レンタルボートクラブ「れんたぼー」の体験試乗会に参加してみました。
船舶免許
横須賀にあるシティマリーナヴェラシスで始まったレンタルボートクラブ「れんたぼー」の体験試乗会に参加して、マリーナや近隣海域の魅力を感じつつ、いろんなことを教わってきました。
小型船舶免許を取得する際に通った マリンライセンスロイヤル さんからのお知らせで、新しいレンタルボートクラブ「れんたぼー 」が、この春、 から始まったことを知りました。 そしてその「れんたぼー体験試乗会」が、神奈川県横須賀市にある シティマリーナヴェラシス で開催されるとのことでした。
自分は こちら で記したみたいに同年3月から D-marina のレンタルボートクラブに入会してすぐだったので、れんたぼーにすぐに契約とはならないところだったのですけれど、これまでこちらのマリーナを訪れたことがなかったのと、その周辺の海を眺めたことがなかったのもあって、その環境を眺めに訪れてみることにしました。
れんたぼー体験試乗会に申し込む
今回のれんたぼー体験試乗会は 4月24日(土)と 25日(日)の2日間限定で開催される予定になっていたので、都合のよかった日曜日を選んで参加を申し込んでみることにしました。
ただ、体験試乗会に関する情報はそれだけで、申込用の Web ページでは体験試乗会に関する記載が見つけられなかったのと、自分は先日に D-marina のレンタルボートクラブに入会したばかりでしばらくは決断できなそうなのも気になっていたので、ひとまず電話で体験試乗会について問い合わせてみるところから始めてみます。
参加予約 OK
まずは電話にて、マリンライセンスロイヤルさんから体験試乗会のお知らせがあって知ったことを伝えつつ、申し込む上でいちばん気になっていた「先月にほかのマリーナでレンタルボートクラブに入会したばかりで、すぐに契約できる状況にはない」ことから伝えてみると、快く「参加したら契約しないといけないみたいなことはないので、ぜんぜん構いませんよー」とのこと。
そしてさっそく、空いていた日曜日の午後2時からで来場予約を入れてくださいました。
体験試乗会について
体験試乗会の内容についても尋ねてみると、今回の体験試乗会では「れんたぼー」についての説明と、レンタル艇を運転しながら近隣海域を航行する上での留意点などをレクチャーしてもらう感じになるようです。所要時間はおよそ1時間とのことで、どうやら初回講習の模擬体験みたいな感じになりそうな予感です。
また、今回の体験試乗会では船舶免許を持っていない人も実際の操船体験はできないものの同乗参加可能とのことでしたので、今後に体験試乗会が開催されて、将来レンタルを始めたときに一緒に乗船する人と一緒に参加したいような場合は、その旨を伝えつつ、合わせた人数で体験試乗会を予約するのも良いかもしれません。
駐車場
今回は体験試乗会へ自動車で伺うつもりだったので、周辺の駐車場についても尋ねてみたところ、マリーナの目の前にある駐車場は当マリーナで船を所有しているオーナーさん専用の駐車場らしくそこは利用できないものの、少し離れたところにマリーナを訪れる人が無料で利用できる駐車場があるとのことでした。
少し離れているとは言っても、実際のところは徒歩で5分もあれば着く程度の場所にあって、このくらいなら自分にはぜんぜん遠い感じはしませんでした。その間は普通の歩道で、歩きやすいですけれど、雨が苦手な人は天気が悪いと少ししんどく感じることもあるかもしれないですけれど、そういう人ならそういう日にはレンタルをキャンセルするのも視野に入ると思うので、そう思うと結局やっぱり気にならなそうな気もします。
当日の天候
日程が決まれば、気になってくるのは当日の天候なのですけれど、れんたぼー体験試乗会を予定している日曜日の予報は全般的に風が強い予報になっていて、当日まで毎日のように予報が変わる印象でした。
