船を運転するにはどうしたらいいか、調べてみました。

船舶免許

何気なく思い立って「小型船舶免許」を取得してみることにしたのですけれど、そもそもどうやったら船に乗れるかというところからぜんぜん分からなかったので、調べる中でわかったその概要をひととおり記しておくことにしました。


思い立って、小型船舶操縦士免許を取得してみることにしました。

きっかけは単純で、新型コロナウイルスの影響でこれまでの活動の多くを占めていた技術系同人誌即売会やプログラミング勉強会が開催中止を余儀なくされて、 思うように外出できなくなって気持ち的にしんどさが募って行くある日に何気なく蟹を食べる機会があったことが始まりです。 そういえば自分では蟹を採れる気がしない、そうしたら漁師って何気なく凄いことしているのねって思っては、そこからから「船ってどうすると乗れるんだろう」と気になってみたら、とりあえず船に乗ってみたくなりました。

そうはいっても、そもそもそんな簡単に乗れるものなのか、そもそもどうやったら乗れるようになるのか、 何もわからない状態だったのですけれど、調べてみると小型の船なら誰でも免許を取得できることがわかりました。 今回はそんな「小型船舶免許を取るにはどうするの?」という観点で、その概要をひととおり綴ってみます。 ここに書かれている情報は 2020 年時点でのものになります。

小型船舶操縦士

そもそも、普通の人が船に乗れるものなのかという点については調べてみると思う以上に簡単で、 普通の個人でも国土交通省の試験を受けて「小型船舶操縦免許」を取得すれば良いとのことでした。 取得期間も滞りなく進んで4日間とか、手頃な期間で取得できます。 合格率も 90% 以上とか、まず合格するとか言われているようです。

この免許を取得すれば、プレジャーボートと分類される個人向けのクルーザーとか、祖父が乗っていた一人で操業するような漁船も少なくとも運転だけなら自由にすることができそうです。

船舶の種類

そんな「小型船舶操縦免許」ですけれど、それはさらに「一級」「二級」「特殊」の3つに分類されます。

調べ始めてすぐの頃にはこれらの違いを理解するのに戸惑ったので、ここではかなりざっくりとその違いを整理してみます。 詳細な違いは他のいろいろなサイトや 国土交通省の小型船舶操縦免許の制度 のページで解説されているので、厳密にはそちらで確認してください。

一級と二級

クルーザーなどのプレジャーボート、いわゆる一般的にイメージする「船」の免許はこちらになります。 基本的には 18 歳から取得可能で、海岸から 5 海里 (9.26 km) 以内の "沿岸区域" での運転に限られるのが「二級」で、それより遠くで 運転可能になるのが「一級」です。

特殊

水上オートバイを運転する上で必要になるのが「特殊」で、取得は 16 歳から可能です。

なお、水上オートバイという呼び方が正式な様子ですけれど、その他にも一般に「水上バイク」や「ジェットスキー」、「マリンジェット」、「パーソナルウォータークラフト(PWC)」などとも呼ばれるようです。

免許不要な船

その他にも、免許がなくても運転できる船もあります。

湖などで借りられる手漕ぎのボートもそうですけれど、エンジンを積んだ動力船でもコンパクトな船で馬力の小さいもので あれば運転できる決まりになっているので、人によっては小型船舶操縦免許を取らなくても、 目的にあった船を運転できるかもしれません。

免許なしで運転できる船の基準についても、先ほど紹介した 国土交通省の小型船舶操縦免許の制度 のページで確認できます。

小型船舶操縦免許の取得経路

自分が選択したのは「登録教習所」での取得でしたけれど、大きく分けるとこの国土交通省登録の「登録小型船舶教習所」で取得する方法と、 日本海洋レジャー安全・振興協会 が実施する小型船舶操縦士国家試験に合格する方法の 2 つがあります。

登録小型船舶教習所

登録小型船舶教習所は、自動車学校みたいに各地で運営されている教習所に通って船舶免許を取得する方法です。

履修時間が定められていて、調べてみる感じだと多くの教習所でだいたい「二級」と「特殊」なら最短 2 日間、 「一級」なら最短 4 日間、通うことで免許を取得できる様子です。 謳い文句は「国家試験免除」ですけれど、学科教習の終わりには国家試験さながらの学科試験がありますし、 実技教習の終わりにも操船試験があるので、普通の受験とそんなに違いないような気もします。

