天候不良で中止になっていた実技教習を受け終わり、無事に一級小型船舶免許を取得しました。

船舶免許

思い立って一級小型船舶操縦士免許を取得しようと思って受講した船舶免許の教習でしたけれど、天候不良で中止になっていた実技教習を受けて無事に全日程を終了して船舶免許を取得できたので、そのときの様子を記してみました。


思い立って、小型船舶操縦士免許を取得してみることにしました。 その経緯や周辺的な予備知識については こちら で記載しつつ、 実際に登録教習所 「マリンライセンスロイヤル」 に通って一級小型船舶免許の 教習を受講した 4 日間については前回に こちら で話しましたけれど、 その中で実技教習が天候不良で延期になってしまいました。

それから日程を調整して、再び実技教習を受ける日が巡ってきたので、今回はそんなあたりを記してみます。

実技教習、再び中止に

前回の中止になった実技教習は 2020 年 7 月 6 日で、それから事務員さんの計らいもあって程近い 7 月 11 日で 再教習を手配してもらえたのですけれど、梅雨らしい天候不良はそのまま続き、 結局のところ新たに組んでもらった実技教習も再び中止となりました。

今回はその前日に中止の連絡を頂いたので、東神奈川の D マリーナ には 伺うことなく、改めて日程の再調整となりました。そして次の日程は 7 月 27 日に決まり、 だいぶ先で待つのがしんどい気もしましたけど、苦手意識の強い実技教習の予習をする時間が与えられた嬉しさも混ざりつつ、 いずれにしても当日が訪れるのを待つことになりました。

実技教習を予習しておく

それまでの間は、ロープワークと点検については前回の実技教習で教わって実感として得られていたので、 それらを思い出しながら復習しつつ、改めてインターネットで操船に関する動画を中心に眺めて予習を進めました。

以前の予習について こちら で紹介したように、 今回も 「堀越学園チャンネル」 で 操船の感覚的なところを学習してから、より実際の教習を体感できる気がする ビデオメッセージ VIDEOMESSAGE さんの動画を観ながら学習しました。予習で眺めた主な動画は、次のような感じです。

堀越学園チャンネル さんの動画

ビデオメッセージ VIDEOMESSAGE さんの動画

事前に船を少し体験しておくと良いかもしれない

ちなみに動画の印象は、堀越学園チャンネルさんの動画は「実際に海に出て、先生と実際に操船をしてみているような実感」が、 ビデオメッセージさんの動画は「実際に実技審査を受けているような臨場感」が、得られるような心地がしました。 前回の実技教習で船の感触を少しだけ体験する前とはまた違って現実味を帯びた体幹が得られるような感じがしたのも興味深いところでした。

これは後から知ったのですけれど、マリンライセンスロイヤルさんでは 「ボート免許取得体験会」 というのも開催している様子なので、 もしかするとこういうのに事前に参加しておくと、実技教習当日にかなり余裕を持って臨めるかもしれません。

前日は Go To トラベル

そして、朝早くからの実技教習かもしれないこと、余裕を持って実技教習に臨みたいこと、 そんな気持ちがあって今回も前日に近くのホテルに宿泊することにしたのですけれど、 幸運なことに政府による旅行推進のための割引企画「Go To トラベルキャンペーン」が 7 月 22 から開始されたため、 それを使って宿泊することができました。

ホテルではぎりぎりまで動画で予習ができたのと、翌朝に寝坊や電車遅延などがないかみたいな不安が大幅に軽減されるので、 こういう日にはちょうど良いような気がします。

集合時間の確定

今回の実技教習の時間は、前々日に確定しました。申し込んだときに聞かされていることなので問題ないですけれど、 マリンライセンスロイヤルさんでは前々日から前日までの間で時間が最終確定する様子でしたので、 教習の日はまる 1 日くらいの余裕を持って予定しておくのが良いかもしれません。