全体的な印象としては、天候としては晴れまたは曇りといった感じ、風向は全般的に南南西、夕方過ぎから次第に西に触れて南風へと移っていく感じ。風速は西風のときは 2 m/s 暗いと穏やかになる予報なものの、それ以外だと 8m/s 以上といった感じの予報で、体験試乗会を予定している午後2時はなかなか際どそうな様子でした。
当日までそんな感じの気がかりな予報が続きましたけれど、前日にも中止の予定はなさそうだったのもあって訪れてみれば、直前の予報は南南西の風、風速 5 m/s と、なんとなくなんとかなりそうな予感、実際のところは思ったよりは波風が弱めに感じる印象の日となりました。
服装など
今回は雨は降らない様子なものの、風が強い可能性が高くて、ともすると水しぶきをたっぷり浴びかねないので 完全防水のレインコート の上着と合わせて、同じ素材のズボンもしっかり備えておくことにしました。
気温はこの頃にしては暖かめな 20℃ だったので、これまでみたいな重ね着はしないで普通に冬の装い程度で臨んでみます。それに加えて雨具を着れば、風が遮られて海上でも寒さを感じにくくなるのでこれで十分でしょう。
そんな感じで実際に当日を迎えてみれば、天気が良くて暖かく、風は当たれば少し肌寒くは感じられるものの思うより弱そうだったのもあって、雨具は上着だけ身につけることにして、雨具のズボンは履かないでみることにしました。そんな感じで問題なく海上で過ごせる印象でした。
ライフジャケットはお借りしたものを着用
ライフジャケットは念のため持っていきましたけれど、こちらは車に積んだままにして、体験試乗会では予め用意してくださっていた腰巻き式のものを使わせてもらいました。
ほかに備えておくと良さそうなもの
ほかにも帽子やサングラス、酔い止め薬、タオルなど備えておきましたけれど、今回の体験試乗会ではそれらを使う必要はありませんでした。ただ、こちらについては状況によってはあると助かることもあると思うので、いつも常に備えておくと良さそうな気がします。落水した場合に備えて着替えも用意しておくと安心かもしれません。
シティマリーナヴェラシスの印象
そんな感じで当日を迎えて、シティマリーナヴェラシスに到着しました。
周辺の様子も含めてとても長閑な景色が心に残る印象がします。ときおり風を強めに感じるものの、基本的には街並みや天候に似合う穏やかな感じ。さっそく受付を訪れてみれば、体験試乗会も開催されるとのことで、乗船予定の船が桟橋に着くまでの間、マリーナ横の桟橋を臨む外のベンチで少しばかり待ちます。そんな間も穏やかな、心地良い時間が流れる感じがしました。
とても心地の良い環境
体験試乗会を通して感じたシティマリーナヴェラシス周辺の印象は、長閑で上質な感じといったらいいのか、とにかくなんとも居心地の良い空間に感じたことが第一に心に残ります。
シティマリーナヴェラシスが面する海は、大きくみれば東京湾ですけれど、そんな東京湾の入口付近、浦賀湾に位置する場所になるようです。マリーナの港内の水路はゆとりがあって、安心して操船できそうな感じがするのも印象的でした。シティマリーナヴェラシスでは大きめの船を主に扱っているのもあって、港内が広く取られているのだそうです。
マリーナの施設内もほど良い広さでコンパクトにまとまっている印象で、レストランとグッズのお店がそれぞれ1店舗あるところも最低限かつ充実していて、純粋に海を楽しむ上で好感を持てるところでした。
海がのびのびしている印象
そしてレンタル艇が上下架されるクレーンのところから出航すると、まもなく開けた海の景色が広がるところも良い感じでした。
漁具なども周辺海域では目立たず、航行注意の箇所は近隣に2箇所あっても方位標識が目立つように設置されていて、他に目立った障害物もなく、のびのびと走行できそうな印象でした。普段の船舶の往来も、普通の船とヨットが半々くらい、海上で出会うその数は普段からまばらな感じらしいです。
自動車で訪れやすい立地
駐車場も用意されていて、自動車で訪れやすいところも好印象でした。
