところで今回も最初に田島さんが、参加者の小型船舶操縦免許証を確認するところから始まったのですけれど、 今回も1名、免許証が届いていないうちに参加された人がいました。 もう1人も、前に免許がないまま訪れて帰って、改めて今回に出直して参加したのだそうで、 船舶免許が届かないまま参加する人と出会う率がこう高いのを思うと、 事前に注意喚起するなどの気配りがあっても安心そうな気もしたりしました。

小型船舶運転免許の教習を終了していても免許が届かないうちだと、操船セミナーに参加しても、 船に乗り込んで先生の話を聞くことはできても、ハンドルを握って操船することはできないので注意が必要です。

ロープワーク・点検

今回の操船セミナーも、自分が使うライフジャケットの点検から始まりました。 内側に収納されている浮き袋に問題がなさそうかを開いて確認したり、桜マーク TYPE A の特徴をおさらいしたり。 ライフジャケットを身につけるときには、きつく閉めすぎず、すっぽ抜けないくらいにしっかり締めるように装着したり。

ロープワークは、今回は事前の復習はしないで臨んでみました。 前回の操船セミナーを受けた後には、教わった横まき結びを中心に復習しておいたのもあって、 今回は危なげなくロープワークを行えました。 もやい結びとクリート止め、巻き結びの結びかたと使い道などを確認しました。 また、ロープを扱うときは、船が急に動いたりとかの何かのときに、すぐに手から離せるように 巻いたりせずにもった方が良いとのこと。 そうしないでうっかりすると指を切断する事故に繋がったりとかも有り得るそうです。

ほか、プロペラに破損がないを確認したり、収納スペースやデッキに浸水がないか、 船舶検査証書と船舶検査手帳が正しく備え付けられているかを確認しました。 なお、暖機運転はロープワークをしている間に先生がエンジンをかけておいてくれていました。

信号紅炎を体験する

そして今回は、前回の操船セミナーのときとは違って、信号紅炎を使ってみる時間がありました。 実際に着火してみてどんな感じになるかを体験してみます。

光や煙の感じは想像していた通りな感じでしたけど、 想像していなかったのは燃えかすで、思いのほかボロボロと燃えかすが足元に落ちるのが印象的でした。 今回は最後に水をかけて燃焼を止めましたけど、燃え尽きるのを待っても大体1分くらいだそうで、 実際に遭難して使うときには、救助してくれそうな船を見つけたときに使うのが肝心とのことでした。

離着岸

離着岸の練習は、今回はぐるっと大きく旋回して止まる練習はなく、 教習のときと同じような 45 度の角度で侵入しての着岸でした。右舷側と左舷側とで練習です。

手順としては、微速前進で進む勢いがついたら中立にして、良い具合まで進んだらハンドルをめいいっぱい回して少しだけ前進、寄っていったら中立、ハンドルを反対側にめいいっぱい回して、船が止まるまで後進みたいな感じで、何度も練習を行いました。 今回は、前回の練習で上手く行かなかった気がする「最後に後進で寄せるときの、ハンドルを回すタイミング」が 遅くなりがちだったのを意識して行って、良い感じに着岸できる回数が増えてきました。 ただ、先生が隣でタイミングを教えてくれるので、それもあって上手くいっている感じでした。 特に桟橋に進入してハンドルを切り始めるタイミングを上手く捉えるのは、 船がどういう軌跡を描くのかが想像できないのもあって、自分だけでは難しそうです。

離岸は基本的には後進離岸で、ハンドルを桟橋とは逆方向にめいいっぱい切って後進を開始、 ある程度まで桟橋から離れたらハンドルを戻して後進する感じ。 後進離岸は桟橋にプロペラをぶつける可能性が低いので、使っていきたい離岸方法のようです。

急発進に注意

ところで今回の離着岸練習のとき、 参加者のうちの一人が前進時にスロットルレバーを倒しすぎて急発進する場面がありました。 先生がすぐに対応してくれて、状況的には一瞬だけエンジンを急にふかした感じだったのですけど、 それでも勢いは着くみたいで、周囲の景色を眺めていた自分は思いがけずに、船の腰を下ろせるところに 尻もちをついてしまいました。