今回は既に半分くらいの教習を終えていたのもあって、朝は前回よりは少し遅い時間の 9:00 から始まって、 終わりは 13:40 分までの、程よい日程になりました。

実技教習、開始

この年は梅雨が恒常的に続く感じで天候に不安を覚える 7 月だったのですけれど、実技教習当日の 7 月 27 日は無事に晴れ間を覗かせてくれて、 実技教習日程 3 回目にしてようやく実施となりました。 それでも風は強いらしくて波は高く「もしかすると、途中で帰ってくることになるかもしれない」と、マリーナに到着してみると本日担当の吉村先生から聞かされました。前回もロープワークを教えてくれた先生なのですけれど、こちらの先生、褒めるのがとても上手なのと、親しみやすいお人柄、何よりとても楽しそうに実技指導をしてくれるものだから、 とても楽しくこの日の実技を終えることができました。こういう在り方、とても憧れますね。

ロープワークと点検の復習から

少し早めにマリーナを訪れてみたら、既に先生が待機してらして、軽く雑談を交わしてからまずは、前回に教わった ロープワークと点検、トラブルシューティングのおさらいから始まりました。 ロープワークは小型船舶免許を取得するためのものなら身についているみたいで、手際良くこなすことができました。 点検については、この前とは別の船をこの日は使うらしくて違ってくるところがあるとのこと、 そんなあたりを意識しながら改めて丁寧に教えてもらえました。

船の機種について詳しくはわからないのですけれど、教習を最初に受講したときに配られた日程表には "FR24" とか "GF21" とか記されていて、 インターネットで検索してみるとその型式と同じ船が出てきたので、初回の実技教習はこれらの船で受講していたのかもしれません。 D マリーナの 「クラブ艇紹介」 ページにも これらの船がラインナップされていました。今回の教習ではどの船だったか、記憶にある形だけから想像すると "UF25" だったような 感じもするのですけれど、確かなことはわかりません。

船の違いについて

ちなみに船ごとの違いは、法定備品の収納場所やメインスイッチの場所など大きく違っていたのと、 装備についても今回は燃料タンクが携行缶タイプ(?)みたいなものだったようで「燃料コックが 2 缶のどちらかに切り換える方式で、閉めるという状態がない」 みたいな、仕様的にもそれなりに違ってくる印象でした。

それと今回の船は、先生が言うには「揺れやすい」のだそうでした。自分には、たしかに揺れる感じはするのですけれど、 果たして前回の船はどうだったか、どちらの船でも船体安定の点検は行いましたけどそういう差については今のところ認識できない感じでした。

教習で使う海域まで

前回の復習をひと通り終えたら、もう 1 名いらした受講者がここまでの教習を終えるのを待って、いよいよ海へと出航です。 もう 1 名を待ったとは言っても、進捗を揃える感じで、受講者にはそれぞれ船が割り当てられてそれぞれに先生が 1 名ずつ付いての実技教習になりました。

出航

教習で使う海域までは、先生が操船して連れて行ってくれました。 とりあえず先生から「後ろにいると海に落ちたときに気付けないから、横に立っていてください」と言われつつ、手慣れた感じで桟橋から船が離岸します。 それから船が目的地に着くまでの間、船についての基礎的なことを教えてもらっていました。

船の操縦特性

まず、船は小回りが効かないとのこと。そして、マリーナの周囲みたいに船がたくさん停泊しているところを「船溜り」と言って、 そこでは最微速(デッドスロー)で走る必要があるとのことでした。そうしないと引き波が他の船を揺らして、船体を壊したり、船の上にいる人が落水したりする 恐れがあるそうです。また、船は低速ほど舵効きが悪く、プロペラが回っていなければあっという間に風下に流されるのだとか。

船の直進も特徴的で、ハンドルの回転で中央がわかりにくいけれど、そもそも船は風が吹けば流されるからわかる必要がないのだとか。 まっすぐ持てば良いものではなく、まっすぐ進むように風と反対にハンドルを切って操作する。体感で操作していくものなのだそうです。