マリーナまで少し離れているものの、無料で広い駐車場が徒歩で5分もすれば到着するので、そんなに遠くは感じない印象です。 駐車場までの自動車の道のりも、交通量の少ない大きな通りから広い駐車場へと入って駐車できるため、ストレスなく利用できそうなところも嬉しいところでした。
れんたぼーの印象
今回に体験した「れんたぼー体験試乗会」の様子については以下で記すことにして、その前にレンタルボートクラブ「れんたぼー」の概要をざっと整理しておいてみます。
航行可能エリア
シティマリーナヴェラシスでレンタル艇を借りて、そこから航行できる範囲は比較的広く設定されている印象がしました。 頂いたパンフレットに記されていた航行可能区域は、現時点では次のように記されています。
シティマリーナヴェラシスから開ける東側と、その北側と南側とが広く航行できるように設定されている様子でした。北側はまもなく浦賀水道の中間あたりから航行してはいけない区間になっていて、地図だけ見ると窮屈そうにも見えますけれど、この航路はもともとプレジャーボートが自由気ままに立ち入る場所でもないと思うので、実質的に狭く制限されている感じはしないように思います。
複数のマリーナから出航可能
レンタルボートクラブ「れんたぼー」では、いくつかのマリーナから出航できるようになっていました。
さすがに今のところは以前に「こちら 」で紹介した「シースタイル」の全国展開には敵わないですけれど、それでも今回に訪れた三浦半島・東京湾側に位置する シティマリーナヴェラシス の他にも、三浦半島・相模湾側に位置する 佐島マリーナ や、相模湾でも小田原や熱海の地域に位置する マリーナ真鶴 、さらには愛知県の伊良湖水道のある辺りに位置する 三河みとマリーナ を利用できる様子です。
レンタルボートクラブ「れんたぼー」が始まって間もないからなのか、これらのマリーナ公式サイトで「れんたぼー」を利用する方法について調べてみても情報がなかなか出てこない感じなので、気になる人はマリーナに直接問い合わせてみると良いかもしれません。
これらのマリーナを自由に利用するには、それぞれのマリーナで1回ずつ初回講習を受ける必要があるとのことでしたけれど、それさえすれば神奈川の離れた幾つかの海域に気分を変えて出航できるのは嬉しいところです。
利用料金
利用料金も比較的安く設定されている印象です。シティマリーナヴェラシスでは、これまでも年会費制の「ヴェラシスマリンクラブ」というレンタルサービスを提供されているようでしたけれど、そちらは価格が高めに設定されていて、マリーナの雰囲気と合わせて上質指向なものになっている印象でした。 そこに比較的安価な月額サービスの「れんたぼー」が加わることで、シティマリーナヴェラシスの上質な空気感はそのままに、よりカジュアルにレンタルボートを利用できるようになった感じがします。
比較したくなるレンタルボートサービスは「シースタイル」だと思うのですけれど、そちらと比べて「れんたぼー」では利用する毎の利用料も低く抑えられている印象なのと、月会費も少し安く設定されているので、日本全国で船に乗りたい考えを抱いている人でなければ、ひとまずの選択肢として「れんたぼー」が候補に挙げられそうです。
ヨットも借りられる
そして、人によっては大きな利点ともなりそうな特長として「ヨットが借りられる」ところも挙げられそうです。
自分はまだヨットに乗ることに関心を持ったことはないですけれど、レンタルボートクラブといえばプレジャーボートを借りるのが一般的のように思えます。自分がレンタルボートクラブを探していたときにヨットを借りられるところは今までなかった印象なので、プレジャーボートに乗りたいしヨットにも興味があるみたいな人には魅力になってきそうです。
レンタル艇の数は気になるところ
ただし気になるところとしては、頂いたパンフレットを見る限りだと、借りられる船の数が少なそうに思えるところです。
プレジャーボートの数だけで見ると、愛知県の三河みとマリーナでは6艇と充実しているものの、神奈川県のシティマリーナヴェラシス、佐島マリーナ、マリーナ真鶴ではそれぞれ2艇が掲載されていました。れんたぼーが始まったばかりの今ならまだ問題ないのかもしれないですけれど、これから人気が出てきたら、借りるのも大変になってくるかもしれません。