教習のときに「急発進は同乗者が落水する危険性があるから注意」とは聞いていましたけれど、 確かにこれはうっかりすると落水してもおかしくなさそうです。 これはなかなか良い体験ができました。

横浜港クルージング

離着岸を終えて、そのまま横浜港での操船開始です。

今回は風が弱いのか、それともまだ北西の風なのか、真っ直ぐに船を進めやすい印象でした。 操船にもだいぶ慣れてきたのか、周囲の様子を確認する余裕も出てきたような気がします。 今回は「避航操船、船の距離感を把握する」を意識して練習していたのも良い影響をもたらしているのかもしれません。

余裕ができてきたのは操船のときばかりではなく、 他の人が運転しているときに浴びる風にもずいぶんと穏やかさを感じる心地がしました。

波に乗ったり

船と同じ方向に波が進んでいるときは、それに乗るとスピードが良い感じに乗ってくれるのだそう。 こういうのをサーフィングといって、上手く活用できるようになると楽しいのだとか。 ただ、ブローチングを起こしやすくなるのが注意で、転覆しそうなときには加速するのが良いとのことでした。

ここでブローチングについて調べてみると、それが起こるのは追い波で、波と船との相対速度が小さいときに、斜め後ろから波を受けるときに起こる様子です。波の速度が船と同じかそれより早いときに起こると記載されているページもありました。船尾の 20 度から 40 度の付近に船速より速い波を受けたときに発生しやすいらしいです。

そうなると、ブローチングを感じたときに「波より速く加速して回避」するのが良さそうな感じはするのですけど、資料の中には「最微速で波をやり過ごして波の上り斜面に張り付いて回避」するという方法が紹介されているページもあって、 なかなか難しそうなところです。とりあえず、もう少し操船を経験して感覚を掴めるようになるまでは、サーフィングはあまり意識しない方が安全なのかもしれません。

そんな、ブローチングについて調べてみていたときに見つけたページは次のような感じでした。

周りの船などに注意しながら

大型船は出港を始めたときはゆっくり動いていて見失いがちだから気をつけようとか、錨泊している船はアンカーのロープが張られていたりするから迂闊に近づいて引っかかったりしないように注意しようとか、橋の上からゴミが飛んできたりするから気をつけようとか、そんなお話を聞いたりしながら 横浜港の 大黒海づり公園 付近まで船を交代交代で進めていきました。

東京湾ロングクルージング

午後は東京湾ロングクルージングで、前回と同じく羽田空港へと向かいます。

航海計画

それに先立って、航海計画の立て方から始まりました。 航海計画は、前回に習った通りでしたけど、なかなか馴染みのないことだけに、良い復習になりました。

航海計画は大切で、必ず計画を立てること。 風は特に風向が大事で、陸地で阻まれいない方向から風が吹く風表のときには注意。 天気は、雲が低かったりして、景色がちゃんと見通せるかどうか。視界が悪ければ、航海灯を備えた船で出港するようにするなどの判断をして。 海の特性は、どこが荒れやすいか、どこに定置網や蛸壺があるか、工事中で通行できない海域はあるか。 そんなあたりの情報を収集しておくようにする必要があるとのことでした。

また、航行距離は大雑把に把握すれば良いなら、海図に物を当てておおよその距離を測ってみたり、 遠くに出るときはしっかり距離を計測して燃料が足りるかどうかを計算したり、 給油地や、いざというときに避難できるマリーナがどこにあるかを調べておいたり、 そんなふうにして航海計画を立てる様子を教えてもらいました。

出港

そして、羽田空港へ向かって出港します。 この日は北から東の風、行きは大黒海づり公園のあたりを通過して外側を行き、帰りは京浜運河を通って帰る経路をとることになりました。

今回は積極的に質問をする参加者ばかりなのもあって、午後もみんなで重い思いに話をしながら航行です。 喫水は最低でも 1.3 m くらい欲しいとか、通常は 2m くらいとか欲しいとか。 今回の船の場合は 4,000 回転をちょっと超えるくらいがちょうどいいとか。 GPS が示す方角を意識して進路を取るようにすると、真っ直ぐに進路を取れるようになるとか。