また、船を運転する際の水深の目安も教わりました。船は 1m くらい沈んでいて、推進器の部分はもう少し深くて 1m 50 cm くらい。 その辺りを加味して 3m くらいの水深があれば、水面下の地面がでこぼこしていても基本的に大丈夫でしょう、みたいな感じに 考えるみたいです。ちなみに水深は、船に搭載する GPS 機器で確認できるとのことでした。

先生の運転を体感しながら

そうやって話を聞きながら、船は船溜りをすぎて、狭い水路を少しスピード上げて進み、 景色が開けたあたりで先生がフェンダーを内側に仕舞ってさらに速度を上げていきます。

景色はどんどん移り変わっていって、水しぶきがバサバサと体に飛んできます。 このときはちょうど風向きが、船が上げた波を運転席に運んでくる方向だったらしいです。 後ろからの風であればそれほどでもないのだとか。 レインウェアをきていたけれど、上着のファスナーを閉めていなかったから、 ティーシャツがしっかり濡れました。途中でファスナーを閉めようかとも思ったのですけど、 船が揺れて手すりから手を離す余裕がなくてそのまま乗っていました。

そうそう、この日は風の影響で波が高いみたいで、船が波に乗り上げてけっこうバウンドする感じでした。 それにつられて体が浮く感じで手すりをしっかり持っていないと転びそうな勢いで、船体が着水するときに足にしっかり衝撃が届いてきたり、 先生もときに速度を緩めたりしながら運転している様子がなんだか心に残りました。

目的地に到着

そうやって、先生の運転を体感できるのも教習の嬉しいポイントですね。 風や波が高い日に教習ができて、そんなときに操船する際の注意点などが聞けたのも幸運でした。 そして出航から 30 分くらい経ったでしょうか、船は教習で使う海域に到着して、いよいよ教習開始となりました。

教習開始

それからは実技審査に向けて、必要な操船技術を練習していきます。 最初に船を操船する上での注意事項などを先生が整理して聞かせてくれました。

安全確認

船を運転するにあたって、操縦も重要だけれど、同じくらいに周囲の安全確認をしっかりおこなうことが重要とのことでした。

海には道路も信号もないので、常に 360° 周囲を確認しながら操船をして、自分に向かってくる船はないかを確かめて、他の船と衝突することのないように努めたり、 発進する前には船尾周りを確認して、遊泳者をプロペラに巻き込まないように注意する必要があることを、 念を押すようにしっかりと教えてもらいました。

また、音に意識を向けることも特に大切だそうで、 海の上で普段聞かないような音が聞こえてきたら、それが何の音なのか、必ず意識を向けるようにとのことでした。

発進

そして実際に操船の練習が始まりました。 まずは「直進」なのですけれど、これがなかなか思うように出来ないところが面白かったです。

  1. 船尾まわり、良し
  2. 前良し、右良し、左良し、後方良し
  3. 発進します(リモコンレバーを加速を始めるところまで上げて、微速前進や 1,000 回転くらい)
  4. (ハンドル操作で、目標の方向に進路を定めて)
  5. 前良し、右良し、左良し、後方良し
  6. 増速します(リモコンレバーを徐々に 3,000 回転まで)
  7. 後方、良し
  8. 停止します(徐々にリモコンレバーを戻し、中立に)
  9. 停止しました

直進する上で、速力を上げるときはゆっくりと徐々に加速するようにして、 船を「まっすぐ」進ませるには目標物に船首を合わせるのではなく、今回の船であれば右舷灯がそれに向くような感じで進路を取ると良いのだそうです。 そして進行方向を定めるときには、低速だと舵効きが悪いので、微速より少し速度を上げると操縦しやすくなるとのことでした。