シティマリーナヴェラシスの環境を窺う限り、人気の高まりに応じてレンタル艇を増やせるキャパシティーは十分にある印象を持つので、混雑や増強の可能性も視野に入れつつ、マリーナのスタッフさんと相談しながら検討すると安心なのかもしれないです。
水上オートバイは借りられなそう
ところで水上オートバイを借りたい場合は、少なくとも「れんたぼー」では今のところは貸出していない様子なので、他を検討することになりそうです。水上オートバイに乗りたい場合は、それを貸出ているマリーナを利用できる「シースタイル 」か「シースタイルジェット 」を検討してみるのも良いかもしれません。
レンタル後の船艇清掃が必要
他に考慮しておくと良いかもしれないところとしては、れんたぼーでは、レンタル艇の利用後に船艇を清掃する必要があるところかもしれません。頂いたパンフレットがシティマリーナヴェラシスでの利用を前提としたものだったので、他のマリーナで利用する際にも清掃が必要になるかは把握していないですけれど、清掃が必要となると毎回の利用時間にも影響してくるところなので、その所要時間や手間も考慮して入会を検討する必要がありそうです。
先ほど紹介したシースタイルの場合は、マリーナによって利用後の清掃が必要かどうかが変わってくるようで、それについては ホームマリーナ のページから確認できるようになっていました。利用後に洗艇の有無が気になる場合は、シースタイルのサイトで有無を確認したり、れんたぼーのマリーナに問い合わせてみたりしながら、契約したいレンタルボートサービスを選定すると良さそうです。
れんたぼーを体験試乗会する
さて、そんな感じの印象を持ったレンタルボートクラブでしたけれど、その「れんたぼー」に体験試乗会に参加して、シティマリーナヴェラシス近隣の海域を航行させてもらってみての印象も綴っておきます。
そんな今回に案内して下さったのは、藤里さん。丁寧に言葉を紡ぐ落ち着いた印象の人で、のどかな居心地、言葉の流れが整っていて聞きやすかった印象でした。専門用語をわかりやすい言葉に置き換えて話されるのも印象的です。
シティマリーナヴェラシスに到着
れんたぼー体験試乗会の当日、シティマリーナヴェラシスを訪れたときの第一印象は先ほども記しましたけれど、とにかく伸びやかで上質な心地の漂うマリーナ環境な印象でした。
この日は雨は降らないものの、風の予報が直前までころころ変わって、海に出られるかぎりぎりまで気がかりな天候でしたけれど、受付を訪れてみれば出航できそうな様子で、先に出ている体験艇が戻ってくるのを待っての出航となりました。これくらいの風の日なら出航可能、その体験的な意味合いも込められていた試乗会だった様子です。
出航準備と安全意識
先生とご挨拶を交わして試乗艇の待つ桟橋へと向かい、そこでまず心に残ったのが、乗船するよりも前に桟橋でライフジャケットを手渡されたことでした。
これまでにも参加した操船セミナーで「桟橋から落ちただけでも自力で上がるのは困難で、死亡事故も多い」と聞いていたものの、操船セミナーの性格上、船内に用意されているライフジャケットを船に乗ってから手渡されることも時折あって気になっていたので、こうして事前にライフジャケットを身につけてから乗船するように教えてもらえたことに安心感を覚えたりしました。
運転者が落水したときに船の暴走を防ぐのに役立つ「緊急エンジン停止コード」についても、その用途の説明と、航行時は身につけることをしっかり話して聞かせてくれたところにも好印象です。
出航・操船体験
備品の確認など出航前点検を終えたら、マリーナを出るところまでは藤里さんが操船してくれて、それからは操船を交代して操船体験が始まりました。なお、今回の船は FAVAS という船で、実際に「れんたぼー」での貸出を行なっているものになるそうです。軽い船で、ボートフックなどで押しての離岸もしやすい船とのことでした。