料金は普通受験と比べて 4 倍以上したりしますけれど、 学科教習は教員が重要なところを短期集中で教えてくれたり、 実技試験も実技教習と同じ船を使って、感覚を忘れないうちに実施してくれるところが利点に感じます。 料金についても、教習所によっては失格時の再試験料が不要というところも多いようなので、 安心して免許取得に臨めるところがメリットに感じます。

小型船舶操縦士国家試験

小型船舶操縦士国家試験に受験して合格する方法は、こちらの 日本海洋レジャー安全・振興協会のページ を参考に、自身で国家試験を受験して合格する方法です。 学習方法には完全に独学する方法と、スクールと呼ばれる受験用の教育機関で習得する方法とを選べます。

独学で受験に臨む方法

独学はいちばん安いと受験費用だけで済むため、費用は抑えられます。 特に学科試験については、 テキストを購入したりインターネットで学習することで独習も十分可能な印象です。

実技については操船については、なかなか機会に恵まれないと難しいように感じます。プレジャーボートの場合は免許を持っていなくても運転できる海域があったりしますけれど、水上オートバイは免許が ないと運転できないため、免許を持っている知り合いがいたとしても実際に運転して練習する機会は限られてきます。

また、プレジャーボートも水上オートバイも、エンジンの出力調整をするスロットルの操作感覚が独特で加減が難しい印象なので、 運転に得意意識を持っていない人は試験前に触っておきたい気がします。 ただ、実体験ではだいたいの場合、加速しようとしたら加速しすぎて慌ててスロットルを大きく緩めたりとか、 引き波を超えるために速度を僅かに緩めようとしたら減速しすぎて慌てたりといった感じだったので、急加減速しても怯まない人なら問題ないかもしれません。

スクールで受験に臨む方法

事前に操船しておくとなるとスクールに通う方法になりますけれど、教習所よりは若干費用が抑えられるものの、国家試験の受講が別途必要であることを考えると、 少し割高でも登録小型船舶教習所に通うのが安心かもしれません。 または、操船だけを教えてくれるスクールを探してみれば、 もしかすると費用を抑えられる可能性はあるかもしれません。

難易度は低め

ただ、登録教習所でも国家試験でも、少なくとも 2020 年の時点では、小型船舶操縦士の国家試験は、とりわけ実技試験において は難易度がかなり低く設定されているらしく、 試験で初めて操船する人も、それこそ運転に自信のない人であっても、合格できる可能性はかなり高い様子です。

それを踏まえて、どの経路で免許を取得するかを考えてみるのが良さそうです。

教習所でもスクールでも、スタートラインは同じ印象

ちなみにどちらで取得したら差がつくということもなさそうです。

自分は教習所で通う際に、事前に独学でも勉強してみたのですけれど、 学科についてはどちらも同等の試験をパスしなければ受からないのは同じですし、 むしろ独学の方が重要なところ以外も勉強するので知識が多くなりそうな印象でした。

実技については教習所の方が実際に運転練習を積めるので良さそうに感じますけれど、 それでも規定時間が数時間程度なので、独学からでも挽回できる経験時間に思います。 ただ、教習所の場合は先生が足りないところを教えてくれますし、 先生に普通な船の操船方法を体験させてもらえる利点もあるので、 そんなあたりも踏まえると、教習所も独学もどちらも甲乙つけがたい印象でした。

免許交付までの期間

登録教習所の試験や国家試験に受かったとして、そこから免許が交付されて船に乗れる資格が得られるまでの期間についても、 取得してみるまで意識が向かないところだったため、記しておきます。

まず、国家試験に自身で申し込んで受かった場合は、受験してから1週間以内に合格発表があるので、 あとは試験期間へ出向いて合格証明書を発行し、さらにそれを持って 運輸局に申請すると、早ければそこから即日で船舶免許が発行されるらしいです。

それに対して教習所は、受講が終わってから1ヶ月以内くらいに免許証が自宅へ 送られてくるのが一般的な様子です。自身では手続きを何もしなくて良いので簡単ですけれど、 その代わりにけっこう長く待たされるため、乗る予定がある場合にはそれを考慮に入れて 免許を取得する必要があります。 また、たとえば「一級」を取得済みで、そこから教習所で「特殊」を取得したような場合には、 受講時に免許をいったん教習所に預けて、そこから1ヶ月ほど後に新しい免許が 再交付されるのを待つことになるため、その間に船に乗れなくなるのに注意が必要です。