目標に向かって進み始めたら、改めて周囲を確認してから速力を上げていく。 そして止まる時には、後方に船がいないことを確認してから速度を徐々に下げていく。 そんな風にして説明をひととおり受けた後に「じゃあ、やってみましょう」ということになって、 操縦をしてみたのですけれど、これがなかなか難しくて、思うようには船を操縦できませんでした。

速度の加減

まず、リモコンレバーがシビアな印象です。中立から微速に入るまでにそこそこ大きく動かす必要があるかと思えば、 そこから先はほんの僅かに動かしたくらいでエンジンの回転数が大きく変化するような感じがしました。

そのため、中立からの思い切りが悪くてなかなか船が進み始めなかったり、徐々に加速しようと思ったら思った以上にエンジンが回り始めたりして、 加減がわからずスムーズな速度調整をするにもかなり気を使います。 先生からは、リモコンレバーは根元のあたりを持って操作すると調整しやすいと教えてもらいました。

直進しない

そして、船がまっすぐ進みません。波に揺られてフラフラと、あちらへいったりこちらへいったり。 ハンドルを回して元の進路に戻そうとすれば行き過ぎたりして、進路がぜんぜん安定しません。 船はプロペラが回転する都合で、右に行きたがるのだとか。そしてさらにこの日のように風が強いと、風邪でどんどん船が流されるから、なおさら難しいらしいです。 リモコンレバーがシビアなものだから、それに注力していると、あっという間にぜんぜん違う方向に進み始めていました。

そんな感じではありましたけれど、とりあえず直進については、教習を進めていくうちに思い通りとまではいかないものの、 それなりに行きたい方向に進めるようにはなってきたような気がします。

変針

直進の後は、進路を変える練習も行われました。

  1. 右、良し
  2. 右後方、良し
  3. (リモコンレバーを少し下げて、僅かに減速)
  4. 変針します(ハンドルを緩やかに回して、大きな軌跡で旋回)
  5. (目標の進路でちょうどまっすぐ進めるように、ハンドルを徐々に戻す)
  6. (目標の進路に到達したら、リモコンレバーを少し上げて旋回前の速度に戻す)
  7. 変針しました

基本的な動作は、たとえば「右に変針」する場合には、右に船がいないか確認し、さらに右後方から追い越してくる船がいないか確認してから、 エンジンの回転数を少し下げて速度を落として、ハンドルを緩やかに回して大きな軌跡で旋回するような感じのようです。 そして、変針後の目標にちょうどまっすぐ進めるように、旋回しながら徐々にハンドルを戻していって、 目標の方向に達したら、下げておいたエンジン回転数を元に戻す手順を踏みます。

これもなかなか難しくて、何よりも旋回直前で僅かに減速するのが上手くいかない感じでした。 速度が予想よりも下がってしまったり、なかなかリモコンレバーが反応しなくて旋回動作が遅れたりして、 ぎこちない変針になっていたように感じます。 その際、先生に何度も何度も「見張りをしっかりしてくださいね」と言われてみたりして、 自分では安全確認をしているつもりでしたけれど、足りなかったのかもしれません。

ちなみにエンジン回転数は、変針前の直進では 3,000 回転くらいで進んで、変針直前で 2,700 回転くらいに落として旋回、みたいな 感じで練習しました。 旋回するときの注意点としては、ハンドルを大きく切り過ぎないこと。特にこの日みたいな 風が強い日は転覆する恐れがあるので、特に大きく回るのが良いらしいです。

避航操船

避航操船の練習は、教習では二隻の船での練習は許されていないらしく、 直進している最中にいくつかのケースをカードで見せられて、回避行動を取る感じでした。 ケースごとの回避方法をその場でおさらいしてもらってからの練習開始です。