港を出て、浦賀湾の入り口まではゆっくりめの航行なものの、間も無くするとすぐに開けた海が広がりました。
マリーナ内はデッドスローの最微速走行、浦賀湾では 1,500 回転くらいまでの低速走行で、そこから間も無くの浦賀湾の入口を示す右左舷のブイから先はしっかりと速度を出して走れる感じです。開けた海のすぐあたりには、わかめ棚などの漁具があるらしく、ほど近くにある「香山根 」と呼ばれる南方位標識よりも沖側を航行することでそれを避けられるようでした。また、南に少し行った先には「海獺島 」と「東方位標識」があって、その間が浅瀬になっていることにも注意して航行する必要があるとのことでした。
港内は右側通行が基本であること、防波堤付近では「右小回り、左大回り」で航行するなど、狭かったり見通しの良くない場面での航行方法についても教えてもらったりしながら、シティマリーナヴェラシス近隣を40分ほど体験することとなりました。
この日の海の様子
この辺りの海域は、交通量はそれほど多くないらしいです。ほど良い距離に浦賀水道航路があるからか、遠目には大型船が航行している姿はみられるものの、近隣でヨットや小型船を避ける必要が出てくる機会はそれほどない印象でした。この日だけかもと思って先生に尋ねてみたのですけれど、普段もこれくらいの交通量みたいです。
航行する船の種類は小型の動力船とヨットが半々くらいとのことで、横浜港周辺ほど輻輳していることもなく、葉山港周辺みたいにヨットやパドルボートみたいな避けにくい(印象を持つ)種類の船も少ないようなので、のびのびと走りやすそうなのも好印象な景観でした。
海は比較的穏やかな印象
まずは海獺島の方角へ向けての航行でした。この日のこの方角は向かい風と向かい波、風は強めの予報ながらも、思っていたより波風は穏やかな印象でした。
航行速度を控えめに 3,000 回転くらいに抑えていたのもあるかもしれないですけれど、走っていると船が波に乗り上げたりして揺らされる感じはあるものの、水しぶきを浴びるようなことはない程度でした。自分はまだ、海上で風を感じてどれくらいの風速かを予想できる感覚はないので、予報の 3.7m/s から 5.0m/s に対して、実際の風速がどれくらいだったかは想像できないところですけれど。
避航操船
この付近の海域を航行する際に注意したいところとしては、海獺島と東方位標識との間を通過しないように注意することの他にも、いくつか教えてもらいました。
海鹿島より少し手前を、横須賀市の久里浜港と千葉県の金谷港とを結ぶ 東京湾フェリー が行き来しているとのことで、その運行を妨げないように注意して航行する必要があるようです。
また、漁船もあまり止まらないこともあるらしいので、相手が左側からきているときでも、こちらから避けるように心掛けるのが大事になってくるそうでした。漁船の場合は漁撈に従事していたりして、動力船との避航・保持の関係が変わってきたりすることもあるため、プレジャーボートを操船しているこちらとしては、早めに相手の存在を捉えて、ゆとりを持って進路を避けて航行するのが安全そうです。
ほかにも、掘削を行う船などの移動性能が低い船もいるので、それに対してもこちらが避けて航行する必要があるとのことでした。
観音崎の方面へ向かいつつ
海獺島の方角へある程度進んだ後は、進路を北にとって観音崎の方面へと戻ります。今度は追い風、追い波になって、とても快適に 4,000 回転以上の速度でも航行しやすくなりました。
最初に見た香山根の辺りに向かいつつ「せっかくだからスラロームも体験しておきましょう」ということになって。蛇行操船は船舶免許を取得するとき行なって以来、操船セミナーやレンタルでの出航しても行う機会がなかったのですけど、あのときのようにブイが打ってあるようにイメージしながら操船してみました。結果、当時よりずっと気持ちに余裕を持って操船できた心地がしましたけれど、ブイがないところを想像で走行しているだけというのもあるでしょうし、試験ではないからなのかもしれないですし、とりあえず操船があの日より上達したのかどうかは良くわからないところでした。ただ、試験のときに必要だった「最初のブイと最後のブイの見通し線上の目標物を確認する」のもすっかり忘れていたりしたので、実際のところはそれっぽく運転できているつもりになっていただけかもしれません。