免許取得後に船に乗るには

そして小型船舶操縦免許を取ったとして、その後で実際に船に乗るにはどうしたらいいのか、 わからないことが多かったので、それについても調べた範囲で記しておきます。

船を持つか、レンタルボート

普通の人が船に乗ろうとした場合、自分で船を買って乗るか、 マリーナで船をレンタルして乗るかの 2 つの選択になるようです。

船を所有する場合

船を所有するとなると、新品なり中古なりで船を購入する必要がある他にも、 船を泊めておける場所の年間利用料と、それが陸の場合には船の上げ下ろしをする上下架料が別途必要になったり、 船の故障修理の他にも塗装の修繕などの日常的なメンテナンスを行うための費用が必要になったりする様子です。

また、出港地が自分の船のある場所からに限定されるため、航行できる範囲が時間的・実質的に限定的になってきます。

マリーナでレンタルする場合

マリーナでレンタルする場合は、船の購入費や保守管理費については壊したとき以外は掛からなくなりますけれど、 会員になるための入会費と、会員を維持するための月会費が、必要になるのが一般的な様子です。

また、初めてマリーナを利用する際には初回講習を受講しないといけない決まりになっているのも一般的な様子ですので、 旅行先のどこかでマリーナを見つけて気軽に乗るみたいな自由は利かないところにも注意が必要そうです。 ただし、シースタイル のような 日本各地に展開しているのがウリのレンタルクラブの場合、旅行先でもそれなりに借りやすいように 配慮してくれているところもあるようなので、船に乗る目的や場所が定まっていない人はそういうところを 利用するのも良いかもしれません。

マリーナによっては、会員制ではなくビジター利用(スポット利用)が可能なところも あるようなのですけれど、簡単には見つけられなかったので、数はかなり限られそうです。

航行区域について

船には、道などはない代わりに、運転して良い範囲が決められています。 航行可能な範囲は免許の種類や船自体に決められているので、それについても紹介しておきます。

法律で決められている航行区域

プレジャーボートでは、二級なら特に制限のない免許であれば海岸から 5 海里 (9.26 km) 以内を航行可能になっています。一級なら制限なく航行可能になっていますけれど、 80 海里 (148.16 km) を超える海域では六級海技士(機関)以上の資格者を同乗させる必要があったり、実際には船舶ごとに定められている航海区域に制限されてきます。 また、現実問題として日本の海域であるかどうかも影響しそうな気がします。

水上オートバイでは、実質的に海岸から 2 海里 (3.704 km) 以内が航行区域になります。ただ、平水区域では純粋にそうでも、 沿岸区域では安全に発着できる地点を基準にするなど、細かく規定されています。そのあたりの詳細については こちらのサイト が詳しい印象でした。

レンタルボートは、マリーナによってさらに制限される

このように、小型船舶の航行区域は法律によって定められているのですけれど、 レンタルボートを利用する場合は、それを借りるマリーナによってさらに制限されるのが一般的な様子です。

そのため、免許は一級を取得しても、いざ運転してみると二級の範囲に限られていたみたいなこともあるかもしれません。 また、マリーナで独自のレンタルプランとシースタイルのプランとが併設されている場合には、それぞれで航行区域が違うこともある様子です。 船舶免許を取る前に目的が決まっている人は、お目当てのマリーナが設定する航行範囲や、どこまで行きたいかなどによって、 取得する免許の種類を一級にするか二級にするか決めるのも良さそうです。

いずれにしても、自分で船を所有しない限りは航行区域が限られるのと、マリーナは会員制のところが一般的で 出港地を変えるのが難しかったり、シースタイルのように出港地が選びやすかったとしても航行範囲が狭く設定されていたりするので、 目的によってはわざわざ一級免許までは取らなくて良いかもしれません。

航行禁止区域がある場合も

その他にも、条例で航行できない区域を定めている場合もあるようです。そのような区域にも進入しないように 気を配る必要があります。海岸や湖、川などで条例が施工されていたりするので、 目的の水域で運転する際は、インターネットや出発点のマリーナなどで、事前に条例での取り決めがどうなっているかを確認する必要があります。

罰金に注意

ところでいろいろ調べているときに、船で交通違反などをして罰金になった場合の話も 出てきたので記しておくのですけれど、罰金がものすごく高いらしいです。

たとえば、免許不携帯でも 10 万円以下、水上オートバイで海岸から 2 海里より離れて運転するような航行区域違反で 50 万円以下、定員オーバーも 50 万円以下、免許を持っていない人に船を運転させた場合は 100 万円以下みたいに、陸上の普通自動車とは桁違いの罰金になるらしいので注意が必要、というか、もはや 恐ろしい印象さえします。