右旋回して回避するケースでは、安全確認の上で変針してかわして、その真横にきたら、元の進路へ戻るみたいな感じです。 カードを見せられたときに、取るべき行動がとっさに出てくるか不安でしたけれど、ケースが限られていたのもあってなんとか大丈夫でした。 パターンとしては、前方から動力船が来る「行会い船」での右旋回で避ける方法と、右側から動力船が来る「横切り船」での大きく右旋回で避ける方法、 それと帆船を避けるのに今回は停船して避けるといった感じでした。

そんな感じでしたけれど、実際の状況をまのあたりにしているわけではないので、本当に適切な軌跡で回避行動が取れているのか、 自分の中ではいまいち実感が持てないまま練習を重ねていました。 それと、実技教習の前後で先生が運転しているときに周囲の船を見てましたけれど、他の船が衝突コースにあるのかどうか、 そもそも相手が自分の方へ向かってきているのか、どのくらい距離が離れているものなのか、 回避行動をとるべき状況なのか、そんなあたりが思う以上に掴めない印象でした。

後進

後進の練習は、それほどは難しくない印象でした。

  1. 船尾まわり、良し
  2. 前良し、右良し、左良し、後方良し
  3. 後進します(リモコンレバーを後進側に倒して、低速で走行)

後進は、船尾周りと全周の安全確認を行ってから、今までとは逆方向にリモコンレバーを倒して進みます。 このとき大事なところとしては、速度を出し過ぎないことが挙げられました。 ちゃんと下がれるなら微速で、舵が効きづらければ 1,000 回転くらい、 大きくても 1,200 回転くらいで留めておくのが良いようです。 それより速くしてしまうと、船の後方から波が入ってきてしまうことがあるのだとか。

リモコンレバーの微妙な操作感には相変わらずに慣れないものの、 それ以外の点については、なんとなくハンドル操作もしやすい印象がして、 それなりにまっすぐ目標に向けて進めたような気がします。

着岸

事前の調べで苦手意識の強かった着岸は、やはり手順が多くて難しい印象でした。 風を後ろから受ける方が着岸しやすいらしく、今回は左舷側での着岸をすることになりました。

  1. (フェンダーを下ろして、ボートフックを用意)
  2. 着岸準備、良し
  3. 船尾まわり、良し
  4. 前良し、右良し、左良し、後方良し
  5. 着岸点、良し
  6. (リモコンレバーを倒して、微速前進)
  7. (目標の方向に進路を取る)
  8. 前良し、右良し、左良し、後方良し(改めて、安全確認)
  9. 着岸点、良し
  10. (ある程度まで、微速前進)
  11. (中立にして、行き足で前進)
  12. (ハンドルを右いっぱいに切って微速、船体が桟橋と並行になるくらいまで)
  13. (ハンドルを戻して、リモコンレバーを下げて微速後進)
  14. (行き足が止まったら、リモコンレバーを中立に戻す)
  15. (ボートフックを、桟橋にひっかける)
  16. 着岸しました

先生がこの日の状況に合わせて最適な着岸方法を考えて教えてくれたため、 言われるままにやれば上手く出来たのですけど、自分の判断でやるのはなかなか難しそうです。 状況によってぜんぜん違ってくるから最後は経験で学ぶ必要があるとのことでした。

大事なところとしては、最大でも微速で寄っていくことになるのでしょうか。 最後に後進で寄せるときには、今回のように左舷着岸する場合はハンドルを左に切っておくと、 船尾が桟橋側に寄っていって止めやすくなるとも聞いたような気がします。 何はともあれ、やることがとても多くて、なんとかそれっぽく形にするので精一杯でした。 ただ、もしかするとそれは「言われたとおりの手順をこなす」のに意識が向いてしまっていたのもあるかもしれなくて、 なんのためにその操作をしているのかを意識できたら、もうちょっと見え方が違っていたかもしれない気もします。