そんなことを思い返していて思い出したこととして「動力を与えてあげないと、船は曲がらない」というのもあって。これは特に水上オートバイの教習で習ったことだったかもしれないですけれど、いずれにしても今回のスラローム走行みたいな緊急回避的な操船って普段の中ではなかなかする機会がなくて忘れがちだった気がするので、緊急時には安全に直結するところだけに、改めて意識しておきたいところに感じたりしました。
浦賀水道
シティマリーナヴェラシスからほど近い距離には海上交通安全法で定められている「浦賀水道」航路があって、今回の体験試乗会では行きませんでしたけれど、それについても話を聞かせてもらっていました。
浦賀水道航路内を航行するときは「右側通行」で、プレジャーボートで航路を横切ることもできるけれど、コンテナ船などの大型船が航行していてその航行を妨げてはいけないので、避けて航行するのも安心とのことでした。迂闊に入って大型船の進路を妨げたり、逆走すると、海上保安庁に取り締まられたりするので、基本的には近づかないようにするのが良いかもしれません。
浦賀湾での操船体験
そんな感じで近隣海域をひととおり体験してからは、風が強めだからということで、シティマリーナヴェラシス目下の浦賀湾での操船体験となりました。浦賀湾入口の右左舷標識のところからは、周囲の船への影響も窺いながら、問題なさそうなときにはたしか 2,500 回転くらいまでの控えめな速度で航行してました。
この辺りは、シティマリーナヴェラシスの向かいには サニーサイドマリーナ ウラガ があったり、浦賀湾の先にも船の係留場所があったりして、他の小型船とすれ違う機会も時折ある感じで、それほど広い海域でもないので、こういうところでは早め早めにはっきりとどちらに進路を取ろうとしているか示して航行するのが良い様子でした。
ちなみに今回、向こう側から来た小型船が自分の右側に向けて進路をとる場面がありました。比較的狭い水路で互いに十分に距離が離れている状況で、自分が右側に進路を取ろうかと思ったときに、相手側が明らかに自分の右側を通過する進路を選んだ感じで、自分はそのまま相手の左側を通過する感じになって。こういうときは、わざわざ右側通行に拘る必要はなくて、考え方としては「別の道路を通っている」感覚ですれ違えば大丈夫とのことでした。互いにそういう判断を誤解なく行うためにも、両者が早め早めに、意思が的確に伝わるようにしっかり大きく進路を取るのが大事になってくる様子です。
遊泳者
そんなふうにして浦賀湾を航行していると、先生が不意に「あれ、なんでしょうね」と声をかけてこられて。何やら少し離れたところに、浮き沈みしている何か姿が見られる感じでした。
自分は最初、鳥かなと思ったのですけれど、先生はちゃんと認識できるまでじっくりそれを観察して、どうやらそこには泳いでいる子供がひとりいらして、その人の頭が水面から窺えることが判明しました。自分にとって泳いでいる人を見るのは初めてでしたけれど、先生にとってもここに勤める10年くらいの中で初めての出来事だったそうです。それでもその存在に気づいて、それが何であるかを確実に認識するところまで、しっかり対応されているところがすごかったです。
対して自分は、左舷側の少し離れた先にあるその存在に気づいていなかったのと、先生が教えてくれたときにも「鳥じゃないかな?」くらいのところで考えが止まってしまっていたような気がして、うっかりすると危険だったように感じます。そして子供が元気に泳いでいることを確認して、そこを過ぎ去るときにも、思い返すともしかしてもう少しゆっくり離れた方が良かったかもしれない気がします。湾内なのも手伝って控えめな速度で航行してはいたものの、引き波がどれくらい立っているかに意識を向けられていなかったので、これについてもうっかりすれば遊泳者に危ない思いをさせる可能性もありそうです。
