D-marina 主催のナイト操船セミナーに参加してみました。

船舶免許

D マリーナ主催のナイト操船セミナーに参加して、夜間に操船する際の注意点などを教わりながら、横浜港の夜景を海から眺めてきました。


小型船舶操縦士免許を取得したことですし、何か機会が巡ったときに船をそれなりに操縦できるようになっておきたい気がしたのと、自分が免許の取得で通った登録教習所 マリンライセンスロイヤル さんが開催する操船セミナーをひととおり見ておきたい気がしたので、前回の ロング操船セミナー に引き続き、今回はナイト操船セミナー参加してみることにしました。

今回のナイト操船セミナーは D マリーナ が主催する、マリンライセンスロイヤル卒業生限定のものになります。

ナイト操船セミナー

今回のナイト操船セミナーは 2020年10月25日の日曜日に、次のようなスケジュールで開催されました。 位置付けとしては、横浜の夜景を楽しみつつ、夜間の操船に必要な知識を身に付けるためのセミナーになります。

時間 内容
19:00 〜 21:00 横浜港〜京浜運河を操船、みなとみらい周遊

この操船セミナーに興味を持ったポイントとしては、夜間航行の注意点を教えてもらえそうなところでした。また、特殊小型船舶操縦免許を取得しにいったときに沖靖博先生が「レンタルボートは夜間に借りられないから良い体験になる」みたいに紹介されたことも心に残っていました。

天候

この日の天気は晴で、風は西南西から 3m/s くらい、気温は 16℃ から 18℃ くらいだったようです。 気象庁のサイトに 1時間ごとの過去の気象データ が公開されていたので、それを見るとそのような感じになっていたようです。

そして実際の海の様子は、今回に航行した横浜港から京浜運河については水面はいたって穏やかな印象でした。気温的には夜の海はけっこう冷える様子で、それなりな重ね着の上にフリースを着て暖かくして臨んだのですけど、それでも操船しているうちにだんだん体が冷えてきて寒い感じがしてきました。 この時期の夜はウインドブレーカーみたいな上着が欲しいかもしれません。

今回の印象

今回のセミナーは、乗り合わせたみんなでわいわい話しながら楽しく過ごせる操船セミナーになりました。自分が2回目の操船セミナーで余裕が少し出てきたのもありそうですけれど、今回の参加者同士はなんとなく気兼ねなく話せるような気がして、不思議な感じがしました。

そんな今回で特に印象に残ったのは、もし先生が同乗していなかったら3名で合計2回、ほぼ間違いなく衝突事故を起こしていた気がしてならないところでした。そんな場面も先生のおかげで無事に乗り越えて、学びに変わって。すごく良い体験をさせてもらえて大満足のセミナーでした。

出航

今回は、この前のロングクルーズ操船セミナーのときとは違って、船の点検は先生が既に終えてくれていました。ライフジャケットは腰巻式のものを貸してもらって、さっそく夜の海へと出航です。 慣らしも含めて航行しながら、夜間での操船で気にしたいポイントを先生から教えてもらいました。

安全に走行できる速度で

今回はエンジンの回転数を 3,000 回転くらいを目安に、操縦者自身が安全を確認できる速度で航行するように教えてもらいました。また、運転席前方にある風防(水しぶきを避ける透明版)が見えにくいので、ときどきそれを避けて前方の安全確認をするようにするのが良いようです。

実際、運転席から前方を見ようとすると、たしかに光が風防に当たって拡散するのか、見えなくはないもののよく見たいときには支障をきたす印象でした。そのため自分は操船中は座席に座らずに、先に何かを見つけたときには背伸びをしたり横に身を傾けて、風防を避けて眺めるようにしてみていました。

暗闇と灯火

街に囲まれた湾だけあって船の周りには光が届いてなんとなく明るく感じられるのですけど、どうやれそれは周囲だけみたいで、遠くの海を進む船や岸壁はほとんど見えないのはもちろん、思いのほか近くであっても闇に紛れているようでした。

夜の海ではまさしく、微かに光る灯火だけが頼りでした。 思った以上に相手の姿が見えないものだから、教習のときに教わった「相手の灯火の見え方」が、 テキストで習ったときとはぜんぜん違って切実に感じられた印象でした。 たとえば、今回の航行中に出会ったのは次の灯火です。

灯火 状況
右舷灯とマスト灯 右側へ航行中
左舷灯とマスト灯 左側へ航行中
右舷灯と左舷灯とマスト灯 直進で接近
マスト灯だけ 停泊中

この灯火がとても大事で、特に姿が見えない船についてはこれだけがその船の状況を知れる手がかりでした。 ただ、その光も慣れないせいか船なのか街なのか判断でいなくて、ある程度の距離まで接近したときに初めて船体がスッと目の前に姿を表すみたいなことも、特に大型船でたびたびありました。 また、屋形船 だと電灯で装飾されているせいか、右舷灯や左舷灯が見つけられなかったりして、灯火だけに頼ろうとするとまた難しいみたいなこともありました。

灯火は船だけではなくて、左舷標識や右舷標識、堤防の上などにも点滅する光が用意されていました。それを頼りに通れる道を選んで進むのですけど、この光がけっこうほのかだったり、同じ色の光がそれ以外の場所でもちらほら見られたりして、あらかじめどこに何があるかをおおよそでも知っていないと難しいところでした。右舷標識と左舷標識は港(水源)へ向かって走行しているかどうかで可航水域が変わってくるため、水源がどちらかを意識しておくのも大切そうでした。