それとすごく難しかったのが、安全確認で前後左右を見ている間に、船が風でどんどん流されるところでした。 周囲を見ている少しの間、リモコンレバーを中立にしてハンドル操作を休めているだけなのに、 視線を再び戻してみると、思いがけない方を船が向いている感じです。 この「風に押される」感じは結局のところ、実技教習が終わるまで感覚を掴めないままでした。

離岸

離岸は簡単な印象でした。

  1. (ボートフックで桟橋をしっかり押して、船を桟橋から離す)
  2. (フェンダーを船内側に仕舞い入れる)
  3. 船尾まわり、良し
  4. 前良し、右良し、左良し、後方良し
  5. (曲がりたい方向に、ハンドルを切る)
  6. (リモコンレバーを下げて、微速後進)
  7. (桟橋から十分に距離が離れたら、リモコンレバーを中立に)
  8. 離岸しました

最初は桟橋をボートフックのひっかける部品が付いていない方で押して、船を桟橋から遠ざけていきます。 体重をかけて押してあげると、船が惰性で遠ざかるように徐々に離れていくので、じっくりやれば簡単に 船を遠ざけることができました。そうしたら、桟橋との衝撃を吸収するためのフェンダーを船に引き上げて、 船尾と全周を確認した後、リモコンレバーを微速後進に入れて、後方にまっすぐ離れていく感じで完了のようです。

後進するときは、桟橋に船首がぶつからないように、しっかり距離を取りつつ、必要に応じてハンドル操作をしながら、 ゆっくり後方に進んでいく感じになるようです。とりあえず、偶然なのかもわかりませんけれど、今回のような風が強い日であっても、 危なげなく後進離岸を成功させることができました。

蛇行

蛇行の教習は、先生が船を操縦して、3 箇所の目標ポイントそれぞれに ブイ を投入して、蛇行用のコースを作ってました。 まっすぐ並べるのに情熱を注いでいる様子で、この日の風の強さに影響されて少しズレては悔しがってらして、 それがまた楽しそうにされているのが面白かったひとときでした。

そうして準備されたコースを使って、蛇行操縦の教習です。

  1. 船尾まわり、良し
  2. 前良し、右良し、左良し、後方良し
  3. コース、良し(コース自体の安全確認)
  4. 左から蛇行します
  5. (最初は 1,500 回転ほどで、コースにまっすぐ進路を取る)
  6. (エンジンを 3,000 回転くらいに増速)
  7. (ブイの手前 30m くらいで旋回開始)
  8. (ブイとの距離 10m くらいのところを走行)
  9. (ブイとブイの中間を通り過ぎる)
  10. (最後のブイを旋回したら、元のコース直線上に進路を取る)
  11. (少し直進する)
  12. 後方、良し
  13. (リモコンレバーをゆっくり中立まで戻す)
  14. 蛇行しました

最初はコースにまっすぐ進入して、ブイの 30m 手前くらいから蛇行を開始、 ブイとブイとの中間を縫うようにして蛇行をして、最後はコースまっすぐに抜けて、止まると言う流れだったのですけれど、 これが予習で動画を見ていたときの印象とは裏腹に、今回の中で最も難しく感じられました。

コースを意識するのが難しい

まっすぐのコースを意識して操縦するのが、難しかった印象でした。 先生からは最初に「コース上、先の目標物を覚えておいて」と言われてそうして始めはするのですけれど、 やることがたくさんあったり、右へ左へと忙しく旋回するのもあって、 そういったことに気を取られているうちに、わからなくなる感じです。 最後の旋回を終えたときに、ブイを直線で結ぶコース上に戻れている気がしませんでした。

きっと旋回することにこだわるあまり、目的を持って船で海を進んでいるということを忘れているような気がします。 もう少し慣れて余裕が出てくれば、もう少しはまともなコース取りができてくるかもしれません。

コースにまっすぐ進入できない

そして今回で最も苦戦したのが、最初の最初、コースにまっすぐ進入するところでした。 先生がスタート地点の付近に船を着けてくれて、そこから自分でコースの直線上に船を 持っていく必要があったのですけれど、このときに風に流されて思うように コースを捉えることができませんでした。