そんな出来事を思い返してみると、航行中は広い視野で意識を配って、何かに気づくことがあったらそれに対してしっかり意識を向けて対応していく重要さを教えてもらった心地がしました。そういえば教習のときにも吉村先生が、船上で急に聞こえてきた車のクラクションに手を止めて状況を把握してから「いつもと違う音が聞こえてきたら、しっかり確認するように」と教えてくれたことが思い起こされます。
着岸練習
浦賀湾を航行した後は、マリーナに戻って着岸練習となりました。練習は、シティマリーナヴェラシスのビジターバースで行われて、港内も桟橋もとても広くて、安心して横付けできるようになっていたのが印象的でした。
思わず急加速して失敗
波風の影響もほとんど受けなさそうな印象で、これまでにもいくつかのマリーナで着岸練習をやっていたのでもしかしたらうまく出来そうと思ったのですけれど、失敗しました。ニュートラルでゆっくり慎重に 45° の角度で桟橋に近づくところまでは良かったのですけれど、いざハンドルをめいいっぱい切って微速前進に入れても、曲がらない。もう曲がっても良いはずというか、曲がってもらわないと困るところまで差し掛かっても一向に向きを変えてくれないので、リモコンレバーが前進に入っていないのかと不安になってもう少し手前に倒してみたら船が急加速、先生に加えて同乗されてた補佐のスタッフさんの対処で素早く桟橋から離してくれてことなきを得た感じとなりました。
その後も数回練習しましたけれど、どうやらやっぱり微速前進に入るまでに少し癖があるみたいで、その感覚を捉えるのに最後まで手間取りました。こういう船ごとの癖みたいなところ、難しいなと思いつつ、なんであっても癖にあわせて安全に操縦しないといけないことには変わりがなくて、こういうときにどういう対応をとったら良いのか、機転の利かせ方など、まだまだ自力で出来る心地がしなくて課題の残るひとときでした。
着岸操縦が不安なときは、最初に伝えておくのも良いかも
船に乗って間もない人には、着岸はなかなか高度な操船な気がします。これまでの操船セミナーとかでは最初に先生が手本を見せて、その後でひとつひとつの操作を教えてもらいながら操船する場合が多かったのですけれど、今回は自然な流れで「あのあたりに止めましょう」と言われてそのまま着岸する運びとなりました。
これまでに幾度と操船セミナーで練習したことを伝えてあったのと、着岸もぎりぎりまで順調だったこと、最後のほんの少しの距離で急加速したこともあって、先生も様子を見守っていたのと、自分も自力でやってみようとしていたのもあって、今回みたいな流れになった気がしますけれど、着岸操船はなかなか繊細なところもあるので、不安を覚える人は念のためその旨を伝えておくと安全かもしれません。今回や着岸に限らず普段からも、そういった何か起こるかもしれない危険に対して先回りして、同乗者に対応方法を伝えたり、協力を仰ぐことも大切になってきそうです。
レンタル艇の発着場所
ところで、れんたぼーで船を借りたときには、発着するのは今回の練習で使った桟橋ではなくて、クラブハウス側にあるクレーン桟橋からになるとのことでした。陸上げされているレンタル艇が下架されるので、それに乗り込んでまっすぐ後進離岸、着岸はまっすぐ前進で行うことになるそうです。
教えてもらったこと、気になったこと
そんな感じで、ひととおり体験試乗会を終えましたけれど、そんな中でほかにも気になるところを幾つか見聞きしたので、それらについても簡単に綴っておくことにします。
アンカーの利用について
自分がこれまで主に航行してきた横浜港などの付近では「アンカーは滅多に使わない」と教えてもらいましたけれど、このあたりの海域では使うことはままあるそうです。下浦沖という海域でカワハギを釣るようなときとかに利用したりするのですとか。この辺りの海域はそれほど船が輻輳しないらしく、アンカーを活用する機会もあるそうでした。