なお、海上で事故を起こした場合は「海難審判」というのが執り行われて、戒告や業務停止、免許の取り消しなどの懲戒処分が行われたりもするようです。

免許の有効期間

それと、小型船舶免許の有効期間は 5 年に設定されています。

有効期限の 1 年前から更新できて、更新せずに有効期限を迎えると免許は「失効」するのですけど、 無効になることはなく「失効再交付講習」を受けることで再交付される仕組みになっているので、 後に船に当面乗る予定がなくなった人でも無駄にならないで済むのは嬉しいところです。

また、免許を「二級」から「一級」にステップアップしたり、 追加で「特殊」を取ったりなどして、免許証が再発行されるときにも 有効期限がそこから 5 年に延長されるようにもなっています。

段階を踏んで取得するのも良いかも

そのため、自分みたいに目的なく免許を取得する場合はなおさら、 いっきに「一級」を取らずに段階を踏んでも良いかもしれません。 たとえば、最初に「二級」を取得して、5 年後の有効期限な頃に「一級」に ステップアップ、そこからさらに 5 年後の有効期限な頃合いに「特殊」というようにすると、 更新費用をかけずに有効期限を伸ばすことも可能です。

受験や教習にかかる費用は「二級」から「一級」にステップアップするときに 割高になりますけれど、勉強で覚えなければいけない範囲が少なくなるので、 海について右も左も分からない普通の人が取得に臨む負担が軽くなるのは 大きなメリットかもしれません。 特に「一級」へのステップアップのときには 学科の「二級」で出題された範囲が免許されるだけでなく、実技も免除されるため、 最初の「二級」は自信がなくて教習所で取得した人でも、次の「一級」ではともすると独学でも受験しやすくなるのは嬉しいところです。

特定操縦免許というものも

そのほかにも「特定」と呼ばれる、旅客船や遊漁船などの人を運搬するための小型船舶を運転するのに必要な「特定操縦免許」というものもあるようです。 こちらは「小型旅客安全講習」を受講することで取得でき、免許証の有効期間も取得後から 5 年間に延長されるらしいので、 免許の有効期限に合わせてこちらの受講を検討してみるのも良いかもしれません。

熱量があるときが、いちばん楽

もっとも、試験を受けるにはなんだかんだで気合が必要ですし、熱量があるときに取得するのがいろいろな面でいちばん楽な旬でもあるので、 そんな画策をしないで一気に取ってしまうのも有りな選択に思います。

通った教習所

ちなみに、自分が小型船舶免許を取得するにあたって通った教習所は マリンライセンスロイヤル でした。

きっかけは単純で、船舶免許があることさえ分からない頃にインターネットで検索してすぐに出てきた教習所だったためですけれど、 調べていくうちに、独学では自信がなかったこと、たとえ不合格になっても 1 年以内に取得すれば受講費用が変わらないこと、 電話で相談したときに丁寧に相手をしてくれたことなどが、選択の決め手となりました。

実際に受講をしてみて、とても明るく丁寧に指導してくれたこと、卒業後も卒業生限定で操船セミナーを割安で開催してくれるところなども、 こちらの教習所にしてよかったところです。

操船セミナー

ところで操船セミナーについては、マリンライセンスロイヤルみたいに卒業生を対象に行われるものの他にも、 シースタイルが 「マリン塾」 として 会員かどうかに関わらず受講できるものもある様子でした。

登録教習所で習うだけでは、特に海を船の上で過ごす上でわからないこと、想像のつかないことがたくさんあるので、 こういった講習が有料でも開かれているのは嬉しいことに感じます。

教習所で教わったことや、その後の操船体験

そんな感じで、今回は船舶免許を取得するにあたっての周辺知識をざっくりと記載してみました。 その他の教習所に通ってみて教わったことや、その後の操船体験などの感想は、順を追って記していきますね。

  1. 船を運転するにはどうしたらいいか、調べてみました。(このページ)
  2. 船舶免許教習所への受講申込から事前学習まで。
  3. 一級船舶免許の教習にあたって用意した服装や持ち物について。
  4. マリンライセンスロイヤルで一級小型船舶免許の教習を受けてきました。
  5. 天候不良で中止になっていた実技教習を受け終わり、無事に一級小型船舶免許を取得しました。
  6. 特殊小型船舶免許を取得することになったので、服装や持ち物などの事前準備をしてみました。
  7. マリンライセンスロイヤルで特殊小型船舶免許の教習を受けてきました。
  8. レンタルボートクラブ Sea-Style の体験試乗会に参加してみました。
  9. D-marina 主催のロングクルーズ操船セミナーに参加してみました。
  10. D-marina 主催のナイト操船セミナーに参加してみました。
  11. D-marina 主催のロングクルーズ操船セミナーに再び参加しました。