それと今回、大型船に掲げられていた形象物「●」が意味するところを先生に尋ねられたとき、答えることができました。 錨泊中という意味なのですけど、先日にナイト操船セミナーに参加したときに「白色の船灯が1つ光っているから、停泊中」と教えてもらったのを機に、そういえば昼間だと形象物はなんだろうと思って調べておいたのが幸いでした。

避航操船

今回の目的だった避航操船も、午後に港の開けたところに出ればあちこちに船がいらして、 だいぶ体験することができました。

教科書で習ったような避航操船が必要な場面になるより前に、船の船尾あたりに舵を切って進路をずらしてコースがしっかりそれたら元の進路に戻るみたいな方法を教えてもらいながら体験しました。 船は右側通行ですけど、状況によっては行会い船の関係にならないように左に舵を切ってみたり、 相手が保持船にあたる状況に置かれたときは、早めに進路を開放してあげたり、追い越しのときも速めに過ぎたり速度を落として追い越さない意思を示したりして、いろんな状況での回避方法を練習できて良い感じでした。

避航操船のコツは「相手に自分が何をするかを伝えること」で、大きく進路をずらすことで相手に自分が何をしようと しているのかを知らせることが大事になってくるとのことです。

自分で判断できそうなときには、先生にどの船をどう避けたいか伝えてみたりして、 前回よりも意識して避航操船を行えたのも良い練習になりました。 伝えてみると、それで良いということもあれば、 見ていたのよりもっと近くに別の船がいたりとか、そもそも近づいてきてないので回避する必要のない船だったりもして、 まだまだなかなか思うようには行かない感じです。

引き波と船の進む方向

やっぱり船の進む方向を把握するのは難しい印象でしたけど、 先生に「船が作る引き波も参考になる」と教えてもらってずいぶん違ってきたような気がします。 海を切り裂くときにできる波がけっこう目立つみたいで、船が進んでいる方向を推察するのに 良い材料になりそうです。

水面がキラキラ光るとき

今回、羽田空港からマリーナへ戻るときに通った京浜運河は、太陽の光が水面に伸びて光っていたのですけど、 こういうときは水面にある目印などの浮遊物が見えにくくなるので、それを避けるようにして航行するのが良いとのことでした。

光る水面を横切って進んで、ある程度のところに来たら進路を変えて再び逆に横切って進んで、 そんな感じにジグザクと進むと、水面を見れる状態で目的の場所まで進んでいくことができました。

大回りでの航行

狭い水路、たとえば 横浜港大さん橋 のあたりから ナビオス横浜 の方向に向かう 水路を曲がるときとかには、進む先から船などが来たときにすぐに見つけられるように大回りで進路を取ったりしました。

この辺りは、自分が勝どきマリーナで「シースタイル体験試乗会」に参加してみたときに教わったのを覚えていたのと、 もともと自分は普段の歩いている時から、真っ直ぐ見通せる位置まで大回りする癖があるような感じで、 そんな調子で船でも上手く進路を取れていたような感じがします。 ただ、船がどんな軌跡を描いてカーブするかをまだ把握できていないのもあって、大回りした先側の岸壁が迫ってくるのが少し怖かったりしました。 今回はそれなりに余裕を持って通行できた感じでしたけど、わかってないのでうっかり岸壁に近づきすぎないようにも注意しておくのも良いかもしれません。

まとめ

そんな感じで今回は D マリーナ主催のロングクルーズ操船セミナーに再び参加してみました。 前回に教わったことを再び聞くのも再確認になって良い感じでしたし、 新たに教えてもらったことがあったり、同じ道のりでも海や交通の状況は違ってそれが面白かったり、 乗り合わせた人によっても話の展開が変わってきたりで、今回も有意義な時間になりました。

これまでの小型船舶免許を取得したときの体験記や、その他の操船体験したりしてみた感想などは、順を追って記していきます。