コース直線上で前方を向くつもりでハンドルを切っても変な方向に船が向いては、 なんとかそれっぽい方向まで船を向けられたとしても、 全周確認をしている間に再びぜんぜん違う方向を向いていたりして。 そうしながらも前進しているものだから、適切な速度に増速する前にどんどんブイが近づいてきます。 そうして余裕のないまま旋回が始まり、旋回中も風に流されてブイに近づきすぎたり遠ざかりすぎたり、 終始フラフラしながら蛇行を終える感じでした。 操船練習の時間の中では、何回やっても進歩する感じはしませんでした。

人命救助

人命救助は、先生が投げ入れるブイを人に見立てて、それを救い上げる練習です。

  1. (要救助者の位置を確認)
  2. 船尾まわり、良し
  3. 前良し、右良し、左良し、後方良し
  4. 右側から救助します
  5. (微速直進で要救助者に接近、今回の船なら要救助者に右舷灯を合わせて進む)
  6. (船体で要救助者が隠れるあたりで、リモコンレバーを中立に)
  7. (船の右舷側に移動して、ブイを拾い上げる)
  8. 救助しました

人命救助にあたっては、要救助者の風上に船を進めて距離を取り、風に船尾から押されるようにすると救助しやすいとのことでした。 逆に、風を正面から受けると船首が左右にブレて難しくなるのだとか。 そして要救助者に手が届くならそのまま掴み、届かなくてもボートフックで寄せれば OK とのことです。 ちなみにこの人命救助は試験では 2 回までチャンスがって、救助に失敗したりリモコンレバーを中立にし忘れたりしたときは再救助になり、 自分で船を適切な位置まで進めて再び救助をすることになるのだそうでした。

とりあえずこの人命救助については、思ったよりもうまく行った感じだったのですけれど、 不思議と上手くできるような感じで、実感はいまいち沸かない印象でした。 そう感じたのはもしかするとどうやら、先生が船を風上の適切な位置に付けてくれていたからの様子です。

実技審査

そうして教習をひととおり終えて、いよいよ最後の実技審査となりました。 海に出ていた二隻の教習艇を先生が寄せて乗り替わり、実技審査の始まりです。 審査の流れは、海の上での操船審査をひととおり終えたら、マリーナに戻って点検とロープワークの審査を行うことになりました。

実技の自信具合としては、予習のときの印象とは変わって、 蛇行がいちばん自信がなくて、ついで着岸の手順を覚えているか、そして人命救助に成功するかといった感じでした。

操船の審査

審査が始まると、先生が各種項目のスタート地点まで船を進めて「〜を行ってください」と指示されるので、 それに応えて操船を実施していきます。

蛇行の審査ではまさしく練習のとおり、風に流されてコースにまっすぐ進入できなかったのと、終始フラフラしていてイメージ通りの軌跡を描けなかった感じでした。 人命救助では、要救助者をまっすぐに見る位置に船を移動しようにも、風上がどちらか判断できなくて迷っているうちに船が要救助者に接近、 満足に距離が取れない上に最後までまっすぐ向かえないまま、それでもなんとかハンドルを操縦して、極めて至近距離だけ見れば、要救助者に船をぶつけることなく 救助することに成功しました。 着岸は、手順を教わった通りにできた気がするものの、ハンドルを切るタイミングが少し遅かったのか、船体を桟橋にわずかにぶつけて着岸しました。

そんな感じで、危なげ満載の操船でしたけれど、それ以外についてはおぼつかないながらも形にはなった感じがするのと、 前後左右の安全確認は自分なりに忘れずにできていたように思います。

マリーナまでの帰り道

海の上での審査を終えたら、先生の操縦でマリーナまで戻ります。 これまで操船練習をしてきて思うこととしては、航行速度が明らかに速くて、 自分ではまだまだぜんぜん恐ろしくてこんなに早く走れなそうです。