GPS プロッター

今回の船には、航行中の位置や周囲の地形などを確認できる「GPS プロッター」が搭載されていました。 夜の海は視界が非常に効きづらいのもあって、これがかなり役に立ちました。すぐ近くにも何があるか判別できなかったりするので、GPS プロッターの映像が頼りです。

ただ、これも誤差があったり、地図情報と実際とが異なることもあったりするため、過信しないで、最後は必ず目視で確認するようにとのことでした。

航行してみた印象

そんな夜の海を航行してみた印象としては、波がとても穏やかだったので操縦自体はしやすい感じがしました。比較的思ったように進められたため、安全確認に気を配りやすかった感じがしました。 また、そのおかげで海場に見える灯火を見つけるのに集中できて、夜間航行の良い練習になりました。

堤防の間や水路を右左折で進入するときにも、以前に参加した「Sea-Style 体験試乗会」で教わった、大回りして進む先をまっすぐ見えるようにしてから進入するようにと教えてもらったことが印象に残っていたおかげで、良い感じにコースを取ることができました。ただ、船の小回りがどれくらいかが感覚的にわからなくて、大回りによってだんだん迫ってくる水路の岸壁に突っ込まないか怖かったりもしましたけれど。

そんな風にして、良い感じに操船はできたのですけど、それと "安全に航行できるか" は別問題の様子でした。

航行しながら周囲を見渡して、何かが視界に入ってきても、それが何なのか、どれくらいの距離があるのか、どういった行動をとったらいいのか、そういったことを適切に捉えることが難しく感じられました。 この辺りが自分にとって、ひとまずの大きな課題になりそうです。

避航操船で衝突しかける

今回、自分にとって最も大きな出来事は、前方からくる屋形船と衝突しそうになったことでした。

どこかの狭めの水路を航行していたときに、たしか ナビオス横浜 のあたりだったと思うのですけど、カーブを描いた視界の先に、灯浮標とはあきらかに違う明るい光が見えたのでした。

そこから先生が即座に、コンライトでパッシングをしながら右に変針して、屋形船も光に気付いて明らかに変針を始めて、衝突することなく無事に通り過ぎることができました。

そのときの屋形船の姿はほとんど覚えていないのですけど、以前にどこかで撮った写真に似た雰囲気の屋形船があったのでそれを載せておきます。こんな船が正面を向いて突如に現れた感じのシチュエーションです。

そんな風にして先生のおかげで乗り切ることができて、先生も「相手が気付いてなかったから仕方ない」と言ってくれたものの、自分が判断に迷って操船できずにいる時間が長かったのと、そもそも最初に正面の船を発見するのが遅かったりと、明らかに自分の問題が大きい印象でした。 それと、思い切って右に変針できなかったのは、もしかすると自動車が左側通行なのも影響しているかもしれません。右側が狭くて通行できるか不安に見えたとはいえ、水路という左右を岸壁に挟まれた「道」で右側を通行することにどこか躊躇う気持ちがあったような感じもしました。

開けた海であればすれ違う相手の右を走っても違和感ないのですけれど、こういう狭い水路では感覚がまた違ってくるのが、今回の貴重な体験でした。こういう経験を先生のいるときにできたことは幸運でした。

堤防に突っ込みかける

もうひとつ、もう1名の参加者は岸壁に正面から突っ込みそうになりました。

これは先生が敢えて用意したシチュエーションなのですけれど「夜の堤防は夜景に化けて非常に見えづらいけれど、ここで1回経験しておくと違ってくる」とのことで、見づらい堤防の近くまで案内してくれて、そこから GPS プロッターと堤防上の灯火を教わった後、それを頼りに堤防の切れ目の通過を試みます。

そうやって事前の心の準備はあったのですけど、それでも想像以上に堤防が見えなくて、堤防に沿って航行して切れ目で変針のつもりが、堤防に向かってまっすぐ前進、先生のストップでぶつかる前に停船しました。

この写真の真前に堤防があります。写真の写りが悪いのもあるのですけど、実際に船から見たときもだいたいこんな印象でした。

自分はあらかじめ GPS プロッターで、堤防の通れるところに右舷標識と左舷標識に相当する灯があることを確認しておいたのと、教習で習ったから右舷標識と左舷標識が気になっていたので「あれ? ここで曲がると突っ込みそうじゃない?」と思ったのですけど、そう思えたのは事前にそこに堤防があることを先生に教わっていたからであって、実際に突っ込みそうに思えても、目の前の堤防は目を凝らしていてもずいぶん接近するまで見えませんでした。

堤防っぽいものが見えるようになってからも問題で、堤防の上底が凸凹しているのか、ときおり隙間っぽく向こうの景色が見えるところがありました。それを見て「通過できそう」と思うかもしれない感じがしたので、もし自分がひとりで操船していて、目の前に突如この堤防が現れたとしたら、慌ててその隙間に突進していたかもしれません。仮に水面上に何もなかったとしても、すぐ下に地面があるかもしれないので、通行しようとしないで、停船して状況を見極めるのが大事になるそうです。

まとめ

そんな感じで、先生の計らいだったり偶然だったり、いろんな貴重な体験ができて充実した操船セミナーになりました。不思議と話しやすいメンバーだったのもあって、みんなして「あの船はどっちへ行ってるんだろうー」とか「怖い体験は先生のいるうちにしておかないと」みたいに、わいわい話しながら航行できたのも楽しいひとときでした。

今回みたいな操船を体験してみたお話や、小型船舶免許を取得したときの体験記などは、これからも順を追って記していくので、興味があれば眺めてみてください。