魚のサイズを測る目盛り
そういえば、今回利用した船 FAVAS の足元に、魚のサイズを測るメモリが用意されていました。自分は今のところ釣りをしないのですけれど、YouTube で見かけた動画の中で釣りをする人が「こういうのがあると嬉しい」みたいに言っていたので、釣りをする人にとって魅力に映るポイントになりそうです。
ライフジャケットを外すタイミング
桟橋から船に乗り移る前に身につけたライフジャケットですけれど、体験試乗会を終えたときにも、船から桟橋にしっかり降りたのを見届けてからライフジャケットを回収されていました。今回に貸してもらったライフジャケットは船内に置いてありましたけれど、そういうときでもこうやって、落水しやすそうな桟橋と船とを行き来するときにはちゃんと身につけておけるように促すところに好印象を覚えるひとときでした。
免許不保持での運転について
小型船舶操縦免許は「船長責任」とされていて『船長の監督の元、一部の区域を除いて免許を持たない同乗者にも操縦を委ねることが出来る』ようになっている、そういう風に免許を取得するときにも教わったように思うのですけれど、これについての確かなところがまだわからない印象です。
シティマリーナヴェラシス近隣の海域は、東京湾の平水区域よりも外に位置するように思うのですけれど、先生に尋ねてみるとこの辺りの海域も免許負保持者が操船することは出来ないとされているそうでした。以前は大丈夫だったそうなのですが、一昨年とかそれくらい(2019年ごろ?)に変更されてダメになった様子です。そういえば大阪で船を持っている人からもそのような話を聞いたことがあるものの、具体的に禁止されたことを示す情報を見つけられていないため、実際のところどうなっているかは把握しきれていないところです。
なお、飲酒運転についても過去には禁止されていなかったとのことで、こちらはおそらく 2003年あたりから明確に禁止されるようになった様子です。ライフジャケットの着用についても 2018年の法改正で全面的に義務化された様子です。
水上オートバイの運転について
水上オートバイの運転については、この辺りの海域では漁協との協定によって、水上オートバイ単独での航行は禁止されているそうです。水上オートバイを利用する際には、母船と一緒に伴奏するか、曳航しないといけないことになっているとのことでした。
体験試乗会を終えて
そんな感じでひととおり、新しく始まったレンタルボートクラブ「れんたぼー 」を体験試乗させていただきました。自分にとっては1時間ほどとは思えないくらいにいろんなことを教えてもらえる貴重な機会となりました。
そんな今回を通しての印象として、なによりシティマリーナヴェラシスとその近隣海域の居心地がとても気に入りました。とても伸び伸びとしていて窮屈な感じをまったく覚えることなく長閑に過ごせる印象が、好みにぴったりに思えます。利用料も低く抑えられていて、主に神奈川県内の海域を複数のマリーナからアプローチできるところも魅力的でした。
自分は最近に東神奈川の D-marina が提供するレンタルボートクラブに入会したばかりなことと、個人的に横須賀までは少し遠いところはあるものの、今回の「れんたぼー」は、それを踏まえても気になってしまうくらいの魅力を秘めたレンタルボートクラブに感じられました。今後に何か機会が巡ったときの有力候補になりそうです。
今のところの気になるところとしては、用意されているレンタル艇の数が少ないようにも思えて、実際に利用したいときに借りやすいかどうか。不安を覚えるところとしてはそれくらいですけれど、とても重要なところでもあるので、入会が現実味を帯びてきたときにはその辺りを改めて確認したいところに感じました。
そんな感じで今回は以上となりますけれど、これまでの免許を取得するまでの経緯や、これからの操船体験などは順を追って以下に記していくので、興味のある事柄があったらそちらも眺めてみてください。