ところで相変わらずに波は高くて、船がときおり水面上を弾むのですけど、 そのときに 1 回だけ、思いっきり片足が滑ったことがありました。 行きほどではないにしても飛び込んできた水しぶきで地面が濡れていたのか、 思いがけずに船が弾んだタイミングで足がツルッと滑って弾かれるように体の向きが変わりました。 船が大きく揺れていたので手すりをしっかり掴んでいたのが幸いでしたけれど、 握っていなかったらもしかすると、左舷から背中を向けて海に落ちていたかもしれません。

そんなことが 1 回あったものの、基本的には順調に船は波を切りながら、 マリーナへと到着しました。航路が狭くなり始める頃には先生が船の速度をしっかり落として、間際でフェンダーを下ろしていたり、 船溜りに近づいたら速度を微速くらいまで落としていたり、そんな操船の様子を眺めながらの帰還となりました。

そんな道中で、港を行く船と教習艇との距離感みたいなものを気をつけて眺めていたのですけれど、 やっぱり避航すべき位置関係にあるのか、そもそも互いに接近しているのかどうか、いまいち感覚を掴めないのは相変わらずでした。

残りの審査

マリーナに到着して最後にロープワークと点検の審査が行われましたけれど、そちらについては基本的には危なげなしな感じでした。 エンジン始動は手順が多くて忘れていないか心配でしたけれど、たぶん大丈夫だったように思います。 点検項目も問題なくて、トラブルシューティングも上手く答えることができました。

風や波を意識するのが苦手の様子

ただひとつだけ、船のどちら側から解らんするかの問題が出されて、確信を持って答えることができませんでした。 そういえばこの問題は、実技教習のときから曖昧なままでした。 今になって教本で調べてみると、係留は「風上または流れの上流側」から、解らんは「風下または流れの下流側」からということになるようです。 インターネットで調べてみると「小型船舶では、通常は船首側から解らん」と記されているところもありました。

そう言われれば、分かったような気がするのですけれど、なんとなくまた分からなくなりそうな予感もします。 係留や解らんの順序は、その途中で船体が変な方向へ流されていかないための順序だったと思うので、 これからもそんなあたりを意識しながら係留と解らんを体験していく必要がありそうです。

いずれにしても、これまでの実技教習を通して思うこととしては、自分はどうにも風や波の方向とそれが 船にどう作用するかを、捉える力が大いに不足している感じがします。

教習終了

こうして実技審査もいちおう無事に終わって、借りていたライフジャケットを研修室に置きに行ったら吉村先生がいらして、 審査でもやっぱり風を意識するのができなかったことを少しお話ししたり、 きっと大丈夫だから免許を楽しみにしててねと言われたりしたり、 そんな感じで全ての日程を終えて、一級小型船舶免許の教習は全て終了となりました。

一級小型船舶免許、取得

教習の申し込みを行ったのが 2020 年 6 月 3 日、そして教習初日を 7 月 4 日に迎えて、 実技教習の延期が 2 回重なってこの日の 7 月 27 日を以て教習は終了、 そしてそこから 19 日後の 8 月 15 日に、無事に手元に「一級小型船舶免許証」が到着しました。

合格証明書の取得や運輸局への免許発行申請といったものは、マリンライセンスロイヤルさんが 代行してくれるので楽でしたけれど、受講してから免許を取るまで、今回は特に長い道のりでした。 船に乗って何をしたいかはぜんぜん決まっていないですけれど、 とりあえずは少しでも安全に船を運転できるように、そもそも船に乗れる機会を 探していけたらいいのかなと思うところです。

まとめ

そんな感じで、長らくかかった「一級小型船舶操縦士」取得のための教習を無事に遂げることができました。 これから先も操船を体験したりしてみたときには、感想などを順を追って記していこうと思います。